DEEP STATEとRYBARは22日夜「ロシア軍がクピャンスク方面、スバトボ・リマン方面、ポクロウシク・ディミトロフ方面、ヒルニク・クラホヴォ方面、ヴフレダル方面で前進した」と報告、特にポクロウシク方面セリダブでは市内中心部でロシア国旗が登場、これがどうやって設置されたのかは不明だ。
参考:Мапу оновлено!
参考:Уничтожение Су-27 ВВСУ, наступление под Лиманом, ход освобождения ДНР — сводка за 22 октября
もし兵士が設置したものならロシア軍がセリダブ市内中心部に侵入していることになる
DEEP STATEはクピャンスク方面オスキル川沿いについて「ロシア軍がクルフリャフカ集落の大部分を支配している」と報告、この部分の評価は概ねRYBARの報告と一致しており、ロシア軍はクルフリャフカ集落の中心部に足場を築き、オスキル川東岸のウクライナ軍を南北に分断した格好だ。
ウクライナ軍がクピャンスク周辺のオスキル川東岸地域を今後も維持するつもりならクルフリャフカ奪回に動くかもしれないが、1度奪われた拠点をウクライナ軍が奪還した例(2022年秋と2023年夏の攻勢時のみ)は極めて稀なので、その可能性は低いかもしれない。
DEEP STATEはスバトボ・リマン方面ゼレベツ川沿いについて「ロシア軍がネフスケから南下してノボサドベを占領した」「ロシア軍がジュラフカ渓谷から南に支配地域を広げた」と、RYBARも「ロシア軍がシロカ・バルカ渓谷からテルニー方向に前進した」と報告。
ゼレベツ川沿いの戦いはマキエフカ~トルスケの東に広がる複数の渓谷を奪い合うというもので、ウクライナ軍はゼレベツ川への突破を図るロシア軍を1年以上も食い止めてきたが、9月21日までにマキエフカをほぼ失い、その直後の唐突な突破でネフスケまで失ってしまい、今回の南下でテルニーは東に加え北からの圧力も受ける形になっている。
一方向からの攻撃だけで拠点を失うこともあるが、複数方向からの攻撃を受けると拠点を失うスピードが速く、ウクライナ軍はテルニーからトルスケまでドミノ倒しのように拠点を失うかもしれない。
RYBARはポクロウシク・ディミトロフ方面について「ロシア軍支配地域はソロナ川沿いにセリダブ市内へ到達しない」と評価を下方修正したが、DEEP STATEは「ロシア軍がセリダブとミハイリウカの間で前進した」と、RYBARも「ロシア軍がセリダブ北郊外のE-50沿いで西に前進した」と報告。
DEEP STATEは戦況マップの中で「ロシア軍がコロチェンカ炭鉱のテリコン付近まで前進した」「ロシア軍支配地域がセリダブ市内の一部に到達した」と示しており、まだロシア軍の両翼が伸び切っていない状況で正面突破を許すようなら完全に力負けしているか、防衛体制自体に何らかの問題が生じているのかもしれない。
DEEP STATEはヒルニク・クラホヴォ方面について「ロシア軍がツクリネ西郊外で支配地域を広げた」「ロシア軍がゾリアン方向に支配地域を広げた」と、RYBARは「ロシア軍がオストリヴシュケの南で前進してクラホヴェ市内の一部を占領した」と報告。
DEEP STATEは「ロシア軍がツクリネを占領した」と具体的に言及していないものの、集落全体がほぼロシア軍支配地域に収まっているため「ロシア軍がツクリネを占領した(厳密に言うと線路沿いの家屋数件がロシア軍支配地域外にある)」と解釈するのが妥当なところだろう。
DEEP STATEはヴフレダル方面について「ロシア軍がC-051134の東側でボホヤヴレンカ方向に前進した」と、RYBARは「ロシア軍がアントニフカ方向に前進した」「ロシア軍がカテリ二フカ集落内や郊外で前進した」「ロシア軍がC-051134の西側でボホヤヴレンカ方向に前進した」と報告。
視覚的にもロシア軍車輌がボホヤヴレンカから1.5km離れた地点=Ⓐに歩兵を降車させている様子が登場、同集落が戦場になるのも時間の問題だ。
追記:セリダブ市内中心部にあるアパート=Ⓐの屋上にロシア国旗が登場、映像にはロシア軍兵士は映っていないものの国旗ははためいており、ドローンで設置したのか、兵士が設置したのかは不明だ。
DEEP STATEやRYBARが報告する前線位置からかけ離れているため「ドローンによる設置」が濃厚だが、もし兵士が設置したものならロシア軍がセリダブ市内中心部に侵入していることになる。
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※アイキャッチ画像の出典:Как я поехал на войну. Платон Маматов.
