ウクライナ戦況

スームィ方面の状況は一進一退、ロシアでも寄付の集まりが悪くなる

DEEP STATEはスームィ方面について「ウクライナ軍はキンドラティフカから敵を押し戻し、ロシア軍はユナキフカ方向で支配地域を広げた」と報告、ロシア人ミルブロガーは「寄付の集まりが悪い」「戦争に疲れているのは分かっているが寄付の呼びかけを無視しないで欲しい」と呼びかけている。

参考:Мапу оновлено

ウクライナ軍がキンドラティフカ方向に予備戦力を投入しているのは「森林地帯で保護されていないホーティン方向への突破」を阻止するためだろう

ゼレンスキー大統領はクルスク・スームィ方面について6月14日「ウクライナ軍がアンドリイフカを奪還した」と、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARも19日「ウクライナ軍が十分な予備戦力を用意して反撃を開始した」と、シルシキー総司令官も26日「スームィの国境地帯でロシア軍の前進を阻止して前線が安定した」と、ウクライナ人が運営する情報分析グループ=DEEP STATEは22日「ウクライナ軍がアンドリイフカを奪還して左側面の安定化に成功した」と報告。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

RYBARは7月9日「ウクライナ軍が大兵力を投入してコスティアンティ二フカとキンドラティフカの間の防衛ラインを突破した」「ウクライナ軍がアンドリイフカ方向で反撃してロシア軍を集落から追い払った」と、13日夜「キンドラティフカ付近で激しい戦闘が続いている」「ウクライナ軍がキンドラティフカ集落内に侵入してきた」と報告、視覚的にもロシア空軍機がキンドラティフカ集落内=を空爆する様子が登場し、DEEP STATEも21日「ウクライナ軍がキンドラティフカ集落内からロシア軍を押し戻した」と報告したが、まだ集落を奪還したとは評価していない。

但し、DEEP STATEはユナキフカ方向について18日「ロシア軍がユナキフカ方向のH-07を越えて支配地域を広げた」「ロシア軍がヤブルニフカを占領した」と報告し、スームィ方面は一進一退の状況が続いている。

出典:Сухопутні війська ЗС України

スームィの北と東は広大な森林地帯に守られており、ロシア軍もリマン方面やクピャンスク方面の広大な森林地帯の突破に失敗しているため、もしロシア軍がスームィに向かうなら「広大な森林地帯の突破」ではなく「西への迂回」を選択する可能性が高く、ウクライナ軍がユナキフカ方向ではなくキンドラティフカ方向に予備戦力を投入しているのは「森林地帯で保護されていないホーティン方向への突破」を阻止するためだろう。

DEEP STATEはクピャンスク方面オスキル川沿いについて19日「ロシア軍がミロヴ西郊外の森林地帯からカト二ェ方向に前進した」と報告、この方向の作戦は国境沿いの集落=ミロヴに国旗を掲げるだけで終わっていないが、ボルチャンスク方向の背後を突くのか、オスキル川西岸の背後を突くのか、ミロヴ周辺に緩衝地帯を創設するだけなのは不明だ。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

どちらにしてもスームィ方面やクピャンスク方面オスキル川沿いは夏季攻勢の本命ではないので、ウクライナ軍をドネツク方面に集中させない牽制的な意味合いが強いのかもしれない。

DEEP STATEはシヴェルシク方面について20日「ロシア軍がヴェルフノカミャンスケ南郊外で支配地域を広げた」「イヴァノ・ダリウカがグレーゾーンに収まった」と報告、この方向のロシア軍はビロホリウカから南の前線を2年以上の歳月をかけて5kmほど前進させた格好だ。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

攻撃の方向には優先順位があるため、他の前線とシヴェルシク方面を前進距離で比較するのは酷な話だが、当事者のロシア人がシヴェルシク方面の進展具合を酷評しているため、現在の結果が褒められたものでないのは確実だ。

因みにウクライナ側でもロシア側でも「政府供給でカバーできないニーズ」を何とかするため、有名部隊や有力ミルブロガーが寄付を募っており、ウクライナ側では2023年末までに「寄付の減少」が指摘されていたものの、ロシア側でも同じように寄付の集まりが悪くなっている。

