多くの人は「ロシアがNATOを攻撃するかもしれない」という懸念について「馬鹿げてる」と考えるかもしれないが、欧米当局者が懸念しているのは「NATO第5条の有効性を試すための攻撃」で、ウクライナとの戦いで突破口を開くには「欧州支援」を止める必要があり、この懸念は当局者間でますます高まっている。
参考:Putin cannot defeat NATO but he could divide and discredit the alliance
ロシアがNATO加盟国を攻撃するかもしれないという懸念を「ロシアがNATOと全面戦争を開始する」と解釈すれば見方を誤る
多くの人は「ロシアがNATO加盟国を攻撃するかもしれない」という懸念について「ウクライナと戦争中のロシアがNATOに侵攻するなんて馬鹿げてる」と考えるかもしれないが、欧米当局者が懸念しているのは「ロシアがNATO加盟国に侵攻している全面戦争」ではなく「NATOの基盤=第5条の有効性を試すための攻撃」で、ロシア人系住民の保護など曖昧な問題で特定地域の対立を煽り、判断や立場が分かれそうな小規模な衝突からエスカレーションを誘い、西欧と東欧の認識や危機感の違いを突いて加盟国間を分断し「第5条が役に立たない」と証明することだ。

出典:NATO
もっと分かりやすく言えば「曖昧で判断や立場が分かれそうな部分を攻撃して団結されると厄介なNATOをバラバラにする」「欧州全体をロシアへの危機感が異なるグループ毎に安全保障体制を再編させる」「再編されたNATOよりも小さなグループは相対的に戦力と能力の規模が小さくなる」「結果的にロシアの影響が強くなり干渉しやすくなる世界が出来上がる」という意味で、NATO作戦担当事務次長を務めるトーマス・ゴフス氏も2025年3月「ロシアがNATOの構造的欠陥に付け込んでいる」と指摘してる。
“NATOの集団行動は「認識の共有」という土台の上に成り立っており、これを達成するには実際の作業が必要だ。加盟国は2014年に同じ写真を見て「大規模なロシア軍がクリミアにいる」とか「少数のロシア軍がクリミアに入っただけ」と異なる認識を示し、加盟国間で共通認識が形成されなかったためNATOは何も行動できなかった。2022年は米国による情報共有があったため2014年とは異なる対応になった”

出典:Anton Holoborodko/CC BY-SA 3.0 ロシアがクリミア占領に投入したLittle green men
“プーチンを刺激するのは「何をするかではなく何をしないか」で、この教訓を我々は2014年の時に学ぶべきだった。プーチンは戦略家ではなく日和見主義者で、何度かドアを押してみて何の反応もなければ家の中に入ってくる。プーチンは2014年に「武力を行使しても重大な事態は起こらない」と学び、これが2022年の侵攻を招いた要因だ。彼自身の言葉を借りればプーチンは「新しい世界秩序の形成に向けて和解不可能で深刻な闘争が繰り広げられている」と考えている”
“我々は戦略的対立の中にいる。オーストラリアの友人たちも「インド太平洋地域における習近平のダイナミックな動き」に同じものを見ているだろう。プーチンは戦略的対決で勝利するため「平和時に危機と紛争を利用する」と明言している。従来の認識では平和→危機→紛争は段階的に発展していくものだが、現在では各段階の境界が曖昧で良くわからないうちに進んでいく。ルッテ事務総長もNATOが置かれた状態について「戦争状態ではないものの平和状態でもない」と述べたことがある”

