ウクライナ軍のミサイル・砲兵部隊で副司令官を務めるセルヒー・ムシエンコ大佐は「ロシアとの戦争で砲兵部隊の役割や戦術がどう変化したか」「ウクライナ軍の砲兵装備や弾薬の状況」「ロシア軍が状況に合わせてアプローチをどう変化させてきたか」について興味深い視点を提供した。
参考:Полковник Сергій Мусієнко: Ми змінили тактику застосування артилерії у війні
砲兵システムにとって最も優先順位が高いのはメンテナンス性の良さ=システム自体のシンプルさ
ウクライナ軍とロシア軍の火力投射能力について「西側製システムは旧ソ連製もしくはロシア製よりも精度が高く効率的」「砲弾発射量は◯対◯」「北朝鮮製の砲弾は質が低く役に立たない」という評価が一般的だが、ウクライナ軍のミサイル・砲兵部隊で副司令官を務めるセルヒー・ムシエンコ大佐はRBC-Ukraineの取材に応じ「ロシアとの戦争で砲兵部隊の役割や戦術がどう変化したか」「ウクライナ軍の砲兵装備や弾薬の状況」「ロシア軍が状況に合わせてアプローチをどう変化させてきたか」について語り、一般的な評価の詳細に触れている点が非常に興味深い。
RBC-Ukraine:砲兵は現在でも戦場の神であり続けているのか?
戦場における破壊手段の中心は依然として大砲(迫撃砲、榴弾砲、ミサイル、ロケット砲=多連装ロケットシステムを含む)だ。ドローン攻撃の規模と範囲も大きくなっているだが、それでもミサイル・砲兵部隊が最も上位の攻撃手段であり続けている
RBC-Ukraine:最近の軍事紛争の中でミサイル・砲兵部隊の役割は変化しているのか?
20世紀後半の積極的な敵対行為における被害の約70%はミサイルや砲兵によるものだったが、この割合は最近の軍事紛争で90%近くまで高まっている。ミサイル戦力の開発は加速傾向で、様々なタイプの新型ミサイルやアップグレードされたミサイルが登場している。この傾向は大砲、ロケット砲、迫撃砲にも当てはまり、現在の技術が新しいものに取って代わられることはない。現在の戦場で存在感を増しているドローンも火力という点において大砲を置き換えるものではない。大砲の運用は天候に左右されにくく、システム自体も比較的安価で、使用方法も短時間で習得することができる。
RBC-Ukraine:ミサイルや大砲を使用した攻撃において無人機やドローンの役割は?
ミサイル・大砲部隊による精密攻撃、特にHIMARSやMLRSを使用した攻撃を目標観測なしに行うことはない。(小型のドローンと比較して)長距離飛行が可能な無人機は目標の存在や攻撃結果の確認に使用されている。地上観測ポイントの調整能力は限定的な上、調整要員が敵の放火に晒される危険があるため、この分野における無人機の役割は非常に重要だ。さらに空からの目標を観測できるようになったお陰で視覚的な認識力の深さと着弾地点の観測精度が大幅に向上した。
砲兵部隊向けの偵察・砲撃補正用無人機として固定翼のFuriaとLeleka、商用ドローンのMavic2やAutelを使用したが、2014年以降に偵察用と砲撃補正用の無人機は別々に運用されるようになった。そして無人機を使用した照準や調整を行わない攻撃任務は徐々に行われなくなり、大砲部隊は最小限の弾薬消費量で任務を達成できるようになった。
RBC-Ukraine:各種弾薬の現状は?もう旧ソ連規格の口径はNATO口径に取って代わられたのか?
弾薬は多いに越したことはないが、陸軍が要求する推定必要量は前線の状況と計画された任務によって決定され、これほど多くの弾薬が支給されたのは始めことだ。各種弾薬の供給量は様々な要因の影響を受けて増減し、前線の一部では特定の弾薬が不足している。口径に関して言えば旧ソ連規格の152mmが置き換えられつつあるが、この弾薬は現在も世界中で生産されており、我が軍が使用している近代的なDANAやMsta-Bにとって152mm砲弾は不可欠だ。
我々は152mmと122mmの大砲でロシアとの戦争を始め、2022年中盤から155mmと105mmの大砲をパートナーから受け取った。例えばイジューム方面に展開した第406独立砲兵旅団の第67砲兵大隊が初めてM777A2を使用し、ハルキウ方面の反攻作戦時には155mm砲を装備した部隊が複数投入された。2022年に消費した砲弾(ロケット弾を含む)約150万発の半分は152mm砲弾と122mm砲弾で、1/3は155mm砲弾だった。2023年には300万発以上の砲弾を使用す、内160万発~170万発が155mm砲弾だった。つまり2023年に使用した砲弾の半数は155mm砲弾だったことになる。
RBC-Ukraine:今年の比率は?