Telegram上の登録者数でRYBARと同規模のАРХАНГЕЛ СПЕЦНАЗАも精力的に寄付を集めてきたが、最近は頻繁に「皆さんが寄付に疲れているのは分かっている。このチャンネルのアプティブ率も低下しており、多くの人々が戦争への関心を失っているが、塹壕で戦っている兵士も同じように疲れている。兵士の命が大切だと思うなら寄付の呼びかけを無視しないで欲しい。皆さんの支援がなければ目標額の達成は不可能だ」と訴えており、遂に「寄付の集まりが悪い」とハッキリ言い始めた。

АРХАНГЕЛ СПЕЦНАЗАは20日「空挺部隊を支援するの必要な額は1,220万ルーブル(目標は1,950万ルーブル)だが寄付の集まりが悪い。金額が大きいことは理解しているものの、今日までに集まった金額では2部隊にしか支援を届けられない」と訴えている。

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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

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コメント

  • コメント (18)

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    • kitty
    • 2025年 7月 21日

    日本でも鍋釜などの鉄製品を供出したり寄付金で零戦を納入したりしてましたけどね。
    中国はドローン部品でどれだけ儲けているんだろう。

    16
      • p-tra
      • 2025年 7月 21日

      まあDjiらへんはクソほど儲かってるだろうね。
      ウクライナは中国製ドローンから脱却したとしばらく前に言っていたが…
      中国製の部品を使っていない(とされている)モデルを主力にすると発表した
      だけで、末端まで行き届いているとは思えない。
      民生ドローンの寄付とか普通に今でもやってるしね。
      ただトヨタのハイラックスとかも使われてるので(あと中国のバギー)トヨタとかも
      戦争でまあまあ儲かってそうだが…
      ただ中国全体で見たら流通コストその他↑で損した分が大きいんじゃないのと思う。
      流石にドローンの市場なんて製造業全体の一部だろうし。

      2
    • Mr.R
    • 2025年 7月 21日

    だから隣組が必要なんですね(メガトン構文)

    14
      • ポンポコ
      • 2025年 7月 21日

      隣組ですか。面白い視点ですね。

      個人的に知る範囲なんですが、ロシアの寄付はネットの寄付に近く、ウクライナの寄付は隣組の寄付に近いかもしれません。

      ウクライナの一般の旅団は郷土編成で、しかも編成地からの補給が大きいのですね。ドローンなんかもそうで、後背都市が豊かだと補給が豊かなんですね。

      ウクライナ軍は、もともとは郷土部隊としての団結は割に強いのですね。各大学や団体にも戦争前から軍事組織があるし、意外と軍事国家的な底力はあるのですね。今は兵士不足になっていますが。

      4
      • Mr.R
      • 2025年 7月 21日

      追記:21日の空襲の結果(ウクライナ空軍発表)

      21日空軍レポート

      ・Х-47 5発撃墜/5発発射
      ・カリブル 4発撃墜/4発発射
      ・イスカンデルK 1発撃墜/1発発射
      ・Х-101 14発撃墜/14発発射
      ・シャヘド+α 200機撃墜/203機電子戦で無力化426機発射

      2
    • 名無しさん
    • 2025年 7月 21日

    両軍とも寄付制度があるから偽りの戦果で注目されようとする土壌が生まれるんだよ

    25
      • paxai
      • 2025年 7月 21日

      その点ルビコンは寄付募ってる所を見た事ないな。噂じゃベロウソフの潤沢な支援があるらしいが。
      寄付総額で言うとどっちが多いんだろうね?海外からの寄付も多そうなウクライナと単純に大きいロシア    

      7
    • 懐中電灯
    • 2025年 7月 21日

    素人質問ですいません。
    ポクロウシクがもし陥落したらロシア軍の制圧速度はぐっと上がるんでしょうか?ロシア軍が優位とはいえドニプロやハリコフを占領できるような感じには見えないのですが、どうなのでしょうか?