出典:NATO
乱暴な言い方をすれば「民主主義国家を守る」「ロシア系住民を保護する」といった名分を「正義」と称しているが、これは戦略的対決の口実や火種を正当化するための政治的レトリックでしかなく、これをもっともらしく見せ「敵の正義」を毀損させるのが情報空間の戦いとなり、NATO最大の弱点は「加盟間で状況認識が共有できないと集団行動が機能しない」「最大の潜在的脅威=ロシアへの危機感が東欧と西欧でギャップがある」「加盟国の数だけ異なる正義や政治的レトリックがある」という点だ。
日本人にとって身近な話に例えるなら、日本と米国は尖閣諸島付近で中国漁船と海上保安庁と衝突して自国民保護の名目で中国海軍が出てきた場合「中国が日本の主権を侵害した」という認識を共有できるのか、自国民保護の名目で中国海軍の艦艇が海上保安庁と小規模な衝突に発展した場合「日本の施政下における武力攻撃」という認識を共有できるのかを試し、米国が「ちょっとした衝突で第5条=共同防衛を発動するのは大げさだ」と言い出せば「第5条発動の条件について日米間で認識の共有がないか温度差がある」となる。

出典:首相官邸
そして事態の判断で日米が右往左往している間に状況は急速にエスカレートして中国軍が尖閣諸島に上陸してしまい、日本は武力による即時奪還を主張するものの、米国が中国と直接衝突することを避けて「ひとまず対話で状況の収拾を」と言い出せばクリミアの二の舞いが出来上がり、日本を含む東アジアの国々に「米国が提供する安全保障は機能しない」と実証して見せることで地域の安全保障体制を再編させて「中国の影響が強くなり干渉しやすくなる世界」が誕生するという脈略だ。
ジョン・ラトクリフCIA長官が8月下旬にモスクワを訪問したのは「NATOの結束を試そうとするな」と警告するためで、米シンクタンクのアトランティック・カウンシルも3日「欧州に対するロシアの攻撃的な行動を示す証拠が十分に存在するにもかかわらず、多くの観察者はプーチンがNATOを攻撃するという主張に依然として強い懐疑的な見方を崩していない。懐疑派はウクライナにおけるロシア軍の苦戦ぶりを挙げ、ロシアよりも遥かに巨大で強力なNATOと対峙する余力がない証左であると指摘している。この主張は間違ってはいないもののロシアの意図を根本的に読み違えている」と指摘した。

出典:Bundeswehr
“仮にプーチンがNATOへの攻撃を決断したとしても、その目的は実際にNATOを打倒することではなく、加盟国を分断して威信を失墜させることにある。極めて重要な点はプーチンが今日の極めて不安定な地政学的環境を「ロシアにとって西側諸国を分断し、ウクライナでの勝利を収めるための千載一遇の好機」と捉えている可能性があることだ。プーチンは2022年以降、ウクライナにおけるロシア軍の戦果を誇張することで悪名高くなっている。一方で彼は完全な妄想家というわけではなく通常戦においてロシアがNATOに勝利するなど現実的には到底望めないことを熟知している”
“したがって、NATOに対するロシアの攻撃が行われるとすれば同盟国間の分断を深刻化させ、その政治的決意の欠如を露呈させることを目的とする小規模なものになるだろう。このシナリオにおいてロシア軍は「ロシア系住民の保護」を口実としてNATOの東部側面のどこかで越境侵攻を仕掛けるだろう。そしてロシアはNATOがいかに反応するかを試すのだ。仮に加盟国が軍事的対応で合意に至らず、ウクライナへの対応と同じ「エスカレーションへの恐怖」によって機能不全に陥った場合、NATOの集団安全保障に対するコミットメントの信頼性は完全に崩壊する”

出典:Единая Россия
“そうなればプーチンは欧州の安全保障上の不安に乗じ、各加盟国に対して個別にウクライナ支援から手を引くよう圧力をかけることが可能になる。多くの西側オブザーバーにとって「ロシアによるNATO攻撃という発想自体が荒唐無稽なものに映っているが、プーチンの立場からすればぞっとするほど現実味を帯びてくる。ロシアの独裁者はウクライナ侵攻にすべてを賭けたものの、欧州の安全圏から支援を受けるウクライナに対して戦場で決定的な突破口を開けずにいる。そのため勝利を手にするためには「欧州からの支援」という生命線を断ち切らなければならないのだ”
“NATOを分断して威信を失墜させることは「ウクライナでの勝利」という目標に向けた大きな一歩となる可能性を秘めている。これまでの経験から見てもプーチンにとって「ロシアのいかなる攻撃に対してもNATOが強硬な対応を取る」と想定する理由はほぼ皆無だ。むしろ西側の指導者たちが2008年のジョージア侵攻、2014年のクリミア併合、そして2022年の全面侵攻の際に見せたのと同じような「声高な抗議と生ぬるい反対」に終始することを見込んでいるはずだ”

