オースティン国防長官はラムシュタイン会議で「米国とウクライナは複数の欧米企業から協力を得てS-300とR-27の代替品設計と製造に取り組んでいる」と言及、ルーマニアのディフェンスメディアは「西側産業界によるS-300の発展型である可能性が高い」と報じている。
参考:Opening Remarks by Secretary of Defense Lloyd J. Austin III at the 24th Ukraine Defense Contact Group (As Delivered)
参考:Aproape imposibil de crezut, dar totuși adevărat? SUA împreună cu aliații dezvoltă următoarea versiune a sistemului S-300 rusesc
参考:AFLCMC Armament Directorate Rapid Response (ADRR) Commercial Solutions Opening (CSO) for Innovative Execution
米国にとって提供可能な長距離兵器のレッドラインはモスクワに届かないこと
ウクライナに対する西側諸国の支援は自国産業界の利益や雇用と深く結びついており、欧米はウクライナ支援に対する理解を自国民=納税者から得るため「ウクライナに提供する武器、弾薬、物資、サービス等を自国(域内)から調達し、拠出する支援資金が国内産業の利益、産業基盤の発展、雇用創設や維持に役立っている」とアピールしなければならず、欧州がウクライナ向け155mm砲弾の域外調達を嫌ったのも「EUの資金が(155mm砲弾市場で競合する)競争相手に流れる」「EUの資金が納税者や欧州産業界の利益に結びつかない」という理由が強く、チェコの域外調達イニシアチブが成立したのは極めて異例なことだ。

出典:U.S. Army photo by Sgt. Victor Everhart, Jr.
オースティン国防長官はラムシュタイン会議で「我々はウクライナのニーズを満たし、それを将来に渡って維持できるよう産業基盤の態勢を整えている。しかし、長期的な安全保障のためにはウクライナ自身の防衛生産を強化する必要があり、この取り組みを会議に参加する多くの国が支持している。デンマークは最近発表したウクライナに対する安全保障パッケージ(1.15億ドル)の一部をウクライナの防衛産業から武器を購入することに宛てた」と発表し、遂に拠出資金の一部がウクライナ防衛産業界への投資に回り始めた。
ウクライナは自国での武器・弾薬生産を拡充するため投資を拡大しているものの、自国の資金力だけでは限りがあるため、支援国がウクライナ産業界で生産される武器・弾薬を買い上げてウクライナに提供することで「ウクライナ自身の防衛生産強化につながる」という意味だが、支援は善意のみで構成されていないため「自国経済にメリットが少ないウクライナ防衛産業界への投資にどれだけ資金が集まるのか」は今後の課題だろう。

出典:Командування Повітряних Сил ЗСУ
さらにオースティン国防長官は「米国とウクライナは複数の欧米企業から協力を得てS-300とR-27の代替品設計と製造に取り組んでいる」と言及、これが何を意味しているのかは不明だが、ルーマニアのディフェンスメディア=Defense Romaniaは「S-300の別バージョンを開発中とは直接言及していないものの、この発言には解釈の余地があり、ブルガリア軍当局者は『西側産業界によるS-300の発展型である可能性が高い』との見解を示した」「これはウクライナが旧ソ連式の兵器に依存していること、今後も依存し続けることを明確に示している」と報じている。
Defense Romaniaは「ウクライナ向けにS-300の代替品を開発するという決定は戦略的・運用的な理由によるものだろう」「もう一つの利点はウクライナ軍が慣れ親しんだ相互運用性だ」と報じているものの、ここにはNATO加盟国ではないウクライナに対する機密技術の漏洩問題(ウクライナ軍は能力や経験は別にしても組織体制、管理、法的要件においてNATO基準を満たしていない)も含まれているはずだ。

出典:U.S. Air Force photo by Todd Cromar
Reutersは3日「米国とウクライナはJASSM提供で合意に近づいている」「まだ最終決定は下されていないものの秋に発表される可能性がある」「仮に提供が決定されても技術的な問題を解決するのに数ヶ月はかかる」と報じたが、WARZONEは「JASSM提供で問題になるのは技術的機密性だ」「20年前に開発された電子機器やセンサー技術ですら機密性が高いと考えられており、特にステルス性能に関する設計と機体に使用された材料特性の漏洩が最も懸念される」「ロシアはウクライナでストームシャドウの様々な状態の残骸を回収し続けており、米国は同じリスクを受け入れることが出来るだろうか?」と指摘したことがある。
米国がJASSM提供に応じるかどうかは不明だが、米空軍は今年7月に発行した空中発射式長距離兵器=Extended Range Attack Munition(ERAM)の提案依頼書の中で「ウクライナのニーズと戦闘能力を効率的で効果的に満たし、大規模生産が可能で手頃な価格を実現するもの」「最低でも250マイル=約400kmの射程距離とM0.6以上の最高速度を併せ持つ500ポンドクラスの弾薬」「GPS信号が劣化する環境下で作動可能なナビゲーションシステム」「2年以内に1,000発(月平均42発)の生産が可能な設計」と言及している。

