ロシア領内のS-300をHIMARSで破壊したためハルキウに対するミサイル攻撃は完全に停止したものの、RBC-Ukraineは「ロシア人は直ぐに戦術を変更してミサイル攻撃を滑空爆弾の攻撃に置き換えてきた」「現在のウクライナ軍にこれを阻止する手段はない」と指摘した。
参考:Сбить невозможно. Как Украине “закрыть” Харьков от КАБов в ожидании F-16
戦争は適応の連続なので、十分な数のF-16とパトリオットシステムが揃ってもハルキウの破壊が止まるかどうかは謎
Ukrinformの編集者を務める平野高志氏は「許可を受けてロシア領内のS-300/S-400を米国製兵器で攻撃した辺りから、ハルキウ州への空爆やミサイルのニュースが減った」「住民の方も攻撃が著しく減ったと証言している」「まだ誘導爆弾による攻撃は時々あるものの、ハルキウ市内に飛来したS-300は5月末以降ない」と、ハルキウのテレホウ市長もWashington Postの取材に「先月25回あったミサイル攻撃が今月は0になり、状況が劇的に変化した」と言及。
ハルキウへのS-300ミサイル飛来の報道最近全然聞かない気がするなと思って、現地の方々に聞いてみたら、5月末以来、市内への飛来はないとのこと。誘導爆弾はまだ時々ある。 https://t.co/YWOEvl32cJ
— Hirano Takashi 🛩️ 平野高志 (@hiranotakasi) June 20, 2024
シネグボフ知事もRBC-Ukraineの取材に「昼夜を問わず撃ち込まれてきたS-300の使用が明白に減った」「それを全てのハルキウ市民が感じている」「ロシア軍は電子戦でHIMARSの攻撃に干渉しようとしたが、アップデートされたHIMARSは干渉に対する耐性が強化されている」と明かしたが、どうやらロシア人は直ぐ変化した環境に対応してきたらしい。
RBC-Ukraineは「ロシア人は直ぐに戦術を変更してミサイル攻撃をUMPK(汎用航空爆弾をGNSS誘導の滑空爆弾に変えるキット)と取り付けた滑空爆弾に置き換えてきた」「過去の滑空爆弾使用は郊外の目標に限られていたが、現在では市内中心部の目標を攻撃するのに使用されている」「滑空爆弾は最低でも70km(推定)の範囲をカバーできるため、この様な距離でSu-34を捕捉するのは困難だ=地上配備型レーダーで滑空爆弾を投下前にSu-34を検出して撃墜するのは困難という意味」「意図的な都市破壊は市民の士気低下が狙いだ」と指摘。
ウクライナ人アナリストのオレクサンドル・コバレンコ氏も「航空機から投下された滑空爆弾を迎撃するのは現実的ではなく、ハルキウを滑空爆弾から守る唯一の方法はSu-34を撃墜することだ」「放たれた矢ではなく射手の破壊が効果的なのはS-300の破壊で証明されている」「理論的にはSu-34が射点空域に近づけなくすることだ」と述べたが、同時に「現在のウクライナ軍にSu-34を阻止する手段はほとんど無い」「Su-34は前線に配備されている短距離及び中距離防空システムの射程圏外から滑空爆弾を投下するためだ」と付け加え、以下のように述べている。
“現時点でSu-34を地上破壊する方法はドローンとミサイルだけだ。工作員による破壊工作も頻繁に成功するわけではなく、電子妨害によって滑空爆弾の誘導を狂わせることも出来るが、仮に着弾地点を1km反らしても大規模な都市では殆ど意味がない。結局は十分な数のF-16、パトリオットシステム、長距離ミサイルが配備されるまでハルキウは絶え間ない滑空爆弾の脅威に晒され続ける”
