ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは28日「ロシア軍がスームィ方面で拠点を失った」「ロシア軍はシヴェルシク方面の攻勢に失敗した」と報告、ウクライナ人が運営する情報分析グループ=DEEP STATEは「クピャンスク包囲の危機」を訴え、両者ともポクロウシク方面におけるロシア軍の成功を報告した。
参考:Мапу оновлено
参考:Хроника специальной военной операции за 26-27 июля 2025 года
参考:Правильное решение Обстановка на Северском направлении по состоянию на 12.00 28 июля
参考:Хроника специальной военной операции за 28 июля 2025 года
スームィ方面
DEEP STATEはスームィ方面について26日「ウクライナ軍の第225独立突撃連隊がキンドラティフカを奪還した」「これで同連隊が奪還した集落は2つ目だ」「キンドラティフカにしがみついたロシア軍部隊は包囲されたものの完全な排除には時間が掛かった」と報告していたが、RYBARも28日「ウクライナ軍がキンドラティフカを奪還した」「ロシア軍は国境沿いの貯水湖付近まで支配的でなくなった」「ウクライナ軍がコスティアンティニフカ方向を攻撃している」「ウクライナ軍がオレクシイウカ方向を攻撃している」と報告。
DEEP STATEとRYBARはキンドラティフカについて「ウクライナ軍が奪還した」という評価で一致したが、オレクシイウカの西=ノヴォミコライウカやヴァラチネの評価は食い違っており、RYBAR基準で見るとオレクシイウカの状況は危機的ではないものの、もしDEEP STATEの評価が事実ならオレクシイウカを守るロシア軍部隊は左右から背後を遮断されるかもしれない。
ホーティンへの前進を諦めるならオレクシイウカを守る必要はないものの、スームィの北と東に広がる森林地帯を迂回するならホーティン方向に予備戦力を投入してキンドラティフカやアンドリイフカの奪還を試みてくる可能性があり、そうなればホーティン方向の戦闘は激化するだろう。
クピャンスク方面
DEEP STATEはクピャンスク方面について28日「ロシア軍がラドキフカからクピャンスク郊外に前進しようとしている」「ロシア軍がホルビフカからクピャンスク郊外に前進しようとしている」「ロシア軍がモスコフカやソボリフカなど広範囲の地域に侵入しているため状況が複雑化している」「ロシア軍は狙いはウクライナ軍の防衛ラインを分断してクピャンスク西郊外から都市を包囲することだ」と報告。
クピャンスク後方の開口部は最短でも20km前後開けているものの、この開口部は橋を破壊されたオスキル川によって分断されているため、クピャンスクに接続するP-07の物理的遮断まで5km前後、P-79の物理的遮断まで11km前後しかなく、ロシア軍にモスコフカ→ソボリフカ→ブラホダティフカと前進されてクピャンスク南西郊外の森林地帯に取り付けれると都市の包囲が完成してしまう。
縦に伸びるオスキル川西岸の突出部など側面攻撃で簡単に切り落とせそうに見えるが、ウクライナ軍も戦場上空がドローンで飽和しているため機械化部隊による側面攻撃が実施不可能で、ロシア軍は「重装備なしでクピャンスクを西から包囲しつつある」という「従来では考えられないような成功」を収めつつある。
シヴェルシク方面
DEEP STATEはシヴェルシク方面について28日「ヴェルフノカミャンスケ北郊外の高台地域でグレーゾーンが西に伸びた」と報告、視覚的にもロシア軍兵士がセレブリャンスキー自然保護公園内の建造物=Ⓐで国旗を掲げる様子、ウクライナ軍がヴェルフノカミャンスケ北郊外の高台地域=ⒷⒸでロシア軍を攻撃する様子が登場、 RYBARはシヴェルシク方面の状況について「ロシア軍によるシヴェルシク方向への大規模攻撃は成功しなかったものの一定の成果はあった」と報告した。
“27日夜、ロシア軍の機械化部隊による大規模攻撃が撃退された様子が登場し、この映像に映っている様子は前司令部の攻撃を痛烈に想起させるものだった。ロシア軍の車列がリシチャンシク石油精油所の敷地内で発見され、この部隊がヴェルフノカミャンスケ北東地域を通過する際に何度も敵の攻撃を受けた。現地からの報告によれば装甲車1輌につきFPVドローン3機~4機の攻撃を受け、クラスター弾やロケット弾による攻撃にも直面したが、その後の展開は過去と異なるものだった”
“現在の指揮官は過去と異なり、装甲部隊を無謀な突撃ではなく兵士の安全を確保するため展開させた。但し、タートル戦車2輌のみ無謀な突撃でシヴェルシク郊外まで前進してしまった。我々の情報によれば戦車の乗組員は全員無事だった。このような奥深くへの突破は当該地域の支配を意味するものではない。さらに残り2つの車列も前進を中止して敵の攻撃を回避することに成功した”
Siversk direction
Attacks by RU 3rd CAA toward AFU 54th mech and 81st Airmobile positions.
