ヴェリカノボシルカ市内でロシア国旗や軍旗が掲げられ、DEEP STATEは24日夜「この街を巡る戦いは終焉に近づいている」と報告した。さらに「米国の対外援助プログラム90日間停止がウクライナ支援に及ぼす影響」についても情報が錯綜している。
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参考:Хроника специальной военной операции за 24 января 2025 года
参考:Пентагон: президентський указ про зупинку міжнародної підтримки не стосується безпекової допомоги Україні
参考:State Department issues immediate, widespread pause on foreign aid
参考:US issues broad freeze on foreign aid after Trump orders review
トランプ政権が発表した対外援助プログラム停止に関する情報は錯綜している
DEEP STATEはトレツク市内全域をグレーゾーンに指定して「市内の前線位置が何処にあるのかは『誰がケネディを殺したのか』と同じぐらい謎に包まれており、登場する視覚的証拠は『敵が市内のどこまで到達できるか』を大まかに把握するためだけにしか役に立たない」と述べ、もう確定的な前線位置がどこにあるのか分からないといった感じだったが、24日夜「ロシア軍がトレツク北西市内で支配地域を広げた」「ロシア軍がクリムスケ方向に支配地域を広げた」「ロシア軍支配地域がトレツク西郊外に到達した」「ロシア軍がジェルジンスキー鉱山方向のポケットで前進した」と報告。
DEEP STATEとRYBARが報告する前線位置とのギャップが縮まった格好だが、依然としてDEEP STATEは「ジェルジンスキー鉱山方向のポケット」を維持している。

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DEEP STATEはポクロウシク・ディミトロフ方面西方向について「ロシア軍がナデジディンカ方向に前進した」と、RYBARは「ロシア軍がコトリーネを占領して支配地域を広げた」「ロシア軍がウスペニフカの南郊外で支配地域を広げた」と報告。
DEEP STATEはクラホヴェ方面について「ロシア軍がダクネ集落内に侵入した」「ロシア軍がスキ・ヤリの北で支配地域を広げた」と報告。
ヴェリカノボシルカ市内ではロシア軍兵士が建物で国旗を掲げる様子=Ⓐで国旗を掲げる様子が、さらにロシア軍兵士がスタジアム横の建物=Ⓑで軍旗を掲げる様子も登場し、DEEP STATEは24日「敵が市内の映像を公開して街全体を制圧したかのようにアピールしているが、現時点でこれは事実ではない。敵は東市内へ前進し、市中心部で国旗を掲げることにも成功した。圧倒的なリソースを投入して南郊外やヴレミフカ方向からも圧力を加えている。ヴェリカノボシルカを取り巻く状況は複雑で、この街を巡る戦いは終焉に近づいている」と報告。
Ⓐの映像を投稿したロシア人ミルブロガー(Воин DV)も「ヴェリカノボシルカ解放のため激しい戦いを繰り広げている全て人々に幸運を祈ろう」と述べているため、ロシア軍がヴェリカノボシルカを占領したと断言するのは時期尚早だが、もうロシア軍の攻撃からヴェリカノボシルカを救うのは手遅れなので「街に残るウクライナ軍兵士が包囲網から脱出できるかどうか」が焦点だ。

出典:White House
因みにトランプ政権は「対外援助が米国の国益や価値観に反して運用されている」と主張して対外援助プログラムの90日間停止を発表、国防総省はVoice of Americaの取材に「この大統領令にウクライナ支援は影響を受けない」と述べたものの、Politicoは「ウクライナへの軍事支援が影響を受けるかもしれない」と、Reutersは「この大統領令はイスラエルとエジプトに対する支援以外の例外を認めていため、ウクライナ、ヨルダン、台湾などの主要同盟国への援助が停滞するかもしれない」と報じ、対外援助プログラム停止に関する情報が錯綜している。
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※アイキャッチ画像の出典:Dambiev
動員年齢を引き下げなければ援助は継続されない。しかし、それとは別次元で対外援助の枠そのものが縮小されるかもしれない。そこが不明のうちはただでさえ不人気な政策に消極的なゼレンスキー政権は足踏みを続ける。そうこうしているうちにヴェリカノボシルカやトレツクは陥落していく。これでは、何をどういう順序で進めて停戦へこぎつけるつもりなのかも見通しが立たないのではないだろうか。欧州に提示している平和維持駐留軍の規模といい、現実感に乏しい。
台灣への支援が止まるのは困るな。
台湾は援助ではなくビジネスだから大丈夫じゃない?金ちゃんと払えるし。
少し価格に上乗せするかも知れんけど。
11.7の記事 「バイデン政権が急ぐウクライナ支援の実行、トランプ氏が阻止する可能性」
この記事では議会で承認された予算は駆け込みで全額使ったから、発注を受けた兵器のウクライナ移送がトランプ就任後に阻止される可能性を指摘してた。
今回の話は援助予算が適切かどうかを監査するってことだから、すでに支出済みで現物に変わってるものにストップかけるものではないような気がするがどうだろうか?
