ウクライナ人が運営するDEEP STATEは20日「オスキル川西岸は安定を取り戻したものの、ロシア軍も状況を不安定化させる試みを止めない」と、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARも「ロシア軍はオスキル川西岸で橋頭堡を確保したが敵も黙ってはいない」と報告した。
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参考:Просування ворога на правому березі річки Оскіл
参考:Купянское направление: бои на западном берегу Оскола обстановка по состоянию на 15:00 20 марта 2025 года
参考:Запорожское направление: бои за Лобковое и Щербаки обстановка к исходу дня 20 марта 2025 года
参考:Мапу оновлено
この傾向が一年を通して維持されるかどうかは分からないが、2025年の戦場は「過去とは別もの」と認識を改めた方がいいのかもしれない
RYBARはベルゴロド西部方面について20日(午後1時時点の状況)「国境地帯でウクライナ軍の攻撃が続けている」「ロシア軍はデミドフカ方向で敵の装備を焼き払ったが、ウクライナ軍は国境から1km以上離れた地点へ兵士を送り込むことに成功し、激しい戦闘が行われている」「グラフォフカ方向の状況は緊張したままだが、まだウクライナ軍はグラフォフカに前進する様子はない」「プリレセ方向ではリプツィ渓谷、カチャニフ・ヤル渓谷、プリレセ集落西郊外の植林地に陣取りプリレセ集落とレピャホフカ方向に前進しようとしている」と報告。
ロシア軍支配地域もデミドフカ方向とプリレセ方向で後退しており、RYBARは「デミドフカ、グラフォフカ、プリレセ方向にはクルスクから撤退した部隊の一部しか投入されておらず、この攻撃は陽動作戦の可能性がある」「こうした背景からベルゴロド州当局は当該地域の住民移動(自宅へ帰還)を制限する措置を講じた」と指摘し、別の方向で新たな攻撃が始まる可能性を示唆した。
因みにDEEP STATEはベルゴロド西部方面について1度も言及していないものの、RYBARは1日3回以上も言及しており、この言及回数は本当に異常なレベルだ。
DEEP STATEはクピャンスク方面オスキル川沿いについて20日「オスキル川西岸は安定を取り戻し、ウクライナ軍はフィホリフカから敵を追い出すことに成功した。さらに集落を奪還しようとした敵も首尾よく排除した。この傾向はオスキル川西岸全体に当てはまり、侵入を試みる敵の少人数部隊の殆どは敗北か壊滅に直面している」「それにも関わらずロシア軍は状況を不安定化させる試みを止めない」「敵はクラースネ・ペルシェ方向で新たな足場を築くことに成功し、集落の東に足場を築こうとしている」「ロシア軍は戦術的立場を改善するためトポリを占領して足場を築こうとしている」と報告。
RYBARも20日「ロシア軍はオスキル川西岸で橋頭堡を確保し、幾つかの方向で攻撃を続けているが敵も黙ってはいない」「ロシア軍がカムヤンカ方向に前進していると判明したが、この集落を占領したというネット上の言及は現実とかけ離れている」「ロシア軍はカムヤンカ集落の郊外に到達しただけ」「ロシア軍がクラースネ・ペルシェ方向に前進したという噂は映像や現地の情報源によって確認されていない」「2月17日にロシア国防省がフィホリフカ解放を発表したものの、この集落は敵が支配しておりロシア軍が足場を維持できなかった」「ウクライナ軍がニジニャ・ドヴォリチナ川に反撃を行い、ドヴォリチナ集落の西部分の支配を奪還された」「ロシア軍がザバドネの東側地域で前進しているという報告があるにも関わらず視覚的には確認されていない」と報告。

出典:57 окрема мотопіхотна бригада імені кошового отамана Костя Гордієнка
