ゼレンスキー大統領は若い志願兵に提供する契約オプションについて「年100万フリヴニャ=約360万円の追加手当、大学の学費免除、金利0%の特別住宅ローンを提供する」と明かし、18歳~24歳が受け取れる金銭的恩恵はロシアが契約軍人に提供している額に匹敵するかもしれない。
参考:Details on contracts for 18-24-year-old conscripts to be officially published soon – Zelenskyy
参考:Спецконтракт для 18-летних: Зеленский анонсировал бонусы и льготы после службы в ВСУ
若者の気を引くことに成功する可能性を秘めているが、その財源を何処で確保するのかは未知数だ
ゼレンスキー大統領は前線の兵士不足について「約束通り武器が到着しないことが原因」と主張してきたが、バイデン政権のサリバン大統領補佐官は退任前「この1年で人員不足が悪化していることを認識しなければならない。提供する膨大な弾薬や装備を活用するには十分な数の兵士を確保できるかどうかが重要だ。この問題は彼らが解決しなければならないものであり、次期政権にも人員不足の問題を説明した」と言及。

出典:The White House
トランプ政権のウォルツ大統領補佐官も政権発足前「ロシアと交渉を始めるのには前線の安定化が必要」「これは新たな援助や武器パッケージだけでは達成できない」「ウクライナが民主主義のため全力を尽くせと我々に言うなら、ウクライナにも民主主義のため全力を尽くしてもらう」「彼らは18歳からではなく25歳から徴兵している」「我々は人的問題が解決されるのを見届ける必要がある」と述べ、ウクライナ軍兵士もkyivIndependentに寄稿した中で「本当にパートナーが言う通りだと思う」と指摘。
ウクライナ陸軍のクロテンコ軍曹は「本当にパートナーが言う通りだと思う。国際社会にウクライナの民主主義を守って欲しいなら、まずは我々が民主主義を守らなければならない。敵がどんどん領土を奪い続けているのに『ウクライナに都合がいい条件』で交渉が出来る訳がない。いい加減『バラ色の色眼鏡』を外すときが来たのだ。西側諸国はウクライナの強化を望んでいるが、我々は日々後退しているため、いくら武器や資金を受け取っても『ウクライナが強化された』とは見ておらず、彼らはその事を正直に行っているに過ぎない」と述べ、あれもダメこれもダメと言っている状況ではないと訴えた。

出典:President of Ukraine
但し、動員年齢の引き下げ(25歳→18歳)を実行するには動員法を再び改正しなければならず、さらにウクライナ社会は動員年齢の引き下げに否定的なため、ゼレンスキー大統領は「経験豊富な旅団は国防省と協力して若者向けの契約オプションに取り組んでいる」「これは自主的入隊を希望する者=18歳~24歳向けのもので動員ではない」「この契約オプションは非常に高額な金銭的手当など多くの利点がある」「詳細は今後数日以内に発表されるだろう」と明かし、18歳~24歳の自主的入隊率を引き上げるため金銭的インセンティブの提供を柱にしたアプローチ導入を予告。
カルビニョ欧州投資銀行総裁との共同記者会見でも「18歳~24歳を対象にした契約オプションを2日~3日以内に正式発表する。この契約によって若者は年100万フリヴニャ=約360万円の追加手当を得られ、戦争終結後には試験も学費もなしで大学に通うことができ、金利0%の特別住宅ローンの提供される。政府が大学の学費や住宅ローンの利子を全て負担する」と述べ、ロシアが契約軍人に提供している額に匹敵するか、それを上回るかもしれない。

出典:Минобороны России
ロシアが兵士に提供している契約締結ボーナスは国防省支給の40万ルーブルと地方自治体支給額の2本立てで、ハンティ・マンシ自治管区で契約を締結すれば国防省支給額込みで275万ルーブル=約420万円が支給されるが、ウクライナが18歳~24歳に提供する金銭的インセンティブは「年100万フリヴニャ」なので複数回受け取れる可能性があり、大学の学費や住宅ローンの金利を含めれば金銭的恩恵は非常に大きく、若者の気を引くことに成功するかもしれないが、その財源を何処で確保するのかは未知数だ。
因みに金銭的インセンティブによる自主的入隊率の引き上げと書けば聞こえは良いが、これは18歳~24歳の中でも経済的困難に直面している人々にアプローチする方法なので、これに手を出せば「ロシアは高額な契約ボーナスを支払って兵士を確保している」「ロシアは低所得者や貧困層を戦争に動員している」と批判出来なくなるだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
ところでそのお金誰が払うの?
