ウクライナのカムイシン戦略産業相は今年1月「FrankenSAMを使用してShahedを撃墜した」と明かしていたが、東部航空司令部はFrankenSAMの写真を初めて公開し、ウクライナ国内にAIM-7を統合したBuk M1が実在すると確認された。
参考:Повітряне командування “Схід”
参考:Ukraine’s FrankenSAM That Uses RIM-7 Sea Sparrow Missiles Breaks Cover
亜音速の巡航ミサイル、低空飛行の有人機やヘリコプター、ドローンの局地的な迎撃で有用
米国とウクライナが取り組んでいる「FrankenSAM」とは短距離、中距離、長距離をカバーする5つの防空システムの総称で、ウクライナのカムイシン戦略産業相は「FrankenSAMとは西側製防空システムの一部をウクライナ軍で使用されている旧ソ連製防空システムに統合するプロジェクトだ」「米国製ミサイルが入ったコンテナを旧ソ連製ランチャーに統合するだけの取り組みもあれば、米国製ランチャーをS-300のような防空システムに統合する取り組みもある」と說明。
これまでに判明しているのは「Buk M1とAIM-7の統合」「旧ソ連製レーダーとAIM-9Mの統合」「ウクライナ製レーダーとパトリオットシステムの統合」「S-300と西側製防空システムの統合」の4つで、カムイシン戦略産業相は1月「FrankenSAM計画のハイブリッド防空システムを使用して9km先(高度400m)を飛行していたShahedを撃墜した」と明かしていたが、東部航空司令部はBuk M1にAIM-7を統合したFrankenSAMを初めて公開して注目を集めている。
迷彩ネットに覆われたBuk M1にはAIM-7が装填されているコンテナが搭載されており、WAR ZONEは登場したFrankenSAMについて「コンテナ方式だと折りたたみ式のフィンを備えた海軍仕様のAIM-7(Sea Sparrow)しか利用できないため、空軍仕様のAIM-7を非コンテナ方式で搭載するタイプが登場するかもしれない」「AIM-7の中央フィンによる操縦性は俊敏性に欠けるため高速で機動性の高い目標迎撃に不向き」「地上発射では空中発射よりも射程(約12マイル)が短く、交戦距離でオリジナルの9M38(約22マイル)よりも劣る」と指摘。
但し、9M38の入手が困難になっているため「AIM-7を統合したBuk M1は亜音速の巡航ミサイル、低空飛行の有人機やヘリコプター、ドローンの局地的な迎撃で有用な能力を提供するだろう」とも述べたが、BukのシステムにAIM-7をどうやって統合したのかは依然と不明らしい。
因みにニューヨーク・タイムズ紙は以前「ウクライナには保管状態のBuk-M1が約60セットある」「ウクライナは17セットの改修を望んでいる」「米国が1ヶ月で改修できる数は5セット」と書いていたが、米国は昨年12月にFrankenSAM製造に不可欠な技術データをウクライナに提供しているため、ウクライナは独自にFrankenSAM(Buk-M1へのAIM-7統合)を製造できるようになっている可能性がある。
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※アイキャッチ画像の出典:Повітряне командування “Схід”
テセウスの船ならぬテセウスのSAMとか出てきたりして
ここまで来ると統合されたランチャーでも搭載していない限りは別のミサイルを搭載する改造に手間暇掛かるしコストは上がりそうだけど地上発射型AIM-120と普通のAIM-120積めるようにした方が性能や運用面とか考えるとトータルではプラスじゃないかな。
EU諸国の不良在庫なんでしょうね。
SARHならbukなりのFCSを活用して、探知した目標にCWビーム照射するアンテナ移植すればだいたい済むけど
中間誘導もうけるならAAMの飛行軌道や目標探知を予測するアルゴリズムが必要になって簡単じゃないし
話には出ていましたが、実際に使っているらしいのを初めて見ました。
性能の方と運用数はどうなのでしょう。
どのような戦果を挙げられるのか興味があります。
ウクライナだけが戦場ということはないでしょうし。
この後、何らかのバージョンアップもあったりするのでしょうか。
それによっては、オリジナルを超える?こともあったり?して。
それで、AIM7は何発提供できるの?
