ウクライナ戦況

侵攻977日目、ロシア軍が南からクラホヴォ方向に大きな前進を遂げる

DEEP STATEとRYBARは「ロシア軍がクピャンスク方面、ポクロウシク方面、ヴフレダル方面、ヴェリカノボシルカ方面で前進した」と報告、ロシア軍はヴフレダル方向からクラホヴォ方向に5km以上も前進しており、もうボホヤヴレンカ~シャフタールの防衛ラインは食い破られる寸前だ。

参考:Мапу оновлено!
参考:Покровское направление: водружение флагов в Селидово и успехи на соседних участках обстановка к 18.00 26 октября 2024 года
参考:Донецкое направление: успехи в Горняке и освобождение Александрополя
参考:Южнодонецкое направление: начало боев за Богоявленку, Новоукраинку и Шахтерское обстановка к исходу 26 октября 2024 года 

もう1年以上も「ロシア軍が前進している」としか書いておらず、泥濘期で前進が止まることは期待できない

DEEP STATEはクピャンスク方面オスキル川沿いについて「ロシア軍がステルマキフカ集落から西に前進した」「グレーゾーンがロゾヴァ集落がある渓谷まで伸びた」と報告、これが事実ならピシュチャネから伸びる突出部の根本に突き刺さっているベレストベ周辺のウクライナ軍部隊は背後を遮断される恐れがある。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

この一帯を失うということは「突出部の深さが増してオスキル川へのアクセスが安定する」という意味で、ロシア軍をクルフリャフカ付近から押し戻したいウクライナ軍にとっては厳しい状況だ。

DEEP STATEはポクロウシク・ヒルニク・クラホヴォ方面について「ロシア軍がセリダブ市内中心部に前進した」「ロシア軍がオレクサンドロピル集落内に侵入した」と、RYBARは「ロシア軍がコロチェンカ炭鉱に隣接するテリコンを占領した」「ロシア軍がセリダブ北市内に侵入した」「ロシア軍がクレミナ・バルカ方向に前進した」「ロシア軍がセリダブ市内中心部に前進した」「ロシア軍がヒルニク東郊外に前進した」「ロシア軍がクラヒフカ近郊のヴォブチャ川東岸まで前進した」と報告。

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DEEP STATEはセリダブとヒルニクは市内全域をグレーゾーンとして扱い、ロシア軍はヴォブチャ川東岸まで押し寄せてきたためクラヒフカも怪しくなっている。

DEEP STATEはクラホヴォ・ヴフレダル方面について「ロシア軍がボホヤヴレンカ集落内西の農場に足場を築いた」「ボホヤヴレンカ集落全域がグレーゾーンに収まった」「ロシア軍がC-051134沿いで支配地域が広がった」「ロシア軍がノボウクラインカ集落郊外に到達した」「ロシア軍がシャフタール集落に侵入した」と、RYBARは「ロシア軍がシャフタールとノボウクラインカに向けて前進した」と報告。

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もうボホヤヴレンカ~ノボウクラインカ~シャフタールの防衛ラインは食い破られそうになっており、南からのクラホヴォ方向に対する圧力に発展するのも時間の問題だろう。

DEEP STATEはヴェリカノボシルカ方面について18日「ロシア軍がオートバイ攻撃を実施し、残念ながら攻撃は成功してしまった。現地部隊は『攻撃に対する準備が出来ている』と上級司令部に報告していたものの、どういう理由かわからないが準備できていなかった。ハルキウ州のときと同じように諜報機関が敵の攻撃時期、規模、手法に関する情報を提供していたのにだ」と指摘していたが、26日「ロシア軍がレバドネを占領した」「ロシア軍がグルシェバ渓谷まで前進した」「ロシア軍がオルヒフスケ方向に前進した」と報告。

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まだ何とも言えないものの、ヴェリカ・ノボシルカの東に位置するシャフタール方向への前進と合わせるとロシア軍の動きは非常に不気味で、将来的なヴェリカ・ノボシルカ方向への前進に向けた条件づくりかもしれない。

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※アイキャッチ画像の出典:24 ОМБр імені короля Данила

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コメント

    •  
    • 2024年 10月 27日

    ウクライナ軍、よく耐えてる!ロシアの猛攻に踏ん張り続け、どんなに厳しい状況でも防衛ラインを守ろうとしてる。その勇気と粘り強さ、リスペクトだわ。

    9
      • ジェム
      • 2024年 10月 27日

      実際そう思う。ウクライナ軍は悪条件でも頑張ってると思うよ?