「どうせ大して集まらないから1人頭でこれだけ出しても問題ないやろ」的な発想とか?
紛争の終わり方次第では、そこそこ回ると思います。若者への支払いは早々に税収になりますので。後で支払うものはインフレで軽減されるでしょうし。ネックは退役軍人と国債と軍事支援物資の支払いに復興費でしょうか。
高度な社会主義国のように振る舞えれば道があるかと。問題はそれを実行できるブレインがあるかどうか、他国からの影響(ウクライナ自身の振る舞いも問われる)ですかね。
我が国としては復興費は避けられないでしょうね。
死んだら払わなくてええんやで(^^
命の値段ですか···ウン千万円とか貰えるなら考えるかもなぁ
まぁ私みたいなヒョロガリが行っても塹壕に放りこんでの肉盾要員になるくらいでしょうがね
脱走しても許して貰えるから
金貰ったら脱走するのが流行る予感
そして高額ボーナスとは無縁の既存の兵士もアホらしくなって脱走するのが流行る予感
タイトルの謳い文句とアイキャッチ画像だけ見るとブラック企業の求人のそれ…
同じ事言おうとしたら先にあったてござる
あれほど非難しておきながら結果ロシアの後追いとはね。
ウクライナの最優先目標は戦線安定からのトランプ終戦交渉でロシアの妥協に賭けるということになるが、人集まるか不明なのと無理矢理拉致徴兵して書類にサインさせ最前線に送られる人間出る未来が見える。
金銭的インセンティブを高めて、果たして去年1年間負けっぱなしの軍にどれだけ志願兵が集まるのだろうか
またどれくらい集まるのを期待しているのだろうか
施策の成否のポイントはそこだけどきっと外部にはその情報出てこないでしょうからなんともですね
志願兵は期待ほど集まらず、来た若者も一時金を受け取った途端に雲隠れ、何より前線を支える中堅所が事実を知った途端に国を見限り…
という未来が有力ではないかと予想します。
“危険な仕事”位の感性で戦争が語られる時代と現状?胸が苦しくなります…。確かに、この21世紀で最も悲惨なウクライナ戦争も、過去の陸戦より死亡率は下がっており、意外と生き残りの目があるという現地の実感なのかも知れません。只、仮にそうでも、ウクライナが勝てば「国に貢献した立派な人」負ければ「敗残兵」、行動や運によっては「戦犯」です。それに加え、もし戦争とは言え人を撃ってしまえば(サイコパスでも無い限り)心に一生モノの傷を負う可能性もあります。近くでデカイ爆発があると、生涯に渡り激しい耳鳴り・眩暈に苦しむ事も。私も交通事故以来20年以上「メニエル」で、原因不明扱いで保障もありません。若者の未来と可能性を金で買う…戦争や極端に不公正な経済活動は、矢張り非道だと思い知ります。後半については、ロシア側も同じですが。
名著
戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)
をオススメしようとタイトル確認でAmazonを開いたら
ギフトとして贈られている商品第一位
というバナーが貼られていてワロタ。
まあ確かに名著だけどさあ。
プレゼントに最適ですね(^_-)-☆
私も通りすがりさんのご意見に賛成です。
この方法はロシアでは有効ですが、ウクライナでは効果がないように思います。
本来なら富裕層からガッツリ取り、それを若者に配らないと戦争の遂行なんてヾノ・∀・`)ムリムリ
給料安い命がけの仕事なんて人集まるわけないしすぐ逃げる
なんでこんな簡単な事がわからないんだろう
その”本来の適正報酬“をどれだけケチれるかが、運営側の腕前というものでしょう。
運営が国家であれば、法制度や義務教育などに組込まれています。国家内の一部勢力が愛国心を煽ったり、宗教利用なども珍しくない効果的な技術でしょう。カリスマとか、やりがい搾取って言葉も似たような要素があります。