現時点で言えば152mm砲弾と155mm砲弾の使用比率は1対10だ。そして105mm砲も122mm砲と比較して非常に優秀であることが戦場で証明されている。将来的に152mm口径の大砲は155mm口径に取って代わられると思うが、これを急いで行うつもりはない。
RBC-Ukraine:戦場で最も使用されている口径は155mmということか?
その通りだ。戦場での使用が多いのは155mm、122m、105m、152mの順だ。
RBC-Ukraine:両軍の砲撃量の格差は?約1ヶ月前に国防次官が言及した格差は1対2だった。この数字は現在も同じなのか?
1対2というのは両軍の格差を表す基本的な数字に過ぎず、特定の作戦期間中において両軍の砲撃量は1対6~1対7に達することもあり、我々が月30万発~35万発を発射したのに対し、ロシア軍は月200万発も発射したことがある。これは特定砲弾の数ではなく全砲弾の合計数で、この格差が最も如実に現れたのは2023年のバフムートを巡る戦いだった。
RBC-Ukraine:我々はロシア軍よりも少ない砲弾しか持っていないが、旧ソ連製よりも近代的な西側製システムを持っている。このシステムは旧ソ連製よりも正確で効率的に作動すると言われており、この点で砲弾量や火力投射量のギャップを何とか埋めることが出来ていると理解は正しいのか?
その通りだ。最初に届けられたM777A2はオンボードのコンピューターもGPSナビゲーションユニットも取り外された状態で、ごく一般的な榴弾砲だったが、システム自体の技術的特性と使用する弾薬の到達範囲のお陰で「射程距離」と「精度」の優位性を獲得することができた。旧ソ連製と西側製の大きな違いは砲弾の散布(CEP)で、これは同じ条件下で発射しても着弾地点にズレが生じる現象のことだ。旧ソ連製砲弾のCEPは20m~25m、運用時の様々な条件まで加味すれば約100mだが、旧ソ連方式では散布の問題を発射する砲弾の数でカバーするため問題ないとされてきた。
一方で西側製砲弾のCEPは10m~15m、運用時の条件まで加味したCEPは50m~60mで、この違いはシステム自体の精度、砲弾や火薬の品質、正確な照準・誘導システムの差によるものだ。戦争が始まった時、我々もロシア軍と同じシステムと弾薬を使用していたが、散布の問題を砲弾の数でカバーするやり方を改めたため、1門か2門の大砲で集団目標を直撃できるようになった。ロシア軍が同じ結果を得るためにはもっと多くの大砲と砲弾が必要で、この点で我々のやり方は非常に効果的だった。
これは我が軍の適切な訓練、無人機やドローンを使用した観測・修正、旧ソ連製よりも精度と射程距離が優れている西側製システムによるもので、ウクライナは牽引式のM777A2、自走式のM109A6、PzH2000、AS90、Krab、Archerなど入手可能な最新の155mm砲を全て使用している。これらの大砲は適切な弾薬が提供されれば「射程距離」と「精度」の両方で優位をもたらす。
但し、ロシア軍も立ち止まっている訳では無い。既存の砲兵システムをアップグレードし、新しいもの作り出し、現在の状況に適応させようと努力している。我々は2023年末に運用が開始されたМальва(152mm榴弾砲を搭載する装輪式自走砲)と交戦したことがあるが、それでも西側製システムの方が洗練されいることを強調しておきたい。
RBC-Ukraine:ロシア軍が使用している北朝鮮製の砲弾についての見解は?それほど悪いものなのか?
