DEEP STATEはポクロウシク方面について「ウクライナ軍がクチェリヴ・ヤルをほぼ奪還した」と報告し、視覚的にも「ウクライナ軍が集落で国旗を掲げる様子」や「ロシア軍兵士が投降する様子」が登場、さらにDEEP STATEは「ポクロウシク駅周辺にグレーゾーンが伸びた」と報告した。
参考:Мапу оновлено
参考:У Покровска и Мирнограда
もしポクロウシクやクピャンスクが現在の傾向のまま陥落(もしくは防衛)すると、ドローンの存在は都市攻略(防衛)の常識すらも書き換える可能性がある
DEEP STATEはドネツク州ポクロウシク方面について18日~24日までに「ウクライナ軍がクチェリヴ・ヤルをほぼ奪還した」「ウクライナ軍がノヴェ・シャホヴェ東郊外で領土を奪還した」「ロシア軍がノヴォトレツケとヴォロディミリフカの東郊外で前進した」「ロシア軍がフロディフカ西郊外で前進した」「ポクロウシク駅周辺にグレーゾーンが伸びた」と報告。
ウクライナ空中機動軍も22日「第132独立偵察大隊がクチェリヴ・ヤルを奪還した」「この作戦中に50人以上の敵兵士が捕虜になった」「ウクライナ軍兵士は解放された集落で国旗を掲げた」と、23日「クチェリヴ・ヤル集落からは10名の住民が発見されて安全な場所に避難させた」「クチェリヴ・ヤル作戦が困難だったのはロシア人兵士が民間人の服装で潜んでいたため識別が困難だったところにある」と発表し、RYBARも24日「ウクライナ軍がグレーゾーンだったクチェリヴ・ヤルの支配を回復した」と報告した。
RYBARはドネツク州ポクロウシク方面について24日までに「ロシア軍がロディンスケ中心部を占領した」「ロシア軍がディミトロフ東郊外で支配地域を広げた」「ロシア軍がポクロウシク炭鉱方向に前進した」「ロシア軍がモロデツケ集落の中心部を占領した」と報告し、ゾロティ・コロディアズ方向の突出部以外で注目すべきはDEEP STATEとRYBARの評価の方向性が概ね一致しているディミトロフ東郊外の状況だ。
DEEP STATEとRYBARが報告する前線位置はグレーゾーンの幅には食い違いがあるものの、両者は「ロシア軍が東からディミトロフに迫ろうとしている」という評価の方向性では一致しており、この方向からロシア軍がディミトロフ市内に取り付けるのかが注目されるが、ポクロウシク市内でも興味深い動きが観測されている。
第7空中強襲軍団は20日「残念ながらロシア軍兵士がポクロウシク中心部の駅に侵入した」「我々の部隊が駅の建物に隠れていた敵を発見して排除した」「過去2日間で14名の敵を市内で排除した」「まだ市内に残っている住民は緊急の必要がない限り市内の移動を控えて欲しい」と発表し、駅の建物=Ⓐや駅から約700m東に離れた倉庫に隠れていた敵を排除する映像を公開、さらに第68独立猟兵旅団の無人機部隊が駅の北側=Ⓒと市内東端=Ⓓでロシア軍を攻撃する様子(この投降は現在削除されている)も登場。
これまでウクライナ軍が市内でロシア軍を攻撃する様子は「単発」で「攻撃されたロシア軍兵士がその地点を保持しているかどうかも不明」だったため、DEEP STATEは「グレーゾーンを広げる根拠にならない」と考えていたものの、21日「ポクロウシク駅周辺にグレーゾーンが伸びた」と報告し、恐らく「ウクライナ軍がロシア軍が市内で攻撃する様子」が単発ではなく連続して登場したため「グレーゾーンを広げる根拠になる」と判断しのかもしれない。
因みに戦場の常識はどんどん変化しており、バフムートやアウディーイウカの頃の都市攻防は大砲の火力投射と歩兵同士の接近戦が主役だったが、ポクロウシクやクピャンスクでは両軍とも大砲による火力投射が限定的で、歩兵同士の接近戦を示す映像なども殆ど登場せず、大半の攻撃はFPVドローンに頼る状況だ。もしポクロウシクやクピャンスクが現在の傾向のまま陥落(もしくは防衛)すると、ドローンの存在は都市攻略(防衛)の常識すらも書き換える可能性がある。

出典:President of Ukraine
追記:トランプ大統領は進展が見込めないという理由でプーチン大統領との会談をキャンセルし、これまで控えてきた対ロシア制裁=露大手石油会社2社(RosneftとLukoil)に制裁を課し、中国はブラックリスト入りした露石油会社との取引が二次制裁を招くリスクを懸念してロシア産石油の購入を停止した。
プーチン大統領も23日「米国の制裁がロシアにとって深刻なものになるのは明らかだ」「一定の影響を及ぼすだろう」「それでもロシアの経済発展に重大な影響を与えることはない」と述べ、米国の制裁がプーチン大統領とロシア経済にどの程度の影響を及ぼすのか注目されるが、一つだけ確かなのは「もう時間を稼ぐための進展のない交渉には応じない」という姿勢だろう。
追記:Wall Street Journalは対ロシア制裁について「トランプ大統領は事前に用意されていた3つの制裁案(大規模制裁、中規模制裁、小規模制裁)の中から中間を選んだ」と報じている。
