ウクライナが弾道ミサイルを迎撃したのは7月2日(24発中4発を撃墜)が最後で、ゼレンスキー大統領も「迎撃ミサイルの残弾がないので弾道ミサイルを迎撃できない」と公に認めていたが、米国とポーランドがPAC-3 MSEを供給すると約束し、7月14日に弾道ミサイルの迎撃が確認された。
弾道ミサイルの迎撃数をカウントしていけば米国が供給したPAC-3 MSEの数を推測することができる
ウクライナとロシアの長距離攻撃能力には当初「絶対的な差」が存在していたが、ウクライナ製の自爆型無人機(FP-1、FP-2、UJ-22、UJ-25、UJ-26、Lyutyi、パリャニツャなど)や巡航ミサイル(FP-5や対地攻撃用のネプチューン)の量産が軌道に乗り始めるとロシア領内への長距離攻撃が徐々に増加し、2025年7月からは月間攻撃数が1,000機を下回ることがなくなり、2025年12月には月間攻撃数が5,000機を超えて長距離攻撃能力の格差が急速に縮まった。
| 2026年1月から2026年7月14日まで両軍が発射した自爆型無人機の数 | ||
| 月 | ウクライナ軍発射数 | ロシア軍発射数 |
| 1月 | 推定1,000機~2,000機 | 4,442機 |
| 2月 | 推定1,500機~3,000機 | 5,059機 |
| 3月 | 7,347機 | 6,583機 |
| 4月 | 9,372機 | 6,583機 |
| 5月 | 8,973機 | 8,150機 |
| 6月 | 11,999機 | 5,749機 |
| 7月14日時点 | 5,548機 | 2,342機 |
| 7月のウクライナ軍発射数はロシア国防省が発表する固定翼無人機の撃墜数(飛来数は非公開)を管理人が集計した数字、ロシア軍発射数はウクライナ参謀本部発表が発表したシャヘド型無人機(囮を含む)の飛来数を管理人が集計した数字 | ||
2026年3月からは4ヶ月連続でウクライナが発射した自爆型無人機の数がロシアを上回り、7月もウクライナがロシアの2倍のペース(1日平均426機)で自爆型無人機を発射しているため、このペースが続くと7月も1万機以上の自爆型無人機を発射する計算で、一方のロシアは1日平均169機のペースが続くと7月の自爆型無人機の発射は6,000機台を割り込む計算だ。
より詳しくロシア軍の自爆型無人機による攻撃内容を見ていくと発射される無人機には相当数の囮が含まれており、それを含む迎撃率は迎撃ドローンの充実で高い数値を叩き出しているが、発射される総数が多いため着弾数は500機前後になるため実損害が軽微(発射総数から見れば軽微)というわけではない。
| ウクライナ参謀本部発表に基づく自爆型無人機(囮を含む)の迎撃率と着弾数から計算した実効迎撃率 | ||||
| 攻撃型無人機(囮の数) | 撃墜数(迎撃率) | 着弾数 | 実効迎撃率 | |
| 1月 | 2,915機(約1,527機) | 2,725機(61%) | 649機 | 77%~85% |
| 2月 | 3,220機(約1,839機) | 3,238機(64%) | 548機 | 83%~89% |
| 3月 | 4,186機(約2,276機) | 5,833機(90%) | 530機 | 87%~91% |
| 4月 | 4,335機(約2,248機) | 5,861機(89%) | 609機 | 85%~90% |
| 5月 | 5,181機(約2,980機) | 7,588機(90%) | 543機 | 89%~93% |
| 6月 | 3,679機(約2,070機) | 5,300機(90%) | 464機 | 87%~92% |
| 1月の撃墜数(迎撃率)は飛来したシャヘド/ゲランのみの撃墜数、2月から公式の集計方法が変更されて攻撃型のシャヘド/ゲラン、イタルマス、多目的=ガーベラ、囮=パロディの撃墜数(電子戦による無力化を含む)、実効迎撃率は飛来した「総飛来数の合計数」と「攻撃型のシャヘド/ゲランとガーベラの合計数/2月以降はシャヘド/ゲラン、ガーベラ、イタルマスの合計数」を公式の着弾数で割った数字 | ||||
ロシアは自爆型無人機以外にも7月1日から13日までに誘導ミサイル(Kh-59/Kh-69)を27発、対艦ミサイル(ツィルコン/オニクス)を10発、対レーダーミサイル(Kh-31/Kh-31P)を9発、巡航ミサイル(Kh-101/カリブル)を81発、弾道ミサイル(イスカンデルM/S-400の迎撃ミサイル=48N6シリーズ)を62発発射し、誘導ミサイル、対レーダーミサイル、巡航ミサイルの大部分は目標に届かなかった(計117発中105発=迎撃率89%)だったが、対艦ミサイルは10発中10発(迎撃率0%)、弾道ミサイルは62発中58発(迎撃率6.5%)が着弾。