出典:Photo by John Hamilton
政治的にロシア領内奥深くへの攻撃を容認できるかはどうかは別にしても、これを想定した専用兵器=恐らく漏洩しても問題のない技術で構成されたものを準備しているという意味で、米国にとって提供可能な長距離兵器のレッドラインは「モスクワに届かない500km以下のもの」なのだろう。
関連記事:米国はATACMSの制限を変更しない、ロシア領内への攻撃は国産兵器で
関連記事:米報道官、ATACMSならロシア軍機を地上破壊できるというのは間違い
※アイキャッチ画像の出典:Минобороны России





















S-300もフランケン化か。
パトリオットとESSMが統合されて、コントロールユニット2基並列接続処理して迎撃能力3倍になった、三倍美味しいS-300になるのかな?
フランケンSAMの中には、S-300のシステムに西側ミサイルを組み合わせるものが計画されていたと思いますが、上手くいかなかったんですかね。わざわざS-300の代替品を作ろうなんて。それに、散々パトリオットやホークやNASAMSを供与しているんだから、旧ソ連兵器など全廃して置き換えるつもりかと思っていたのに。
S-300のミサイルが不足しているから、PAC-2とかを発射できるようにしよう、ってだけだと思う。
あとはレーダーを換装とか。
新規にS-300改を生産するって話ではないと思う。
つまりパトリオットやNASAMSなどは需要を満たせる数はなく、またいつまでも供与を続けられる訳ではないという事かと。
ロシアが最近キエフにあるミサイル開発企業アルチョムを執拗にミサイルで攻撃していたのは
これもあるのかな?
ガンダムで例えると、ジオン共和国が連邦だかアナハイムだかの技術で旧公国時代の兵器を近代化改修、みたいな?
そっちよりエリパチで中身が西側規格部品のミグかと。
S-300の代替品なら韓国ができるでしょ
天弓はS-400ベースで開発したって話だし
この前の靖国のあとで韓国世論がそれを許すかな?
韓国とロシアの協定ではロシアが提供した技術を使って韓国が開発した装備の第三国への提供にはロシア政府の書面による同意が必要となってるので、韓国が協定を破棄しないと無理だと思う。
北朝鮮がロシアに武器輸出してるけど、公式には武器輸出を否定してるから同じことをすればいいだけ
ウクライナの兵器産業がまだ機能してて、欧米からの支援でどんどん発展してるのはロシアにとって大きな脅威やろ。これを解決するには、ウクライナの防衛産業を徹底的に破壊して、再建できんようにするのが一番確実や。
ってことは、脅威に感じてるってことなのね。
お前んとこも唯一のお友達とテポドン代替品共同開発すりゃええやん。
>少なくとも最低限の見識は備えるべきでは?
テポドンは宇宙ロケットなの?
>テポドン(大浦洞)は、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が開発した、テストベッド用弾道ミサイルのプロトタイプ。射程から、準中距離弾道ミサイル (MRBM) の「テポドン1号」と、大陸間弾道ミサイル (ICBM) の「テポドン2号」の2種類がある。また人工衛星打ち上げ用のローンチ・ヴィークル(ロケット)の「銀河2号」と「銀河3号」はテポドン2号の改良・派生形と分析されている[
ウクライナ国内に生産能力があるのなら、わざわざ時間をかけて新たに開発しなくても元のS-300を生産することも出来たはずで、S-300が枯渇しつつあるということは少なくとも現状でウクライナは防空ミサイルを生産する能力がないと考えられますね。
この件についても戦力化するのに時間がどれくらいかかるか、また数をどれだけ揃えられるかという毎度おなじみの問題が付いて回りそうですね。
実際なにをするって話なんだろうね
自分で作れないのに今の今まで在庫が尽きてないっていうのは自分で作れてることを示してそうだが。。
なので最近のロシア領内攻撃にATACMSを使わせないって話の迂回路として、ウクライナの東側兵器のアップグレード(ATACMS化)を行おうとしてる感じな気がしてきた
一時期S-300のミサイルが尽きると言われていたから、どこからかもらったんだと思う。
とはいえ、いずれは尽きるから、それまでに西側のミサイルを発射できるようにしようという話だと思う。
ここ最近S-300で迎撃したって話は出てたかな?ウクライナがやっている事はS-200やトーチカみたいに保有するミサイルのリフレッシュであって新規生産ではないと思うが?大体、ネプチューンクラスですら年生産10発くらいとか言われているし、昨今の電力事情の悪化や水だって多少なりとも必要なのに汚染とか施設が攻撃されて最悪の状態でまともな量産体制性なんて構築出来るのかな?