オープンソース上では「着弾しても砲弾が爆発しない」「砲身内で爆発する」といった問題が指摘され、我々は問題の砲弾が東アジアから供給されていると理解しているが、この全てが北朝鮮から供給されているとは断言できない。確かに問題の砲弾は低品質で設計通りに作動しないものの「量的な質」によって印象的な効果を発揮し、ロシア人も専用の射撃チャートを作成したり使用上の問題を修正している。結局のところ問題の砲弾が北朝鮮製にしろ他国製にしろ、我々の方向に飛んできて被害をもたらすという点に何の変わりもない。
さらに興味深いのはロシア軍が1930年代や1940年代の製造したM-30やD-1、さらに中東、アジア、アフリカの国々が対応弾薬を豊富に持っているM-46を使用し始めている点で、これも戦場に問題をもたらす可能性がある。
RBC-Ukraine:貴方は西側製システムの中でどれがベストだと思っているのか?
我々は様々な西側製システムを使用したが、その中でもM777A2が最も効果的でメンテナンス性が高く、現在の戦場環境にも適していると判明した。全ての大砲が牽引式である必要はないものの、全て大砲が自走式である必要もない。結局のところ牽引式が適しているのか、自走式が適しているのかは戦場環境と戦術に左右されるため、大砲の使い方は各戦場毎に異なるのだ。
他にもムシエンコ大佐は「侵攻初期のロシア軍は古典的な戦闘手順を忠実に守り、砲兵部隊の大砲を一列に並べて集中運用し、弾薬運搬車両を射撃陣地の300m以内に配置していたため、無人機で発見するのも攻撃するのも容易だった。特に弾薬運搬車両を破壊するだけで集中運用された砲兵部隊は機能不全に陥った」「ロシア軍は直ぐに集中運用を止めて大砲を分散させたが携帯電話すら持っておらず、普通の無線機で通信していたため簡単の傍受でき攻撃することができた」と述べ、2022年夏頃までロシア軍の砲兵運用は「本当に酷いものだった」と示唆したものの、現在の運用方法や戦術は「ウクライナ軍と同じレベルだ」と付け加えている。
要するにウクライナ軍とロシア軍の砲兵部隊は無人機やドローンが監視する戦場に適応し「分散した砲兵戦力を効果的に運用する術」を身に着けたが、両者は「命中弾を得るためのアプローチ」に大きな違いがあり、どちらのやり方にも利点と欠点があるため、どちらが優れているかを一言で言うのは難しい。
最も優れた砲兵システムに自走砲ではなく牽引式のM777A2が選ばれたのも「メンテナンス性」が大いに関係しており、素早い陣地転換に不可欠な機動力、不整地の踏破力、素早い射撃を実現する自動装填装置といった機能も魅力的に映るが、最も優先順位が高いのはメンテナンス性の良さ=システム自体のシンプルさなのだろう。
関連記事:M777生産再開に向けた動き、BAEが生産施設建設への投資を発表
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※アイキャッチ画像の出典:Public Domain
結局のところ、シンプルイズベストという結論に落ちついたわけですね。
”現在の運用方法や戦術は「ウクライナ軍と同じレベルだ」と付け加えている” この点は眉唾、質の上回る兵士によって、より適切に運用されていると予想。
でも、ウクライナからするとそれでは困るんですよね
記事の内容からもわかるように、量ベースの火力レシオではロシア優位が覆ることがないので
最低限、質においてウクライナはロシアを上回り続けていないといけないわけです
確かに困りますね。
この司令官は、比較的現実を素直に答えていると思いますが、やはり自分たちのほうが、トータルで質的に優位だと思いたいところというか願望はあると思います。メンテナンス性が優れている事を強調しているところから、カタログスペック的により優位な兵器より優れているということでしょう。ただ、よく上がる老兵の写真や押し込まれる様子を見ると、ウクライナ側が質で対応できているとも思えずで、兵士の質(ココが最も重要)はロシアが上なんだろうなと思います。
メンテナンス性の良さで、より強力な兵器よりも優れているという考えであれば、現在の砲撃数を見ても分かるのですが、ロシアの大砲も、命中精度は劣るもののメンテナンス性は良いのでしょう。
