ゼレンスキー大統領やウクライナ軍が「最も状況が厳しい」と言及するアウディーイウカ方面(ポクロウシク方向)についてDEEP STATEは11日「ロシア軍がノヴォポクロフケ集落の大部分を占領した」と、RYBARも「ロシア軍がソキル集落内に足場を築いた」と報告した。
参考:Мапу оновлено!
参考:Хроника специальной военной операции за 11 июня 2024 года
クピャンスク方面
ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは11日夜に更新した戦況マップの中で「ロシア軍がステポワ・ノヴォセリフカ方向に1km以上前進した」「ロシア軍が旧ティムキフカ一帯を占領した」「ロシア軍がミャソジャリフカ方向に前進した(テキストの中ではミャソジャリフカを解放したと言及)」と報告したが、現時点でRYBARの評価は微妙だ。
RYBARは「ステポワ・ノヴォセリフカ南東=Ⓐで確認された両軍の交戦=ウクライナ側の映像」に基づき「ロシア軍が同地点周辺まで前進した」と主張しているのだが、DEEP STATEは本戦闘に参加した兵士の証言に基づいて「敵装甲車輌はウクライナ軍陣地の場所に気づかないまま通り過ぎ、目的の地点で兵士5人を降車させたものの、ウクライナ軍の攻撃を受けて3人が死亡し、残り2人は奇跡的に逃げることが出来た。ロシア軍は映像の地点に足場を築けていない」と指摘。
RYBARも前線で戦う兵士と連絡を取っているようなので「視覚的証拠以外の根拠」を持ち合わせている可能性も否定出来ないが、DEEP STATEの説明と映像の内容は一致しているためRYBARの主張よりも説得力がある。
さらにロシア軍が占領したという旧ティムキフカ(廃村)一帯は「過去何度も占領を主張してきた場所(いつの間にかグレーゾーンやウクライナ軍支配地域に戻っている場所)」で、ミャソジャリフカ方向への前進や占領を示す視覚的証拠も見当たらない。
アウディーイウカ方面
DEEP STATEは11日夜に更新した戦況マップの中で「ロシア軍はソキルとノヴォポクロフケの間で支配地域を拡大した」「ロシア軍がノヴォポクロフケ集落の大部分を占領した」「グレーゾーンがノヴォセリフカ・ペルシャ方向に伸びた」と、RYBARも「ロシア軍がノヴォレクサンドリヴカ集落内の支配地域を広げた」「ロシア軍がソキル集落内に足場を築いた」と報告。
ノヴォレクサンドリヴカの状況についてDEEP STATEとRYBARの評価がほぼ一致し、RYBARはロシア軍がソキル集落内に支配地域を獲得したと、DEEP STATEはウクライナ軍がノヴォポクロフケをほぼ失ったと主張しており、もうノヴォセリフカ・ペルシャにロシア軍の手が伸びるのは時間の問題だろう。
あまり不確かなことを言いたくないが、ウクライナ軍の後退は西の高台付近まで止まらないかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
ロシア軍が着々と一歩ずつ前進している様ですね。
ただ前の記事での、UMBK滑空爆弾の有効性低下が気になります。電子妨害にて命中精度が落ちているそうで、今までロシア軍が進撃出来た砲爆撃のアドバンテージが減り、特に市街地戦での殲滅、遮蔽障害物の除去に威力絶大と聞いておりましたが。戦況の進捗に影響するのでは無いか。と注目してます。
仰る通りですね。
市街戦は、時間がかかり被害も大きくなりますから、仰る点の影響は極めて重要と思います。
ご同意頂きありがとうございます。
塹壕戦市街戦ばかりで装甲戦力も損害が多いとか。
お話変わりますが、ウクライナで国有企業とラインメタルの合弁兵器工場が創業開始したそうです。
以前皆様が装甲戦力の枯渇をお話されており、ネットニュースの情報共有されてたので。
戦況には余り影響は無いと思いますが、まずは修理、整備から。後々戦闘車両の生産も計画中らしいです。ご存知でしたら失礼致します。
Ukrinform 11.06.2024
情報ありがとうございます、勉強になります。
装甲部隊は、攻撃防御ともに重要ですから、推移を見守りたいと思います。
ウクライナ国内で、仰るように修理整備できるのは、ポーランドやエストニアに送らなくてよくなるため戦闘力維持に重要そうですね。
メール記事読ませて頂き、
「ドイツの同僚が技術監督を行い」
とあります。明らかに軍事工場で結構な攻撃目標になるでしょうけど、ドイツ人の民間人が常勤して大丈夫でしょうか。(技術士官とかの軍属かな。)フランスの訓練目的の軍人派遣より、ハードルが高く一企業として国としても思い切った行動ですよね。もし亡くなられる様な事があればかなりの問題になりそうですが大丈夫でしょうか?
(金儲けだし、平和ボケのお花畑な考え方ですが)
どうでしょう。テレワーク等リモートで国外から教育指導は出来るでしょうし、確かに軍属かもです。民間人なら矯正ではなく自覚して赴任してるでしょうし、義勇兵的な自己責任では?
アメリカの武器支援再開が戦場に与える効果は限定的と予測していた識者もいたけど、その通りになってると思う。
確かに支援が遅れ、時期を逸しましたね。
但し、ロシアのハリキウ侵攻による予備兵力誘引策とウクライナの動員遅れも効いてると思います。
ハリコフに弾薬と人員が優先されているのはウクライナ側の現場からの声でも明らか。
ハリコフの状況がウクライナ軍の現在の実力を測る試金石となるだろう。
越境攻撃も解禁されてるし圧倒的不利だという言い訳もできない。
そうですね。うまくハリコフの戦略的価値をつり上げたな。と感じます。
政治的に絶対落とせないので、持てる物を最優先でしょうね。その結果が他前線へのシワ寄せです…。
国内動員も経済的・人口的にも厳しそうですし、ハイエース強化だけでなく、海外退避徴兵対象者(70〜80万人?)の本格対応が必要になってきたと思います。
どちらも政治・政権生命の掛る重い決断ですね。
動員について、其れ位の覚悟がなければ戦況を変える事は出来ないと考えます。腹を括れないなら、無謀な戦いはやめるべきだと思います。
アウディーイウカ西方の攻防、兵士のキルレだけでなく。
ウクライナ軍は、新人兵士の育成と損耗、退却時の装備喪失は一般的に大きくなりますがどうなのでしょうね。
プーチン大統領は、ロシア政府を長期戦に向けて組閣していますが、ウクライナ政府がどうなのか分析などは気になりますね。
アウディーイウカ攻防〜アウディーイウカ西方の攻防まで、長期戦に向けて総決算する必要がある気はします。
最近、ウクライナ兵士の写真が、FPVドローンオペレーターを除いて中年男性しか見ない感。