ウクライナ戦況

ウクライナ軍はハルキウ方面で反撃、ロシア軍はドネツク方面で前進

RYBARはハルキウ方面ボルチャンスク方向について「ロシア軍がヴォブチャ川を渡河して南市内に足場を築いたという誤った情報がネット上で拡散している」と警告、DEEP STATEはアウディーイウカ方面について「ロシア軍がエヴヘニフカを占領した」と報告した。

参考:Мапу оновлено!
参考:Хроника специальной военной операции за 10 июля 2024 года
参考:Авдеевское направление: расширение зоны контроля и бои на подступах к Новоселовке Первой обстановка по состоянию на 9:00 11 июля 2024 года

アウディーイウカから西に広がる低地部分の戦いは終わりを迎えようとしている

RYBARはハルキウ方面ボルチャンスク方向について7日「ウクライナ軍が北市内の病院付近で領土を奪還した」「ウクライナ軍が北市内の部品工場付近で領土を奪還した」「ロシア軍がアパート地区の一角を占領した」と報告したが、Military Summaryは「ボルチャンスク南市内=でウクライナ軍の戦車が部品工場方向に発砲する映像」を根拠に「ロシア軍がヴォブチャ川を渡河して南市内に足場を築いた」と主張。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

Military Summaryは「戦車の発砲が約200m先に着弾した=そこにロシア軍陣地がある」と主張しているのだが、この視覚的証拠だけで「ロシア軍がヴォブチャ川を渡河した」と評価する観測者は少なく、RYBARも10日夜「ウクライナ軍がボルチャンスクで反撃を実施している(リプシ方向でも反撃していると言及)」「ロシア軍がヴォブチャ川を渡河して南市内に足場を築いたという誤った情報がネット上で拡散している」と指摘した。

因みにDEEP STATEはボルチャンスク方向について何も言及しておらず、この方面の評価は6月20日からほぼ変更がない。

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DEEP STATE、RYBAR、ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏が主張するボルチャンスクの前線位置は異なる点が多いものの「ロシア軍が後退してウクライナ軍が前進している」「ウクライナ軍が部品工場へのアクセスルートを圧迫している」という傾向だけは一致している。

DEEP STATEはホルリウカ方面ニューヨーク方向について9日「ロシア軍がアパート地区・中学校・ダーチャを占領した」「グレーゾーンが高台の麓まで拡大した」と報告していたが、新たに「ニューヨークの西に支配地域を拡大させた」と報告、RYBARはニューヨーク方向について何も言及していない。

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RYBARはトレツク方向について「ロシア軍はピヴ二チネ市内のアパート地区で前進した」と報告しているが、逆にDEEP STATEはトレツク方向について何も言及していない。

DEEP STATEはアウディーイウカ方面について「ロシア軍がエヴヘニフカを占領した」と、RYBARは「ロシア軍がノヴォセリフカ・ペルシャ郊外の農場に入った」「ノヴォポクロフケの南でノヴォセリフカ・ペルシャ方向に前進した」と報告。

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ソキル、ボスホート、エヴヘニフカを巡る戦いが決着し、ノヴォセリフカ・ペルシャを巡る戦いが本格化した格好で、アウディーイウカから西に広がる低地部分の戦いは終わりを迎えようとしている。

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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України

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コメント

    • たむごん
    • 2024年 7月 11日

    ニューヨーク市東部の部隊、ロシア軍の北上により、早めに下げる必要がでそうですね。
    ニューヨーク市が陥落すれば、トレツク南部への圧力が増す事にもなります。

    ニューヨーク南部からの進撃速度、急に動きが速くなっていましたから、しばらく注目したいと思います。

    10
    • kame
    • 2024年 7月 11日

     ロシア軍はハルキウ方面でいつまで粘るつもりなのか?損失があったのは間違いないだろうし、ウクライナ軍がハルキウ方面に力を入れているのはわかっている筈だし、今の戦力で固執しても得るものは少ない気もしますね。東部がじりじりとではありますが、前進できている以上、無理せずにタイミングを見て後退すべきだと思いますが、後退するタイミングも無いぐらいにウクライナ側の攻勢が激しいと考えた方が良いのかもしれません。

    5
      • nton
      • 2024年 7月 11日

      プーチン大統領が緩衝地帯を設けるという目的を言ってしまったので、政治的な理由で下がりたくないことが考えられると思います。
      ウクライナ軍のドニエプル川渡河作戦と似た事情があるのかもしれません。

      8
      • あるまじろ
      • 2024年 7月 11日

      完全に個人的な憶測だけど、ありそうな所としては、プーチンに忖度しているとか。
      (ハルキウ州への攻勢については、国境付近に緩衝地帯を設けることがねらいだとプーチンが言ってた。)

      あとは普通に捨て駒扱いで、どうなっていいからウクライナ軍の誘因効果を優先してるとか。

      5
        • kame
        • 2024年 7月 11日

         最初期は確かにプーチン大統領の意向に忖度していたようにも感じられましたが、段々と修正が入って、軍部手動の堅実な進め方をしていたので、今回のハルキウでの固執は個人的には残念ではあります。緩衝地帯作りや誘引効果については確かにそういった類の発言や効果もあるため、可能性としては無いのでしょうけど、戦力を削られるよりも早急に行うべき事なのか?というのが私個人の印象ではあります。
         まあ、両国ともに常に完璧な選択を出来る訳でもなく、非合理に見えても後々に意味が出てくるのかもしれませんね。