関連記事:クピャンスクを巡る戦い、今後数週間が街の運命を決定づける重要な時期
関連記事:フリアイポレ方面の戦い、防衛拠点のポルタフカにロシア国旗が掲げられる
関連記事:フリアイポレ方面の戦い、ロシア軍が重要な防衛拠点のポルタフカをほぼ占領
関連記事:ポクロウシクを巡る戦いは一進一退、ロシア人も前進に必要な犠牲の多さに言及
関連記事:フリアイポレ方面の戦い、ロシア軍は重要な2つの防衛拠点に侵入を開始
関連記事:ザポリージャ州フリアイポレ方面、ウクライナ軍が4集落からロシア軍を押し戻す
関連記事:フリアイポレ方面の戦い、ロシア軍の前進ペースが落ちない唯一の例外
関連記事:ロシアの攻勢ペースは9月に失速、前進コストが高価なのはポクロウシク方面
※アイキャッチ画像の出典:7 корпус ДШВ























ゼレンスキーがポクロウシクばかり重視してるためにザポリージャとヘルソンで通常破られるはずのないディフェンスラインが破られてるな
これが小火で済むのか大火になるのかは今後の対応次第だが……
ロシア側が「ドネツク州からのウクライナ軍撤退」を停戦条件に挙げているから意地になってるんじゃないですかね。
逆にクピャンスクその他ドネツク以外の拠点が多数陥落した後で「そちらの言う通り今の前線で停戦でいいよ」と言われたらどうするのかは知りませんが。
別に主は全然悪くないし責めてるわけじゃないんだけど
まじでISWとDEEPSTATE で戦況図のかけ離れが異常すぎないか…
それには同意、最近はRyberとISWを参考にしてる。
戦況を取り扱っている堅実なサイトでもDeepStateへの言及は減っている印象。
DEEP STATEが、ポクロウシク駅までグレーゾーン認定したのは、非常に興味深いですね。
防備を固めた都市の中心部に浸透して、ウクライナ側OSINTから見ても認定されるとは。
ポクロウシク南部の高層建築群は、砲爆撃で1つずつ潰していくと思ったのですが、FPVドローン時代は一気に迂回浸透されているのか気になります。
トランプ大統領が、ロシア石油会社へ経済制裁しているのは気になりますね。
日米首脳会談を来週に控えているわけですが、日本のロシア産天然ガス購入に対して何らかの発表があるのか注目したいと思います(岸田元首相の影響力低下したので購入停止が有り得るかもしれませんね)。
日本もそうですがドイツもロスネフチ関連で影響を避けられませんね
エネルギー供給に影響がでてまでウクライナ支援を続けるのが国益なのかは議論の余地がありそうです
というか我慢比べに巻き込まないでくれほんと
仰る通りです。
原油価格56ドル台だったのが、62ドル台まで上がりましたからね。
アメリカは原油・天然ガスの資源国なのであまり気にしなくていいわけですが、日本は全く違うんですよね。
福島原発事故後の原発停止ころ、『天然ガス短期スポットでとんでもない高値になった』わけですが、同じようなことにならなければいいなあと注目しています…
>実はリーマンショック後、世界的な経済停滞でLNG需要も縮小したため、スポット価格は安値で推移していた。ところが、震災前に100万BTU(英国熱量単位)当たり10ドル前後だったアジア地域向けのスポット価格は、春先以降ジリジリと上昇。足元では16ドル台にまで上がっている。
(2011/11/08 綱渡りのLNG調達、相次ぐ原発停止で需要が急増 東洋経済オンライン)
現在ポクロウシク駅までグレーゾーンが広がってますが、仮にこのままグレーゾーンが市内西端まで拡大すればポクロウシク及びディミトロフを守備しているウクライナ軍の兵站に大きな影響が出てしまいますね。
そこを守備しているウクライナ軍は今後さらに補給が難しくなりますよ。
補給に関して、仰る通りで、影響がでてくる(でてきている)かもしれませんね。
最前線の数kmは、徒歩で補給物資を届けている戦場もあるようですが、都市内部はそこまで想定しているのか興味深く感じています。
岸田氏のお膝元の広島ガスはガス会社の中でロシア産天然ガスの依存度が一番高いんですよね。(単純な輸入量は東京ガスが1位)
まさに仰る通りで、半分くらいです。
『家庭用ガス価格が2倍になる』長期契約が、スポット価格に置き換わるだけで有り得るんですよね。
東京ガスですが、自社発電もやってまして、発電の60%がLNGになっています。
東京電力も、原子力発電所が全て停止していますから、天然ガスに依存しているんですよね(LNG・その他ガス46%)。
日米首脳会談まで3日後、早ければ何らかの話しがでてくるでしょうから注目しています。
冬の夜は太陽光発電は何の期待もできないわけですから、高い電気料金・ガス料金に跳ね返ってくるのも現実的ですが。
『日本人そこまで考えているのか…?』値上がりしたら、これまた騒がれるんでしょうね。
(電源について 東京ガス)
(電源構成・非化石証書の使用状況 東京電力エナジーパートナー)
シェフチェンコが多すぎる!!!
