軍事的報道

不味い食事や待遇が原因? 英国軍、1年で1万5,000人以上の兵士が軍を辞める

英国軍では、この12ヶ月間に1万5,000人以上の兵士が軍から去ってしまい、第2次世界大戦以来、最も小さな規模にまで小さくなってしまった。

参考:Army numbers fall to lowest level since World War 2 as 15,000 quit last year

1年で常備兵力の10%以上に相当する兵士が軍を去る?

英国軍は常備兵力として14万6,500人を確保することに努めてはいるが、この12ヶ月間で1万5,000人以上の兵士が軍を去り、英国軍は第2次世界大戦以来、最低の規模まで縮小してしまったと英国メディア「デイリースター」が報じている。

出典:kaninstudio / stock.adobe.com

特に陸軍では、この12ヶ月間だけで8,530人の兵士が去ってしまい、定員が8万2,000人から7万3,470人まで減少、しかも残った兵士の1万3,000人以上は医学的に戦地へ派遣することに耐えられず、最前線の部隊では兵士不足に悩まされていると言う。

では何故、短期間の間に常備兵力の「10%以上(1万5,000人以上)」に相当する兵士達が去ってしまったのか?

元英国軍の将校によれば、兵士の待遇が酷すぎるのが原因だと指摘した。

彼の話によれば、兵士に提供される食事は酷く不味く、体を休めるための宿舎は簡素で、これまで何度も不満を訴え、軍上層部は兵士達に改善を約束したが、実際に約束が果たされることはなかったと語り、このような現状が続けば、経験を積んだ貴重なベテラン兵士が軍から去り続け、軍は大規模な介入作戦を実施するが出来なくなるかもしれないと付け加えた。

要するに金が無いのだ。

出典:U.S. Navy photo courtesy of the Royal Navy by LPhot Kyle Heller

英国は国防予算として475億ドル(約5兆2,000億円)を支出しており、これで常備兵力14万人の通常戦力と核戦力まで維持しているが、クイーン・エリザベス級空母の建造、F-35B導入、第6世代戦闘機「テンペスト」や弾道ミサイルを搭載したヴァンガード級原子力潜水艦の更新用としてドレッドノート級原子力潜水艦の開発など、予算を圧迫するプログラムが進行中で余裕が無いどころか、予算不足に頭を悩ませている。

メイ前首相は当時、陸軍の常備兵力約8万人の維持を約束していたが、現在の予算では常備兵力を6万人規模まで削減する必要があると陸軍は警告し、予算不足を解消するためには海軍の空母クイーン・エリザベスか、空母プリンス・オブ・ウェールズのどちらかを米海軍にリースし、国防予算を節約する必要があるとまで言い出した。

当然、海軍は猛反対をしており、ジョンソン首相も英国軍の規模をこれ以上、小さくすることはしないと発言しており、実際、NATOの要求(GDP比2.0%以上)を満たすため英国の国防予算は増額されつつあるが、現状足りていない不足分を満たすには不十分だ。

ベン・ウォーレス国防大臣は、予算規模に合わせ軍を縮小する必要があると主張しており、規模を縮小し、浮いた予算で十分な装備と人員を確保した「小さな軍隊」を運用するほうが、即応性が高く必要な時に役に立つと考えているようだ。

これ以上の規模縮小を避けるために国防予算を引き上げるのか、予算規模に応じて軍の規模を小さくするのか、まだ結論が出ていないが決断を先延ばしにすればするほど、英国軍は数字だけの存在に成り下がるだけだろう。

最も効果的なのは「核戦力」の放棄だが、核兵器保有国の看板を捨てるということは、米国やNATOの核の傘に頼ることになるので、可能性としては限りなく0に近い。

 

※アイキャッチ画像の出典:Bumble Dee / stock.adobe.com

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コメント

    •  
    • 2019年 12月 04日

    現在の陸軍兵力

    英 8.2万人
    仏 11.5万人
    独 6.3万人
    伊 9.8万人
    波 7.7万人

    冷戦時代を考えれば嘘のような少なさ
    全部陸自よりも少ない。東アジアでは日本が最小なのに。
    ルトワックがロシアがエストニアに侵攻して来たら、
    NATO軍は守れないだろうと言っていた

      • 匿名
      • 2019年 12月 05日

      なんでこの中でドイツが一番陸上兵力少ないんですかね・・・・・・
      ポーランドよりも少ないし、ガチで元道路国に道路にされてしまうのでは?
      そして、島国である本邦の方が陸上兵力が多いと。戦車だって英独合わせた数ぐらい有るし

    • 匿名
    • 2019年 12月 04日

    メシマズの国で「不味い食事」と評されるって、どんな劇物なのだろう?

