ウクライナ戦況

ドネツク州ヴフレダル周辺で状況が悪化、ロシア軍が8日間で10km前進

RYBARはクルスク州スジャ方面について2日夜「ウクライナ軍が前進した」と報告したが、DEEP STATEはドネツク州クラホヴェ方面について「ヴフレダル周辺で状況が悪化している」と報告しており、ロシア軍は8日間でパヴリフカ西郊外からプレチスティフカ方向に計10kmも前進した。

参考:Мапу оновлено!
参考:Тривають бої за Пречистівку
参考:Хроника специальной военной операции за 2 сентября 2024 года

ロシア軍によるヴフレダル方向への圧力が急速に高まっている

RYBARはクルスク州スジャ方面について2日夜「ウクライナ軍がマルティノフカ郊外で支配地域を広げた」と報告、視覚的にもロシア軍がマルティノフカ郊外でウクライナ軍陣地=ⒶⒷを攻撃する様子、ロシア軍がルースカヤ・コノペルカ集落内=でウクライナ軍を攻撃する様子が登場。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

ロシア側の映像に基づけば「ウクライナ軍は(マップには書き込んでいない)森林地帯に沿ってマルティノフカの東に支配地域を広げている」という意味なり、ビリウコフカとプシュカルノエの間にある大規模な森林地帯を占領してスジャ東側面の守りを固めたいのかもしれない。

この一帯はリマン・クレミンナ方面のゼレベツ川東岸と同じように無数の渓谷と森林が点在しているため、ここに食い込めば陣地の維持が容易になり、ロシア軍によるスジャ奪還は困難になるだろう。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

DEEP STATEはクラホヴェ方面について先月27日「ロシア軍がヴフレダルをパヴリフカ西郊外とヴォディアンから包囲しようとしている」と警告していたが、2日夜「ヴォディアン集落内にグレーゾーンが伸びた」「鉱山がグレーゾーンに収まった」「ロシア軍がプレチスティフカ方向に前進して集落の半分以上を占領した」「ロシア軍がプレチスティフカ・ノボウクラインカ・マカリフカ・ウロジャイン周辺を集中的に砲撃している」と報告。

視覚的にもロシア軍がピヴデンノドンバスカ第1炭鉱=に到達したことを示す視覚的証拠が登場、特筆すべきはロシア軍が8日間でパヴリフカ西郊外からプレチスティフカ方向に計10kmも前進している点で、ロシア軍はプレチスティフカからノボウクラインカに前進し、ヴォディアン方向の前進と合わせてヴフレダルを守るウクライナ軍に撤退を強いる気かもしれない。

関連記事:侵攻921日目、ウクライナ軍がクルスク方面でマラヤ・ロクニャを占領
関連記事:侵攻920日目、クピャンスク方面でロシア軍の突出部がじわじわと拡大
関連記事:ロシア軍がセリダブ市内に侵入、軍人や専門家はゼレンスキー大統領を批判
関連記事:侵攻919日目、ロシア軍がポクロウシク方面で最大4kmも前進を遂げる
関連記事:侵攻918日目、ロシア軍がクルスク州コレネヴォでウクライナ軍を押し戻す
関連記事:DEEP STATE、セリダブ郊外で戦闘が始まり状況は困難で制御不可能
関連記事:ウクライナ人ジャーナリスト、ポクロウシク方面の状況は壊滅的だ

 

※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

侵攻921日目、ウクライナ軍がクルスク方面でマラヤ・ロクニャを占領前のページ

ポクロウシク市軍政長官、街を守る最後の希望だった敵戦力移動は叶わず次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍がドネツ川を越えてスヴャトヒルシク入り、リマン付近でも戦闘中

    ウクライナ軍とウクライナ国家警備隊がスヴャトヒルシクに入ったことが視覚…

  2. ウクライナ戦況

    ロシア軍がウクライナの原子力発電所を攻撃、敷地内で火災が発生

    ロシア軍が国内最大のザポリージャ原子力発電所(原子炉6基)付近でウクラ…

  3. ウクライナ戦況

    侵攻869日目、ウクライナ軍がボルチャンスク北市内でロシア軍を押し戻す

    RYBARはハルキウ方面ボルチャンスク方向について「ウクライナ軍が反撃…

  4. ウクライナ戦況

    ロシア軍は東部戦線のほぼ全てで前進、南ドネツク方面でも攻勢を開始

    ロシア軍は東部戦線のほぼ全てで前進し、ウクライナ人が運営するDEEP …

  5. ウクライナ戦況

    ゼレンスキー大統領、軍が要求する追加動員は45万人~50万人と明かす

    ゼレンスキー大統領は19日「ウクライナ軍が45万人~50万人の追加動員…

  6. ウクライナ戦況

    バフムート市内の戦い、ロシア軍がウクライナ軍を街の西端に押し出す

    ウクライナ軍とロシア軍のバフムート市内を巡る戦いは激しさを増しており、…

コメント

    • 2024年 9月 03日

    ロシアが以前被害を受けても
    ブフレダールを狙う理由はなんでしょうか

    2
      • 2024年 9月 03日

      鉄道を守るため。
      内陸に線路を増設したから価値は下がったが、当時は南部戦線を支える重要な兵站線だった。

      37
        • らっく
        • 2024年 9月 03日

        些細な点ですが、海沿いの書き間違いですよね。

        2
    • NIVEA万能論
    • 2024年 9月 03日

    ロシア軍の攻勢を何度も跳ね返してきたヴフレダルの命運は尽きつつあるようで、補給路が遮断されている以上ウクライナ軍は遠からず放棄せざるを得ないでしょうね。

    42
      •  
      • 2024年 9月 03日

      繰り返す戦闘で陣地ができる丈夫な建物もどんどん減っていっている以上、どちらの陣営も都市での防衛は難しくなりつつあるだしょう

      7
    • 拓也さん
    • 2024年 9月 03日

    今まではマップが局所的だったから気づけなかったけどヴェリカ・ノヴォシルカとヴフレダールって割と近いんですね。ウロジャイン方面から圧力かけ続けて、T-0509沿いに西進すれば意外と直ぐに陥落しそう。プレチスティフカを抜ければあとひとつしか集落ないし。