M777も言われているかぎりではピンポイント攻撃がそれほど優れているというほどのスペックではないので、どちらかと言えば面制圧向きだということで、それに適した攻撃を素早く実行できる兵士がどのくらいいるのか?ということになるのでしょうか。
横からですが、
この司令官の解説はかなり客観的ですが、操作する兵士の質を語ってはいません。老兵が必ずしも能力が劣るというわけではなく、兵役経験者ならば逆に高い場合があるかもしれません。
彼が強調しているのは、砲の射撃精度が西側>旧ソ連製であること。ドローン観測等を用いた効率の良い射撃で開戦後しばらくはウクライナが有利であったが、ロシア側の改善により現在は同レベルであること。
西側砲と旧ソ連砲ではSEPに凡そ倍の開きがある(目標に対し同じ効果を得るにはロシア側の1/4の砲弾数で足りる理屈)が、ロシア側との射撃弾数比がそれを大きく超えれば著しく不利になること(例;バフムート戦)。
そして、牽引式か自走式どちらが適しているのかは戦場環境と戦術に左右され、大砲の使い方は各戦場毎に異なること。
自走砲は車台や自動装填システム等に定期的に後方でのメンテが必要ですが、構造がシンプルでメンテ性で優れる牽引砲の方が現在の戦場環境と戦術において有用なケースが多いんでしょう。
現在の対ロシア戦で効果的な砲は牽引式のM777A2であるというのはそういうことなのかと。
その通り、性能差は長射程に加えて、散布ですね。長射程はもちろん一方的な砲撃を可能とし、散布が低いというのは正確な目標ができるドローン戦で有利なのは間違いないです。
かといって散布低くても歩兵に対する脅威であること、そして散布の差を埋める砲撃量の差にも触れているので、仰る通り司令官は客観的だと思います。
その上で何故メンテ性が重要になるかと言うと、精度が高い西側兵器は精密機器らしくメンテが必要になるからで、結局のところ散布を抑える分を超えて砲撃量が減っては問題なのでしょう。
今回で東西両方の兵器の問題点が多く洗い出されましたし、次世代の適応が楽しみですね。
そもそも、散布界が狭ければ狭いほど良い・・・と言うわけでも無いんですよ。
15cm級砲弾の軟目標に対する危害半径は約40m前後ですね。ですから、制圧射撃に於いて散布界はある程度有った方が良いんです。過剰に狭い散布界は面制圧効果を減じますから。また、広めの散布界を弾量で補う方式は諸元や外乱の影響にも強いです。
極端に狭い散布界が必要なのは、主に直撃弾が必要な硬目標相手の射撃であって、その場合は弾量で補う他に、誘導兵器を使用するという手っ取り早い方法が有ります。
この辺は技術の優劣よりも、どちらかというと各国軍の思想や好みの問題であると考えますね。
マダコさんのご意見に同意です。
司令官は、自軍の士気が落ちるような発言はしにくいものです。責任者ですからね。砲撃の比率が1対2でなく、6や7というのも上手に答えていたと思います。
また砲兵の司令官の長所としては、この兵科の幹部は数学的で合理的な考えをする人が多いように思います。
兵士の質に関してもマダコさんに同意てす。ウクライナ軍はベテランの兵士が少なくなっていると思います。単純にウクライナの兵士不足の根本原因は損失の多さだからです。
あくまで現状のウクライナ環境下での話だと思う。1番多く提供された西側の砲でエクスカリバーみたいな誘導砲弾との組み合わせや提供されている立場でのメンテの難しさを考えたらそうなるんじゃないの?
文脈的にはシステム面での話でしょ
昔は旧世代的な運用だったけど、今はウクライナと同様に分散運用かつ暗号無線を使うようになったってだけで兵の質には言及してないかと
日本もFH70をなるべく数多く保管しておくべきでしょうね
敵からすると旧式でも155mmの脅威度が依然高いということが証明された訳ですし、優先撃破目標であり続けているということです
全てを稼働可能な状態でなくとも、それを空から確認する事は困難なので居るだけで囮標的としても機能するでしょう
なので島嶼地域の駐屯地に50ぐらいずつ置いておき内10基ぐらいしか稼働しなくとも
塹壕を多数用意して入れ込み陣地転換でこれらを動かしてやれば、攻略側からすると割と悪夢だと思います
人の嫌がる事は率先してやりましょう
仰る通りですね。
平時からコストがかかったとしても、有事への備え+抑止力として、各種弾薬の備蓄・生産ライン確保を何とかして欲しいものです。
5名程度の人員とトラック1台を粉砕できるのであれば、例え砲が囮でも夢見はいいのでは?
