ウクライナ戦況

ロシア軍がコンスタンチノフカ郊外にも到達、市内に浸透する様子も確認

Kyiv Independentは8月「コンスタンチノフカを巡る戦いは間違いなく起きる」「問題はそれがいつになるかだ」と報じていたが、DEEP STATEは31日「グレーゾーンがコンスタンチノフカ郊外に到達した」と報告し、ロシア軍がコンスタンチノフカ市内に浸透している様子も確認された。

参考:Расширение «серой зоны» обстановка на подступах к Константиновке
参考:Мапу оновлено

ドローンの監視・制圧・妨害と分散した歩兵による浸透が「大砲と大兵力による都市攻略の常識」を覆そうしている

ロシア軍の夏季攻勢はコンスタンチノフカの状況を悪化させ、WSJは7月末「コンスタンチノフカの街が死にかけている」と、Kyiv Independentも8月「4ヶ月前までコンスタンチノフカの通りは活気に満ちていたものの、現在では街に真の戦争が迫っている」と報じ、取材に応じたウクライナ軍兵士は「ロシア軍は決して止まらないためコンスタンチノフカを巡る戦いは間違いなく起きる」「問題はそれがいつになるかだ」と述べていた。

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RYBARはコンスタンチノフカ方面について29日「ロシア軍がスタポチキーを占領した」「ロシア軍がビラ・ホラ北郊外のポケットを占領した」と、DEEP STATEは31日「グレーゾーンがコンスタンチノフカ郊外に到達した」と報告、視覚的にもウクライナ軍がT-0504より南のコンスタンチノフカ市内=でロシア軍を攻撃する様子が登場し、遂にロシア軍がコンスタンチノフカにやって来た格好で、RYBARは以下のように述べている。

“ロシア軍はスタポチキー~プレデテキネのラインで大きく前進した。スタポチキーを完全に占領し、プレデテキネでも戦闘が再開されている。ビラ・ホラ北郊外のポケットを占領したことで前線ラインが大幅に整理され、ここに拘束されていた部隊を再配置できるようになり、コンスタンチノフカ市内での存在感を高めることができるだろう。ロシア軍の突撃部隊はコンスタンチノフカ市内のT-0504に近づいているが、まだ市内に浸透した戦力は小規模だ”

“チャシブ・ヤール方向の前線ラインには大きな変化はなく樹林帯の奪い合いに終始している。コンスタンチノフカ西側面もゾロティ・コロディアズ方向に対する敵の反撃で状況が厳しい。そのため前線ラインをもう少し平らにしないとコンスタンチノフカへの本格化な攻撃は始まらない。この地域に投入されているウクライナ軍の予備戦力はかなりものだが無限ではない。他戦線の状況悪化を考慮すればコンスタンチノフカ方面の状況は悪化していると言えるだろう”

まだコンスタンチノフカは左右が開けているためポクロウシクほど危機的ではないものの、ロシア軍は主要拠点のクピャンスク、リマン、コンスタンチノフカ、ポクロウシク、ディミトロフに浸透しており、ドローンの監視・制圧・妨害と分散した歩兵による浸透が「大砲と大兵力による都市攻略の常識」を覆そうしている。

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DEEP STATEはポクロウシクについて31日「ロシア軍がピウデニー 地区を占領した」「ロシア軍がT-0515沿いに支配地域を広げた」「グレーゾーンがフリシュネ方向、ディナス地区、ナティフカ方向、ノヴォパヴリヴカ経由で線路方向、ロディンスケ市内、第5/6炭鉱方向に伸びた」と報告した。

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※アイキャッチ画像の出典:93-тя ОМБр Холодний Яр

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コメント

  • コメント (11)

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    • マミー
    • 2025年 10月 31日

    兵力不足のウクライナは何処を切り捨てるのかで悩んでるのかな?

    最も楽なのは現状の前線を切り捨てて、後方にラインを引き直す事だけど、コレは選択出来ないよね。

    22
    • nk
    • 2025年 10月 31日

    クレバンピクスキー貯水池南側はまだウクライナ軍存在しているのだろうか、撤退するにしてもボートか泳ぐというとんでも無いことになりそう。

    17
    • .
    • 2025年 10月 31日

    もう全ての戦闘地域でロシア軍がバランスよく押してるな。ウクライナのウソ報告のせいで司令官が全然最前線の様子が分かってないようだし。

    22
      • T.T
      • 2025年 10月 31日

      正直その手の話を聞く度に本当なのかなあという気がしますね。
      司令部が前線の将兵に敗北の責任を押しつける為の決り文句じゃ無いのか。
      或いは、将軍達は私に嘘をついている!って奴なのか。

      38
    • 北欧神話
    • 2025年 10月 31日

    これ市街戦の常識が書き換わったのではなく、常識的な市街防御を出来るだけの兵隊がウクライナにいないからでしょ。だからこんな舐めきった浸透戦術が通用する。ウクライナは終わりです

    41
      • Easy
      • 2025年 10月 31日

      それはその通りでして。
      むしろ、「ウクライナ軍が従来の常識を覆す、ドローンによる少人数でのエリア防御戦術」を編み出してロシアの装甲戦力をタコ殴りにして猛威を奮っていたところ。
      ロシアが同じく少人数によるドローン戦術を「ウクライナの8倍の数のチームを送り込む」ことで物量で圧倒している,という感じですね。
      同じ戦術を使うなら、そりゃ物量で勝る方が自動的に勝つわけです。
      相変わらずの,ロシア的発想でもありますね。

      36
        • 納豆兵
        • 2025年 10月 31日

        でも戦争は基本は物量が物を言うよね。
        敵と同じ戦法を使い尚且つ相手より数倍の数で行動する、シンプルだけど効果的。

        41
    • たむごん
    • 2025年 10月 31日

    チャシブ・ヤール長期間防衛したわけで、かなりの消耗戦が続いたわけですからね。

    ゼレンスキー大統領しか政治判断できないわけですが、既にウクライナ側は前線の兵力不足を認めてるため、どこを切り捨てるのか決められるのかでしょう。

    17
    • vz
    • 2025年 10月 31日

    記事にある「郊外に到達し、市内に潜入している」という情報は、ISWの評価にあるように、ロシア軍による「限定的な浸透任務」が行われたことを示している可能性が高いですが、それが都市の完全な支配や防衛線の崩壊を意味するものではないというのが、ISWの慎重な見解です。

    8
    • コンビニ
    • 2025年 10月 31日

    スレチ失礼
    台湾軍エイブラムスを戦力化!15年以上?本当に待ちました…

    1
    •  
    • 2025年 11月 01日

    東欧の軍隊はスターリングラード以来市街戦に粘り強いイメージがあるが、そういう古き良き市街戦のやり方がドローンと相性が良いんだろうな。市街戦は一つの建物を奪ったり奪われたりで、建物を奪う時だけドローンで優勢を取れば、奪った後は放置で良い。
    ウクライナ側が掃討のために市内に兵力を投入すると、それこそスターリングラードのドイツ軍よろしく郊外が手薄になって、そこを突破包囲されるだけなんじゃないかな。必ず維持すべきは郊外であって市街地側はロシアと同じように少数の歩兵とドローンを展開するだけで事足りると思うんだがな。

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