ウクライナ戦況

両陣営の評価が食い違うポクロウシク方面、それでも前線の動きは鈍化

DEEP STATEはポクロウシク方面について11日「ウクライナ軍がロディンスケ方向の突出部でロシア軍を押し戻した」と、RYBARは逆に「ロシア軍がロディンスケ方向の突出部で支配地域を広げた」と報告したが、どちらにしても前線の動きは鈍くロシア軍の攻勢に勢いは見られない。

参考:Мапу оновлено
参考:Хроника специальной военной операции за 10 сентября 2025 года

もうポクロウシク方面では6月や7月に観測されていたロシア軍の勢いは見られない

ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は夏季攻勢総括の中で「ポクロウシクとディミトロフは包囲され封鎖されている」と、公開した戦況マップの中で「ロシア軍支配地域はノヴォレクサンドリヴカ、ゾロティ・コロディアズ、フルズケ、ヴェセレ、ステピー、ルビジュネ付近まで到達している」「ロディンスケ付近で物理的にT-0515を遮断した」「ノヴォレクサンドリヴカ付近に安定的な足場を確保してフリシネ経由の移動ルートを遮断している」と誇示したが、ここまで来ると美しい報告書というより「妄想」に近く、ロシア人ミルブロガーの一部からも「控えめに言っても現実とかけ離れ美化された情報が含まれている」と批判されている。

出典:Минобороны России

さらにゾロティ・コロディアズ方向への突破事件以来、ポクロウシク方面におけるDEEP STATEとRYBARの報告も一致しなくなり、両者の食い違いはどんどん大きくなって1枚のマップで説明するのが困難になってきた。

DEEP STATEは11日「ウクライナ軍がヴォロディミリフカ郊外のロシア軍を押し戻した」「ロシア軍がポルタフカ郊外で前進した」「ロシア軍はパンキフカ北西方向に前進した」と報告、さらにニカノリフカ郊外とノヴォトレツケ郊外のロシア軍支配地域を修正(グレーゾーンへの変更)しており、この報告から読み取れる動きは「ウクライナ軍が引き続きロディンスケ方向の突出部を切り落とそうと努力している」「ウクライナ軍がゾロティ・コロディアズ方向に伸びる突出部の根本を切断しようとしている」となる。

出典:管理人作成

RYBARも11日「ロシア軍がシャコフとノヴェ・シャホヴェの間で支配地域を広げた」「ロシア軍がズヴィロヴェの北郊外で支配地域を広げた」と報告、ゾロティ・コロディアズ方向については「ロシア軍が安定的に支配する地域」や「両軍が交戦中で双方とも支配を確立出来ていないグレーゾーン」とは異なる第三の状況=浸透地域という新たな定義を導入し「ロシア軍はゾロティ・コロディアズ一帯の広大な範囲で浸透地域を拡大させドブロピリアに近づいている」と主張している。

今回の報告を含むRYBARの評価が正しいなら「ロシア軍はロディンスケ方向の突出部をより安定的なものにしてシャコフを包囲する動きを見せている」「ゾロティ・コロディアズ方向への突破(浸透)は現在も続いてドブロピリア東側面を不安定化させている」となるが、ロシア軍がシャコフやドブロピリアに迫っている動きは確認されていない。

出典:管理人作成

DEEP STATEとRYBARが報告するポクロウシク方面の動きは8月に入るとどんどん鈍化し、もう6月や7月に観測されていたロシア軍の勢いは見られず、恐らく夏季攻勢のため準備していた備蓄を使い果たし部隊の再編や補給に移行しているのかもしれない。

ポクロウシク方面は夏季攻勢前より状況が悪化したもののロシア軍は包囲網の完成に至らず、決定的な成功=ポクロウシクの占領も実現できなかったが、ウクライナ軍も冬季攻勢が始まる前にロディンスケ方向の突出部を何とかしないとジリ貧になるだろう。

出典:42 окрема механізована бригада

それでもウクライナ軍がポクロウシクを守りきったことは称賛に値し、ウクライナメディアでさえ「夏が終わるまでにポクロウシクが陥落する」と予想していたため本当に意外な結果で、ロシア軍の美しい報告が増えているのも夏季攻勢の成果が予想を下回っているからかもしれない。

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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

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