逃げる人が多いなら、支払額が適正より低いか運営が下手ってことかと。結論として、運営側が下手を自認していないケースなのでしょう。
追加手当だけで年間360万円、大学の学費無料・住宅ローン0%ですか。
日本=ウクライナの経済格差、発展途上国が海外の金でやりくりしているのを考えれば、大盤振る舞いのパッケージですね(物価差を考えれば数千万円でしょうか?)。
その「カネで貧乏人の横っ面引っ叩いて戦場に送る」ための資金はどっから出て来るんだ?の疑問以前に、
戦後はジンバブエドル並みのトイレットペーパーと化すのが明白な「フリヴニャ払い」を提示されても、聡明であれば食指が動かないんじゃないのかなぁ?と。ドル建て払いだと実現不可能なのはもちろん明らかですが。
まあ、「どうせすぐに死ぬから空手形の方が大風呂敷を広げられるんで色々と都合が良い」とでも政権側が考えてるのなら別ですけれど。
フィンランドの冬戦争並みの事がなんで出来ないんだろう
まあわーくにも出来ないんだが
ウクライナの冬戦争並みの事は1年目にやり尽くしたんですよ。
奇跡は何度も起きません。
ブルジョワを放置して徴兵も25歳からでやり尽くしたとは言えない
なぜやり尽くせなかったか
とどのつまり、冬戦争の時代ほど戦争が身近でもなく、敗北の代償も知らず、民主主義漬けされた国民に戦う覚悟など無かった、と。
本当にロシアがやっている事をなぞっているんじゃないかと言う印象を受けるがロシアは兵士の子供が国立に確実に入学出来て無償だったか?
ロシア批判出来ないような事をするのは否定出来ないしお金掛けて将来を担う若者をリクルートするなら、最貧国の戦闘慣れした人材を使い捨てるぐらいの覚悟で外人部隊創設した方がマシじゃないかなぁ。
昨今、勢力を問わずですが、大金や膨大な金銭的インセンティブを積まないと普通の若者は兵士になんてなってくれない現実を見てると、ろくな金銭保証もなくとんでもない致死率の戦場に「愛国心」とか言って膨大な数の若者が参加していた先の世界大戦ってやっぱ異常だったんだなと…
いや、歴史からすると今が異常な時代なんでしょうか?
日本ももちろんそうですが、「愛国心」に殉じた過去の兵士(祖先)達は、我々をどう見ているのでしょうか。
人類は80億を突破したにも関わらず飢餓も戦争も局所的で、数千万人の難民を支援する余地すらあるのが現代です。しかも、生産年齢でない高齢者比率が世界規模で異常に多い。少子化問題に拍車をかけるレベルで過度とも言える“人権重視”も余裕あってこそ成立します。
今は過去に例の無い、尋常では無い時代であること間違いないでしょう。
それはそれとして、先の大戦で本気の愛国心に殉じた方々には、見せたら気の毒な状況ではあると思います。愛国の対象である大日本帝國は消失し、主権者である天皇一族は後継問題で自然消滅の危機…しかも、不敬な主張が堂々と溢れています。何より、敗戦したのに戦前どころか現代の大抵の他国より裕福な生活というのがなんとも…
戦争の歴史で言えば国家への帰属意識に基づく国民軍はごく最近の話ですし、初期の常備軍なんて基本は喰い詰めチンピラの集まりだったりしますね
WW1当時の個人の手記とかで見るのは戦争=冒険みたいな意識でしたよね。なお終わらない塹壕暮らしと砲弾、毒ガス、機関銃でその幻想をぶち壊すされた模様。
WW2は正義の押し付けあいでしょうか。ナチスだってドイツ国民からすれば正義だったでしょうし、大東亜共栄圏を本気で信じた日本人もそれなりの数いたんじゃないでしょうか。そのナチスや日本を潰すんだと鼻息荒いアメリカは世界を覆わんとする闇を打ち払うヒーロー気取りだったでしょうね。ソビエトは元々気にくわない相手だったドイツ人が絶許の敵になったから復讐という正義のもとに東欧を飲み込みました。