泥濘期になっても全然ロシア側のペースが落ちない。それだけウクライナ側の防衛線が機能してないってこと?
それもあるでしょうし、ロシア側が泥濘期には泥濘期でも攻められる場所をしっかり選定していたというのもあるのでしょう。
ロシア側はもはや攻勢と攻勢準備を絶え間なく同時並行で行える域にまで達したということなんでしょうかね。
映像見る限り、泥濘期になってる?と思うくらい普通に車輌が走行してるので、今年はまだ地面がぬかるんでないのかも。
あるいは、ドンバスの泥濘の中での戦争も既に3年目なので、ロシア軍の車両そのものが“ドンバスの泥濘でもある程度動ける”ことを前提としたものに変化してきているのか。長期化したことで“泥濘に対応できていない”車両は相当数が壊れただろうし、新たに補充される車両は徐々に泥濘向けにチューンナップされるのは当然のように思える。フィンランドの冬戦争でも、長引けば寒冷地ようの装備に置き換わっていったように。
どなたかが、天気・温度・湿度に言及しているものを拝見しました。
地面が、あまりぬかるまないのかもしれませんね。
追記です。
(少し離れてますが)ドネツク市の気温ですが、2024年23時54分時点でサイトを見た所ですが、泥濘は低湿度・晴れのため期待できなさそうですね。
気温 13℃
湿度 45%
天気 晴れ
10月の1ヶ月天気を見ても、8日・14日・19日・21日だけが雨になっており、今のところ天候悪化という感じはあまりしないですね。
(ドネツィク, ドネツィク州, ウクライナ The Weather Channel)
いや、かなり進撃速度は落ちてますよ。9月は全戦線で数キロ単位で進んでましたからね。落ちていてこれ、なんですよ。
ちなみに今シーズン、ロシア側は「泥濘期専用に練り上げた浸透戦術」を使っているそうです。雨が降り霧が出てドローンを飛ばせず視界が制限される夜間に、ロシア側コマンドがウクライナ陣地に忍び込んで来るそうで。
もちろんまともにやったらロシア側も混乱と同士討ちをしかねないですから、なんらかこれを機能させるトリックがあるのでしょうが。
なんとなく、日本軍の夜襲戦術を彷彿とさせますね。
7月~8月は攻勢で進軍がハイペースだったが、9月~10月上旬は夏に比べれば緩やかだった(ただし、クルスクの反撃は除く)。しかし、10月上旬に比べて明らかにロシアの進軍速度がまた上がってきている。その上、ポクロフスク方面が一気に進んでいた夏と異なり、北東部から南東部に至るまで広い地域のあちこちで進軍している。ポクロフスクが砲撃射程に入ったことでその周辺を重点的に守らざるを得ない状況が近隣の兵力を低下させ、その影響が集落や防衛線を守りきれないほどに出てきているのではないだろうか。
セリダブも、両翼包囲3方向から攻撃されれば、厳しそうですね。
ツクリネ西郊外が進んでいるという事は、ヒルニク・クラヒフカの開口部が閉まっていく事も予想されます。
ウクライナ軍どの都市・街もそうなのですが、戦線・防衛線がガタガタになっているため、どこまで粘り続けるのかというのに素朴な疑問があります。
もうウクライナ兵が粘る理由ないですよね。
死守したところで支援が来ないからいずれ失われる。
英雄扱いもされない。
それでいて首都から聞こえてくるのは相変わらずの腐敗。
そういえばロシアってビラ撒きとかやってるんですかね?
寝返りや無抵抗投降で厚遇されるようになると、堰を切ったようになんとやらが始まってしまう。
投降手順を記したものは、前線でわりと頻繁にばら撒いているらしいです。全前線ではないとは思いますが。
国旗の件、単なる寝返りでなければよいのだが
泥沼期とはなんだったのか
もはや進軍を阻むような戦力が用意されていない?
ローテが崩壊しているか予備戦力が投入出来ないんだろうな
民間企業でも崩壊寸前の現場で見られる光景だ