    • 匿名
    • 2019年 12月 04日

    核戦力は未だ分かる、最強の盾だし。
    空母は要らないんじゃないですかね。その金で海外領土に非常駐の空軍基地を作っといてもお釣りが来るし、単価の高いF-35Bを買わなくてもいいし。
    まぁ作っちまったからなぁ。

      • 匿名
      • 2019年 12月 05日

      海軍国家だし、大陸軍が空母を持っている以上、心理的に負けるわけにいかないっていうのがあるんじゃないかと
      あとオーシャン級とインビンシブル級をセットで運用するよりトータルで安く上がるとか?
      全通甲板のヘリ空母の汎用性は否定できないし、ある程度の規模の軍なら欲しいんじゃないかなぁ

    • 匿名
    • 2019年 12月 04日

    軍だっけ?
    メシマズの話を振ると嬉々として「俺のママの飯がいかに酷かったか」ネタで盛り上がるらしい

    • 匿名
    • 2019年 12月 04日

    冷戦後の30年間が「長過ぎた」としか言えないね。
    平和の配当の名の下で、国防費と言う「保険料」をケチった結果、長年経済が低空飛行だったが出せる限りの国防費は工面して来たロシアよりも酷い有様になった訳だ。
    やはり、平和だからと言って国防に手を抜いては行けないと思う。
    それと、これの一つ前の記事にも関連するけれど、英国は第6世代戦闘機テンペストを日本に売り込む暇があるなら、日本の将来戦闘機(F-3)の導入を真面目に検討した方が良いと思うよ…こんな財政状況なのに国際共同開発とは言え、戦闘機を開発する余裕なんて無いだろうに(失笑)。

      • 匿名
      • 2019年 12月 05日

      例えがおかしい。保険料を渋って困るのは保険商品を買う側(消費者)。国が安全保障遂行力を削りすぎたなら、保険が支払われる見込みがない=売る側

        • 匿名
        • 2019年 12月 05日

        例えにした者だけど、国防費を払うのは国であっても、その原資は国民が払う税金の一部なので、結局国防費を渋って困るのは税金を払う国民。
        言い換えれば消費者の側だと思うけどね(それを決めるのは政府だとしても)。

    • 特命
    • 2019年 12月 05日

    「定」員が減ったと記述がありますが、「現員」ではないのでしょうか。
    興味深い記事をありがとうございます。

    • 匿名
    • 2019年 12月 05日

    共同開発は参加国が独自仕様を主張することで敗北する
    そこまで独自にこだわるなら独自に開発すればいいだけで、
    要は開発後の販売における主導権争いの果てに全員沈没する始末
    ライミーも、母艦計画で蛙喰いに酷い目に遭わされただけではまだ学習が足りないのだろうか

    • 匿名
    • 2019年 12月 05日

    むしろF-3計画に参画してもらうか。と思ったら上で書いてる人がいたか。

    英国債の発行不可避。またインフレ率や税収とか日本より順調な様な。というか規模に対して元々が削りすぎたとしか。

    • 匿名
    • 2019年 12月 05日

    英国を笑うなよ、こっちの足下も危ういんだから。核も持てないのに、ロシア以上の軍拡にいそしむ野蛮の大国と隣接してて、少子化と予算不足に悩まされてる自衛隊の明日はどうなんよ

    • 匿名
    • 2019年 12月 05日

    こんなんじゃチャレンジャー2のアップグレードなんて出来ないよぉ~
    全部貧乏なのが悪いんや

    • 匿名
    • 2019年 12月 05日

    どれほどひどいのか、参考までに映像を見たい。

    • 匿名
    • 2019年 12月 05日

    真の原因は他にあるのでは?
    『迫り来る世界大戦の足音に兵士は怯えている』
    第1次、2次対戦でズタボロに擦り切れた英国民の戦争忌避傾向の高さも考慮すべき。

    ここ数年、大国間の不協和音による不確実性が極めて高い。兵士にとってアラブの弱小国イジメは楽しいかもしれないが世界大戦は怯むのが人情というものです。

      • 匿名
      • 2019年 12月 05日

      世界大戦を恐れるがあまりに、ナチスの台頭を許した結果が第二次世界大戦なんだけどねぇ
      いままた、ロシアと中国が同じ事を繰り返しそうでワロエナイ
      もっと笑えないのは、全体主義国家ではなくて、備えも覚悟もない自分たちの国なんだけど

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