要するにドローンとミサイルで何百kmも離れた基地を攻撃しても、目標到達まで時間がかかる=駐機しているSu-34は空に退避できるため「発射から着弾までの時間が短い弾道ミサイル=ATACMSが必要になる」という意味だが、戦争は適応の連続なので十分な数のF-16とパトリオットシステムが揃ってもハルキウの破壊が止まるかどうかは謎だ。
因みにFighterbomberを始めとするロシア人ミルブロガーらはSu-34に1発しか運搬できないFAB-3000の効果と作戦効率について疑問の声を挙げており、FAB-500やFAB-1500を使用したほうがマシだと主張している。
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※アイキャッチ画像の出典:Fighterbomber
元からS-300による攻撃は補助的でしたし、やはり航空基地へのATACMSや巡航ミサイル攻撃、F-16による防空をやっていくしかないでしょうね。それらも適応される可能性はありますが、逆に言うと適応の連続ならやれることを見つけてやっていくしかないということですし。
適応するために自国にあるものを使えるロシアと、適応するために支援国に更に支援を要求して届くのを待つ必要があるウクライナ
この差が適応までの時間に如実に現れていると思います
う~んそれは北朝鮮に行ったプーチンにとってそれは皮肉にもなりますが…
結局程度の差こそあれ、武器弾薬が足りずに他国からの支援頼りになっているのはお互い様ですし、適応の為に今ある物で戦術を変化させているのはウクライナも同様です。
ただウクライナは支援で受け取った物に用途制限がついているので(ATACMSはその最たるもの)、その範囲でどう使うか、制限を広げる為にどう振る舞うかという奇妙な条件がプラスされているということでしょう。
NATOと北朝鮮が同じくくりで比べられるなんて夢にも思わなかった。
将軍様もまさかロシアから弾と兵隊の都合をお願いされるとは思わなかっただろうな・・
かなり前からメインウェポンの一つになってるシャヘドだってイランですからね。
両国ドローンは中国頼りですし、正直国内生産力の差は適応に大した違いを生んでいないように思います。
シャヘド136はロシア国内タタールスタン共和国でライセンス生産されてるのが確認されてるからイランや中国に全部頼ってるわけではないけどね
距離70kmて大分近い気がするけど、それに対応できないくらい対空兵器無いのか
そら口を開けばパトリオットくれ!になるかぁ
中射程地対空ミサイルが、射程20〜40キロくらいなので、それ以遠はパトリオットとかS300とかのカバー範囲となります。
低空飛行→トス爆撃→フレア→低空飛行なのでAWACSないと捕捉出来ない。
概算ですが、地上レーダー設置高を10m、攻撃機の侵入飛行高度を50mと仮定すると、水平線越えの探知距離は約37kmになります。(この場合のレーダーから見た水平線距離は約11.3km)
投弾時に高度500mに上昇すると仮定した場合の探知距離は約86kmになる計算で、逆に70kmで探知できる飛行高度は約270mです。SAMで投弾以前の母機を撃墜するのは物理的に困難でしょう。投弾後直ちに旋回し低空に退避されるならば追い討ちも困難です。
早期警戒機による広域低空監視と必要数の戦闘機常続空中哨戒を実行する能力が無いと投弾阻止は困難と思います。そうなったならそれなりの対応策や代替策がとられるのでしょうが。
さすがに低高度から落としても射程は20km前後にしかならないので、70kmまで届かせるときは5000m〜7000mぐらいの高度まで上げてると思うけど…?