      >もう1年以上も「ロシア軍が前進している」としか書いておらず
      そうは言ってもウクライナ軍は戦線を維持しており、前進の総合計は過去の戦争と比べたら牛歩もいいところ。
      戦線が崩壊して一日で30kmとか進むようになったり、旅団長が毎日自決するようになってから絶望したらいいと思うんだけど。

      16
        • nk
        • 2024年 10月 27日

        早かれ遅かれウクライナの敗北という結果は不変であるでしょうからキエフ地下壕でゼレンスキーが轟き叫び存在しない師団に命令出し始めたらウクライナの上級国民は絶望したら良いけど、一般市民はいつ拉致徴兵されるかも分からぬ日々でしょうから毎日絶望する状況でしょうね。
        戦線維持は出来ているというより、ロシアが非常に慎重に進めている様子なので一日に30km等は兵站考えて進まないだけだと思う、慎重に進める中今回の様な侵攻速度はウクライナ軍が壊滅または存在しないという可能性が高いと思うかな。

        66
        • 通りすがり
        • 2024年 10月 27日

        >戦線が崩壊して一日で30kmとか進むようになったり、旅団長が毎日自決するようになってから絶望したらいいと思うんだけど。
        貴方の務める企業が、毎日膨大な赤字を出し続け、プロジェクトはことごとく失敗し、辞めていく人間は多数、人員は減り続け、有給もローテーションも認められないブラックさだったとして、「株価が崩壊して1日30円とか下がるようになったり、部長や課長が毎日首を吊るようになってから絶望したらしいと思う」などと他人事のように言えますか?

        58
        •  
        • 2024年 10月 27日

        それな
        決定的な崩壊には程遠いのにここの住民はさっさとウクライナは降伏しろみたいな意見が多い
        西側の目標はロシアの国力を再起不能になるまでひたすら削り続けることなんだからウクライナがその役割を担ってる以上は支援をしつつ自国の防衛を強化するのが正解かと

        6
          • バニーガール
          • 2024年 10月 27日

          戦争を続ければ続けるほど、ウクライナに侵食すればするほどロシアも無傷ではいられないしロシアの国力は削がれていく訳だしな。
          どうにもロシアは無敵で損害が大したこと無いっていう人が多いようだけど、過度に損害を恐れ、牛歩のようなペースでしか進軍出来ていない事が何よりの証明だというのに。

          7
          • T.T
          • 2024年 10月 28日

          >ロシアの国力を再起不能になるまでひたすら削り続ける
          そりゃ不可能ですよ。
          国土を焼け野原にされた我が国がもはや戦後では無いと宣言するまで11年、同じく甚大な被害を被ったドイツやソ連はもっと早く戦後復興している。ソ連崩壊後ロシアも復活した。分割した上で占領統治でもして押さえつけなければ再起不能になんてなりようが無い。
          まして,国土焼け野原どころか総動員すらしていない状況では大して削れよう訳が無いし、国力を何かの在庫のように考えるのがそもそもおかしいのでは。

          28
            • かぼ
            • 2024年 10月 28日

            ドネツク、ルガンスクでは戦禍からの復興事業やインフラ整備、住民社会保障など
            戦争をしながら経済回復を始めてますからね
            戦時経済がロシア経済に占めてる割合は、実は低めなのを無視して語ってる西側経済論者が大杉

            14
          • Hakugen
          • 2024年 10月 28日

          決定的な崩壊というのは、第二次大戦時のドイツのように首都を攻略され他の主要都市も悉く破壊されて負ける、ということでしょう。

          イタリアは真っ先に降伏したので、ドイツや日本よりは全体的な被害を少なくできました。

          ウクライナは、日独よりもイタリアを見倣って早く降伏する方がいいんじゃないですか。
          その方が上手な負け方でしょう。どうせ勝てないのだから。

          5
          • 理想はこの翼では届かない
          • 2024年 10月 28日

          「決定的な崩壊」してしまったら、以後の停戦交渉・和平交渉で圧倒的に不利になるから「戦える戦力が残っているうちに交渉をしたほうがよい」というのが「さっさと降伏しろ」論だと思うのですが
          軍事力というのは外交能力の一種でもあるので、軍事力が無くなってしまったらいいなりになるしかないのです

