ウクライナ戦況

侵攻965日目、ロシア軍がポクロウシク方面クラホヴォ近郊の拠点を占領

DEEP STATEとRYBARは「ロシア軍がハルキウ州クピャンスク方面、ドネツク州トレツク市内、ヒルニク・クラホヴォ方面、ヴフレダル方面、ヴェリカノボシルカ方面で前進した」と報告、特にロシア軍がオストリヴシュケを占領したためヒルニクとクラホヴォの間に楔を打ち込まれた格好だ。

参考:Мапу оновлено!
参考:Выход к берегу Оскола, освобождение Левадного, битва за Торецк — сводка за 15 октября

比較的多くの方面でロシア軍が前進を遂げたが、夏と比べると1回で報告される前進距離は大人しめ

DEEP STATEはハルキウ州クピャンスク方面にについて12日夜「ロシア軍がクルフリャフカ郊外に到達してO-211942を物理的に遮断した」と報告していたが、RYBARも15日夜「ロシア軍がクルフリャフカ郊外に到達した」と報告、視覚的にもウクライナ軍がクルフリャフカ東郊外の家屋=を戦車で攻撃する様子が登場した。

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まだクルフリャフカにガッツリ取り憑かれた訳では無いため何とかなるかもしれないが、ウクライナ軍は1度取り憑かれた集落からロシア軍を追い払ったことが極めて少なく、実際のところO-211942の通行は既に困難で「オスキル川到達」は象徴的な意味しかもたない。

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DEEP STATEはドネツク州トレツク市内について「ロシア軍がトレツク市内中心部のマヤコフスキー通りで支配地域を広げた」と報告。

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DEEP STATEはヒルニク・クラホヴォ方面について「ロシア軍がオストリヴシュケを占領した」「ロシア軍がツクリネ集落内で前進した」「ロシア軍がセリダブ南郊外の線路沿いで前進した」と、RYBARも「ロシア軍がツクリネ集落を占領した」と報告。

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RYBARはヴフレダル方面について「ロシア軍がC-051134方向で前進した」「ロシア軍がヴォディアン方向で前進した」と報告。

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DEEP STATEはヴェリカノボシルカ方面について「ロシア軍がレバドネ近郊まで支配地域を広げた」と報告。

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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

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コメント

    • cosine
    • 2024年 10月 16日

    ロシア側は横に拡げて弱点を探す→見つかった弱点を縦に突くの愚直なまでの繰り返しですからね。
    多くの場所で少しの前進は今が「横のターン」ということなのでしょう。

    44
      • 匿名
      • 2024年 10月 16日

      これも含めて陸戦の基本に忠実過ぎるぐらい忠実。地味だけど非常に大事。

      31
        • aburo
        • 2024年 10月 16日

        愚直だの、地味だの言われるけど
        それで結果が出せてるなら問題無いし、むしろいい訳だが…
        それが出来ずに敗戦続きのウクライナさんが
        今更基本に忠実になれるかどうか

        10
          • 匿名
          • 2024年 10月 16日

          マスコミ受けやSNS映え重視の劇的かつ派手なパフォーマンスに全振りしてるのがウクライナ…

          6
    • ハーン
    • 2024年 10月 16日

    先月と比べたらゆっくりしてきたな。まぁ無理して攻めるメリットが皆無だし当然いつも通り安全策で進むか

    29
      • toto
      • 2024年 10月 16日

      これでも、去年の泥濘期に比べれば相当速いですからね。去年の今頃だったらアウディーイウカ戦線以外はほぼ動きがありませんでした。その分、アウディーイウカだけで両軍ともとんでもない数の死者が出ていましたが。

      43
    • たむごん
    • 2024年 10月 16日

    停戦後を見据えれば、オスキル川・オスキル川貯水湖の両岸(取水源)を確保しなければ、一帯の生活は困難になるのでしょうね。

    クラホヴェ(後方)が押される程に兵力不足なのであれば、ヴフレダル(最前線)を無理して粘らせた理由は何だったのかなと感じます。
    クルスク侵攻に使った、戦略予備・抽出した部隊・武器弾薬があれば、戦力を充当できたわけですから、南ドネツクの守備・撃退を続けられたと思うと失敗だったなと感じています。

