ウクライナ国防省情報総局のブダノフ中将はWar Zoneに対して「木曜日に少なくとも70機の無人機でモロゾフスク基地を攻撃した」と明かし、War ZoneもPLANET LABSの映像写真に基づいて「2機のSu-34が損傷した可能性がある」と報じた。
参考:Ukraine Strikes Blow To Russian Su-34 Fullback Base
参考:О массированном ударе БЛА ВСУ по Ростовской области.
参考:Fighterbomber
ウクライナが強いられた低空域の戦いを今度はロシアが本格的に強いられる番
ウクライナ国防省情報総局(GUR)は「無人機で前線から589km離れたアフトゥビンスク基地を攻撃し、露天駐機されていたSu-57を破壊した」「今回の攻撃で2機のSu-57が損傷した可能性がある」と発表し、ロシア人ミルブロガーのFighterbomberはMaxar Technologiesの衛星写真に基づき「今回の攻撃で2機のSu-57が損傷した」と言及していたが、GURのブダノフ中将はWar Zoneに対して「木曜日に少なくとも70機の無人機でモロゾフスク基地を攻撃した」と明かした。
ブダノフ中将が明かした攻撃についてロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは「敵がモロゾフスク基地を含むロストフ州への大規模攻撃を試みた。公式発表によれば攻撃に使用された70機の無人機は全て迎撃された。前回の攻撃(3月と4月)から間隔が空いているため、ウクライナ軍は無人機が一定数になるまで備蓄している可能性が高い。さらにウクライナ軍の戦術も進化し、攻撃に使用された無人機の殆どは低高度を飛行するようになっている。それでもロシア軍は無人機を撃ち落とし、地上での被害は殆ど発生しなかった」と報告。
ロシア人ミルブロガーのFighterbomberも「攻撃を受けた基地に航空機は1機もいなかった」「航空機を攻撃から守る唯一の方法は空への迅速な退避だ」と指摘したが、ブダノフ中将は「この作戦はウクライナ領から発射した無人機によって行われた」「少なくとも70機、恐らくはそれ以上のDragonとSplashによって基地を攻撃した」「敵に与えたダメージについては評価中」と述べ、War Zoneは入手したPLANET LABSの映像写真に基づいて「整備用エプロンにあるシェルターが損傷して2機のSu-34が露わになった」「この2機は何らかの損傷を受けている可能性がある」と報じている。
Budanov told me at least 70 Ukrainian drones attacked the base and promised it will be attacked again.https://t.co/1R5oz8FloP
— Howard Altman (@haltman) June 14, 2024
つまりロシア当局の発表とは異なり「無人機はモロゾフスク基地までロシア領空を貫通した」「整備用エプロンのシェルター内にあった2機のSu-34は損傷した可能性がある」という意味で、如何に低空を飛行する無人機の検出と迎撃が難しいかを浮き彫りにしているが、これは高度な防空システム=S-300やS-400の能力が「評判通りではない」という意味でもない。
航空機や弾道ミサイルを数百km離れたところから検出可能なレーダーも「水平線の下を飛んでくる目標」に対しては脆弱で、これを遠距離で検出・追尾するには多数のセンサーで低空をメッシュ状にカバーする必要があり、ウクライナが強いられた低空域の戦いを今度はロシアが強いられるのだ。
ウクライナは長距離攻撃が可能な自爆型無人機の量産に成功した可能性が高く、ロシア軍の防空に複雑な問題(広大な空間をカバーするだけのセンサー網、迎撃手段、電子戦システムの構築が物理的な困難さ)をもたらすだろう。
但し、自爆型無人機を含む兵器システムの有効性は固定されたものではなく相対的なものなので、敵が講じてくる対策に適応し続けなければ直ぐに効果が失われる。
追記:ロシア軍もLancetなどでウクライナ空軍機を破壊し続けているため、駐機中の航空機が無人機で狙われると状況は両軍に共通した問題だ。
関連記事:ウクライナ軍によるSu-57の破壊、UMPKの有効性が低下している可能性
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※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России
これ有事になったら自衛隊もやられますよね
戦争になってみないと分からないことは多いですね
全くだね。
国内に潜伏している工作員にドローンを操縦させて、呉と横須賀に停泊中の潜水艦に自爆攻撃。
各基地のイージス艦のSPYレーダーにも自爆攻撃。
これだけで、自衛隊海上戦力の数割が駄目になるのでは?