それこそ軍事機密ですし・・・。
アマチュア~セミプロレベルでわかるはずもなく
むしろ何でAIM-7に拘るの?
写真のは米海軍が提供したはずのESSM装備であぶれたと思われるRIM-7だしAIM-7は派生型が多いから提供される可能性が高いのは提供実績のあるアスピーデ(地上発射型Aspide 2000)だろう。資料が正しいかもあるがMk2だと射程は短くなるがIRIS-Tの1/4の価格でかなり安い
スパローを使えるようにした事で西側が提供出来、数と射程がそれなりにある各種スパローファミリーの運用が可能で有ると思う。値段に目をつぶるなら各国のやる気次第で高性能で射程も長く最新型ならアクティブホーミングのESSMも運用出来る。
個人的にはまだコスト的に安くて小型でアクティブホーミングのAIM-120の方がトータルではプラスだと思うんだよなぁ。
ロシア半導体業界について、面白い記事があったので、ご興味のある方は。
ロシアの大半の武器、特に旧ソ連製の武器・一般産業界で求められるレベルの半導体は、これで作る事ができるでしょう(他工程の充足にもよりますが…)。
ロシアが経済制裁の回避のため、ボトルネック解消に本気で取り組んでいるうえに、基礎工業力も高い事が分かります。
ゼレンスキー大統領は停戦交渉を拒否してきましたが、ロシアの武器不足により戦争が止まる事を、期待しすぎない方がいいと考えます。
・ロシア国産の半導体リソグラフィー装置が完成
・オランダ(ASML)・日本(キャノン・ニコン)が独占していた分野
・ロシア国産は350nm・0.35㎛は低ノードで遅れているように見えるが産業分野の裾野が広い
・ロシアの半導体ウェハー会社は、ミクロン社・アングストレム社の2社
・ミクロン社 65~250nmのチップ製造
・アングストレム社 8インチウエハー工場で90~250nmのチップ製造
・両社は主に軍事、航空宇宙、産業用途のチップを提供
(2024-05-28 [News] Russia Reportedly Completed the Manufacturing of a Lithography Machine for 350nm Chip Production TREND RORCE)
興味深い情報ですが、主記事の内容とどのような関係が?
ただの閲覧者が言っていいセリフではなかったですね。
自治行為になるかもしれません。
大変失礼致しました。
このコメント削除頂ければと存じます。
いえいえ、自分は気にしていなので大丈夫です。
ps1:500nm,ps2:250nm,ps3:90nm が初期ロットの半導体の世代。たぶん。
軍用品は温度耐性重視なので、スマホよりも自動車用半導体に近い感じかな。
台湾、3nm,中国:7nm,日本:23nm あたりかな。
プレステシリーズ、初期ロットから進化していくのは毎回ワクワクしています。
最新スマホでは、仰る通り、微細化が足りないですね。
非常に面白い試みであり、このノウハウ自体は世界中で需要がありそうです。アフリカや中近東で東西兵器をちゃんぽんで使ってる国は沢山ありますからね。
ただ、現状のウクライナの戦線では使い道がほとんど無いのが悲しいところかなと。
鹵獲車両の改修ぽくてナチスドイツの東部前線みあるから非常に好み…なんだけど苦しい台所事情が透けて見えてウクライナの苦境が偲ばれる
AIM-7 スパローは採用国も多く生産量も多かったし
世代交代して大量の未使用在庫がありそうなのもメリットだろうな
統合自体は、現代のPCとかスマホとかを中間に入れればデータ変換して計算は余裕だろうしな
新規に必要なのは、色々な物理コネクタに対応したPCコンバーターぐらいでしょ
軍用コンピュータの性能に比べれば、市販PCですら100倍以上の性能があるしそこまで難易度は高くないかと
(軍用にこだわらなければ高性能な民間品は低価格で手に入るのは、ドローンで証明されてる)