トス・ボミングを行っているとの仮定でレーダー探知距離と高度の関係を考察したものです。その具体的運動シーケンスが不明なので、500mで投射するという意図ではありませんでした。紛らわしい書き方で申し訳ない。
滑空弾を使用したトス・ボミングの場合でも70kmまで到達させようとすれば相応の高度で投射すると思います。
PACが送られてくる目途が立ってるだけマシかなぁ
民間市街地への無差別爆撃が茶飯事になってるのにウンザリするわ。
誘導爆弾だから無差別ではない
はあ~・・・。
国民の士気低下を意図して商業地区や住宅地を攻撃すること(軍事目標と非軍事目標を区別しない)を無差別爆撃というんですよ。
ミリクラが集まるこのサイトでこんな基礎知識を書くことになるとは・・。
それなら誘導兵器使うまでもなく無誘導のロケット撃てばいい
文脈がずれてて仰りたい事がよくわかりませんが。
5V55Rの対地推定射程120km以上もあり、ピンポイントで目標は狙えなくてもある程度の範囲の場所に落とす事が目的なら無誘導ロケットより余程最適だと思いますよ。
ちなみにハルキウ市街地に対してはスメルチ系MLRSのクラスター弾攻撃は既に行われています。
なんか軍事まとめサイトのレベルだとイスラエル軍は誘導爆弾使ってるから無差別攻撃ではないとか事前に攻撃を予告してるから無差別攻撃ではないとか言ってるのがわらわら居たな
JSF氏が、滑空爆弾の羽根が見つからない謎を記事にしていました。
(ネタ元)ロシア軍がハルキウ市街を航空爆弾で無差別爆撃、民間人59名が死傷。滑空用の主翼が見当たらない謎
無誘導爆弾も使用している可能性が微レ存。
無誘導爆弾だと、射程が足りない
航空機が至近まで近づいたことになる
羽がないなら上空から爆撃してることになりますが、ハリコフの空は完全にロシアに支配されているってことなのかしらん
そしてこれはクリミアの海岸でクラスター爆弾で民間人が100ほどが殺傷された報復の気がしますね
S300が数多く破壊されているなら、防空網に穴が開いている
S300の5V系列は現在はもっぱら市街地への無差別爆撃に使用されているので、防空自体に影響はほとんどありません。
ただ防空を担っているS400もこのところ立て続けに破壊されていてATACMSや無人機を防げていないので、穴があることは確かですが。
冷戦期に大量に製造したのは5V55系列の「弾」
発射機やレーダー車両、指揮通信車両が余っている訳ではない
5V系?5V28とか?
そもそもウクライナ空軍はほぼ存在しておらず爆撃される心配もないのだから、
防空兵器としては活用されていないのでは?
ミサイル撃墜は命中率があまり高くなくて正直あまり現実的ではない
目標を隠したほうがいい
「因みにFighterbomberを始めとするロシア人ミルブロガーらはSu-34に1発しか運搬できないFAB-3000の効果と作戦効率について疑問の声を挙げており、FAB-500やFAB-1500を使用したほうがマシだと主張している。」
フォーブスにFighterbomberから引用した記事に
あったけどFAB3000を一発落とす要領でFAB1500を三発落とせるゾ
(SU34にFAB3000は一発しか装備できないけどFAB1500なら三発装備できる)
非戦闘区域に落としたら心理効果エグそう
「ロシア軍が3tの巨大滑空爆弾を初使用 効率は悪いが心理的な威圧効果大」フォーブス
心理的効果だけではなくロシア軍は、どれだけ巨大な爆弾を滑空爆弾化出来るかどうかの「実験」をしているんだと思います。
3トン爆弾には通常爆弾だけではなく、ODABー3000など燃料気化爆弾まで有ります。
燃料気化爆弾は500kgの重量であっても通常爆弾で1000kg相当の猛烈な衝撃波を発生させ、広範囲の塹壕や建物内に隠れた兵士を殺傷できるそうです。
もし、3000kg燃料気化爆弾が滑空爆弾化され使用され始めたら…地上波阿鼻叫喚の地獄絵図になると思います。
ゼレンスキー大統領は、S300が1万発あると答えていましたので、この攻撃が減ったのであれば朗報ですね。
ゼレンスキー大統領は、ロシア軍が使った誘導爆弾は『6月だけで2400発』と答えており、1日100発ペースです(0:28~)。
ハリコフ市中心部への爆撃は、航空機が国境線付近に近付いて爆撃していることになります。
ロシアのハリコフ州侵攻により、ロシアの制圧圏がハリコフ市内に近付いたわけですから、滑空誘導爆弾の投下をより安全に行えるようになっているのか気になりますね。
>「過去の滑空爆弾使用は郊外の目標に限られていたが、現在では市内中心部の目標を攻撃するのに使用されている」
(2024/06/23 【ハルキウ州】ウクライナ東部の住宅地に“誘導爆弾”使った攻撃 3人死亡、52人ケガ Youtube)
(2024.5.22 Zelenskyy: Russia has accumulated 10,000 S-300 missiles nikvesti Front news UKRAINE)
普通に発射母体は落とせなくても、滑空爆弾時代の迎撃は出来るんだからパトリオット当たりで迎撃すればいいのでは?