    長期間、ウクライナ守備隊は、厳しい中で敢闘したと思います。

    24
      •  
      • 2024年 10月 16日

      今回報告されたクラホヴェ近郊の前線推移は中洲の孤立陣地の戦線整理の次元の話でありウクライナ軍が押されているとは一概に言い難いでしょう
      クラホヴェを攻略するにはどのみちマリンカからマクシミルヤニフカを抜けて道沿いに正面攻撃するか、ヴレダル方面から原野を突破するか、ヴェルカノボシルカを突破し迂回的に突撃するか、ツクリネ方面から回り込むか、いずれかが必要ですよ

      2
        • たむごん
        • 2024年 10月 16日

        情報ありがとうございます。
        オストリヴシュケをGoogleMapで拝見しているのですが、遮蔽をあまり感じない地形に突出しているんですよね。

        このロシア軍を、砲撃などにより撃退できないほど、武器・弾薬が足りないのかと感じておりまして…。
        クラホヴェに至る道程、ここからどうなるのか注目したいと思います。

        5
    • ポンポコ
    • 2024年 10月 16日

    ドネツク州では、クラホヴェが陥落するとロシア側にとっては成果をもたらすと思う。
    ツクリネの占領は、そのクラホヴェの占領を早めると思う。

    クラホヴェの次はポクロウスクだろうが、ロシア軍は、ポクロウスクを冬までに占領できるか?

    4
    • toto
    • 2024年 10月 16日

    ツクリネからクレミナ・バルカ、ノヴォセリディフカと進まれると、ヒルニク方面は南からも西からも補給路が断たれ孤立する。かといって、オストリヴシュケが占領された以上、クラホヴェも東からの攻撃に晒されるからこちらの守りも疎かにできない。
    単純に、守る面が広すぎて、少ない兵力を有効に配置できる状態になっていないと思われます。戦線整理できないまま、大鍋じみた形で戦うのは悪手に過ぎる。

    30
    • ポレ
    • 2024年 10月 16日

    泥濘の季節なので、ペースでは行かないでしょう

    ロシアは特に急ぐ理由もないし
    イランとイスラエルが小競り合いを続ければ
    オイルの値段も上がって西側は疲弊するので
    発電やガスのインフラを潰しながら
    地面が凍るのを待つのではないでしょうか

    ドイツなんかは産業界の声がデカイので
    エネルギコストが暴騰すると
    日本以上に内政が荒れる

    39
    • ポレ
    • 2024年 10月 16日

    泥濘の季節なので、夏のペースでは行かないでしょう

    ロシアは特に急ぐ理由もないし
    ウクライナの発電やガスのインフラを潰しながら
    地面が凍るのを待つのではないでしょうか

    24
      • ak
      • 2024年 10月 16日

      ウクライナで凍るのは地面だけじゃないという。

      去年は暖冬で助かっていましたが、今年は天候によっては東欧どころかドイツでも凍死者がそれなりに出るかもしれません。
      そうなったらEU圏内の世論も一気に雪崩打って変わる可能性が。まあ「石炭の上に座っている」ポーランドだけは平気だと思いますけど。

      EU圏内のLNG貯蓄量はガスタンクの貯蓄量は90%超えだと報道していましたが、それはあくまで設置されているタンクには満杯という意味で、必要量イコールでは無いですから。今まではパイプラインで受け取ってたいので、もともとEU圏内ではガス貯蔵施設は少ないです。

      26
      • ポレ
      • 2024年 10月 16日

      二重投稿してしまいました
      失礼しました

      5
    • かま
    • 2024年 10月 16日

    ロシア軍が前進しない日が全然無い。ゼレンスキーラインがどこにあるのかは分からないが、最近はすっかり聞かなくなった。

    25
    • 名無し
    • 2024年 10月 16日

    ゆっくりになったのは雨で泥濘だからか? 弾薬庫破壊も影響あるかな?