昨今のdeepstateのグレーゾーン連発はdeepstateの情報収集力の低下というよりもその大元、つまりウクライナ軍の戦場認識力の低下を反映しているように思う
この戦争を陣地戦たらしめているのは拡張した戦場認識力と砲兵の組み合わせなわけだが、このままウクライナ軍の視界に立ち込める霧が深くなっていくとしたら、今すぐでなくても本当に半年後にはもう「保たない」かもしれない
ヴェリカノボシルカ、ここまで粘る意味は、何かあったのでしょうか?
後方防衛線建設・増援派遣準備など、ウクライナ前線歩兵の被包囲に何か意義があれば報われると思うのですが、あまりそういったものを感じないんですよね…
追記です。
トランプ大統領ので気になるのは、ウクライナ戦争(欧州の安全保障問題)に対して、アメリカ・EUの按分なんですよね。
最近、巨大IT米国企業への制裁金が不公平・アメリカ産ガス購入の要求などに言及していますから、ここで決裂すればこじれていくのかもしれないなと注目しています。
地政学的に見ればEU(主に独仏)は本来米英からは自立してロシアと良好な関係を保つのが得なのですが、現在は有形無形に衰退した事によって、「リベラルな価値観の覇権」を目指す米英、そして波からの強い圧力(ノルドストリーム爆破もその一つでしょう)に逆らえずに価値観的・経済的に米英に従わされている格好なのですよね。(参考:エマニュエル・トッド『西洋の敗北』)
しかし、「リベラルな価値観の覇権」といった事には興味を示さず実益重視のトランプ大統領が誕生したことで両者の間に遠心力が働き始めているのが現状であり、今回のトランプ大統領発言もそれが現れているのでしょう。
ただ、トランプ大統領は予測不能な人物でありリベラル・エスタブリッシュメントへの迎合に方針を転換する可能性も捨てるべきではないと思います。その場合は必ず兆候があるはずなのでトランプ大統領の動きにはよくよく注目すべきですね。
とはいえロシア・EU関係は今が底であり関係改善の方向に向かうのは間違いないと思います。その程度は英波からの抵抗に左右されるでしょうね。個人的には今年の選挙でCDU政権の誕生とAfDの伸長がほぼ確実であるドイツは本気でロシアへの接近に舵を切ると思っています。ノルドストリームも修復され再開するでしょう。
ウクライナの戦後に関しては、NATO加盟や平和維持軍案が不可能であり、前述の通り西側諸国が対露接近や実益重視に転換する以上現実的に考えればロシアとの関係修復しかないのですが、民族主義者が覇権を握りロシアとの戦争がレゾンデートルにまでなった以上なかなか難しいでしょう。個人的には本心からそうなって欲しいのですが。
戦後早いうちに予想されるゼレンスキー政権崩壊時にどうなるかでしょうね。残念ながら、最も可能性が高いのは戦時体制によって糊塗されていたウクライナ国内の政治的不安定要因や、戦争で生じた傷や憎しみが噴出する事によって政治的麻痺状態や最悪ドンバス戦争に続く第二の内戦というシナリオでしょうね。
自分も内戦、シリア化する可能性も十分あると思います。
外交を含めて、今後の情勢に注目したいですね。
ウクライナは今からでも遅くないので、可愛いウクライナ少女を欧米の大手広告代理店を使って広告を出すべき。