offensive actions of the enemy supported by:
6 tanks, 3 APCs, 6 MT-LBs, an armored recovery vehicle, 12 Ladas, 2 buggies, 41 motorcycles pic.twitter.com/gYCKHQ61wo— imi (m) (@moklasen) July 27, 2025
“現在の指揮官は状況を適切に評価し、過去の失敗から学んだおかげで「敵に捕捉された大規模攻撃」を中止し、多くの人員を無駄に失うミスを回避した。もし攻撃を続行していれば必然的に大きな損害を被っていただろう。正直に言えば現状でも同様のミスが存在するが、今回に限っては壊滅的な損害を被らなかった”
“ロシア軍がセレブリャンスキー自然保護公園内の拠点を制圧したという声明が登場している。幾つかの建造物でロシア国旗が掲げられたが、そこまでロシア軍兵士がどのように辿り着いたのかは定かでない。依然として自然公園の中心部で敵の砲兵部隊と航空機が活動しているため、これを突破するのは容易なことではない。但し、現在のドネツ川沿いには敵の数が少ない。これまでの敵はドネツ川の対岸地域に迫撃砲を配置してビロホリウカやフリホリフカの友軍を支援していた”
“ビロホリウカの解放に伴って対岸地域に展開していた迫撃砲部隊が必要なくなり、恐らく国旗を掲げた部隊はこの部分から自然保護公園内の建造物にアクセスしたのかもしれないが、国旗を掲げた建造物周辺を保持し続けているのかは疑問である。これまでシヴェルシク方面は呪われた戦場だったものの、この状況は徐々に改善しつつあり、これは過去の問題に世間の関心が集まっているおかげも大きい”
要するに「シヴェルシク方面のロシア軍が大規模戦力で攻勢を仕掛けたが失敗した」「見つかりやすい大規模戦力での攻勢は前司令部と同じアプローチ」「それでも攻勢が敵に察知されていると判明した時点で作戦を中止した」「あのまま攻勢を続けていれば前司令部と同じように大きな損害を被っていた」「この点はシヴェルシク方面のロシア軍において大きな改善点だ」という意味だが、この方面のロシア軍だけは未だに機械化部隊で正面から突っ込んでくるため、ウクライナ軍にとってはボーナスステージだろう。
ポクロウシク方面
DEEP STATEはポクロウシク方面について29日「ロシア軍がヴォロディミリフカ方向に前進した」「ポルタフカ方向にグレーゾーンが伸びた」と、RYBARは「ロシア軍がボイキフカを占領した」「ロシア軍がフェドリフカを占領した」「ロシア軍がマヤック方向に前進した」「ロシア軍がセリシュチェ・ベリイカを占領した」「ロシア軍がズヴィロヴェを占領した」と報告。
細かい動きは他方面でも確認されているが、わざわざ戦況マップを作成するほどのものではなく、そもそもDEEP STATEとRYBARが27日から29日までに報告した前線の動き(具体的な前線の変化)は非常に少なくい。
因みにトランプ大統領は今月14日「50日以内にウクライナと戦争終結で合意できなければロシアに痛烈な関税を課す」と述べていたが、28日「9月上旬まで待つ必要はない」「この50日間はロシアに対して寛大でありたかったが全く進展が見られない」と述べ、関税を課すまでの期限についても「本日から10日~12日後(8月6日~8月8日)」と言及した。
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※アイキャッチ画像の出典:68 окрема єгерська бригада ім. Олекси Довбуша


























シヴェルスク方面でのロシア軍の攻勢は戦車6輌、APC3輌、MT-LB6輌、車輛14台、オートバイ41台が使用された大規模なもの。ウクライナ側は第54機械化旅団(ドローン部隊K-2ユニットを含む)および第81空挺旅団が迎撃しました。
なお結果としては車輛のほぼ全てが撃破され(81空挺が偵察ドローンによる映像を公開)、1個中隊分の歩兵が死傷したと見込まれるとのこと。
映像を確認したのですがバイク部隊は縦隊で移動中に砲撃やドローンで食われていますね。戦車は亀プラス地雷ローラーを装備していてかなりの距離を単機で進めていたようですが最終的に撃破された模様。
周囲の環境もかなり荒れていますね。集落が跡地になっているのは当然(というのも悲しいですが)ながら、樹木線の木々が幹しか残っていません。この環境で突撃するロシア兵には同情しますね。
映像見る限り大規模な攻撃ではあったけどほぼ全てが撃破されたっとまでは思わないかなあ。かなりが退却に成功してそう。
以前と違い装甲車のドローン対策が最適化され亀戦車もあって多くのドローン攻撃を吸収した感がある。
まあ攻勢自体は失敗ではあるんだろうけど。
確かに亀戦車の防御力強化には目を見張るものがありますよね。
今回の映像とは無関係ですがツァーリ戦車とも呼ばれるワイヤー等をハリネズミのように覆った戦車も出てきてFPV数十機を投入しないと無力化できなかった、という話も聞きます。
もしかしたら今後攻勢の前にツァーリ戦車が複数投入されドローン部隊が保有するFPVの数を減らしてから主力が投入されるようになるのかもしれません。
アメリカ、欧州が本格的に備え始め、ロシアはこの戦争で何を得るのか
恐らくアメリカの懲罰関税は発動されるし、その後戦争を止めたとて戦前のような関係に戻れるとも思えん
いっそNATOに攻撃して、モスクワを焼かれる方がロシア国民の為になるんじゃないかとすら思うわ
ロシアは11万平方キロ以上の領地とその住民及び産物を得る。また同時にNATOとの緩衝地帯も得る。
その土地、全部とは言わないですがかなりの面積が地雷や不発弾で汚染されてますが···
その程度じゃロシアが今まで被った損害に全く釣り合ってないんだよなあ…
そもそもの話ロシアから物を買ってねーのに懲罰関税を課して何の意味があるのやら
ロシアからの輸入額は少ないけどウランとかチタンとか重要なものばかり買ってるという
(一応)二次関税の話しが、でてたんですよね。
得たものに対して失ったものが大きすぎるッピ!