何処をどう解釈したらウクライナの保有兵器のATACMS化って話になるかが分からない。ATACMS化って具体的になんの兵器をどうしたらをそうなるって話なのか、地上攻撃に使用したS-200?
確かにターゲッティングに有利な速度と射程を持つ弾道弾は必要かもしれないが、当然高価格で生産規模も相当な物になるのを忘れてはいけない。ドローンみたいな小規模設備で3Dプリンターを使って作れるみたいな話にはならないし、既に描かれている通り大規模生産が可能で手頃な価格を実現する兵器こそウクライナに供給するか作らせるべきでATACMSなんてその対極にある物。
もともとS-300はウクライナで製造されていないのでは?
ミサイル不足もスロベニアから供与されていたし。
S300の強みは、数が非常に多く、弾道弾モードで攻撃にも使えることだなと。
戦争中に開発して、配備に時間がかかるのであれば、S300の強みが失われる気もしますね。
ミサイル弾頭だけ消耗して、それ以外のシステムがかなり生存しているのでしたら弾頭の新規生産にシステム全体は生産時からそれ程改良されていないでしょうから既存の技術を使ったアップデートも有なのかもしれませんね。
生産コストがお安ければシステム全体の新規生産まで行くのかも。
S300だけでなくS200も西側化改造してほしいですね、
長射程の対空ミサイルによるA2D2がどの程度有効なのか、対中国戦略を考えるうえでの
サンプルになるかと考えます。
トルコが何か言いたそうな目で見てそう。
R-27が何か言いたそうな目で見てそう。
Twitterで見かけただけ(アカウント:@clashreport)の未確認情報です。
本文和訳:ロシアの軍事筋が、アルメニアがミサイルを含むS-300、Buk、Osa、Torsなどの防空システムすべてをウクライナに移譲したと主張している
事実ならアルメニアにはフランスのMANPADSしか残らないため、流石にあり得ないとは思いますが……
NASAのFIRMSにて確認した火災反応
『ヴフレダル方面』
・第一炭坑北西のテリコン(テリコンじゃなかったらすいません)(ウクライナ側)
・ヴフレダルから見てT-0524を挟んだ南東の畑で反応(ウクライナ側)
・ヴァディアンの西の端っこ(ピンク斜線)
・コスティアンティニフカの東の端っこ(黄色ゾーン)
・アントニフカ集落内(ウクライナ側)
・ノボウクラインカ〜ポホヤヴレンカ間の道路の南側(ウクライナ側)
・イェホリフカ南のC-051134沿い(ロシア側)
『クピャンスク方面』
・ペトロパブリフカおよびクチェリフカ
・オシノヴォの辺り。橋の東側で非常に大きな反応。
・ステルマキフカの西側
・ZelenyiHai〜Pershotravneve間の農道や畑の一帯で非常に大きな反応
『個人的に気になった反応』
キーウの北、ベラルーシとの国境近く(座標:51.36234,29.45536)の線路沿い一帯で非常に大きな反応
毎度長文ですいません
西側諸国のウクライナ支援金はウクライナではなく自国内の防衛産業に投資されて経済対策になってるというのは公然の秘密だと思ってたんですが、海外ではそうでもないんですね。
アメリカもダブついてたシェールガスの売り先を見つけられて内心ホクホクでしょうし、中国インドは安価なロシア産燃料を調達、産油国は燃料価格が下がらず安泰と、着々とプーチン大統領が多極化世界が出来上がりつつあるように感じます。
なお我が国……。
日本は、ウクライナに現金渡して・連帯保証人なって、国民には増税ですから意味不明なんですよね。
『ありがとうフミオ』日本は仰る通りお人好しで、外国のATMと蔑まれるのも理解できます…
口先だけで支援すると言っておいて踏み倒すくらいの強かさが日本には必要なのかもしれませんね
仰る通りです。
日本国民が豊かになる目的のために、(税金・与信を使って)海外支援するわけで、約束を守るために海外支援するのはおかしいんですよね。
フランケンSAMのS-300版のことが言及されていますね。
素人は単純に、PAC-2を運用できるようにシステムを弄ること、
と思っていたのですが、ウクライナ側はもう少し高性能を希望なのでしょうか。
SRBMを墜とせるPAC-2を望むのでしょうか。S-300のランチャーは多数保有しているでしょうし。
R-27の代替とはR-27EM(射程110km)のコピー生産なのでしょうか?。
いずれにせよ、西側製のシステムの提供数は、理由は様々でしょうが、限られるのでしょう。
やっぱり、ロシア製兵器を世界で集めないといけないのでは?。M1g-29とか。
とにかく数が必要でしょうから。
アメリカに限らず、それこそ日本すら含めて、西側からするとプーチンをウクライナが殺してしまうのが一番困る。戦後処理での処刑とかは別にしても、戦時中は絶対に生きていてもらわなければならない。