ウクライナメディアは一斉に「ウメロフ国防相がブダノフ中将との調整なしに国防省情報総局(GUR)の副局長2人を解任した」「ウメロフ国防相が大規模な粛清人事を計画している」と報じ、ブダノフ中将解任の噂まで出回っているが、まだ大規模な粛清人事が行われるかどうかは確定していない。
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もしゼレンスキー大統領が訪米前にブダノフ中将を解任すれば憶測を呼ぶのは必定
Ukrainska Pravdaは20日「ウメロフ国防相がブダノフ中将との調整なしに国防省情報総局(GUR)の副局長2人を解任した」「ウメロフ国防相が大規模な粛清人事(軍の将官や国防省の高官約20人)を計画している」「主な解任理由に仕事に対する非効率さ、旧ソ連方式のアプローチ、成果の欠如を挙げている」「さらにネット上には大統領府がブダノフ中将の解任を画策しているとの噂が溢れている」と、RBC-Ukraineも「副局長2人の解任だけでウメロフ国防相の粛清人事は終わらない」と報じている。
Ukrainska Pravdaの情報源は「副局長解任は1週間前に行われた」「これはブダノフ中将と合意されたものではなく、この解任決定を主導したものウメロフ国防相ではない」「粛清人事のリストには5人の副大臣、国防省の事務次官、物議を醸している無人システム司令部のロマン・フラドキー参謀長が名を連ねている」と、RBC-Ukraineの情報源は「ブダノフ中将の解任はテーブルの上にはなく検討もされていない」と述べており、ブダノフ中将の人事に手をつけないなら大きな問題にはならない。
逆にゼレンスキー大統領が訪米前にブダノフ中将を解任すれば憶測を呼ぶのは必定で、ウクライナはドゥーギン氏の娘が殺害された自動車爆弾テロについて「無関係だ」と主張したものの、ロシア連邦保安庁は「ウクライナ軍特殊部隊の犯行」と断定、米諜報機関も「ウクライナが作戦実施に許可を与えた」と結論づけ、バイデン政権はウクライナ側を秘密裏に叱責し「同じことを二度とするな」と警告したことがある。
さらに流出した米国の機密文書には「ブダノフ少将が2月24日の大規模攻撃を準備するよう部下に命じ、この攻撃はTNTを使用したノヴォロシースクへの海上攻撃で象徴的な意味合いが強い作戦だった」と、CIAの機密文書にも「ワシントンの要請でGURはモスクワ攻撃を延期することに同意した」「米国はブダノフ少将の通信を監視している」と、別の機密文書でも「GURがマリで活動するワグネルへの攻撃(今年7月に現実のものになった)、クルド人の協力を得てシリアのロシア軍攻撃を計画していた」と言及。
ワシントン・ポスト紙に対してブダノフ氏は「自分が監視されていることに気づいている」と示唆していたが、これはロシアではなく米国に監視されていることを意味しており、訪米前にブダノフ中将を解任すれば「米国から何らかの要請か取引があった」「ゼレンスキー大統領が勝利計画に関連して政治的手段(大胆な作戦でバイデン政権から快く思われていないブダノフ中将の排除)をとった」と勘ぐられるだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Рустем Умєров
>>ブダノフ中将解任の噂
思わず目が点になりました。
Xではブダノフ中将の人気は非常に高く
実のところゼレンスキー大統領よりも好感度を持たれているのですが。
だから、早めに芽を摘むんだろ。
自分より人気者は許さない!!