出典:The White House
“西側諸国の足並みの乱れを示す証拠もプーチンを勢いづかせている可能性がある。米国はイランへの対応に追われ、さらに中東紛争の取り扱いを巡る意見の相違によりトランプ政権と欧州の同盟国との間に存在していた緊張はさらに深まっている。このような環境下において危機の瞬間にNATOが結束を欠く事態を想像するのは容易い。欧州もまた自国を防衛する体制が整っていない。欧州の指導者たちは現在、数十年にわたる防衛部門の軽視を覆そうと奔走しており、最近になって大規模な再軍備計画に乗り出した”
“このプロセスは最終的に欧州大陸の安全保障体制を変革することになるだろうが、完了までには数年を要する可能性があり、プーチンが付け込みたくなるような「脆弱性の隙」を生み出している。だからといってロシアによるNATO攻撃が切迫している、あるいは不可避であるというわけではない。現状ではウクライナを空爆で屈服させようと試みる一方で、欧州に対するグレーゾーンでの攻撃キャンペーンを継続する可能性の方がはるかに高い”

出典:Ministerstwo Obrony Narodowej
“とはいえ、ロシアとNATOの間の危険なエスカレーションのリスクは今や極めて現実的なものであり過小評価すべきではない。この脅威に対抗する最善の策は西側の弱さを突くようなギャンブルに出れば「全てを失うリスクがある」とプーチンに確信させることで、それを実現するには「欠落している相応の抑止力」が必要となる”
EUはウクライナに対する無利子融資900億ユーロ(財政援助300億ユーロ+防衛・軍事援助600億ユーロ)を2025年12月に承認、ハンガリーのオルバン首相は2026年分(450億ユーロ)の援助実行を妨害し続けてきたものの、今年4月の選挙で勝利したマジャル首相はウクライナ向けの資金援助を承認したため、2026年分の財政援助150億ユーロと防衛・軍事援助300億ユーロが段階的にウクライナへ到着し始めており、この資金を活用して6月30日にグリペンE購入に関する正式な協定も締結した。

出典:President of Ukraine
トルコで開催されたNATO首脳会談の共同宣言にも事前の報道通り「加盟国はウクライナに対する2026年の軍事装備品、支援、訓練に700億ユーロの拠出を約束し、2027年も同等の水準を維持するというコミットメントを確約する」と盛り込まれ、米国を除く31の加盟国は2026年と2027年の軍事援助として計1,400億ユーロをウクライナに提供し、この1,400億ユーロにはEUの防衛・軍事援助600億ユーロが含まれているため「31の加盟国はEU支援と別に800億ユーロを各自の国家予算から拠出する」という意味だ。
ロシアは2026年に14.9兆ルーブル=約1,688億ユーロ(GDP比6.3%)を国防支出として拠出予定だが、ロシア軍はウクライナ侵攻に全戦力を割くわけにはいかず、ウクライナとの消耗戦に不向きなハイエンドの装備品開発や調達にも資金を割く必要があり、核抑止能力の維持や拡張にも大金を注ぎ込まなければならない。

出典:European Union
米国を除く31の加盟国が800億ユーロを満額供給できるかも不明だが、それでも2027年までの2年間に計1,400億ユーロ=約26兆円が軍事援助としてウクライナに流れ込むことになり、オルバン首相を失ったことでEUやNATOのウクライナ支援に干渉する手段が無くなってしまい、ロシアはウクライナ侵攻に割ける資金力の戦いで圧倒され始めている。
その影響は特に「ほぼ静止しているように見える前線での前進」と「自爆型無人機による長距離攻撃の規模逆転」に現れており、ロシアは欧州の支援を止めない限り戦場での突破口を開くのが難しくなっている。ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARも「ウクライナ軍の無人機が間もなく枯渇するという見立ては楽観的過ぎる」「EUからの資金が流れ込んでいる状況において持久戦で耐え抜くというのは到底不可能だ」と指摘した。