          7
            • なんとも
            • 2024年 10月 28日

            おっしゃる通りですね。交渉の材料がなくとも交渉できるなどありえません。領土を失うほど、戦える兵士が減ってゆくほど、不利な交渉になります。

            やる気のある兵士が使い潰され、領土を失っている現状でも不利ですが、時間が経過すれば、、、、無条件降伏しかなくなる。

            なお、西側の盾になっても西側は簡単に切り捨てますので、体良く利用されたという悲しい事実しか残りません。

            2
      • 通りすがり
      • 2024年 10月 27日

      兵士たちが必死に堪えているのは事実でしょうが、ゼレンスキー政権である限り何も良い結果には結びついていないのが悲しいところです。
      かつて1944年頃「大日本帝国軍、よく耐えてる!アメリカの猛攻に踏ん張り続け、どんなに厳しい状況でもガダルカナル、レイテ、硫黄島、沖縄の防衛ラインを守ろうとしてる。その勇気と粘り強さを褒め称えよ! 特攻は素晴らしい犠牲精神だ!」とプロパガンダを流した“大政翼賛会”などの組織がありましたが、その結果は300万人近い国民の犠牲、飢餓、東京大空襲、原爆投下、海外領土の全喪失でした。
      日帝があのような”軍閥政権機構”である限り前線の兵士がどれだけ献身的に死んでいこうがどうにもならなかったように、ゼレンスキー政権を抱える限り、ウクライナの民は敗戦の苦しみの未来しかない。個人的には、兵士たちの敢闘を称える気にはならない。気の毒極まるが、日本の税金を彼らのために割いてほしいとも思わない。私も我が身が大事だから。

      58
        • かぼ
        • 2024年 10月 27日

        西側が支援すればするほどウクライナの停戦や終戦が遠のき
        結果的にウクライナ兵の死者が増えていくわけですし
        頑張るほどに領土を減らし国民も疲弊し未来が暗くなるのが確定してるので
        単純にウクライナ応援とかする気には私はなれないです

        68
    • 七資産
    • 2024年 10月 27日

    11月になれば氷るまでは鈍りそうだが
    ウクライナを休ませない方針なんだろう

    • 宇宙犬
    • 2024年 10月 27日

    ここ最近毎週のように拠点喪失の報告を見るが、どうして毎度毎度最後の連絡路を砲撃管制下に置かれるまで粘った挙げ句後退するところを狩られているのだろうか?
    増援の見込みの無い籠城の無意味さなんて何百年前から言われてるだろうに、ただでさえ足りてない兵力を寸土を惜しみ無為に溶かしては後退した先での防御がおぼつかなくなるだけだろう。
    現地部隊の独断での撤退も度々聞くが正直に司令部の面子のために死守に付き合うより100倍マシだろう。

    80
      • たむごん
      • 2024年 10月 27日

      ほんと仰る通りなんですよね。
      遅い後退を繰り返してますから、兵士の死傷者は増加・武器弾薬を後置するため、ドンドン弱体化するだけになります。

      ウクライナ軍の作戦(?)と呼べるのか分からないのですが、ちょっと何をやってるのかよく分からないなと見ています。

      ウクライナ戦争はまだまだ続きそうですし、他国からの援軍の可能性もゼロに近いのに、なんでこういう戦い方をしてるのでしょうかね?

      32
    • ポレ
    • 2024年 10月 27日

    またバイク部隊か
    ForbesがDisる戦術は
    だいたい効果を発揮するな

    70
      • 2024年 10月 27日

      逆に効果的だからこそ意味が無いんだとディスることしかできないのでは?

