DEEP STATEはハルキウ州クピャンスク方面について25日ぶりに言及し、20日「今後数週間はクピャンスクの運命を決定づける重要な時期となる」「ウクライナ軍が必要な予備戦力を見つけられなければ敵は決定的な質量の戦力を集結させてしまうだろう」と警告した。
参考:Мапу оновлено
参考:Оновлено ситуацію у Куп’янську — ворогу вдається розширити контроль в центральній частині
参考:Хроника специальной военной операции
参考:Хроника специальной военной операции
参考:На подступах к Константиновке
DEEP STATEとRYBARが報告するコンスタンチノフカ方面1ヶ月分の前進範囲がフリアイポレ方面の例外性をよく物語っている
DEEP STATEはハルキウ州クピャンスク方面について25日ぶりに言及し、20日「ロシア軍がクピャンスク市内の市議会周辺まで支配地域を広げた」「ロシア軍がテレビ塔付近の住宅街に支配地域を広げた」「ロシア軍がクピャンスク駅南の住宅街に支配地域を広げた」と報告、さらにクピャンスク方面の状況について以下のように述べた。
“クピャンスク市内の状況は依然として厳しく、過去4週間に渡って市内に侵入した敵部隊が十分な歩兵を集めてクピャンスク市内の南に前進しようとしている。敵の最終目標はクプヤンシク・ヴズロヴィイ付近にある渡河地点への浸透だ。幸いにも多数のドローンオペレーターがクピャンスクに投入されているため敵の攻勢ペースを減じている。それでも市内には相当数の敵兵士が存在し、市内中心部では安定化作戦が行われている。今後、特殊部隊が何らかの成果を発表するかもしれないが、これらの作戦は襲撃的なもの=敵戦力の集結を阻止して前進を防ぐ質のものだ”
“今後数週間はクピャンスクの運命を決定づける重要な時期となり、ウクライナ軍が状況の安定化に必要な予備戦力を見つけられなければ敵は決定的な質量の戦力を集結させてしまうだろう。因みにクピャンスク市内とは異なり、オスキル川東岸の状況は比較的安定しており、敵はステポワ・ノヴォセリフカ付近の線路沿いに前進しているが、短期的に大きな成功を収めることは難しいだろう。勿論、クピャンスクを保持できたらの話だ”
逆にRYBARは「クピャンスク市内でロシア軍の前進を示す視覚的証拠が登場しているものの全体の状況は戦場の霧に包まれている」「ウクライナ軍は増援を送り込んで市内中心部とオスキル川の渡河地点を守ろうとしている」「しかし東岸地区への本格的な増援投入は見られず橋や舟橋への攻撃で閉じ込められるのを恐れている」と述べて「ロシア軍がステポワ・ノヴォセリフカを占領した」「ロシア軍がピシュチェインを占領した」と報告。
RYBARはクピャンスク方面の展望について「ウクライナ軍にとってピシュチェインの喪失はオスキル川西岸の橋頭堡(クピャンスク市西半分のこと)に暗雲が立ち込めていること意味する」「現在の前進ペースが維持されればロシア軍は近いうちにペトロパブリフカ東郊外に辿り着き、クピャンスク東郊外にとって最後の防衛拠点=ポドリーやクリリフカへの攻撃を開始できるだろう」「この方面の状況はロシア軍有利に展開しており、敵は拠点を失い、渡河地点への継続的な攻撃でオスキル川東岸地区を維持するのが困難になっている」と述べている。
DEEP STATEとRYBARの「クピャンスク市内」と「オスキル川東岸地区」に対する評価がほぼ真逆で、実際の状況にどちらの評価が近いのかは分からないが、どちらも「ロシア軍が東岸地区への渡河地点制圧を狙っている」と言及しており、その辺りの攻防が今後の動きに反映されてくるかもしれない。
ドネツク州コンスタンチノフカ方面は9月22日から約1ヶ月近く様子を見守ってきたが、DEEP STATEとRYBARの評価は全く一致せず戦場の霧がどんどん濃くなっている。
RYBARは9月24日「ロシア軍がコンスタンチノフカ方向に前進した」「ロシア軍がプレデテキネ南郊外に前進した」と、10月7日「ロシア軍がプレシチイフカ方向に支配地域を広げた」「ロシア軍がペトリフカとシュチェルビニフカを占領した」と、10日「ロシア軍がカテリニフカを占領し周辺に支配地域を広げた」「ロシア軍がクレバン・ビクの大部分を占領した」と、17日「ロシア軍が運河を越えて前進した」と、DEEP STATEは10月7日「ロシア軍が運河を越えて前進した」と、20日「ロシア軍がトレツク北郊外で支配地域を広げた」「ロシア軍がビラ・ホラをほぼ占領した」と報告。

出典:93-тя ОМБр Холодний Яр
RYBARは9月11日にクレバン・ビクスキー貯水池の南=ペトリフカとシュチェルビニフカについて「完全に包囲した」「集落に留まっているウクライナ軍兵士は包囲の中に取り残された」と報告したものの、ウクライナメディアやDEEP STATEは両集落の包囲を報告しておらず、RYBARが両集落の占領を報告してもDEEP STATEはグレーゾーンを維持し、カテリニフカを含む貯水池南側の状況も大きく食い違っており、コンスタンチノフカ南郊外も同様だ。
コンスタンチノフカの街は滑空爆弾やドローンの攻撃で徐々に破壊され、少人数のロシア軍兵士があちこちに出没し、Kyiv Independentの取材に応じたウクライナ軍兵士も「ロシア軍は確実にコンスタンチノフカにやって来る」と述べているが、問題は「それがいつになるか」だ。