ウクライナ軍が弾道ミサイルを迎撃したのは7月2日(24発中4発を撃墜)が最後で、ウクライナ空軍のイグナット報道官、フェドロフ国防相の顧問を務めるベスクレストノフ氏、ゼレンスキー大統領も「パトリオットシステムで使用する迎撃ミサイル(MIM-104F PAC-3 MSEのこと)の残弾がないので弾道ミサイルを迎撃できない」と公に認め、7月のNATO首脳会談後、米国(数量不明)とポーランド(5発)が備蓄分からウクライナにPAC-3 MSEを供給すると約束していたが、7月14日に弾道ミサイルの迎撃が確認された。
⚡️ ЗБИТО/ПОДАВЛЕНО 7 РАКЕТ ТА 108 ВОРОЖИХ БПЛАhttps://t.co/dvF4Hk6XLs pic.twitter.com/6F27VoqHkL
— Генеральний штаб ЗСУ (@GeneralStaffUA) July 14, 2026
ウクライナ参謀本部は14日「ロシア軍がシャヘド/ゲラン、ガーベラ、イタルマスを含む無人機×135機、イスカンデルM/S-400×8発、Х-59/69×2発を発射し、無人機×108機、イスカンデルM/S-400×5発、Х-59/69×2発を撃墜・無力化した。無人機が25機と弾道ミサイル1発が17ヶ所に着弾し、撃墜した破片が10ヶ所に落下した。残り2発の弾道ミサイルに関する情報は調達中だ」と発表し、これは新たなPAC-3 MSEがウクライナに到着したという意味だ。
もしポーランドが供給した5発を今回の迎撃で使い切っていれば、明日から弾道ミサイルの迎撃が再び不可能になるが、逆に明日以降も弾道ミサイルの迎撃が続くようなら米国が供給したPAC-3 MSEがウクライナに到着していることになり、弾道ミサイルの迎撃数をカウントしていけば米国が供給したPAC-3 MSEの数を推測することができ、戦略国際問題研究所は米軍のPAC-3備蓄量について推定1.270発と報告している。
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※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin





















いままで思いつつも書かなかったこと:在庫合ったけど交渉を有利に進めるために温存してたとか
迎撃数ゼロは説明つかない。キエフ以外の地域にあった可能性はある。
数よりも、未だに米国は現物を支援し、資金もウクライナは余裕が出来た事がロシアにとっては苦しい部分だろうな
プーチンにはこの報告は届くのかな?
両軍ともに、発射数がすごいですね。
攻撃・防御(発射数・迎撃)の動向がどうなるのか、しばらく見守りたいと思います。
過去の推移を見ると、(分散化も効果的で)ドローン生産拠点を完全に叩き切ることは難しそうですから、延々と攻撃が続くかもしれませんね。
ジェットドローンでも高価なミサイルは使いたくないよね
迎撃の残弾がない=迎撃されないというのなら、ロシアの弾道ミサイル攻撃はさぞかし重要拠点に命中しまくる(CEP的に施設のどこかには落ちる)筈ですが、現実にはまるでそうしたところと無縁の住宅地に落ちてばかり。そもそもロシア、迎撃される恐れのある重要施設狙いを敢えて外してませんかね?着弾して被害を与えたという事実、ポイント稼ぎ欲しさに軍部が自己保身のための局所最適解に動いている、そう思えるのですけど。
実際の着弾点くらいご自身で調べられたらどうですかね。
手軽なところではFIRMSでも見られますが、少なくとも市街地ばかりに着弾している訳ではない事くらいすぐに分かる筈ですよ。
一般的な報道では集合住宅が被害を受けている映像しか出て来ませんがね。
始まった当初からそうだけど
基本的に報道するのは当然ながらロシアが侵略国であり
いかに残虐なことしてるかということを見せるために
住宅街が爆撃されてたりするところしか映像として見せませんからな。
迎撃弾がないとして素通しさせた7月2~11日の間に60発近い弾道ミサイルが撃たれてますけど、特筆すべき戦果は火薬庫に直撃したという1件程度。これは迎撃がされた場合も抜けてしまう着弾比率と変わりません。ロシアの弾道ミサイル攻撃のキルチェーンには根本的に何か本質的な問題があると認識するのが適切でしょう。つまりは言うほどCEPが高くない、情報収集能力が酷く雑、或いは意図的に迎撃されそうな地点への攻撃を避けているのか。いずれにせよ、大変高価な使い捨て移動手段である弾道ミサイルを用いての戦果としてはお寒い話です。ウクライナにとっては朗報ですけどね。
シンプルに
・ロシアの兵器は精度が低い →狙って住宅地に落とせない
・ロシアの兵器は備蓄がない →住宅地狙ってる場合じゃない
・ロシアは追い込まれてる →なおのこと住宅地狙ってる場合じゃない
住宅地に落ちることは厭わないでしょうが、ウクライナ国民にウンザリさせるためにわざわざ住宅地を狙うくらいなら
絨毯爆撃みたいなことをもっとしてるでしょうね。