AP通信は2日「容赦ない砲撃で壊滅的な打撃を受けたチャシブ・ヤールはバフムートやアウディーイウカを彷彿とさせる」と報じ、ウクライナ国防省情報総局のスキビツキー副局長も「アウディーイウカと同じようにチャシブ・ヤールの崩壊も時間の問題だろう」と述べた。
参考:Drone footage shows devastation in Ukraine’s strategic eastern city of Chasiv Yar as Russians near
参考:Ukraine is on the brink, says a senior general
街の崩壊を根本的に食い止めるにはチャシブ・ヤール周辺からロシア軍を押し戻す必要がある
バフムート北西の高台に位置するチャシブ・ヤールはコンスタンチノフカ、ドルジュキーウカ、クラマトルスク、スラビャンスクを守る戦略的要衝で、AP通信は2日「ロシア軍の容赦ない砲撃でチャシブ・ヤールは壊滅的な打撃を受けている。大半の建物は破壊されて黒焦げになり、バフムートやアウディーイウカを彷彿とさせる」と報じた。
ウクライナ国防省情報総局のスキビツキー副局長もEconomistの取材に「チャシブ・ヤールの状況」や「ロシア軍の夏季攻勢」について興味深い予測を披露。
スキビツキー副局長は「アウディーイウカと同じようにチャシブ・ヤールの崩壊も時間の問題だろう」「勿論、今日や明日の話ではないが、全て我々の備蓄と物資次第だ」と言及、つまり「チャシブ・ヤールの喪失は砲撃や空爆による都市(抵抗拠点となりえる市内の建造物)破壊のスピードに左右される」「弾薬の供給量が改善されれば敵火力を抑制でき街を長く維持できる」と言いたいのだろう。
ただし、街の崩壊を根本的に食い止めるにはチャシブ・ヤール周辺からロシア軍を押し戻す必要があり、現在のウクライナ軍に反撃を行う戦力的余裕があるとは考えにくいため、最終的にチャシブ・ヤールの崩壊は避けられないのかもしれない。
スキビツキー副局長はロシア軍の夏季攻勢について「ハルキウ方面やスームィ方面への攻撃を準備している」「ロシアがウクライナ侵攻に動員している兵力は51.4万人」「現時点でベルゴロド州に3.5万人グループが配備されている」「このグループは5万人~7万人規模に拡張される予定」「この他にもロシアは約2万人規模の予備戦力を中央に待機させている」と指摘。

出典:Минобороны России
ハルキウ方面やスームィ方面への攻撃時期は「ドンバスにおける我が軍の防衛強度に左右される」と、夏季攻勢自体は「5月~6月の間に始まる」と述べた。
因みにウクライナ人が運営するDEEP STATEはクピャンスク方面について3日「ロシア軍がコトリャリフカに侵入した」と報告している。
関連記事:ウクライナ軍指揮官、新たな攻勢も防衛ラインの必要性も認識していなかった
関連記事:アウディーイウカ北の突破口は拡大、ロシア軍がアルハンヘルズケに侵入
※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
ウクライナ軍は、限られた軍事資源を、どのように配分するのか難しいですね。
ロシア軍も同様の問題があり、ハルキウ州、ヘルソン州のドニプル側右岸、戦略的な撤退を行っています(企業含めて、あらゆる組織の課題です)。
チャシウヤール、運河沿い塹壕(町側)に注目したところ、掩蓋がないように見えるんですよね。
集落内部、どの程度の陣地があるのか分かりませんが、今後に注目したいと思います。
滑空誘導爆弾だけで、月3000発(1日100発)投下されるため防衛陣地の強度がなければ、厳しい事になります(アウディーイウカは2014年から最前線で強化され続けた街です)。
>ロシア空軍は、FAB汎用航空爆弾にUMPK衛星誘導キットを装着した誘導滑空爆弾(ウクライナ側呼称「KAB」)を、毎月3000発もウクライナ軍部隊に向けて投下している。
(2024.05.03 ウクライナが過去最大級のドローン一斉攻撃 「天敵」滑空爆弾のキットを多数破壊 forbes)
「ハルキウ方面やスームィ方面への攻撃を準備している」
って戦線の長さが倍近くに伸びるってことですよね?!