日本の場合はどうなるんでしょうね。
素人の妄想ですけど。
離島に砲兵部隊を配置するのは非現実的な気がします。
大部隊の上陸はほとんど不可能でしょうから、少数の部隊が離島やゲリラ的に上陸して、それを奪還しに行くモグラたたきのような戦闘になりそうな予感。
そんな戦闘でFH70って有効なんでしょうか?
沖縄本島くらい広ければ別だが離島なら迫撃砲で事足りそう
有効ですよ。主戦場になっている島の近場の島に砲兵を揚陸して、主戦場になっている島を叩くんですよ。
敵が嫌がる事をするならFH70に拘らなくても別の方法が有るって話になりませんかね?レゾリュート・ドラゴンでは確かにFH70で想定して射撃しては居ますがどこまで実戦を意識した物なのかは分かりません。
18有る島嶼部にFH70を運びそれを運用維持出来る環境を構築するならば、弾薬庫や塹壕の作成・その分の燃料弾薬の運搬・人員の確保と保守整備に関わるあらゆる費用が必要です。そしてそこに確実に敵が来るのか分からない、環境だけ整えていざという時に使えるようにしておけば良いだけで済む話では無いでしょう運用には榴弾砲にしては多い人数と訓練も必要です。
そして駐屯地から敵展開地点に榴弾砲の射線が通るのか射程に問題無いのかの問題もあるでしょう。敵国と陸続きで広大なウクライナの平地で起きている事を島国日本の限られた土地しかない島嶼部にそのまま当てはめるべきかも疑問です。お金があるなら何をしたって良いとはなりません、人員不足を考えるなら有り物のFH70よりM777の方が良いのではないかとかあるでしょう。
それこそ島嶼部に取り付かせないのが第一目標だと思いますし、上陸してもそこに展開する迫撃砲で攻撃しても良いでしょう。島嶼防衛用高速滑空弾に代表されるような長距離攻撃の手段を使う事で人員や弾薬庫等をある程度集約させコスト低減や装備を守りやすい環境構築が出来ると思います。最初からFH70ありきで島嶼防衛を考えるのは乱暴じゃないでしょうか。
>FH70に拘らなくても別の方法が有る
具体的にお願いします
私は現場の手間こそ必要ですが、お金や時間が掛からない破棄予定の現有物で直ぐに取り組める対策として提案しました
ミサイルなどは高額で保有数にも限りがあり、調達にも一定の時間が必要です
逆にロシア側の意見を調べると最も恐れられていたのはカエサル自走砲とのこと
射程、快速から一方的にやられていた様で現在でも総数の1割程度しか撃破出来ていない
m777の様な榴弾砲は砲身のみなら頑丈なので敵の攻撃で損傷しても、回収、修理しやすい利点もある
加えて、言うと2022年の早い時期に供給された時期も関係しているかもしれない
文中のロシア軍のマルバ自走砲に当たるウクライナのボーダナ自走砲の初期は故障も多かったようで酷評もあった
ズミズヌイ島のロシア軍部隊が撃退された決定的な要素が陸上からのカエサル自走砲とグラートなどの攻撃によるものではとの見方もある
であればトラックに牽引砲を脱着して、載せてトラック自走砲としても、降ろして牽引砲としても使える砲を開発すれば更に汎用性は高まるんじゃないでしょうか?
砲部分は可能な限り単純な構造を用い、弾道計算、装填支援、脱着機構など複雑な物はトラック側に集約すればトラック自走砲としては逃げ足の速さ、牽引砲としては堅牢さが期待できるかと。しかも牽引砲として破壊されればトラックでそのまま持ち帰れるかもしれない。
ここを見ている方々にはご指摘不要のこととは思いますが、並のトラックの足回りでは榴弾砲発射の衝撃に耐えられんのですよ。トラックの自走砲化の例をみても、連装ロケット砲や無反動砲ばかりでしょ?
自走砲榴弾砲の台車に使えるような車両で貨物を運ぶのは無駄すぎるしね。
いちおう、アメリカ軍ではブルータスと言う155㎜をトラック乗せた試作品があるけど。ボツになった。何がダメだったかは、残念ながら知りません。
>であればトラックに牽引砲を脱着して、載せてトラック自走砲としても、降ろして牽引砲としても使える砲を開発すれば更に汎用性は高まるんじゃないでしょうか?