    29
    • 2024年 9月 03日

    >この一帯はリマン・クレミンナ方面のゼレベツ川東岸と同じように無数の渓谷と森林が点在しているため、ここに食い込めば陣地の維持が容易になり、ロシア軍によるスジャ奪還は困難になるだろう。

    逆に言えばここに布陣しているロシア軍を追い出すのも困難だということか

    37
      • ポンポコ
      • 2024年 9月 03日

      その「無数の渓谷と森林」地帯というのを私は具体的につかめてないのですが、

      かなり特殊で広い地帯であるなら、今後ウクライナ軍が守勢にまわった場合でも

      へルソン東岸のクリンキなどの砂州や湿地帯に侵攻したウクライナ軍と同じかもしれませんね。

      つまり、ロシア軍は足を踏み入れないが、補給を断とうとする。そしてウクライナ軍の方はまだクルスクを維持していると宣伝できる。

      22
    • MarkⅡ
    • 2024年 9月 03日

    現状クルスクすら6%程度しか占拠出来ず、原発も抑えられてないので
    ロシアとしてはこのままクルスクに戦力を吸引しつつ東部を進めるだけ
    進む感じですかね。

    現状の戦況について正直理解しがたい、クルスク方面は連日ウクライナ側
    で大量の捕虜、重装備の破壊が視覚的証拠として出回ってるので相当な
    損失である事は確定しているけど、それに見合った戦果があるのかと?

    やはり米国大統領選の辺りで停戦なんですかね、その時の交換材料にしようとしてる?
    とは言え1万人規模の大きな都市は1つしか取れてないし、これ以上無理した所で
    アウデーウカすら返ってこないと思うけど

    42
      • たむごん
      • 2024年 9月 03日

      停戦交渉ですが、部分的な停戦交渉から段階を上げていきそうでしたが、中止になったんですよね…

      ノルドストリーム爆破について、ドイツがウクライナ人テロリストに逮捕状を出したことが話題になりました。
      州議会選挙前の報道で与党が大敗しているうえに、VWがエネルギー価格上昇(インフレ)などにより撤退しており、政治経済なかなか厳しい情勢なんですよね。

      ウクライナ外交にとって、ドイツは、ウクライナ支援において欧州の中心的存在だったため、外交的に厳しい情勢だなと。
      クルスク攻勢は、軍事外交経済、全てにおいて理解不能なんですよね…

      (2024/08/19 ウクライナとロシアの部分停戦交渉、越境攻撃で延期…エネルギー施設攻撃停止を協議予定 読売新聞)
      (2024年9月1日 極右、州議選で初の第1党に 国政与党は敗色濃厚 独東部 時事通信)
      (2024年9月2日 VWがドイツ国内工場の閉鎖検討、実施なら史上初-コスト削減で bloomberg)

      10
    • たむごん
    • 2024年 9月 03日

    ヴフレダルは、開戦初頭からの要塞の為、アウディーイウカ陥落後のようになることが懸念されます。

    カルリブカの大隊(第11自動車化歩兵大隊)が、壊滅に近い状態で撤退しても指揮官が解任されており、ヴフレダルの守備隊も玉砕に近いような守り方でなければ懲罰されるのでしょう…

    (2024.09.2 侵攻921日目、ウクライナ軍がクルスク方面でマラヤ・ロクニャを占領 航空万能論)

    25
    • かま
    • 2024年 9月 03日

    ロシアとしては、クルスク方面が膠着状態になるだけでも万々歳だからなぁ。あれだけ大々的にクルスク侵攻を宣伝したせいでむしろ退却する事ができなくなっているのが、もう本当に哀れとしか。

    41
    • 溜池山王
    • 2024年 9月 03日

    どのメディアを見ても、もう死者数や破壊、鹵獲した装備のアピールがどんどん減ってますね。
    実際のそれら絶対数がどうなっているにせよ、ウクライナ優勢を伝えてロシア国内の厭戦ムードを高めるだとか、プーチンに断念させる作戦は失敗したように思います。

    ウクライナは中国に擦り寄って、西側と中国の間に立って旨味を得る作戦取るしかないのでは。
    中国はアメリカからの排除を望んでいないし、ロシアとの心中は望んでいない

    西側としてはウクライナが中国に取り込まれるのも嫌だし、かといってロシア側で団結されても困る。

    5
      • ななし
      • 2024年 9月 03日

      旨みを取ろうにも、ウクライナはもう交渉材料がないですな
      人も産業基盤も土地も何もかもロシアと欧米に収奪され、
      文字通り何も残ってないないのですわ。亡国ですよもはや

      41
        • たむごん
        • 2024年 9月 03日

        仰る通りです。
        ウクライナを長期的に見れば、国有財産の鉄道・電力水道ガス会社・鉄道・空港港湾・鉱山などの権益を、切り売りする以外に選択肢がないですからね…

        復興需要も、人口2000万人程度・少子高齢化が激しく、戦争中の貧困国でして…(しかも、相手がロシア…)。

        大手グローバル企業が、巨大生産拠点を設ける経済合理性もなく、国内市場規模も小さいですから未来は厳しく感じています。

        19
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  2. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  3. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  4. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  5. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
PAGE TOP