爆弾だけ日本国内に持ち込めれば、あとは市販品のドローンでできちゃうんじゃない?
つまり A-50 を打ち落としたのが効いている。
これだけ低空を飛行して攻撃してくる無人機が増えたのなら、対空レーダーと機関砲を組み合わせた昔ながらの対空陣地を基地を囲うように設置する必要が有るのかもしれませんね。
主要な飛行場には配置されているようですが、70機という数による飽和攻撃になっているのえしょう
2~3機がすり抜けるだけで今回のような結果になりますし、今後は更に数が増えるかもしれません
対応としては拠点と無関係な所に早期警戒用として小型レーダーを大量に配備する、パンツィーリを重層的に配備するなどが考えられますが、予算と時間が問題でしょうね
しかし、前線から589km離れた駐機中の機体が攻撃されて木端微塵になった動画が撮影されているというのがすごいよね。
この観測機が攻撃座標を知らせて無人攻撃機が発進したってことなんだろうか?
まあ、まずは衛星画像でターゲットを決めてから、観測機を飛ばしているのかな。
日本の情報収集衛星の画像がウクライナに提供されてたりして。
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(5)安全保障及び防衛部門におけるインテリジェンスの分野での協力
両当事者は、両当事者間で交換される秘密情報を相互に保護すること、並びに両当事者の関係当局間の情報共有を拡大すること及び促進することを目的として、日・ウクライナ情報保護協定の締結を追求する。
と思ったら、動画の方はウクライナ軍のSu-25がランセットに木端微塵にされた動画だった。
(´・ω・`)
ちなみに589kmはアフトゥビンスク基地で、モロゾフスク基地ではなかったが、まあ、そんなことより、モロゾフのプリンはうまい!
ロシアの動画でゴルフ練習場みたいにネット張る実験してるのありましたが割と効果的な感じでした。戦車もですが無人機相手は何だかんだ物理防御が一番ぽい
自爆機は、極端に言えば「片道一回飛べれば十分なエンジンと構造」
「着陸脚すら不要」「安全性は無視可能」「信頼が低くても数を作れば同じこと」ですから、電力攻撃で高度な工作機械が動かせないような状況でも割と手作業で作れてしまうメリットがあります。
中型バイクとモーターボート1台作る+アルファ程度の工作量でしょうかね。
ロシア軍にはこの攻撃を止めさせる方法はほぼ無いですね。
ただし「生産量が限られてしまい、現状の使い方では戦略的にはほとんど意味を成さない」「ロシア側は早晩、阻害気球などの第一次世界大戦レベルの防護策を設けてくるので、徐々に効果が限られてくる」
あたりが問題でしょうか。
まさか生きている内に阻害気球を見られるとはな
しかし、1ミリオタからすると美しくてかっこいい兵器が無残に破壊されるのはちょっと物悲しい
もしかして:阻塞気球
という表記が正しいんだそうです!!
すみません古代の知識にてうろ覚えでございました
情報ありがとうございます、勉強になります。
阻害気球、なるほどど思いました。
うろ覚えで書いたら、あれは正確には阻塞気球と呼ぶのだそうです(汗
不正確でしたすみません!