開戦の狼煙代わりにナチスとソ連に挟み撃ちにされたポーランドは泣いて良いと思う。
昔は腹いっぱい白米が食べれるという触れ込みで軍に入隊する若者がいた時代、つまりそれだけ貧しかったってことでしょ。豊かになった現代、その白米が大学の学費だったり入隊一時金だったりする。アメリカだって経済的徴兵やってるじゃん
人の命が軽い時代が正常だなんて思わない
昔バズった言葉を持ち出すと、戦争ができる国ではなくなった
私もタダで腹いっぱい飯が食えるのが理由の一つで自衛隊に入隊した
当時は隊員食堂のチェックが無かったので2回入って食べれたし生活費もタダで
給与が貯金できお陰で痩せた体が筋肉質になり富士演習場の訓練にも耐えられた
戦争が起こらなくて良かったと今でも思う。
令和の現代はネット上の情報見て端金で強盗殺人に荷担する若者が社会問題化する程度には居るんだから現代日本だとカネと引き換えに兵士になる若者は意外と多いんじゃないかと思う。
そんな脳みその奴が軍隊なんて巨大組織で使い物になるのだろうか……
元自衛隊員の回想記で教育隊での脱落が10%くらいだったと言う話。
防衛大学では入学者の2割が退学し、卒業生の1割が任官拒否。
後者は能力の問題だけじゃないでしょうけど。
日本でも金さえくれるのなら若者中高年問わず人は集まると思う
ただ“手取りが増えてしまう“ので減税を渋ったり、多重下請けの中抜きを得意とするわーくにがそんな大盤振る舞いするとは思えないね
やりがい搾取に終始する気がする
この国はリスクを他に押し付ける事が当たり前になりすぎておかしくなったね
私も金額次第では充分集まると考えますが…
まず、日本で隊員の高額募集をかけたら、現状でさえ人手不足の肉体労働系のエッセンシャルワーカー大量離脱という事態に陥るでしょう。そして、インフラが壊死し介護制度は崩壊、インフレも加速すると思われます。その際に、最も悲惨な状況になるのが年金生活の高齢者であるのは明白です。最大有権者層である高齢者が、モロに実害を受ける政策となります。
リスクを他に押し付ける風潮も、解決や前進する能力が衰えた/低い者が多数の社会では、自然な現象ではないかと思うようになりました。
というか、実際に高額報酬を実現しているロシアの高齢者は、どうしているのかが気になります。
最初から国家のインフラだの年金だの医療サービスだのに期待されてないし、高齢者が野垂れ死ぬのは自己責任と思われているから
思われているから、というか、責任を政府に求めてもしょうがないと諦められている
それがロシアの現状だとすると、キーウ侵攻前に年金制度改革でプーチン政権の支持率が急落した状況から、人々の意識は随分と激変したことになりますね。
大規模な老人のデモの話題も無いようですし、恐ロシアの一端の垣間見たような気がします。
国策で言えば、除染事業の多重中抜きが問題になりましたね。
3次下請けが17000円で受けたものを、6次下請けが8000円くらいで受けたようで…
兵士を大量に集めるとなっても、国・自治体が急に大量採用活用するノウハウがないため、パ〇ナのような派遣会社がBPOとして受注・中抜きしていくのかなと想像しています。
(2015/10/31 東日本大震災アーカイブ 多重下請けで中抜き 楢葉の除染違法派遣事件 福島民報)
戦前の教育などと違って現代の兵士には愛国心など要求されない必要なのは
繰返し訓練した通り上官の命令に従って与えられた職務で戦う強い意思だ