      42
      • かぼ
      • 2024年 10月 27日

      出現当初、メチャメチャ馬鹿にされてた戦車の上のBQ屋根や亀戦車もそれなりに有効だったみたいですね
      ウクライナ軍や他の国の戦車でもBQ屋根を付け始めてるし

      47
        • bb
        • 2024年 10月 27日

        亀戦車も亀戦車すら破壊できる攻撃受けて生き残る戦車ってあるの?てところから始めないとおかしいよね…

        33
    • たむごん
    • 2024年 10月 27日

    ヴフレダル方面、ヴフレダルを中心に3年近くあれだけ粘ってきたのに、ヴフレダル陥落後は動きが速いですね。

    南ドネツク一帯が、ボホヤヴレンカ~ノボウクラインカ~シャフタールの防衛ライン崩れれれば、西側から周り来れますから苦しいでしょう。
    クルスク侵攻に使った、精鋭部隊・武器弾薬があればと思うのですが、今更どうしようもないですね。

    ザポリージャ州・ドニプロ州も、東側からの攻撃に備える必要がでてきますから、資材がいくらあっても足りない状況かなと推察します(防衛ライン建設進んでいるんですかね?)。

    16
      • 匿名
      • 2024年 10月 27日

      確かポクロフスクを抜かれたら、もうドニプロ市までマトモな防御陣地は殆ど無いと聞きました

      30
        • たむごん
        • 2024年 10月 27日

        ポクロウシクの西側は、大きな町もなく平原が続き、川・山も見当たらないですか、仰るように防御陣地がないのは作りにくいんでしょうね。

        Udachneの北側に、コークス工場があるのですが、ここを拠点にするのかどうか注目しています(工場が壊れれば何れにしても苦しいですね…)。

        (2024.10.21 ウクライナの外貨獲得に重要なポクロウシク、失えば鋼鉄生産量が激減 航空万能論)

        5
        • たむごん
        • 2024年 10月 27日

        仰る通りです。

        GoogleMapを見ると、あまり何もないんですよね…

        7
    • 通りすがり
    • 2024年 10月 27日

    ロシア軍が5km以上も前進して防衛ラインの集落を攻撃できるようになった、という事実が一段と戦況の悪化を示してますね。
    こうなると、ヴフレダル方面は集落同士が離れており、ただっぴろい平野なのも併せて兵力に劣る側にとっては守り難い地勢でしかない。かといって、北や東に戦線整理しようにも近くに守りやすい要害の地形があるわけでもなく、広大な領土をロシアに明け渡すことになり、ドネツク州の州境は直ぐ側に迫ってしまう。南ドネツク方面においては、ロシアの戦略目標である“ドネツク制圧”があと半年程度に近づいているように思える。大都市群のある北ドネツクとてどれだけ持ちこたえられるか。

    26
    • paxai
    • 2024年 10月 27日

    ここら辺を担当してる司令部から引き抜いてシヴェルシク方面の司令官に据えればいいのに。

    16
      • 通りすがり
      • 2024年 10月 27日

      クラホヴェあたりまでの制圧が終わったら、実際にそうなるかもしれませんね。

      17
    • Col
    • 2024年 10月 28日

    策源地から数キロ程度の場所に10人送り込みたいなら、装甲車よりバイク10台で行く方が良い。
    火力支援しドローンで重火器を無力化してあるなら、相手のドローン待ち伏せや地雷による損耗率はバイクの方が少なくて済む。
    装甲が薄く速度の遅い装甲車しか残ってないなら、散開でき移動スピードが速い方が、多くの兵員を安全地帯に潜り込ませられる戦場も多いと感じる。
    スピードこそ、命也。
    食料や弾薬の補給、撤退の時も自力で帰れるバイクの方が臨機応変に出来る。
    整備・修理も現地で出来るし、追加の兵員も柔軟かつ早く送り込める。
    バカにしない方がよろし。

    14
    • kasugi
    • 2024年 10月 28日

    泥濘で侵攻速度が鈍るというのは
    1.泥濘により重兵器の行軍路が限定される
    2.すると重兵器への阻止攻撃が容易になるためその対策に追われる
    3.自由に動ける軽兵器は低火力で制圧できる

    とこういう理屈です
    このため両軍の火力、空軍力に大きな格差があったり、大火力が別の地域に出払ってるなどで、2の阻止攻撃が困難になったり、3の軽兵器だけでも押し込める状況では、この理屈は通じません

    8
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