    ウクライナは陣地奪還出来ないな
    イスラエル供与が多くてウクライナに回らないとかだったら可哀想
    あんな奴らにやるくらいならウクライナに上げればいい

    4
      • cosine
      • 2024年 10月 16日

      外野からの心情としては至極ごもっともな一方、アメリカからするとイスラエルにくれてやってる分はくれてやっただけの「結果」が出ているのに対してウクライナの方は…という面も。

      性能の宣伝効果が褪せてきておりヘタすれば逆宣伝になりかねない対ウクライナVS性能の宣伝効果はあるが人道面で特大の逆宣伝な対イスラエル

      12
      • 774
      • 2024年 10月 16日

      イスラエルはユダヤ系の政治圧力もアメリカの同盟国の建前もありますからね
      ウクライナの場合は人道的支援しかできないのでどうしても温度差があります

      4
    • 無名
    • 2024年 10月 16日

    クルスクでウクライナのドローン部隊兵士を虐殺した(とされる)のは太平洋艦隊所属の第155海軍歩兵旅団みたいで、
    以前にもウクライナ兵の首を切断して晒したことがあるみたいで、クルスクのウクライナ軍は、第155海軍歩兵旅団の兵士は捕虜にしないつもりみたいです。
    所属先の太平洋艦隊やウラジオストクにも何かやろうとするかも。

    4
      • 七志
      • 2024年 10月 16日

      クルスクでロシア軍をそんなに大量に捕虜に、とかできるのでしょうか。

      劣勢側が捕虜を取れそうな小規模な陣地の奪い合いとかで助命拒否とかやったら、今のクルスクで放置されかけているウクライナ兵が助かる確率がさらに下がるだけかと。
      それに、クルスク侵攻で西側の「防衛戦争」というお題目に傷をつけて、さらにジュネーブ、ハーグ違反とか西側にそっぽ向かれるので流石にやらないと思うんですが……

      しかし、ロシア政府によるクルスク侵攻してきたウクライナ軍はのテロリスト認定ってどういう理屈で認定したのかが気になる。
      東部侵攻するロシア軍は正規軍で、クルスク侵攻するウクライナ軍はテロリストとはどういう論理構成なのだろうか。
      もしかして、捕虜取ったり、死体調べたりしたらウクライナ人ほっとんどいねぇじゃん!ってなったりしたのかな

      6
        • 無名
        • 2024年 10月 16日

        本当にやって、その映像を公開されたらウクライナにとって痛手でしょうね。

        バルト艦隊の船にやったような破壊工作を太平洋艦隊にもやるとか、旅団本部のあるウラジオストクになにかやる可能性はあるかも。

        5
        • かぼ
        • 2024年 10月 16日

        >クルスク侵攻するウクライナ軍はテロリストとはどういう論理構成なのだろうか。
        理屈上の建前ではロシアとウクライナは直接戦争状態ではないですからね
        あくまでもウクライナ内戦でドネツク軍とルガンスク軍に軍事支援してるだけです
        なので特別軍事作戦であって戦争ではないのです
        戦争ではないのでロシア国内を侵略してる武装集団は軍隊とは認められず
        どう見てもテロリストと認定されますね

        21
      • 通りすがりの名無し
      • 2024年 10月 16日

      昨日ロシアでは、アフマトのアラウディノフ少将がその件について、「ウクライナ側によるウクライナ兵士の投降を防ぐ為のデマ」と発言したと報道されていました。

      9
        • 無名
        • 2024年 10月 16日

        情報戦も活発ですから、どちらか一方の意見だけで判断するのは危険ですよね。
        ただ、155海軍歩兵旅団は、ブチャの虐殺に関与したかどうかはわかりませんが、ブチャの制圧作戦には参加していた部隊なので、元々ウクライナに恨まれてる可能性は高いです。

        5
          •  
          • 2024年 10月 16日

          ブチャ云々自体が客観的にツッコミどころが多すぎるのは一旦置いておいて。
          ウクライナ国内では一般的に真実扱いでしょうから捕まればSNSの晒し者にぐらいはしそうですね。

          6
    • ななし
    • 2024年 10月 16日

    泥濘期なので、ロシアは幹線道路・鉄道線・市街地で
    最小限の前進にとどめて、ローテーション・休暇を
    充分にとらせているのでしょう

    一方ウクライナはクルスクで予備兵力を溶かし、ろくな
    ローテーション・休暇も取れず、数週間泥にまみれながら
    ロシアの砲撃・FAV・滑空爆弾にひたすら耐えると、、、

    管理人さんの戦況図を見ても、クピャンスク・ヒルニク・
    ブフレダルいずれの方面でも巨大な大釜が形成されつつあります
    泥濘期明けのロシアの冬季攻勢で悲惨なことになりそうですな

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