現代の化学繊維技術の発達は凄まじく。数ミリの細さでトン単位の荷重に耐える高機能繊維が普通にメーター10円単位で市販されているような有様ですから、無人機に対する物理障壁としては一番シンプルで効果的かなと思いますね。効果も動作も単純明快なので、ロシア好みでしょう。
いえいえ、ご丁寧にありがとうございます。
昔からあるアナログの手法・現代に開発された・コスパのよい物を使うというのは、非常に興味深いですね。
気球は衛星から観測できるから、回避ルートを通るとか、飛行場の周りに気球を配置するなら、邪魔だというのもあるけど、そこだけトップアタックで回避するのもできそうな気がする。
あと気球のコストって高かったりして。
アドバルーンなんかのヘリウムガス不足ってニュースをかなり前に見ました。
ネットを複数のドローンで展張して不要時は着陸させるシステムとかアリかも。
ホント『新しい戦争』って感じですわ
>これは高度な防空システム=S-300やS-400の能力が「評判通りではない」という意味でもない。
ただしウクライナはATACMSでS-300やS-400を相次いで撃破しているので、ウクライナは何らかの方法でS-300やS-400の能力を阻害しているのかもしれません。
迎撃戦の映像も出てたけど単純に飽和攻撃っぽかったですよ
ATACMSと長距離ドローン組み合わせればさらに効果高いでしょうし(パトリオットもこれでやられてたぽい)
公開されたエイタクムスの映像を見ると、どれも複数発のクラスター弾頭が目標とは違う地点に着弾しているのが確認できます。
広範囲を攻撃できるクラスター弾頭によって飽和攻撃を仕掛ければ、たとえ何発か迎撃されてもGPS妨害で着弾点がズレても攻撃は成功するというわけです。
敵の迎撃能力を上回る数で攻撃すると言うのは、単純ながら最も効果的な攻撃法ですね。
ウクライナ軍の攻撃は、再現性があると考えるべきですね。
ロシアは、電子戦に強いだけでなく、国土が広く分散できるうえに縦深があるのが特徴です。
この条件で、攻撃を繰り返し成功できるというのは非常に興味深いですね。
日本の基地は、海が非常に近い基地が多く、早期探知が難しいという条件があります。
松島基地の津波被害により、駐機が被害を受けましたが、1時間の時間の間に諸々の事情により上空退避できませんでした。
航空自衛隊の駐機も、ドローン襲撃に対応できない事も想定して、デコイの備蓄など考えるべきかもしれませんね。
追記です。
中国を仮想敵国として想定するならば、ウクライナの100倍の量・頻度である事を充分に考えるべきでしょうね…
ウクライナの自爆型ドローンの価格ってどのくらいなんだろ?
先進国で作るセスナ機が、大体一機3000万円ぐらいです。
座席も操縦装置も無し、計器類も不要でセンサーのみ、安全装置も法令装備も何も無し、離陸出来たら脚も不要、信頼性は最低レベルでよし、燃料タンクはなんならビニール袋でもよし、ですから。600-700万円くらいで作れるんじゃないでしょうか。対戦車ミサイル1発分という感じですね。
英語版のウィキペディアによると、ストームシャドウが1発200万ポンド(約4億円)らしいので、ストームシャドウ1発でドローン60発くらい撃てる計算になりますね。
そうなると飽和攻撃に向いてそうですし、全機迎撃されたとしても相手の迎撃ミサイルを消費させる事ができますしね。
機関砲での迎撃も、機関砲の射程を考えると対処可能な時間は少ないでしょうから、数を揃えないと対応できなさそうですし。
問題はGPSの妨害ですけど、今回は問題なかったようですね。
妨害のない地域だったのか、ウクライナ側が何か対策をしているのか。
>600-700万円くらいで作れるんじゃないでしょうか
同等か少し性能が良いシャヘドがそれくらいと言われてますね
あ、間違えた・・・
飛行機そのものよりも地上施設の破壊や人員の殺傷を狙った方が飛行場の機能を長期的に麻痺させれそう。
確かに戦闘機は整備コストがかかるから、整備力か落ちたら機体があっても飛べなくなる。
F-16の場合でも1飛行時間あたり平均17マン・アワーの整備が必要だとか。
重箱の隅を突くようで申し訳ないのですが、
ATACMS音訳は
『アタックエム』が一番近いと思います。
南部アメリカ訛り(例:テキサス米語)で
attack them
のth発音が落ちている感じです。
Wikiのエントリーなどをご参照ください。
/əˈtækəmz/
(職業柄気になったものですから。。。。)
『アタックエム』
あわわわ。。。
最後のズが抜けていた。
正しくは
『アタックエムズ』です。
m(_ _)m
英語版ウィクショナリーに発音がありました。
リンク
イングランド南部の発音では /əˈtækəms/(アタッカムス)といった感じのようですね。
返信場所を間違えた😅 すみません。
↑の返信場所も間違えた (ノ∀`)
リンク
今回もFBはウが戦果を上げたとする主張を否定したようで
低速なドローン主体では機体が退避する余裕があるようですね。