ウクライナは、国内の権力闘争が、激しくなっている懸念もありますからね。
空軍中将が解任されていますし、ブダノフ中将も解任される可能性は十分に考えられます。
ザルジニー英国大使(元総司令官)が、次期大統領候補として警戒されていましたが、ブダノフ中将も知名度が高いですからね。
(2024.8.31 唐突な空軍司令官交代、ゼレンスキー大統領がオレシュチュク中将を解任 航空万能論)
(2024年9月5日 ウクライナのクレバ外相ら辞任、内閣改造へ ロシアの攻撃で死者増えるなか BBC)
GURを事実上私物化して封建領主のように振舞いながら、野放図な攻撃を自分たちで策定し勝手に実行していたブダノフとその取り巻きがパージされるのはさもありなんといった感じですが、ウクライナ軍そのものが事実上軍閥化してシビリアンコントロールが行き届いてない部分が増えてきているため、GURの粛清を行ったところで焼け石に水でしょうなあ
仮に軍全体で大粛清を行ったとしても、現状の戦況が好転することはまず無いでしょうし
大粛清した所で戦況に影響無いのは仰る通りだし、敗戦後責任取らせる人間も必要だからゼレンスキーは当然のこと丁度ブダノフも適役かと。
ブダノフがクビ!?事実なら非常に驚くべきことですが…ザルジニーが左遷された際は後釜になるとの噂まで出た男がこうなるとは。驕れる人は久しからずですね。しかし、劣勢の時期に軍人を粛清とはソ連を思い出します。血は争えませんね。
内容評価に移ります。もしこれが事実だった場合ですが、ウクライナにとっては寧ろプラスかも知れません。記事中でも触れられていますが、ブダノフの行ってきた作戦はショー的な性格が強いものでした。ソファにふんぞりかえったアメリカ人に悪趣味な娯楽を提供することはできても、戦場において得られる優位は微々たるものです。これまでは注目を集めることにだけは成功していましたが、最近話を聞かない上、バイデン政権というスポンサーから難色を示されたわけですからお役御免になった可能性があります。しかし、単独では戦うことができず、内部の人事までアメリカから指図されるウクライナに主権はあるのでしょうか…着々と傀儡政権になりつつあるような気がします。
個人的にもただ書き、話しているだけのドゥーギン氏をテロ攻撃によって殺害しようとし、無関係のダリヤ・ドゥギナを殺した件は非常に憤りを感じましたし、それの責任者の一人が退場するのであれば喜ばしいですね。
珍作戦で味方を撹乱する、ゼレンスキー将軍の解雇を強く求めます。
正直言ってウクライナの内紛とかどーでもいいすわ
我が国が火の粉被らなければそれでいいのですが
ですが片足を突っ込んでる我が国も何かしらしないと
あかんのでしょうね、、、本当にため息しか出ない
クリミア橋の爆破でも
何も知らない民間の運転手を
爆弾仕掛けて殺してますし。
やってる事が単なる爆弾テロだから
戦後は戦争犯罪者として裁かれますよね。
どこかのタイミングで下野して逃亡するのでは
ウクライナにはもうシベリアは無いんだよ…。
最後にシベリア食ったのいつだったろう。
以前米国に突き付けられた改革要求をはじめとする外交的な理由もあるのでしょうが、そろそろ国内向けのパフォーマンスをしなければならない時期・世論だというのも大きいと思います。
更迭リストに名が挙がっているのは国防省関連のニュースで度々問題視されている面々ですし。
新体制となった国防省は一定の改善はあれど、総合的に見ればこの一年間の評価は芳しくなく、プラウダには”腐敗(の組織)から混沌に変わった”と書かれるような状態でした。
省内での有力者の乱立、責任の所在や職務の境界の曖昧さ、前線から度々指摘される各種リソースの手配の遅れ、西側から引き出せる筈の資金や援助を(西側の制度や法に詳しい人材やチームの登用数が少な過ぎて)見逃す等々、外部から強要された対腐敗組織以外は成果に乏しく醜聞に富むとなれば批判されても仕方ないでしょう。
個人的には(官僚・与党外からの登用であり、所属政党は事実上分裂している上にその両方が政権とは疎遠になりつつあり、軍に強い力を及ぼせる訳でもない)ウメロフ国防相に人形以上の役割は無いと思っています。
今回の人事が実現するのかはともかく、究極的には世論や支援国を火種とした大統領府と軍及び官僚のパワーバランスの話となるのでしょう。