ウクライナ戦況

都市奪還に向けて市街戦を身につけるウクライナ人、ノルウェーがBlack Hornetを提供

ノルウェー国防省は24日、ウクライナ当局の要請に応じて世界30ヶ国で採用されているマイクロドローン「Black Hornet」を提供すると発表した。

参考:Norwegian-developed drone to Ukraine

ロシア軍に奪われた都市の奪還準備が着々と進んでいると受け取って良さそうだ

ノルウェーのProx Dynamics社が開発したBlack Hornetは手のひらに収まる18gの超小型UAVで、2014年に製造が始まったBlack Hornet2は最大25分の滞空性能(通信範囲2km/外部アンテナを展開時は3.2km)に加え、搭載されたEO/IRセンサーでフルモーションビデオと静止画を撮影することができ、現在は米FLIR Systemsの傘下で装甲車両や無人地上車輌(UGV)に組み込み可能なBlack Hornet VRS=Black Hornet3の供給が始まり、世界30ヶ国以上(内19ヶ国がNATO加盟国)で導入されている。

このBlack Hornetは歩兵の戦場認識を拡張することに役立ち「認識力が低下する市街戦で非常に効果的だ」と評価されており、アフガニスタンでBlack Hornetを使用した英陸軍の兵士は「命の恩人だ」とBBCに述べて注目を集めたことが記憶に新しい。

ノルウェー国防省は英国と共同で9,000万クローネ分のBlack Hornet(バージョン不明)をウクライナに提供すると発表したのも、ウクライナ軍兵士に市街戦の戦い方を教えていることに関係しているはずだ。

ジョンソン英首相が発表した訓練プログラムに基づき英陸軍と有志連合(カナダ、オランダ、ニュージーランド、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク)は120日毎にウクライナ兵士を1万人育成する計画で、英国に派遣されたウクライナ人は市街戦の戦い方を叩き込まれている最中だ。

つまり市街戦の戦い方を身に着けたウクライナ軍兵士にBlack Hornetを提供する可能性が高く、ロシア軍に奪われた都市の奪還準備は着々と進んでいると受け取って良さそうだ。

追記:Black Hornetのウクライナ提供数は850機だ英国が発表した。

関連記事:英国、ウクライナに戦争の方程式を変える軍事訓練プログラムを提供

 

※アイキャッチ画像の出典:FLIR Systems

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コメント

    • 2022年 8月 24日

    サムネイルだとたばこに見えた…
    しかしこういうホビーサイズですら通信範囲2㎞とかあるのか…
    市街地戦が完全に変わるな

    20
    • 匿名
    • 2022年 8月 24日

    近未来戦のFPSゲームみたいや…

    17
    • zerotester
    • 2022年 8月 24日

    東部戦線でロシア軍が調子が良かったときの中心はワグナーグループの傭兵やチェチェン部隊だったようで、市街戦は歩兵の能力が重要なのでしょうね。敵味方の距離が近い状態で臨機応変な対応が要求されるので。

    ウクライナ軍にもドンバス戦争で経験を積んだ熟練兵はそれなりにいるでしょうが、かなり消耗もしたでしょう。だから訓練は重要で、それが完了して十分な兵が揃った時が反攻のタイミングなのでしょう。それまでは補給線などをチクチク攻撃すると。

    5
    • hogehoge
    • 2022年 8月 24日

    20日にあった、40mmグレラン発射型ドローンに否定的な意見コメントしたら反対意見ばかりだったけど、
    やはり使い捨てで普及するのはどう考えてもこういうシンプルなやつだよなぁ・・・。

      • h4
      • 2022年 8月 25日

      性能が全く違い、用途も違う。
      グレラン発射型は爆薬を搭載可能、行動半径19kmの「野戦用射程延長手榴弾」という位置づけ。
      こちらは偵察専用、行動半径2kmで、解説にもある通り市街戦など小銃を射ち合う至近距離で遮蔽物の裏を見る用途。

      グレラン発射型にしかできないタスクというのは確実に存在する。その需要の程度は分からんけどね。

      20
    • 黒丸
    • 2022年 8月 24日

    こういうものは中国も研究していて
    日本や台湾を攻撃するときに使用してくる可能性がある。
    対ロシアであればロシア兵以外の犠牲を減らす可能性があるので喜ばしいが
    日本で使用される場合に備えて対策の検討もいるのが悩ましい。

    アジア圏だと蠅取り紙とか蚊帳で対策とかされそうだな。

      • 無無
      • 2022年 8月 25日

      ハエ叩きやフマキラーでは効果ないだろうから、ここはいちいち人間でなく、狩人ドローンを開発活用したほうがいい
      飛び交う害虫を鳥たちが狩るように、兵士を守るドローンも必要だろう

      4
    • 58式素人
    • 2022年 8月 25日

    こういった、見通し線で電波を使うものに対して。
    飛行機で使っているような。チャフは有効なのかな。
    有効ならば、信号拳銃用の弾を作れば良いのかな。
    あと、英軍は市街戦で、直射重火器を使うのかな。

      • G
      • 2022年 8月 25日

      この大きさから考えられるバッテリーやアンテナのサイズからしてECMやチャフの妨害を突破できる出力を出し続けることは難しいと思われます
      とはいえチャフですと短時間しか効果を発揮しない上に自分たちの居場所を教えるよなものなものであり、ECMですと準備が大変で自分たちの部隊間通信の確保が面倒になるため、いずれにせよ大きな負担になるかと

      ただもしロシア軍が「Black Hornet」の周波数を即時特定し、すぐその帯限定でECMをかけることができる技術や機材を用意できるのなら、自分たちの通信は確保しつつBlack Hornetを無効化することは可能と思われます

      6
    • makumaku
    • 2022年 8月 26日

    暗視装置が付いていて、1セット1.5~1.6万米ドルくらいだそうです。

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