2023年後半から2024年のDEEP STATEとRYBARの報告は「ロシア軍の前進」で埋め尽くされていたが、2025年の東部戦線では「ウクライナ軍の反撃」「占領した領土や拠点の喪失」「偽の前進や占領報告」が登場し、一方的だった状況に変化が観測されている。
この傾向が一年を通して維持されるかどうかは分からないが、2025年の戦場は「過去とは別もの」と認識を改めた方がいいのかもしれない。
追記:RYBARはカミアンスケ・オリヒウ方面について「ロシア軍はピャティハトキからロブコヴェ方向に前進した」「ロシア軍はロブコヴェに南と東から迫っているものの集落の解放については情報がない」「マリ・シェルバキ方向とシェルバキ方向で戦闘が続いており、両拠点の解放に関する情報は控えめに言っても時期尚早」「最も楽観的な報告によればロボティネからノヴォダニリウカ近郊にロシア軍が接近しているというが、これは明らかな成果の誇張似すぎない」と報告。
追記:DEEP STATEは20日夜「ロシア軍がルバンシチナをほぼ占領した」「ロシア軍がゴンチャロフカを占領した」「メロボイがグレーゾーンに入った」「ロシア軍がクリロフカ方向の渓谷で支配地域を広げた」と報告し、RYBARが報告する評価に近くなったが「メロボイ方向の森林地帯」については評価が別れている。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
視覚的証拠の登場によりトレツク市内北部側のウクライナ軍の敗北がほぼ確実となりました。ロシア軍の存在が確認された場所からしてまだ市内北部に残っていたら確実に包囲されているので恐らく撤退しているでしょう。
市内南部もウクライナ側の攻勢はストップしロシア側の反撃映像が出ているので北部と同じく時間の問題だと思われます。
ベルゴロド方面はKa-52攻撃ヘリが車両を粉砕している珍しい映像が出たのでウクライナ側は対空兵器が枯渇しているのは間違いないと思われます。国境付近の森林地帯を占拠したところで空からの猛攻に晒されている状態でこれ以上の前進は難しいでしょう。
情報ありがとうございます。
パトリオット生産が、アメリカから日本に依頼がきたくらいですから、防空ミサイル全般に余裕がないのでしょうね。
スームィ市、スームィ市北側国境・北西国境付近でも、航空攻撃・無人機攻撃を受けていますから、対空兵器持っていく余裕もないのかなと…
攻撃ヘリの活動が可能になっていることからして
逆に現在のベルゴロド侵攻は陽動で別地点からの本格攻勢があるのでは……
とも言われてますね
トレツク、北は何かしらの進展があるようですが南部はどうでしょう
ネリピフカ〜ザリズネ間のポケットが埋まったなら詰みそうですが
まだそうはなってないんですよね?
ベルゴロド戦線、本命の割には対空が疎か
陽動の割には工兵車両が確認されている、とチグハグな印象ですね
本命陽動の両睨みで半端な戦力投入になってしまっているんですかね?
ウクライナの攻撃はどれも戦術的な反撃でしかない
戦線を押し戻せたとはいってもそれでロシア軍の後方連絡線を脅かせているわけでなし、包囲につながるわけでもない
作戦らしきものの存在を感じられたのは唯一ウダチネ正面の突出部に対する両翼包囲を狙う機動だけだ
他は本当にただ戦力が投入されているだけに過ぎず、上位司令部から攻撃のノルマを強いられているだけだろう
なんの戦略性もない攻撃はどうせ長続きしない
クルスクからの撤退も完了しないままベルゴロド西部方面を攻めてる時点で、嫌な意味でも「過去とは別もの」になってしまっているのがなあ。23年の反転攻勢で失敗した“戦力の分散”が、ロシア領侵攻も含めてより間違った方向に悪化した。ウクライナ最大の悪癖だった、「バズるためだけの軍事行動」と絡まって、多方面で無理に動いて、ザポリージャ州などが手薄になっている。
一方的ではない、だけなら23年の反転攻勢中もそうだったが、あの時と同じで政治的稚拙さが戦略の不味さに反映されてる感が拭えない。