ロシアもウクライナも物量で耐えれるでしょうか?
アメリカや欧州の支援物資も各地に分散されて効果が薄くなりそう。
ウクライナ大丈夫かなぁ
ロシア側は人員・兵站で勝っていると判断して戦線を薄く広くする事を企図しているのでは?
戦線が更に薄く広くなればマンパワーで劣る側のほうがどこかで綻びを見せることになるでしょうから
ただ、だからといってハルキウ方面に戦力ぶつけるの?本当に?って感じではあります
プーチン大統領がハルキウ方面に、『緩衝地帯』という表現で言及した事が、気になっています。
都市を統治・活用できない状況、更地でも緩衝地帯になるからです。
20km+αくらいを砲撃回避のために必要と考えて、朝鮮半島の南北軍事境界線・ラインラントの非武装地帯のようなものを考えているのか気になっています。
>ウクライナは最近、ロシア本土への反撃を活発化させており、プーチン氏は西部ベルゴロド州が砲撃を受けないよう、国境を接するウクライナ北東部ハリコフ州を「緩衝地帯」として占領する案に言及。
(2018.04.19 南北朝鮮を隔てる「非武装地帯」に潜入──そこには緊迫した兵士と、自由を謳歌する動物が共存していた WIRED)
(2024年04月04日07時06分 ロシア、春の徴兵15万人 本土防衛に活用か 時事通信)
「アウディーイウカと同じようにチャシブ・ヤールの崩壊も時間の問題だろう」
これをロシア側の高官でなくウクライナ側が言ってるのがね。
ゼレンスキー怒るんちゃう?
ゼレンスキーよりも、最前線のウクライナ兵がどう思うかですが、そうはいっても後方にも陣地が準備されているわけでもなく、工兵部隊は縮小され、築城のための器材は民間に売り飛ばされ、コンクリートのような資材もないというような状況ではどうにも打つ手がありません。
チャシブヤールから退却した第65独立機械化旅団がそのまま解散、というのはもはや兵士や装備を補充して再編成することさえも難しいということかもしれません。
怒るも何も既にそのゼレンスキーはじめ、ウクライナ政府高官から前線のウクライナ軍将兵に至るまで相次いでウクライナ側の苦戦・劣勢を普通に演説やインタビューで明言してますし。(だから西側はもっと援助よこせとも)
日本のネット界隈だけは相変わらずウクライナの戦勝ムード一色だけども。
>日本のネット界隈だけは相変わらずウクライナの戦勝ムード一色だけども。
いまだに「壊滅」とか「枯渇」とかいうワードを使ってるもんな
ちょっとしたホラーですね。
結局の所、日本人の多くにとってウクライナ戦争はかつてのイラク戦争同様に他人事であり、一種のエンターテインメント(悲劇寄りの)でしかないということでしょう。
まあ、目下の所、物価高や円安、実質賃金の低下などの国内問題の方が危機的な事項である以上、二年近く戦争してたら飽きも来ますし、仕方がないと思います。それを平和ボケというのかどうかは人それぞれでしょうけども。
> 日本のネット界隈だけは相変わらずウクライナの戦勝ムード一色
「ネット界隈」ってどの辺なのでしょう。
一般紙では普通にウクライナの苦戦を報道しているので、どこでそういう記事を掲載しているのか単純に不思議。
戦線を広げてウクライナの戦線崩壊狙ってるな
チャシブ・ヤールの地形を見ると、攻略は難しいように見えるのですが、それでもダメなぐらいウクライナ軍は弱っているということですね。ここを落とされると、いよいよ厳しいですが、打つ手は無いのでしょう。物資だけで勝てる段階は過ぎているように見えますし、正直、ウクライナの敗戦は濃厚という感じに見受けられます。