牽引砲はかなり重いので簡単には下せない。M777は4トンもある。軽量化して、積み下ろし用のクレーン乗せて・・・だったら牽引砲の方が良いとなる。トラックに砲弾も載せれるし。
さらに、自走砲の向き変更機構が無駄になるかな。これが結構面倒。 牽引砲は大まかな向き変更はタイヤ+人力でやるけど。故に簡素。 自動砲は車両+砲の土台による調整となる。
どっちか一方に絞ったほうが良いかな。
M777というか牽引式榴弾砲は一時期評価が地に落ちたものだとばかり思ってましたが更に時を経て現場では評価されるようになってるのですね…やはり兵器は頑丈さが何よりということですか
「高価すぎる」という批判はそうなのでしょうが、どのような欠点があるのですか?
俺が欲しいのは…ゴツくて正確なやつだ
155mm榴弾に関しては西側式が良いかと思います。先ずドローン投入で索敵が楽になったので精度の高さが活きますし、そもそも155mmを扱う為には、人力では兵員数が、機械式ではコストが要求されるので155mm砲を単純増なんて無謀です。
しかしロシア式の精度が低くとも、数の暴力で相手を圧倒し、生存性を高めるのも魅力的ではあり、そこで105(122)mm榴弾砲、迫撃砲、MRLSで155mm榴弾砲を補うことが考えられます。
ウクライナは155mm砲以外のこれらの砲をどう運用しているのか、また砲撃量で圧倒するロシアは対してどうなのか興味が尽きません。
> M777A2が最も効果的でメンテナンス性が高く、現在の戦場環境にも適している
自走式のPzH2000かArcherのどちらかだと思ってた
カエサルに至っては名前すら出て来てない。。。そんなぁ(´・ω・`)
今は自陣での防衛が主体だから
機動性のある自走式じゃなくても戦えてるって事かな?
弊国の装備調達でウクライナの戦闘だけ見て自走式はコスパ悪い!牽引式で充分!
みたいな事にならないと良いけど
単純な兵器スペックではなく、結局、どこでどう戦うかを決めないと話にならないということなんだろうけど。
対ソ連の戦略と戦術は、判り易かったけど。今は良く判らないや・・・
これじゃないかな。。。
メンテナンス云々もあるだろうけど、防衛戦主体だからM777で十分だと。
自走砲の運用をみても、陣地内に隠蔽して発射時だけ一時的に外に出す、って事をやってるみたいだし。
それなら自走砲である必要性はさほどない。
陣地戦における最前線の砲の運用としては納得できる。
地形的にも防衛中心になる本邦においても学ぶ点がありそう。
PzH2000は、足回りを中心に整備、部品調達が大変でしょうね…
防衛主体は仰る通りで、浮いた予算を陣地構築・弾薬調達に回した方が、全体最適に繋がる気がします。
追記です。
>「直ぐにスペアパーツの供給量を倍にしてくれ」と要求されても生産規模が小さい防衛装備品のエコシステムに余剰の生産能力はなく、信じられないようなコストを負担して供給拡張かかるリードタイムを圧縮できたとしても軍の人員や訓練が追いつかないと意味が無い。
(2022.12.21 安全保障のバックボーンが壊れたドイツ、作戦準備が整ったPzH2000は36輌だけ 航空万能論)
まさに現場の声というべき非常に興味深い話ですが、最後まで読んだ感想としては「やっぱり数は正義」です
両軍共に観測射撃に無人機とドローンを使用し、古臭い集中運用から分散・連携砲撃運用となってその運用における優劣があまり無い状態では、砲の運用・メンテナンスのしやすさが重視されるのはある意味当然の帰結かと思います
そういう状況であると砲・砲弾・部隊数などの数こそが最終的に物を言うように思えますので
まさに戦争は適応の連続であり、互いに適応しあった行き着く先は兵士・生産・兵站を含めた数の勝負なのでしょう
1940年代のD-1榴弾砲でも使えるなら戦争は数の勝負なのであった方が良い
ってのが伝わってくる内容でしたね
戦車・装甲車だって1960年代だろうとなんであろうと備蓄しておいていざと言う時に使えるなら有効
戦争が始まってから慌ててもダメ、準備が大切
そんなのを改めて認識した宇露紛争でした
戦争期間があまりにも長く、消耗戦があまりにも激しく、戦線があまりにも長いですからね。