出典:ЛЮБАРТ XX БрОП
RYBARが報告するほどロシア軍が安定した足場=支配地域を広げているかは何とも言えないが、DEEP STATEとRYBARの評価に大きな食い違いが長期間生じると「何かある」と思った方がいい。
因みにRBC-Ukraineは20日「モスクワが言うほ前線の状況は楽観的なものではない」「ロシア軍は全ての前線で前進しているものの、その範囲は限られ前進コストも極めて高価だ」「ロシア軍が現在の前進ペースを維持できたとしてもドネツク州の完全制圧は2028年以降だ」「この計算には都市攻略にかかる時間やウクライナ軍の反撃を加味していない」「現在のロシア軍は戦争終結に関連した交渉が行われているため『前線での前進』を示さなかればならず、手当たり次第に圧力をかけて『どこかで突破できればそれでいい』と考えている」と指摘した。

出典:Сухопутні війська ЗС України
今回更新したコンスタンチノフカ方面の戦況マップは「ロシア軍が大きく前進している」と見えるかもしれないが、これは1回の報告分ではなく1ヶ月分の報告を一気に反映させたもので、ザポリージャ州フリアイポレ方面では「DEEP STATEとRYBARが報告するコンスタンチノフカ方面1ヶ月分の前進範囲」が1回で報告されることも珍しくなく、如何にフリアイポレ方面が例外かをよく物語っている。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
























ポクロウシクも危ない危ないって言われて未だに陥落してないし、クピャンスクもなんだかんだ言って陥落しないんじゃないですかね。
軽歩兵とドローンだけでこれだけの都市が陥落するとは思えないし、いつもの浸透はしたけど、主力が追随出来てないってやつではないでしょうか。
スジャを巡る戦いで光ファイバー制御のFPVドローンが移動ルートの遮断に成功して、ウクライナ軍をスジャ撤退に追い込んだ大きな要因になったものの、クピャンスク、リマン、シヴェルシク、ポクロウシクで同じ状況が生じていないのはウクライナ軍の適応が進んだためで、ドローン戦争は優位性を左右する技術や戦術の進歩が目まぐるしいため、明日何が起きるのか誰にも予想ができないし、ウクライナ軍と同じようにロシア軍も適応しているためポクロウシクでの反撃が他の戦場で通用するかもわかりません。
モニター越しに観察する人間は戦場で起きたことの原因を調べるぐらいしか出来ないと思ってます。
ポクロフスクはAMKだと半分取られてる
どうせ陥落寸前になって撤退
むしろ敵は歩兵主体のはずなのに何でこんなに攻め込まれてるんだって感じですけどね。
>ウクライナ軍が状況の安定化に必要な予備戦力を見つけられなければ敵は決定的な質量の戦力を集結させてしまうだろう
DEEPSTATEがこう言ってるあたり、クピャンスク西市内においてウクライナ軍の兵力が足りてないように思えますが。
今頃クピャンスクに言及するのかという思いですね
東西両翼をロシアに包囲された状態から多少北に押し返したようですが、西岸側ほとんどの領域を獲られた情況では目覚ましい展開は無いと思います
明日にもP-07の向こうに押し出されても驚きません
ポクロウシクでは北側のロシア突出部を一気に後退させていて、ここからロディンスク近郊まで南下出来るのではという期待を持たせます
最近のDEEP STATEは情報遅すぎる気がします
犬の眼が、主人の兵士に対する尊敬に満ちすぎている……
このサイトではよく犬や猫や時にはアライグマが、出てきますが、アライグマや軍用犬はともかく、小型犬や猫は、わざわざ戦場に連れていくはずもなく、住民が置き去りにせざるを得なかったペットを現地部隊の人が面倒見ているんでしょうね。
猫はネズミ目当てで塹壕とかに勝手に棲みついているイメージある…
本当に、ジワジワという感じですね。
ウクライナ軍の長距離攻撃に、アメリカの情報提供が役立っているという話がありました。
(表に出ないと思いますが)アメリカが、彼我の戦力をベースにして、どのように分析しているのか少し気になりますね。
パイプラインを通ってきた歩兵ごときにクピャンスク市内がここまで浸食されるもんなんですかね。
ウクライナ軍はオスキル川東岸地域に戦力を集中させていてクピャンスク西市内の兵力は手薄だったのでしょうか?
それにしても攻撃を食らい続けてるにしても建物もある市街が食い込まれているのは何かありそうなのですが。
やはり強固な陣地を作られてしまっているのでしょうか。
クピャンスクはもう今後数週間かけて制圧するのでは無く、今後数週間かけてオスキル川の東岸を掃討する段階じゃない?
パッと見は半包囲してるように見えるけど範囲広すぎです。
コンスタンチノフカ南の貯水地周辺が包囲されて2ヶ月になるけれど、この要害もロクに無い狭い場所ですら残留ウクライナ軍は粘っています。
ドローンやUGVの支援を受けながら通信妨害も受けず持久戦に耐える先進国並み(それ以上?)の訓練された軍隊とかちょっと戦いぶり想像できないですけど、籠城戦や陣地奪取のようにはっきりした標的を定めらない攻撃側が力押しでなんとかするのが難しいと思います。
向こうのミリ系発信見てるといろんな珍兵器が投入されてるようですし。
包囲と封鎖がイコールになっていない情況では時間を覚悟した側を屈服させるのは骨だと思います。