「私たちのウクライナをどうか救って」と涙を流しながら訴える可憐な少女の映像を流せば西側大衆の心はコロッと変わって力強くウクライナ支援を政府に要求すると思う。
国内の動員問題はアメリカに無理やり強制された、逆らえなかった被害者という体でやれば国民の反発はアメリカに行くので何とかなるのではないか。
停戦するにしてもウクライナはもはや西側援助なしに立つことはできない体なのだから、西側援助をさらに得るための宣伝が重要。
まずナイラって名前の女の子を見つけるないとな
皮肉が効いてて好き
>ウクライナは今からでも遅くないので、可愛いウクライナ少女を欧米の大手広告代理店を使って広告を出すべき。
遅すぎると思います。一般大衆の大半はもう、ウクライナなんかに興味を失っている。
ガソリン代、キャベツの値段、米代の高騰とかのほうがよっぽど身近で家計に刺さる問題。それに、AIで可憐な少女なんぞいくらでも量産できる時代に、映像で見せられてもYouTubeのゲーム広告と大差ない。今更広告にウクライナ人を使うのは、今話題のフジテレビくらいではないだろうか。
仰る御意見に同意です。
自分達の生活に余裕があり、将来への投資を行って、その後に初めて海外援助の検討が筋なので仕方ないなと。
国民が貧乏になって貧困化しているのに、海外援助を声高に叫んでも意味不明ですし、(欧州を中心に)政治家は退場したり政権崩壊しています。
日本も不安定で、昨年の衆議院選挙だけでなく、今年の参議院選挙後も一層不透明になりそうな情勢ですね。
アメリカ・イタリアくらいが、G7では政治の見通しが、比較的はっきりしているように感じています。
対露政策でまず原油価格を下げようとしているトランプ…賢い。
100gあたりで豚肉(ブタコマ)よりもキャベツが高い…スーパーで値札を見てほんと絶望する
とっとと終わって欲しい
国務省と国防総省にウクライナ援助プログラムは別れており、今回の停止こ影響を開けるのはルビオが指名された国務省の対外援助プログラムのみの模様ですが、ウクライナ武器購入プログラムは影響でそうです。
いずれにせよヘグセスの指名も決まりましたのでトランプ式のウクライナ政策(アメリカファースト)は強まる見込みです。
何にせよ、ヴェリカ・ノボシルカは南北に分断されて、南の部分は包囲されたと解釈した方が良さげだな
あとは南にどれくらいの人間が残っていたか、どれくらいの装備が置き去りにされているかが問題
兵士個人を特定してドローン攻撃出来るレベルにロシア軍は達しているので、恐らく助からない……
ウクライナ寄りのISWはヴェリカノヴォシルカ南部はすでにロシア支配地域と更新しているので、
撤退したか
降伏したか
完全包囲されていてもはやウクライナ支配地域とは見なしてない
かでしょう。
あー……
やはりこのような顛末に……って感じです
出来るだけ兵士達が死んでない事を祈るしかないですね
ダクネとウクラリーの間には昨年7月の時点で対戦車壕が1本掘られていました。
ダクネのポケットにいる部隊は北のシェフチェンコの陣地が持ちこたえていられる間にウクラリー、できればアンドリイフカ以東へ引いてほしいですね。このままシェフチェンコが落ちれば高台から撃ち下ろされる格好になってしまう
TOP WARによればヴェリカノボシルカ南部のウクライナ軍は排除されたとのことです…
さて北部はどうなりますかね…