ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏は「リプシから2kmの地点に敵が迫っている」「大量の敵無人機が戦場上空を飛んでいる」「敵は直ぐに学習し、直ぐに結論を導き出し、直ぐに改善してくるためリプシ方向の戦いは決して容易なものではない」と報告した。
参考:15 травня провів у Липцях. За моєю спиною дамба та водосховище.
参考:Благие вести с Харьковского направления.
НгП раZVедкаの報告が事実ならザビン方向でヴォブチャ川の渡河を考えている可能性がある
ハルキウ方面リプシに入ったウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏は「リプシから2kmの地点に敵が迫っている。今のところ敵の攻撃を撃退しているが、大量の敵無人機が戦場上空を飛んでおり、100万機のドローンを手に入れたのは我々ではなくロシアの方だった」と報告、比較的長めの報告を要約すると以下のようになる。
“私は5月15日をハルキウ方面のリプシで過ごした。今のところウクライナ軍はリプシに前進してくるロシア軍を撃退している。敵はあらゆる種類の無人機を大量に使用して偵察を行い、砲兵、空爆、無人機で我々の防衛能力を弱体化させ、10人から30人の小人数グループで防衛ラインの隙間を見つけ奥深くまで前進するか、戦力が脆弱な陣地を見つけて数的優位を活かして攻撃してくる。このような戦術は密集した森林ゾーンが多いリプシ方向の地形に適している”
“ロシア軍はリプシから2km離れた地点にいるが、この地域には第92独立強襲旅団と第13旅団(国家親衛隊)の部隊が配備されており、指揮統制も部隊間の協調も適切に行われているため、我々は武器や弾薬の数で有利なロシア軍よりも優位な立場を維持している。ここで戦う兵士らのモチベーションは非常に高く、誰も撤退しようとせず防衛ラインを守り続け、ロシア軍は大きな損害を被っている。但し、リプシは定期的に空爆や砲撃を浴びている”

出典:Беспилотные системы Supercamシリーズ
“我々の上空を敵のFPVドローンが絶え間なく飛んでいる。本当にかなりの量が戦場上空を飛んでおり、100万機のドローンを手に入れたのは我々ではなくロシアの方だった。ウクライナ軍兵士は小集団で移動し、常に頭上に何が飛んでいるのか、どの方角に飛んでいるのか、どの種類が飛んでいるのかに耳を傾けている。仮にドローンに発見されても遮蔽物となる森林ゾーンが点在しているため、直ぐに身を隠すことができる”
“Orlan-10やSupercamも最大40kmの範囲でハルキウ地域を監視し、常に位置を修正してくるため、我々は航空機、ミサイル、Lancetの攻撃で大きなダメージを受けることがある。誰もが『我々の防空システムは何処にあるのか』『なぜ無人機を撃墜しないのか』と疑問に思っており、私も『なぜ後方地域で無人機や制御信号を検出して警報を出すシステムが機能しないのか』と疑問に思っている。ハルキウ方面は組織化されモチベーションの高い部隊によって守られているものの空に対する援護が必要だ。さらに敵は直ぐに学習し、直ぐに結論を導き出し、直ぐに改善してくるためリプシ方向の戦いも決して容易なものではない”

出典:53 окрема механізована бригада імені князя Володимира Мономаха
要するに「ハルキウ方面リプシ方向に対するロシア軍の攻撃は第92強襲旅団と第13旅団の部隊によって阻止されているものの、敵のFPVドローンや偵察用UAVが自由に戦場を飛行しているため『Air littoral=有人機が飛行する高度と地上の間に広がる空域で小型ドローンが主戦場にしているスペースのこと』の優位性がロシア側に大きく傾いている」という意味で、空に対する援護とは「ドローンを検出可能なセンサー」「作動を妨害する電子戦システム」「低空域をカバーする対空システム」のことを示唆しているのだろう。
因みにロシア人ミルブロガーのНгП раZVедкаは17日「激しい戦闘の末、ロシア軍がザビンの解放に成功した」と主張しているが、この報告は視覚的な証拠に裏付けられておらず、DEEP STATEもRYBARもロシア軍によるザビンへの前進や攻撃を1度も言及したことはない。