        8
      • ppap
      • 2024年 7月 11日

      ロシア軍は北側の高地を抑えてる状態ですので、これまでのロシア軍の傾向を見ると高地が維持される限りは高地より後ろに下がる戦術判断は基本的にないと思います。
      現状でもハルキウ方面にウクライナ軍は温存していた予備兵力を吸引され前線に投入していていますので、この状況を維持するのはロシア軍にとって戦術的な利益になりますし

      20
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 7月 11日

    昨夜あたりから「ロシア軍がヴォブチャ川を渡河した」とか「ウクライナ軍が北部から撤退しつつある」とか流れてて「は?(宇宙猫)」って状態でしたが、誤った情報なのですね
    ボルチャンスク周辺はプロパガンダと誤情報が飛び交ってて何が何やらって状態が続いてますな

    12
      • TKT
      • 2024年 7月 11日

      まあ仮にロシア軍が部品工場の付近からヴォブチャ川を渡河して、ヴォブチャ川の南岸に進出したのが事実であった場合は、ヴォブチャ川北岸のウクライナ軍は補給路、あるいは退路を断たれて一気に劣勢、完全包囲の危機になることになります。

      逆に言えば、ロシア軍はボブチャンスクに集まったウクライナ軍を一気に袋のネズミにできるわけで、現状はよくわからないことも多いですが、確かにロシア軍がそういう作戦を実行する可能性は大いにあるでしょう。

      3
        • あるまじろ
        • 2024年 7月 11日

        あぁそういう情報による誘因目的なんですかね。

        何回かあったなぁ、そういうやつ。

        6
          • TKT
          • 2024年 7月 11日

          だいたいこの実際は少人数しかいないとされる部品工場を、優勢とされるウクライナ軍がいつまでたっても制圧できないのは不自然だし、またロシア軍が少人数しかいないとされる部品工場から退却しないのも何か不自然なわけですよ。

          10
      • baka
      • 2024年 7月 11日

      今日見た戦況図の方々はロシア軍が大釜を作りに川を渡ってるのでは?と
      言ってましたね、ロシア側の発表と言ってましたから管理人様の言う通り
      プロパガンダかも知れませんが、気になる情報でこれもロシア筋なので
      信憑性は低いでしょうが、ロシア軍の反撃を受けてボルチャンスク市内から
      後退すると言ってるそうです、信憑性は低いですが戦況を見守りたいと

      5
    • 七志
    • 2024年 7月 11日

    色々なところで言われているように、ロシア軍にとってのボルチャンスク正面は東部戦線の予備戦力吸引のための陽動が主目的なので、ウクライナ軍がより多数の戦力で来れば来るほどその目的を達成することになります。
    それに加えて、ノブゴロド州への越境攻撃の阻止のための安全地帯の確保という副目的があるので、ロシア軍は耐えれる限りボルチャンスクで地域を確保して耐久すると思います。

    ロシア軍の勢力は情報の差こそありますが、精々5個大隊という噂が強く、対するウクライナ軍は数個旅団と三倍則を遵守しているので投入し過ぎと言うわけではないでしょうが、戦力の引き抜き先が東部戦線の予備戦力なので、ロシア軍の作戦は主目的が達成、副目的はやや困難と言えるのでは無いでしょうか?

    逆に、圧倒的劣勢下で奮闘している事から、両国のプロパガンダ抜きにしてもロシア軍の精強さが現れている次第では無いでしょうか

    28
    • paxai
    • 2024年 7月 11日

    ISWのMAPでは渡河成功してる事になってるな誤報に釣られクマーしてるわ。しかし戦車砲で大きく射撃ミスするって珍しい気がするかなり精度が高いと聞くのに。砲身か弾に問題があったのかな?

    3
      • 通りがかりさん
      • 2024年 7月 11日

      交換推奨数を超えて使ったとか、内外要因の積み重ねで変形したとかですかね?砲弾は新規製造品だと思うので許容量以上の異常は考え難そうですが。
      シンプルなヒューマンエラーが一番ありそうかなと思います。

      3
    • Dr.Strangelove
    • 2024年 7月 11日

    個人的にはニューヨークからの西進に注目したいです。

    理由は二つあり、まずはこちら側のアレクサンドロポリ(ここの地図だとオレクサンドロポル)やスハヤ・バルカといった集落は高地であり、かつニューヨーク方面への突出の側面を扼しているので奪取すれば突出部の安定に繋がること、二つ目はアレクサンドロポリのすぐ南を鉄道が走っており、これを運行できればオチェレティネ方面の兵站を強化できることです。

    そういう訳でこの方面でロシア軍が攻撃を行う合理性があり、困難なものでもなさそうなので注目していきたいですね。

    6
      •     
      • 2024年 7月 12日

      個人的には、西に進んで、ここで頑張っているウクライナ軍109旅団?を潰したいな。

    • 事実
    • 2024年 7月 12日

    FIRMS、ボルチャンスク方面、中心部から北東方向、ロシア領内3km程度の場所に複数の反応
    7/3あたりからロシア領内にポツポツと反応が出始めていたけど、これだけまとまった反応は初めてじゃないかな?

    1
    • 冬戦争
    • 2024年 7月 12日

    ロシアのニュースサイトsvpressa.ruではロシア軍がヴォルチャンスクでヴォルチャ川を渡河して南部に渡ったと言う記事があります。7月11日8:33の記事です。まあ続報待ちですね。

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