冷戦時代の遺産、東側盟主の威信、国内の男性人口、もう取り返しがつかない。(上弦の参風味)
愛国戦線氏への返信のつもりがずれてました。失礼。
露側をアホじゃねーと思うのは簡単だけど(実際そうかつ自分も同じ見解)、真正面の陣地帯及びスラビャンスクやクラマトルスクの補給後背地が健在な時点でここはどうしても難しい。
難しいなら難しいなりに損害を出さずに睨み合うだけという選択肢もあったと思うんだけど
戦線を細分化して局所的な最適解を目指すという組織の構造力学的にありえないんだろうね
クピャンスク後方に浸透しつつあるのであれば、かなり気になりますね。
ロシア側オスキル川西岸部隊は、オスキル川を越えて補給してきたはずですが、補給をどのように繋げているのかが気になります(水陸両用車なども活用しているのでしょうかね?)。
ロシア軍ドローンについても、クピャンスク後方は戦況マップを拝見したり、補給面を考えれば飛ばしにくそうにも見えるんですよね。
クピャンスク周辺の戦力差、ウクライナ軍の前線部隊・補給が、尽きつつあるのではないかとも少し気になっています。
追記です。
ウクライナ目線、内戦の利を生かしにくいため(各前線の距離があまりにも長い)、どこかを優先しなければならないだろうなと。
スームィ市は人口25万人・キーウにも近い都市ですから、管理人様のMAPで反撃しているのを拝見すると、優先順位を高くしているのかなと推測しました。
1週間程度、動向を見守りたいと思います。
内線
>内戦
戦線の広さもありますがウクライナは兵士が足りない問題あるんでどこかに集中しないといけないんですよね。
各所に人足りない中入れてもどこも充足せず中途半端な数だろうし、ちゃんとした防衛陣地とかあっても人が足りないなら守り切れないから耐えきれずどこかが決壊するか最悪全前線で押されるとかになりそうですし。
スームィは大局に全く影響はないしロシア軍が本気で攻略する気もないけど、今となっては唯一優勢な戦線なのも優先順位高くしてるのもあるのでは?
正直スームィ州都周辺の防備を固めてその戦力や物資を他に回した方が有意義だと思うですが。
まさに仰る通りです。
日本であれば、関ヶ原前哨戦の伏見城攻城戦・満州の要塞戦(対ソ連)が、そういった防衛戦だなと。
キーウからの距離で判断したとして、ロシア・ベラルーシの距離を考えれば、首都の立地として微妙だなと感じています。
本来であれば仰る通りなわけですが、クルスク侵攻による損耗が手足を縛ってるわけで、本当に痛いなと感じてしまいます。
私も又聞き程度の情報なので裏取りが必要なのですが、オスキル川の水位がかなり低下していて、一部は徒歩でも川を渡れてしまうらしいです。
情報ありがとうございます、勉強になります。
乾期(7月頃の夏)は、特に水位が下がるかもしれませんね。
ウクライナ側はスムイ方面への迎撃に戦力を投入し押し返しつつあり、シベルスク方面では一応ロシアの攻勢を凌いでいるがクピャンスク、チャシブヤール、トレツク、ポクロウシク、ドニプロ方向、カミアンスケ方面では危機的な状況であるということでロシアとしてはスムイ方面は緩衝地帯を作りたいが優先は東部2州であることは不変であるのでウクライナがスムイ方面に力を入れてくれるのはさほど問題無い様に見える。
すでにクピャンスクが危機的なためオスキル川東からは総撤退するべき時が到来していると思うけどもこのまま粘るのだろうか。