牽引砲のように、生産性が高く・比較的安価・メンテナンス容易ですから、重宝されるでしょう。
海外製自走砲は、メンテナンスをウクライナ国内で行うのも困難ですし、部品を海外調達する必要もあるんですよね。
ウクライナに供与されたM777はおよそ200門と発表されているが、Lostamourは視覚証拠付きで90門の損失を確認している。
シーザーなどの機動力が高いものに比べると損失はどうしても大きくなるが、現場の砲兵にとっては『戦場で動く兵器がベスト』と言わざるを得ない。同じことがロシア側の砲兵にも言えるため多少の質の低下は両陣営にとって問題にはならないのだろう。
PzH2000やアーチャーなどの先進的システムはそもそも整備性に難があったり数が揃っていなかったりで消耗戦に意味のある変化をもたらさない。
冬が到来してドローン活動が低調になり、木が枯れる時期になると再び砲兵がものをいう時期になるだろう。そして砲兵はトランプの就任の影響が最も早く出る兵科でもある。
M777は供与数が一桁違うし前線で散々破壊されてもいるのだから、部品も取り放題でメンテナンス性は良好でしょうね
前にも指摘しましたがM777は決して安価で数を揃えやすい兵器ではないです、K9自走砲が
途中送信してしまいました
K9自走砲が買えてしまうぐらいの単価になっています
ウクライナはアメリカの大盤振る舞いのおかげでM777を短期的に大量調達できましたが、そうした特異なケースでない場合は慎重にコスパを考えるべきでしょう
ご意見に賛同します。
コスト・生産性・メンテナンスのしやすさは重要ですね。(M777は、ウクライナは自国で生産してなくて、供与してもらっているのですが)
他の方もおっしゃっていましたが、「数は正義」という面がありますしね。
M777は、アメリカのりゅう弾砲の系譜を継いでいる兵器だと思います。太平洋戦争で日本軍がさんざんやられたアレですね。
M2機銃みたいにシンプルな構造が基本にあると思います。過去の戦場で洗練され、それに最近の付加価値のオプションがついているのですね。牽引砲なので損失は大きいと思いますが。
アニメだと敏腕メカニックがオンリー機を全部メンテナンスしてくれるけど
そんな整備士実際にはいねーもんなあ
多種多様な砲兵の運用してる時点でウクライナ軍はすげーよ
実質的には運用出来ていると褒められる状態ではなく。
Pzh2000は整備負担がかかり過ぎてほぼ稼働不能。1年間365日のうち、前線で活動したのが7日で残りの時間が整備に使われ。実質の稼働率で2%以下のパレード用兵器と揶揄されていますね。
カエサルは撃破された数より故障で使用不能になった機体の方が多く、「砲撃後の素早い撤退」+「後方で移動中に自然に壊れて要整備となり前線任務を免除される」というダブルの理由で「カエサル部隊に配属されると非常に生残性が高い」と人気があるそうで。
PZH-2000に関しては開発国であるドイツでも整備がまともに出来ておらず稼働率が酷い事になってると報じられてますもんね…
本国でも稼働率がヤバいものを他国が高稼働率を維持できるわけない
まるでPZH-2000以外の稼働率は維持してるような誤解を招く発言は慎んでいただきたい
連邦軍の悪口を言うなw
ほとんどの装備の2/3は少なくとも起動できるだろう(一日中故障しないとは言っていない)
塹壕戦や市街戦が主流になるなら、牽引式の方が場所も取らずメンテもしやすくて扱いやすいんだろうな、という印象を受けた
まだ”戦役”は終わっていないので、一つの意見として捉えたなら良いのでは。
素人にとって印象的だったのは、
”そして105mm砲も122mm砲と比較して非常に優秀であることが戦場で証明されている。”
”さらに中東、アジア、アフリカの国々が対応弾薬を豊富に持っているM-46を
使用し始めている点で、これも戦場に問題をもたらす可能性がある。”
何がなんでも155mmでなければ、ということは無いのでは。
あとM46はベトナムでM114に撃ち勝っています。
しかし10榴で良いなら120mmの重迫でも良いって事で、それはつまり全般支援と対砲戦をしない範疇の火砲の部類の話では?