出典:Fire Point
“EUはウクライナのニーズを満たす金融支援(2年分900億ユーロの融資パッケージ)の一環として「無人機調達」を目的とする39億ユーロの新たなトランシェが送金された。ウクライナにとって欧州の資金がなければ社会保障費の支払いも、ドローン計画を含む軍産複合体への安定した資金供給も維持できなかっただろう。逆説的に言えばEUは当面の間、ウクライナの体制維持だけでなく軍事行動の継続も保証しているのだ。ここから作戦立案における重要な結論が導き出される”
“ウクライナ軍の無人機と資源が間もなく枯渇するという見立ては楽観的過ぎるのだ。これほどの信用枠とドローン専用の資金パッケージが割り当てられている状況において「持久戦で耐え抜く」というのは到底不可能だ。したがって「敵の備蓄が枯渇するのを待つ」のではなく、ウクライナの重要インフラの主要要素を継続的に無力化していくことに重点を置くべきだ。たとえ新たな資金が投入されたとしても兵站や産業への損害を補填することが困難になるような打撃を与えなければならない”

出典:Mil.ru/CC BY 4.0
ロシアは迎撃ミサイルの不足を利用して弾道ミサイルの使用を増やしてウクライナに圧力を加えているが、弾道ミサイルの供給量はウクライナに決定的な打撃を与えるには量が全く足りず、弾道ミサイルの優位性も自爆型無人機による長距離攻撃能力と同じように資金と時間によって失われるため、戦場以外でウクライナを追い詰める「何か」が必要になり、ロシアがNATO加盟国を攻撃してゲームのルールを変えてくることは十分ありえる話だ。
しかも欧州は巨額の資金を投じた再軍備計画を進めている最中で、2030年代に入ると再軍備計画の効果=ロシアを圧倒する通常戦力増強が登場し始めるため、プーチンが付け込める「脆弱性の隙」は時間が経てば経つほど小さくなってしまう。

出典:Президента России
だからこそ2027年~2029年の間が極めてリスクの高い不安定な状況となり欧米当局者が警戒しているのだ。とにかく「ロシアがNATO加盟国を攻撃するかもしれない」という懸念を「ロシアがNATOと全面戦争を開始する」と解釈すれば見方を誤るので注意しなければならない。
ちなみにロシアはドンバスを完全占領すればプーチン大統領が掲げた最低条件を自力で達成できるものの、テレビゲームではないので「ドンバスを手に入れたので停戦しよう」と持ちかけてもウクライナが応じる可能性は低く、どちらかの政治的意思が折れるか、これ以上の戦争継続は不可能と社会が自覚するまで戦いは止まらないため、ウクライナもロシアも戦争継続に不可欠な資金の流入を遮断しようとしているのだ。
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※アイキャッチ画像の出典:Президента России





