日本で言う富士見的な地名なのか
日本で言う新在家とか鷹匠町とか、新しめだと緑が丘とか?
もうポクロウシク周辺は双方の主張が食い違いすぎて我々外野は何を信じていいか分からない状況ですね。RYBARの主張通りだとロディンスケが突破されてポクロウシクの命運が決しつつあるように見え、DEEPSTATEのマップ通りだとロシア軍が市内中心部へ(今までの常識では)無理攻めをしていて、数日後には「敵を排除した」という報告がなされるかも知れません。今はただしばらく様子を見るしかないようです。
>もしポクロウシクやクピャンスクが現在の傾向のまま陥落(もしくは防衛)すると、ドローンの存在は都市攻略(防衛)の常識すらも書き換える可能性がある
仰る通りで、自分も特にクピャンスク西市内が陥落もあり得るかという状況になるとは思いませんでした。それとロシア軍のパイプライン作戦はまたしても有効だったようで、日本のネット上でよく言われる「何も考えずにただ突撃しては毎回壊滅する軍隊」的な論調もそろそろ書き換える必要があるかと思います(もちろん完全無欠で何の問題も抱えていない軍隊だとも思いませんが)。
ドローンは戦争の様相を一変させましたが、攻勢側にこうもガッツリ浸透されて排除にも手をこまねいてる所を見るとドローンも魔法の杖ではないんやなあ
攻勢側から見ると魔法の杖なのでは?
しかしロシア軍がポクロウシク南東部のミクロライオンを攻撃しているのは興味深いですね。まさかロシア軍にとって不利なはずのブレジネフカが建て並ぶ敵の要塞を正面から攻撃するとは…すっかりミクロライオンは迂回して退路をたってから占領するものだろうと思っていましたが…やはり南東部のミクロライオンを除くとコンクリート製の集合住宅は市中心部くらいにしか無いので高層建築が建てならぶミクロライオンの占領は犠牲は多くなりそうですがリターンもかなり大きいんでしょうね。高所を確保するとFPVドローンも有効に使えますし。それにしてもFPVドローンがここまで戦場の常識を変えることになってしまうとは…
やっぱクチェリヴ・ヤルの動き見るにロシアの海兵の指揮は相当悪いんだろうな。
アフメドフ中将に155海兵旅団を指揮させるのほんま止めとけよ。装甲車両揃えて突撃か部下を外に並べて遅刻ぐらいしか出来ん男ぞ。
ここに至ってはポクロウシク攻防戦でどれだけ後方の守りを固められるかなんでしょうけど···これまでの流れや衛星画像で確認できる防衛ラインの様子を見る限り望み薄なんですよね······
追記:クチェリヴ·ヤルでの集団投降について、50人程度ってそれなりの大所帯だと思うんですが彼らの補給を担っていたドローンオペレーターも市街の攻略に回ったんでしょうかね
ウクライナが大砲に頼らないのはまだ分かるが、なぜ大砲、航空爆弾をある程度自由に使えるロシア側も砲爆撃による都市の破壊を避けだしたんだろうか?ドローン相手に建物がシェルターとして扱えるからか?
破壊せずにクリアリングできる程度に戦力差がついたからでは
必要ならまた弾薬かき集めて5:1の火力差つけるでしょうがその差をつけずとも確実に敵兵のみ排除できるなら住民感情や復興を考えて無駄な破壊は控えるでしょう
自分が見に行ってる戦況図では補給路は完全にロシアの統制下に
有ると言ってます、ロシア軍が退却猶予に3日
ウクライナ側に伝えてるとか言ってますので
包囲下に有るのは間違いない様な事を言ってました
ロディンスケがロシア軍の影響下にあるのと、ミルノグラードがまだ占領されてないのは間違いなさそう
ポクロフスクの南半分はもうロシア兵だらけだろうな…
多分トランプ氏の来日時ぐらいに総攻撃か
こんな状況で迂闊に「有志連合」、なんかに参加しちゃって大丈夫か?あのオバさん…
軍事的センスは間違いなく無い
個人的にはイラク戦争以来、「有志連合」って「枢軸」とか「三国同盟」同じ位に嫌なニュアンスを感じてしまいます。
トランプ大統領としてはオバマ・バイデン両政権の政治的潮流(或いは“レガシー”なるもの)を否定し潰して行くのも大きな行動原理になっていますので、現ウクライナにとっての満額回答は困難かも知れません。それだけ現ウクライナはトランプと対立して来た米国内の政治・経済勢力と深い関係があるという傍証でもあります。一方で「ロシアの代理人」「プーチンに手玉に取られている」という話は当然耳に入っているでしょうから、プライドとのせめぎ合いになっている様にも思えます。どちらも“意地”の様なものなので外交は遠退き、ロシアは「戦場の現実」ウクライナは「敗れざる現実」を競って戦う事になるのでしょうか…。