M777も同じで対砲の火力戦闘はしない範疇では最も効率的で当然です。自走榴の車両掩体は構築が容易ではなく、そもそも車体の稼働率が火砲の稼働率に直結する。牽引砲はそこが無関係ですから維持整備工数も稼働率も書類の数字上では段違いに有利に見える。
しかし対砲戦闘を他がしてるから10榴やM777の牽引火砲は残存できるわけで、それを実施する自走装甲化のが数字の上では非効率で消耗気味でもじゃあ無用ですねでは全く無い。
そもそも10榴や12迫の対陣地の耕し効果は簡易掩蔽で阻止可能な範囲でいくら撃っても意味がない標的は多い。かつての重砲が皆15で代替されたのだからその耕し能力は証明されてます。この差ですね。
目標によって砲を使い分けるのは理解できます。
10榴/12迫では塹壕陣地を崩す事は出来ないでしょうし。
また、近接した暴露目標の阻止射撃の場合は、15榴は大きすぎるでしょう。
どちらも必要で良いと思います。
こんな実戦証明話が生きてるうちに聞けてしまうとは・・・
データリンク系全部取っ払ってもなお牽引式榴弾砲が一番ってのは中々興味深い戦訓だな
やはり数が多いのと軽くて取り回しが良いのは単純な性能に勝るか
考えてみたら自走砲は砲撃時の衝撃を車両部分が受けるわけでそら壊れるわな
設計時はそこまで撃ちまくれて、生き残れる想定ではなかったのかもしれないが
M777再評価は非常に興味深い。かつての評価は”空輸重視で耐久性が低くすぐ壊れるが兵站難なので直せずに放棄を余儀なくされる””高尚な電子装備他とセットでの運用による少数弾での精密砲撃が前提なのに、その辺の供与がないと単なるスぺ体質””牽引車の補給が足りないので故障しても修理のために後方へ下げられず故障するとその場で徒に朽ちていく”と言った不満、悪評が並んでいた。
相当大量に供与されたようで露軍の戦果発表やドローン動画で毎日のように破壊が伝えられていたこともあり”脆い”印象があったので、高評価は非常に意外。
まあ、155㎜クラスの牽引砲としては軽くてなんぼか扱いが楽なことや、大量供与で部品繰りが軽減されたり使い慣れたことが効いて評価が変わったのだろう。後は、”もはや機動運用どころではない”という点も大きいのだろう。
とはいえ、”米欧砲は長射程、高CEPの代償で砲身命数が小さいが砲身の兵站に難があって難儀してる”という話はどうなったんだろう?”所詮、間接射撃による面制圧だから砲身命数を越えた坊主砲身による精度低下は大きな問題じゃない”という話ではあったのだが(”精度が高いから少数の砲弾で事足りる”は今もそうかは疑わしいなあ)。
まあ、状況と所と時期が変われば評価が変わるということ、旧ソ連系の砲とタマが無くなれば米欧系兵器の中で比較せざる得ない、するとM777の相対評価が上がるということなんだろうねえ。
現在のウクライナの防衛状況から推定すると。
砲に期待される役割は「ロシアの少人数歩兵浸透を追い払う」ことだと思いますよ。
命中しなくても、155ミリ砲弾が落ちれば周辺のロシア歩兵は逃げていくので、追い払うにはそれで十分なのでしょう。
マトモに稼働できるがM777だけなんでは・・・
結局のところ自走砲ってのは砲か車体、どちらかが故障すれば終わり。むしろ高性能なCPUやら装甲に耐える足回りやら故障率の高いパーツが揃っており、定期的な重メンテも必要になってくる。
長期的な運用において、自走砲は牽引砲の代わりにはなりえないのだろう
米軍規格砲で米軍規格砲弾を米軍規格マニュアルで習い使う=精度が最大化。
一様に西側155mmの砲と弾でも実際は仕様違いで超絶雑多な供与品の中で米軍の砲と米軍の弾だけ数も揃ってて突出して効果的という部分はある。
やはり陸戦は米軍互換が大正義なのを証明してるウクライナ戦線を見て本当に国産の独自規格で継戦できるか検討して欲しい所。特にわーくにには。
ロシアが命中をあまり当てに出来ていないのはあちこちをとにかく破壊して相手を下がらせるという戦術を多用してる事からもわからないでもないかな。
特にロシアの火砲は一部の補強された地域以外では時代的にも供給国的にも精度が下がっているので…命中に自信があれば的中させてその場で倒せば良いんだよね。
ウクライナが後退するという話も裏を返せばあれだけの猛烈な砲爆撃を繰り返しているにも関わらず、かなり取り逃している話にも繋がっているし。