    5
      • tk
      • 2025年 7月 21日

      アウディーイウカやブグレダルの例を考えると、ポクロウシクから数十キロはかなり制圧速度が上がるかもしれません。
      コスチャンチニフカやクラマトルスクなど、ドネツク州北部を巡る戦いには影響が出ると思います。
      あくまでもドネツク州での戦いの話なので、おっしゃる通りハリコフやドニプロの占領ということにはならないかと…

      3
      • tk
      • 2025年 7月 21日

      アウディーイウカやブグレダルの例を考えると、ポクロウシクから数十キロはかなり制圧速度が上がるかもしれません。
      コスチャンチニフカやクラマトルスクなど、ドネツク州北部を巡る戦いには影響が出ると思います。
      あくまでもドネツク州での戦いの話なので、おっしゃる通りハリコフやドニプロの占領ということにはならないかと…

      • ななしい
      • 2025年 7月 21日

      ぐっと上がることはないと思います
      ロシアは政治的に特別軍事作戦の建前を取り払うことが難しいので歩兵が常に不足気味で、
      消耗しやすい都市コンクリート群を正面から押すのは出来るだけ避けたいので進みは遅いです
      といってもシベルスクで無駄に消耗してたり、トレツクは力押しした結果時間がかかったし、
      ポクロウシクも最初直接アタックを試みて派手目に損害出して諦めるとか何かFUNNYですが

      現状の投下兵力でハリコフを陥落させるのは無理でしょうし、先に優先目標にされるのは
      クラマトルスクとスラビャンスクでしょう

      22
      • 2025年 7月 21日

      ぐっと上がることはないですがポクロウシクを基点に防御施設のない地域が最前線になります。また、ポクロウシクを中継点にしていた補給が死にます。結果的に広い範囲でウクライナ軍の損耗率が跳ね上がります。

      損耗率を減らすために100km以上大撤退するウクライナ軍であれば制圧速度は上がるかもしれませんが今までを見る限り撤退せず損耗率を上げる方向に動くことは確定と言っていいでしょう

      9
      • 2025年 7月 21日

      この戦争って消耗戦だから前線の動きの速度は目安でしかない。
      例えば22年にウクライナは侵攻初期に大きく占領されたが大きなダメージは受けてない。
      ロシア軍もキエフハリコフヘルソンで短期間に大きく後退したがダメージをほぼ受けなかった。
      今の前線は当時と比べて大きな動きはないけど両軍とも激しいダメージを互いに与えてる。
      どちらかが先にダメージの蓄積が限界を超えた時点で大きく前線が動くことになるだろう。
      現時点ではそれが起こるのはまだ先の事だがウクライナのほうが疲弊しているのは確かだ。

      16
    • お家芸
    • 2025年 7月 21日

    重要拠点の制圧より人員の消耗のほうがウクライナ軍にとって打撃となるので、ポクロフスクのウクライナ軍が軽微な損害で撤退できれば、劇的な戦線崩壊は起きないでしょう。
    ただし、ロシア軍は兵站拠点(ポクロフスク)を得ることになるので、進軍は加速するかもしれません。

    ドニプロとハリコフはそもそも攻略目標に含まれていないのでは。
    ポクロフスクが陥落したなら、ロシア軍はドネツク北部と余力があればザポリージャ北部の制圧に取り掛かるハズです。四州全域の制圧がロシア政府の目標ですから。

    44
      • お家芸
      • 2025年 7月 21日

      追記:おっと、懐中電灯氏への返信のはずが独立コメになってしまいました。

      9
    • 匿名
    • 2025年 7月 21日

    代わりにドンバスはじめその他の戦線で押し込まれるいつものアレ

    7
    • たむごん
    • 2025年 7月 21日

    両軍ともに、自国ですら関心が低下しているというのは、何とも報われないものを感じますね。

    海外での関心低下もですが、時間が経つと仕方ないのだなと。

    4年目あまりにも長く、自分達の生活もありますからね…(日本も、政治が不安定になっていきますからね)

    10
      • らっく
      • 2025年 7月 22日

      ウクライナは国家存亡がかかっているので、寄付減少は疲弊以外の何物でもないでしょうが、ロシア側は国民が戦争に飽きて無関心になってきたのか、それとも寄付する余力がないのかで大違いですからどちらなのが気になるところ。

      4

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