そりゃ可能性としてはあるだろうが、このタイミングでこの話がでてくるのは「自国の防御を優先しなければならない=ウクライナへの支援を減らしても良い」という口実を共有したいのでは?
緑の人たちがドンバス地方に出現してからずーーーーーーっと目の前にあった問題でしょ
そりゃ「ロシアに先制攻撃してもらって正々堂々と全面戦争に持ちこめば圧倒的勝利出来る」という妄想を垂れ流してるだけとは口が裂けても言えませんから支援減らしの口実くらいは言うでしょうね
ただトランプ大統領がウクライナ支援を行うヨーロッパ諸国に今までアメリカが無償で提供してきた弾薬の費用を全て負担しろと要求するつもりだというニュースがありましたから、ロシアが何もしなくてもヨーロッパ諸国やアメリカによる支援は減りそうですね。
A国との戦争で行き詰まったから、遥かに強大なB国との別の戦争おっぱじめる国。普通にあります。ソースは本邦
全面戦争を行うと考えると読み間違えると記事に書かれたところでは
相手が自分たちの想定通りに反応するとは限らないのでは。
何もしないことが刺激になるは響いた
どんなに高性能な武器並べても、撃たないだろうと思われたら実力行使のハードルは下がるよね
逆に装備が貧弱でも、攻めれば頑強な抵抗の怖れを感じさせればハードルはグッと上がる
日本の場合、1番なのはやっぱり憲法を改正して、自衛隊を軍にし、領土防衛の反撃の意思を明記するのが一番平和でローコストなんだろうね
名前だけ変えたところで結局は国民の意識次第では?とは思いますけどね
名前を自衛隊から日本軍に変えて政治家や一部の国民が威勢のいい事を主張しても、大部分の国民が領土防衛に積極的に関与する意思がなければ何の意味も無いでしょうから。
自衛隊が軍じゃないと思ってるのは日本人だけです
また専守防衛が日本固有の思想だと思ってるのも日本人だけです
弾を撃ち合うだけが戦争じゃないしな。相手国の厄介そうな政治家のスキャンダルを事実の有無に関わらずバラ撒くだけでも、状況次第では効果はあるし。
良くも悪くもトランプには効かんだろうが
トランプはむしろNATOにとってある意味最大の不安要素で、スキャンダルなど流さなくても放っておけば勝手にNATOを瓦解させる事もあり得なくはないかと。
日本の過去で考えれば、『援蒋ルート遮断』この文脈でしょうかね?
日本が南部仏印への進駐を軽く見て、進駐の伝達→日本の外貨準備を凍結→南部仏印進駐→石油の禁輸→…真珠湾攻撃へと突き進んだわけで。
ウクライナ戦争は地上戦が膠着している中で、モスクワ攻撃などが成功しているわけですが、ロシアが欧州支援を止めるために過激な策を取らない事を願っています。
まぁバルト三国やフィンランドに少数での攻撃があっても、NATOの全会一致はならんだろうな。
NATOの実効性にデカい疑問符が付くわけだ。
確かにバルト三国独自でどうにかできる位の小規模攻撃ぐらいならありえるかな?
日米同盟の場合は逆になるかもね
国益を守りたいアメリカが日中間の争いに介入しようとするけど
ことなかれ主義の日本が、見て見ぬ振りして手遅れになる展開
それはないでしょ
ドイツの空港でのドローン攻撃未遂といいグレーゾーン攻撃はもう始まってる可能性すらあるでしょうね。
流石に80年前の我が国みたいに全力で殴りかかるとは思えませんが······
ロシアとしては、ヨーロッパ各国に小規模な攻撃を仕掛けて、ウクライナ支援体制を混乱させることしか打てる手がないのでしょう
「NATO第5条の有効性を試すための攻撃」であるからには少なくとも第5条発動の要件を満たすレベルである事が必要な訳ですが、自分としてはこれが現実に起こり得るかといえば本文中の「多くの人」と同じ考えですね。
確かに欧米当局者自身が第5条の有効性について不安を抱えていて「彼らはこう動くかも知れない」と考えるのはさほど不思議はありませんが、当のロシア視点で同じように考えるかはきわめて疑問です。単に第5条の有効性を試すためだけの攻撃は上手く行かなかった場合のデメリットがあまりにも大きく、実際にやるとすればイラン攻撃時のトランプと同じく初手で失敗した場合のプランBを全く考えない、つまり「本当にNATO第5条が発動したらどうするのか」について何も考えない場合に限られるでしょうね。