弾が足りなくなったらまた既存顧客販売分やアメリカの在庫から当面は出てくるでしょ。
お願いベースではなく強い口調で寄越せと騒げば今の西側なら何とかしてくれる。
落とされる滑空爆弾だけでも毎月3,000発
パトリオットの弾は年間800発程度
増産が実現しても年間1100発程度
そもそもパトリオットの目的は広域防空
滑空誘導爆弾の数が、あまりにも多すぎるんですよね…。コスパも勿論悪いです。
在庫の航空爆弾に数十万円(推定)の簡素化したUMPKキットを取付けた安物を数億のパトリオットで迎撃とか弾があってもウクライナの財政が破綻するだろう。
なあにウクライナの財政はとっくに破綻済みさ。
破綻するのは支援国。
エンジンが搭載されておらず熱も音もなく飛翔し、
小型で有る事からステルス性も極めて高い滑空爆弾を地対空ミサイルで迎撃するのは極めて困難かと思われます。
3トン爆弾ほどの巨大滑空爆弾であれば、もしかすると迎撃可能かもしれませんが。
パトリオットミサイルのコストが一体幾らだと思ってるんだ…
FAB-3000の効果が、それよりも小さな爆弾に比べて、効率が悪いのはなんとなく分かります。結局のところ、152mm砲弾等の榴弾による砲爆撃の効率が、最も良いわけで、それだけに航空機のみの攻撃だと、支援の範囲内で、メインの攻撃にはなり得ないんでしょうね。となると、今後も当面砲弾が最も重要で、国家間の戦争では、それに変わるものはなかなか出ないという感じでしょうね。適応の連続の中でも、ここだけは不動という感じです。
S300は弾頭量がクソザコなので、破壊効果は大して期待できず、たぶん純粋に「破壊ではなく、深夜に空襲警報を鳴らすことが主任務」なんだと思われます。
まあ、市街地に撃ち込むのが最適なやつだったんでしょうね。
最早通常爆弾の使用なんて対空兵器がいきわたった現代では使われないのは確定なのだから、専用品を作って射程延長を狙った方が正しいのでは。なぜ未だに通常弾改造なんて無駄なことに労力をつぎ込むのか理解に苦しむんだが。
「最早使われない通常爆弾」の在庫がたんまりあるから羽だけつけて滑空爆弾にして多少効率が悪くてもバンバン使ってるのでは?
どうなのでしょう。
滑空爆弾が最大到達距離を出すためには(この場合、80〜100km)、
概ね高度4,000くらいまで上がる必要があると思っていたのですが。
そうであれば、地上レーダーでも視えると想像します。
後は、射程の長いミサイルでしょうか.
ウクライナの手に入りそうな物は、S-300かPAC-2なのでしょうね。
砲弾のように、どこかの国がチェコ?経由でS-300の弾を譲って来れないかな。
あるいは、何度も書いているのですが、S-300ベースでPAC-2を運用する
フランケンSAMが欲しいところでしょう。
S-300の保管状態の発射機は、きっと、いくつもあるでしょうから。
見えてるし対空ミサイル撃たれてるけど逃げ切られてるんじゃねえかなあ。
ロシア戦闘機だってパトリオットの強烈なレーダー波を検知する機能を持ってるし受ければ全力逃亡するもん。
そしてパトリオットの迎撃弾もマッハ3ぐらい出るらしいけど加速 低高度 上昇中 はそこまで速くないはず。
あとは地上のロシア軍が砲やランセットを用いてパトリオットが前線近く出てこれないようにすれば・・・ね。
今年のはじめとか弾が枯渇する前は毎日の様にロシアの戦闘機が堕ちてたので割とバクチだったんじゃないですかね。
1日数十発の滑空爆弾を投射して数発のPAC-2を使わせる代償に1機くらい堕とされるのは許容範囲だった(?)と。
今さらウィキぺ見てきたけど、滑空爆弾の滑空比の記述って無いのよね。そんなに滑空比が高い気がしないので、射程と高度の話がなんか腑に落ちない。…高度的には地上レーダから見えそうな気がするのだけど、小さいから見えないって話なのかしら…