但し、RYBARは「ボルチャンスク市内を流れるヴォブチャ川を渡河して南市内に入るのは困難を極める」と指摘しており、НгП раZVедкаの報告が事実ならザビン方向でヴォブチャ川の渡河を考えている可能性がある。
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※アイキャッチ画像の出典:БУТУСОВ ПЛЮС
戦況動くのが早い、明日にはリプシに突入してそうな勢いだ。
ロシア側の人数が少ないのと、柔軟な戦術やルート選択を指揮官、兵士共にかなりの熟練者と感じます。
それこそ東部戦線は今はローテーション程ではないですが勤務人数を減らしたシフトなどで小休止の気もします。それだけ今はロシアに余裕がありそうです。
小規模の歩兵大隊でも圧倒的な砲爆撃でウクライナ軍は顔面蒼白で敗走しているイメージです。
ルクヤンツィからもっと押し広げても良さそうなもんだが。そうすれば東のヴェセレ方面にも優位に立てそうだぬ。
頭とられているって相当ヤバいぞ撃たれっぱなしになる
それだけドローンが飛んでると車輌は近づけそうにないな
この時代に歩兵人海戦術が正義になるとはなあ
ロシア軍、練度の高い歩兵主体で、浸透しているような内容ですね。
ドローンとの連携が、極めて高度に感じる報告と思います。
ウクライナ軍は、河川渡河からの側面攻撃にも注意する必要がありますから、予備隊部隊が常に必要になりそうです。
ウクライナの戦場は、戦線が長く、平原が広いため、本当に防御の難しい地形だと感じますね。
“100万機のドローンを手に入れたのは我々ではなくロシアの方だった”
知ってた。というか、いつも通り過ぎてもうなんと言っていいやら
なんでいつもウクライナは大口を叩きつつ実態は逆なのか
兵員数、要再構築、ドローン…
海では主導権握っているから(震え声)
しかしこのブトゥソフ氏は本当にすごいですね。
常に最前線に身を置き正確な情報を伝えてくれます。
戦闘に巻き込まれて大けがをしたり、最悪亡くなったりしないように祈ります。
「敵は大きな損害を被っている」←もはや枕詞だな。
敵の損害を先ず強調し、味方有利を強調しろと、お達でも出てるのか?
このジャーナリストを賞賛する声が多いけど、結局はプロパガンダと感じてしまう。
そもそもウクライナ軍の損害を教えて貰えないんじゃね?ロシア軍の損害に軍事機密(ウクライナにとって)はないけどもウクライナ軍がどのような損害を受けたかはロシア軍にとって垂涎の情報ですから。
相手が自国のジャーナリストであっても隠してるのでしょう。
そもそもウクライナ軍は損害情報の公開にはかなり消極的らしいし・・・
ロシアに大量の使い捨てドローンがあるということは
中国にはもっと大量のドローンがあるということですね。
中国による台湾進攻計画に大量のドローンが組み込まれることは間違いなく
安価で確実なドローン無力化手段が必要になりますね。
それこそ、横須賀と呉れと佐世保をそれぞれ5千機のドローンが開戦劈頭に襲来という
真珠湾攻撃のドローン版が発生するかもです。
電子戦で抑えられない場合、小型ドローンにはどんな兵器が有効なんでしょうね。
時限式の榴弾とか三式弾みたいなのとか?
投網・・・いやギャグとかではなくロシアの最新式対小型ドローン用ドローンのメイン武装がこれでした(そして捕獲にけっこう成功してた)それに歩兵も使ってました
あと陣地に突っ込んでくるタイプの小型用も定置網というか、カスミ網猟っぽいので捕まえてたから防御面では頑丈で見えにくい細さの網でいいのかも
積極的に排除だとそれこそ鹿撃ち用のショットガン程度の威力でいいみたいですし、昔懐かしVT信管+無人機銃をFPSがうまい人にお任せとか?
日本なら放水銃が最強でしょうね。
人類の知恵というか機転って凄いですね…〉投網
なのに何故世界は平和にならないのか。
VT信管的な物は小型ドローンに反応するのを作れるんですかね。
そういえばレーダー連動の機関銃が良いみたいな話になるけど実用化されたという話を聞かないのは何故だろう
以前も記事かコメントに出ていましたが、ロシアの対FPV特技兵の主武装はショットガンですね。
背中にバッテリーとジャマーを背負って、ドローンを可能な限り妨害しながら散弾銃で迎撃するのです。