余程追い詰められた状況でないと失敗すれば国を滅ぼしかねない賭けに出る事はないと思いますが、今のロシア指導層にそこまで追い詰められているという認識があるかも(色々な意味で)疑問です。
なお欧米当局者の視点に立てば最悪のシナリオを想定して備えるという事でもあるため、彼らが間違っているとか愚かであるなどとも思いませんが。
ウクライナ支援を滞らせればいいだけだから、5条の条件を満たすレベルである必要はないのでは?
強くて2014年のウクライナでやったようなハイブリッド戦、弱くて民間施設等で多数の爆弾が見つかるだけのような事案で「ウクライナ支援を続ける限りこれが続くのか」と思わせれば十分かと
それって誰がやったかは明らかなんですよね。
ロシア側の思惑ってNATOが低強度の工作・攻撃に対して碌な対応が出来なくて、加盟国に分断や不信感が生まれる”だろう”が前提の作戦になるんですよね。この”だろう”が前提の作戦って上手くいかないのは歴史が証明していて、直近だとアメリカのイラク攻撃がまさにそれです。
工作や攻撃の結果、NATO加盟国の国民が「こんな戦争に付き合うな」になるか、「ロシアいい加減にしろ」になるかは全くの未知数で、結果ウクライナ支援の軍事的強度をさらに上げる、またはNATO独自の軍事力の行使という可能性もあるわけです。
NATOが軍事オプションを選択した場合、止める手段は核使用をチラつかせるしか無いわけで、ロシアがそこまでのエスカレーションを覚悟してるのかは、甚だ疑問です。
NATO側が不安に感じてる時点で情報戦として効果があると思いますが。ロシアがなんらかの実力行使を行うにはハードルがいくつもあると思います。
まぁ、みんながやらんだろうと思っていても起こるのが戦争なので絶対無いとは言えませんが。
NATOを試すハードルはいくつもあり高さもあるにしても、ウクライナという後門の狼をどうするか
このままウクライナと5年戦い続けても終わる見込みはないけど、EU/NATOの支援が切れれば1年で終わると踏めばダメ元でやるぶんにはハードルは十二分に下がるんじゃないかなって思うところ
単純化すると
・ウクライナとこのまま戦い続ける
・NATOを試して強固な結束を確認 → ウクライナ支援が少し手厚くなったとしても大枠では現状とかわりなし
・NATOを試した結果ウクライナ支援停滞 → もっけもん
こんな感じで、どうなっても損しないとなる
(NATOが返す刃でロシアに侵攻するような実力行使はしないかぎり)
各国で台頭している右翼勢力は自国民第一主義であって、今はそれが不法移民に向いてるけど、すごく簡単に同じNATOやEUの他国民に向かうだろうね。
なんで俺たちの血と税金で言葉も通じないノルウェーなんて支援しなきゃいけないんだって。
自己中心的に肥え太ったドイツやフランスがロシアと向かい合ってる国に地上軍を出すとか想像もつかないんだよなぁ。
ロシアの思惑は理解出来ましたが、何もかもプーチンの思い通りになってないのがウクライナ戦争。逆にNATO過剰反応引き出した場合どうするんですかね。
核で脅して収拾を図るんでしょうけど、その間に巡航ミサイルやら空爆やら散々やられたら目も当てられない状況なります。まさに藪蛇ですね。
ロシアはNATOを一発殴って黙らせろと思ってるでしょうが、NATOだって二度と殴って来ないように強烈に殴り返せとならない理屈はないですからね。
(NATOの団結が揺らいでバラバラになるぐらいならある程度の反撃はしろってのは一定の合理性はあると思います)
NATOの権威失墜をトリガーにトルコとギリシャが全面衝突とかならんよな?
失敗=核保有国同士の世界大戦
NATO第5条を試すんならウクライナ上空でEMP攻撃くらいが丁度いい気がする
まあロシアがエストニアの地方都市を占領したからといって、アメリカやトルコ、独仏西伊が地上軍出してくれるかって言うとかなり怪しいとは思うが、少なくともポーランドやバルト三国や北欧は全力で反撃してくるわけじゃん。