個人的にロシア軍の攻勢が停滞してるのは、ウクライナ軍が適応しているというのもあるけど、やはり気候の問題による面が大きいんじゃないかなと。去年2月にはアウディ一イウカも陥落したからこの方面のウクライナ軍は崩れるかと思っていたけど、3月から4月にかけてベルディチ~セメニフカ~ウマンスキー線で予想以上の粘りを見せた。だけど夏季に向かうにつれ進撃速度は上昇し、オチェレティネ陥落、クラスノホリウカ定着、オスキル川に肉薄と多方面でウクライナ軍は後退を余儀なくされた。ただでさえウクライナは去年から多くの人員を損耗しているので、余程の問題がロシア軍に起きていない限り、また5月ぐらいから風向きは変わりそうな予感。
スジャを回復し、既にクルスクの大半を奪還した今現在、ロシア側にとって停戦交渉を進める上で急いで攻めねばならない地区はありませんからね。ある程度の圧力はかけつつ、攻勢とまではせずに様子見というところかなと。
EU首脳会議、ウクライナ支援策で合意できず ハンガリー首相が反対
という記事も出ており、予想通り欧州はまとまれない様子。これで余計に、ロシアに急ぐ理由はなくなりました。長引いたところでウクライナの武器弾薬が容易に補充できる見通しは立っていない。
というよりも、2024年のアウディーイウカの陥落に端を発するロシア軍の攻勢・ウクライナ軍の撤退が異常すぎただけで、一進一退は戦争の常のはずなんですよ
ウクライナ軍自体が崩壊した訳でもなく、支援がどうなるか怪しいですが生産能力もまだ失われていないのですし
異常に慣れてはいけない(戒め)
戦争4年目をむかえて、継戦していくならばその先を見据える必要がでてきます。
停戦交渉を有利に進めるためにも、兵員確保・武器確保していることも見せなければなりません。
ウクライナは、18歳以上を志願兵という形で募集しているわけですが、兵員がどの程度集まっているのか気になります。
(2025.02.12 ウクライナが志願兵の募集開始 18~24歳の若者対象 “最大で年間約730万円の報酬支給” 日テレニュース)
ウクライナ側が“善戦”しても数日後にはそれ以上に押し戻されてるオチばかりじゃん。
ついでに言えば、ロシアは少しでも止まると「苦戦」、ウクライナはちょっとでも反撃すると「善戦」と西側オールドメディアで評価されてきましたからね。だから、ずっとロシアは苦戦して、ウクライナは善戦しているはずなのに、押し込まれる続けるという妙な現実になってしまった。その矛盾を隠すため、ロシアは損失が多くてもう限界~と、2年くらい前からメディアは言っているが、そうなってはいないわけで。
停戦の機運どころか、普通にモスクワやその他ロシアのインフラ施設にドローン空爆したり、ベルゴロド州に越境侵攻したり、ウクライナ側は戦争止める気は更々無いようだけど?
DeepstateやWarmapperで2024年のウクライナの喪失面積見ると
3月が一番少なかったんで、気候の問題も大きいように見えます。
雪解けで移動し辛くなる時期なんでしょうね。
ロシアが目標達成に近づくために最も効率的な手段はウクライナに攻めさせることであるというのが…
今ようやく反撃しても2024で失った部分からするとね・・・。クルスクは本当に鶏肋だった
にゃんこ軍曹殿に敬礼。きりっ。
さて、オスキル川渡河の戦いだが、ロシア側は渡河作戦は苦手としているようだ。ドネツ川の渡河では散々犠牲を出したらしい。ウクライナ軍もドニエプル川東岸への上陸作戦で補給もままならず、追い出された。ロシアの川は一般に西岸が高く、東岸が低く西岸有利と聞いている。ただ、あの場所は、川幅が広く、ドローンの的になるし、川の上流側に陣地はあったものの攻撃支援も少なかったようなので失敗。また、セイム川を背にしたロシア軍を追い詰めることに失敗。ここは川幅も狭く補給がしやすかったし、コレネヴォを守り抜かれたためと思う。オスキル川の場合、川幅はあまり広くなさそうだが、東岸に十分な補給路が確保できているようには見えない。また、どうも川の両岸には湿地が広がっているようで、重装備の移動には不便そう。おそらく主戦場から離れているので、どちらも大きなまとまった戦力がないのではないだろうから。ロシア側もそのため、一時的に占領できてもすぐ逃げ出すとかやっているのでは。逆にクピャンスクが守られているので、その南のウクライナ軍は粘れている。渡河作戦には戦力蓄積が必要だろうけど、ドローンによって丸見えの時代。秘密裡に戦力蓄積は難しかろう。オスキル川の戦い、西岸の足場を拡げてがっちりした橋頭堡ができあがるか。それとも、ウクライナ軍にもぐらたたきされるか。