ここまでの戦闘を見ると、ウクライナは、やはり余力があるうちに色々としなかった事が思い出されます。国力の違いはあれど、なんだかんだとかなりの支援もありましたし、兵力で上回っていた時に、攻められてる側なのだから、防御陣地も構築しておくべきだったのではないかと。ここ最近で見れば亀戦車もそうですが、いったい何を馬鹿にしているのだろうと思ったりもしました。そのような工夫もウクライナ側がやったのか疑問が残ります。
アウディーイウカ周辺の情報がないということは、やっとロシア軍の進撃が止まったかな。
前回の状況から考えると、まだ双方止まれる状態ではなく、おそらくは、活発に動いていると思います。
また何週間か休息・ローテ期間に入ったのかも
ここ最近のウクライナの崩壊ぶりを見るに
武器以前に人員が枯渇してると思いますよ
戦線の穴を塞げてないし
80年前のバグラチオンと変わらんと思います
実のところプーチンは世論重視の慎重派だから
きっちり砲爆撃して
低リスクな作戦取ってますけどね
実は、西側諸国の政治家よりも優秀だったりして
EUの官僚どもよりはロシアの官僚は優秀だった
そしてロシア中央銀行と財務省の官僚は日本の官僚より遥かに優秀だった
仰る通りです。
特にナビウリナ総裁、もの凄く優秀だと感じています。
プーチン大統領(トップリーダー)の信認が厚いうえに、学者・官僚・経済系の大臣やってから、中央銀行総裁をやっているからでしょうか。
ロシア上層部・官僚組織の謎を感じています。
(2022年3月24日 ロシア中銀総裁がプーチン大統領に辞意、拒まれ再任指名-関係者 bloomberg)
(2024年1月17日 ロシア政府、中銀総裁の健康望む 入院の憶測受け大統領府報道官 ロイター)
単に西側の中露に対する政治的な偏見が彼らの能力への侮りに繋がっているだけだろう
そもそも今の西側の官僚なんて民間で条件のいい働き先に優秀層が流れるから、国内トップ大学の縛りカスみたいなのしかおらん
分かる~
たしかに、仰る通りですね。
好悪と判断を
予測と願望を
一緒くたにする方が多すぎますね…
去年の今頃はバフムトが陥落寸前で、ウクライナ軍が街の守備に固執したために兵力を消耗し、その後の反転攻勢に悪影響を及ぼしたと言われている。どうも同じ失敗を繰り返しているように見える。
無理な死守命令も後に繋がる一手となるのであれば価値を持つのですけどウクライナの行動にそういった傾向は見られないですよね…
オチェレティネまで進出されてなおセメニフカ付近から下がらないなどノヴォポクロフケなどの陣地構築が間に合っていないことの証でしょうし
いったい今まで何をしていたのかと…
いったい何の為の、誰の為の戦争何だろか・・・
アジアに飛び火しないでくれよ~
ネオコンの為の戦争
さすがにチャシブヤールはそんな危機的なようには思えないけど
空爆で陣地ごと吹き飛ばされ続けてもなおロシアの前進を防げてるのに建造物なくなったからって変わる要素あるのか?
まだ前線が市街に達してないのに既に市街が廃墟になってるのはどう考えても危機的状況でしょ?
市内の建物の残骸に兵士を置いて立て篭もらせておくと、ロシア軍は無理に攻めて来ずに滑空爆弾と支援砲撃を要請します。
なので、爆弾が着弾するまでの間は,ロシア軍の進撃は止まります。
すなわち,「兵士ユニットを生贄に捧げることで、1ターンの猶予を得る!」ということが可能なんですね。
これを守備に成功しているので無問題と表現するか、貴重な兵士を削られ続けている危機的状況と表現するかは、あとは個人の好みの問題ですね。
チャシブヤール方面はそこまで活発な動きは今はないですが、まあこのままでは時間の問題なのはそのとおりでしょうね。前線部隊の混乱と士気低下は伺えてますし。
しかし他を差し置いて敢えて今言及するのは、前線部隊の苦境を認識してるからか、先に戦勝記念日までにロシアが確保というストーリーに合わせただけなのか。