このあたりが組むだけで、もうロシア絶対に勝てないよね。
そういうわかりやすい戦争行為じゃなく、現地ロシア系住民の暴動・蜂起(なぜかロシアの最新装備を用いる集団も混ざってる)みたいな形になるんじゃないかな
普通に考えたらNATO動きようがないよねっていう形で揺さぶって「NATO動いてくれないよ? 内紛まだ続けるの? EUのウクライナ支援に反対してくれるならロシア系住民の説得に動く用意があるよ?」って。そしてエストニア支援に動こうとする周辺の国には「いいのかなぁ? おたくの国にも自国民よりウクライナ支援を優先してることに不満もってる国民大勢いると思うけどなぁ… おっ、空港や国会議事堂周辺で爆弾詰んだトラックが発見された? 誰がやったのかなぁ? よそにかまってる余裕あるのかなぁ? ウクライナ支援やめちゃえば?」でじわりと
あの、そういう理屈が北欧や東欧で通用するのは、2014年以前だけなんで…。
NATOって単位で動かなくても、北欧、東欧は覚悟決めて軍拡やってますし、そういうシナリオの想定・対策もすでに進めてますから、普通に総軍投入して来ますよ。
フランスやドイツなら日和るかもしれないですけど、あのあたりに独立運動できるだけのまとまった数のロシア系住民いないですし。
外野にやいのやいの言われながらも対処すすめてるからね
>NATOって単位で動かなくても、北欧、東欧は覚悟決めて軍拡やってますし
これがまさにNATO 第5条を試すということなのでは
ポーランドやバルト三国や北欧は全力で反撃してくるわけじゃん。
このあたりが組むだけで、もうロシア絶対に勝てないよね。
人口4千万近いポーランドはともかく、北欧もバルト三国も人口数百万の小国、スウェーデンだけ1千万くらい。ここらが組んでロシアが優勢と思います。
NATOの懸念が現実化したならば。
欧州(≒NATO)とウクライナで連携した反撃をするべきでは?、と思ったり。
ウクライナが反撃をするなら、全く問題?は無いような?。
そして、ロシア期待の欧州とウクライナの分断も、多分、起きないだろうし?。
例えば、バルト三国に手を出してきた時に、クリミアに上陸作戦をするとか?。
クリミアは、現在、ロシアの国力を削ぐ場所になっているけれど、
その路線を更に進めておいて、クリミアの弱体化を進めておくべきでは?。
そして、上陸作戦の準備を推めておくべきでは?、と思ったり(笑)。
「ここで即戦争になるようなら馬鹿ならロシアの大統領なんてやっていない。奴はここで線を引いたんだ」
「NATOは第5条を発動しなかった。まだ戦争じゃないとな」
「つまりこれくらいの戦闘ならNATOは第5条を発動できない。今のをとらなかったんだから」
「これでプーチンは戦争の境界線を引いたんだ」
管理人様
自分にとってはロシアがNATOを攻撃する理由が不明だったのですが、なるほどと思いました。ありがとうございます。
誤解されてる方が多いようですが、この記事の内容は「「プーチンはこう考えてるに違いない」と欧米の識者が考えている」というお話です
かっこよく言えば行動科学的分析、悪く言えば被害妄想です
欧州のムーブについて常々思うのは、妄想のプーチンを勝手に警戒し、勝手に妄想の戦線を形成し、勝手に二正面作戦をやっちゃってるということです
NATO諸国は腹を括り、自国の防備を切り崩してでもウクライナの支援に集中するべきではないでしょうか(ウクライナに勝って欲しい気があるなら、ですが)
NATOが自分たちの防御に気を取られるほど、ウクライナへの支援が減り、プーチンが得をする..
むしろこの記事の識者の言動こそプーチンの認知戦の成果なのではありませんか?
「相手はこうするに違いない」と見込んで動くならそうかもしれませんが「こうするかもしれない」」と見込んで動くのはリスク管理として当然でしょう。
逆にそれを考えず自国の防備を切り崩してしまうのは危険です。
継戦能力においてきわめて重要なポジションにいるナビウリナ女史の次の一手が気になる