米国関連

オースティン米国防長官、60億ドル相当のウクライナ支援パッケージを発表

ウクライナ支援を協議するラムシュタイン会議が26日に開催され、米国は60億ドル相当のウクライナ支援パッケージを、スペインはパトリオットシステムの迎撃弾提供を発表したが、どの国もパトリオットシステム本体の提供を表明しなかった。

参考:Biden Administration Announces Historic New Security Assistance Package for Ukraine
参考:Spain confirms plans to send Patriot missiles to Ukraine
参考:Canada to donate nearly $12 million to Ukraine’s drone production, Czech ammunition initiative
参考:Minister: Belgium to allocate $213 million for German-led air defense initiative

これまでウクライナの要請に応じてパトリオットシステムの追加提供を表明したのはドイツだけ

ウクライナ支援を協議するラムシュタイン会議が26日に開催され、オースティン米国防長官は60億ドル相当のウクライナ支援パッケージを発表、このパッケージにはパトリオットシステム向けの迎撃弾、NASAMS向けの迎撃弾、西側製ランチャー、防空ミサイル、レーダーをウクライナの防空システムに統合するための装置、対UAVシステム、レーザー誘導式ロケット弾、多機能レーダー、対砲兵レーダー、HIMARS向け弾薬、155mm砲弾、152mm砲弾、精密航空弾薬、Switchblade、Puma、各種戦術車輌、小口径火器と弾薬、訓練・保守に必要なアイテムとサポートが含まれている。

出典:U.S. Army photo by Eugen Warkentin

これらの支援はウクライナ安全保障支援イニシアチブ(USAI)の資金での提供=米企業に発注して提供されるため、モノによっては「引き渡しまで数年かかる」と言われており、スペインも事前の報道通り「パトリオットシステム」ではなく「パトリオットシステムの迎撃弾提供(備蓄が約50発しかないので限られた量の提供になる)」を発表、他の国もウクライナが要請していたパトリオットシステム本体の提供を表明しなかった。

因みにスペインは迎撃弾の他に機関銃、榴弾砲、対戦車兵器、155mm砲弾、120mm砲弾、各種装甲車輌の提供を、カナダはウクライナの無人機生産に220万ドル、チェコが主導する砲弾調達計画に950万ドル(今回発表分を加えると累計3,870万ドル)の提供を、ベルギーは備蓄分から防空システム用ミサイル(恐らくNASAMS向けのAIM-120かAIM-9か)の提供を発表。

出典:Verteidigungsministerium

これまでウクライナの要請に応じてパトリオットシステムの追加提供を表明したのはドイツだけで、ウクライナではTu-95MSによる大規模なミサイル攻撃の警報が全国に出ている。

追記:オーストラリアは「1億ドルのウクライナ支援パッケージを準備中だ」と発表、約5,000万ドルがMANPADS調達に、約3,000万ドルが無人機連合に寄付され、残りは他の軍事援助に投資されるらしい。

関連記事:スペインもパトリオットシステム提供を拒否、少数の迎撃弾提供に同意
関連記事:ギリシャ首相、パトリオットやS-300のウクライナ提供に応じないと断言
関連記事:誰がウクライナにパトリオットを提供するのか? ギリシャは提供に否定的
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関連記事:BILD記者、ウクライナはパトリオットの迎撃弾とIRIS-Tを使い果たした
関連記事:ロシア軍のインフラ攻撃は発電所の破壊が狙い、短期的な復旧が見込めない

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Sgt. Alexandra Shea

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コメント

    •  
    • 2024年 4月 27日

    支援金額は莫大なのに中身を見るとショボく感じてしまうな。
    それだけアメリカ兵器の価格が高騰してるということか?

    15
      • 名無し
      • 2024年 4月 27日

      「何円相当」って、FMSとかと同じで、仕入原価じゃなくてアメリカ政府が決めるだろう(FMS準拠だと厳密には政府の事務経費みたいなカタチで上乗せ)から、
      メチャクチャいっぱい支援したぜと政治的にアピールするために、異常なまでの額の政府の事務経費を積んでるんでしょ。事務経費積む分には、行って来いで、政府支出には影響しないし。
      新聞は中身よく分からんから、金額しか掲載しないだろうし。

      実質の供与額は、供与品のラインナップを見ればお察し。

      30
        • gb
        • 2024年 4月 29日

        > 異常なまでの額の政府の事務経費を積んでるんでしょ

        調べたらすぐバレるのでそんなことはしないと思います
        ちなみにFMSでアメリカ政府が徴収する経費は料率が決まっていて、本体価格に対し一般管理費が3.2% 契約管理費が1.2%の合計4.4%

        2
    • 分析
    • 2024年 4月 27日

    平時ならば、コーラ1本100円の国よりも1本500円の物価の国の方が経済的に強者とされてきましたが…
    資源国で自国生産できるという前提付きで、有事になると500円でコーラ5本買える国の方が有利ですね
    そしてその条件にロシアがまさしく当て嵌まっていると

    というか本来筋として資源を持っている地域が強いのは人類史を見ても当たり前であり、ヨーロッパが世界の中で強国だった近年こそが異常だったのかもしれませんね

    43
      • 伊怜
      • 2024年 4月 27日

      そもそも戦争前からロシアのGDPだけ見てバカにしてる人はいたんだけども、経済圏が違う国をGDPで比較してもなんの意味もないのよね…

      20
        • たむごん
        • 2024年 4月 28日

        まさに仰る通りです。

        ロシアGDP100円 ロシアがカニを日本に100円で売って外貨獲得
        日本のGDP900円 日本の輸入カニは最終的に1000円で国内消費した

        極端な話ですが、カニの流通だけで考えれば、GDP9倍差になります。
        実体は、輸送費・電気代など諸々がかかっていて、日本は原料の輸入(石油など)が必要になります。

        GDPだけ比較しても、何の意味もないですよね…

        2
      • 暇な人
      • 2024年 4月 28日

      デフレ社会の日本で大量生産する時代がくるのか日本復活だな

      5
    • たむごん
    • 2024年 4月 27日

    パトリオットシステムは、破壊されると、手元にいつ届くのか分からないですからね。

    兵器も消耗品ですから、返ってきた時にどのくらい消耗しているのか、幅がありすぎて分からないでしょう。

    ウクライナが、大型発電所を破壊される前提にたてば、兵器生産にも甚大な影響がでます。
    継戦能力を、見つめ直す時期かもしれません。

    14
    • まる
    • 2024年 4月 27日

    金額が高くても、そもそも購入できる現物がないんでしょうね。欧米が新規生産した分もたかが知れてますし・・。

    9
      • 無名
      • 2024年 4月 27日

      せっかくウクライナに送っても集積所や倉庫をミサイル攻撃されて一定数を失いますし。
      現場に届くのは何割でしょうね。
      運ぶ途中でロシアの攻撃により失っても、その事実ウクライナは隠すので、現場の兵士は「上の奴らまた中抜きして懐に入れたな。」ってなってしまいますし。

      21
        • T.T
        • 2024年 4月 27日

        農民による国境封鎖もまだ続いてますしね。
        援助物質と軍事物質は対象外と書いてる記事もありますが、実際どんな感じになってるのかな。

        2
        • 理想はこの翼では届かない
        • 2024年 4月 27日

        ロシア国防省の大本営発表は信じる価値は無いですが、事実としてオデッサの港湾近くで集積所と見られる施設群の崩壊跡とそこに散らばるどうみても兵器の残骸の動画なども出回っているので、輸送途中で破壊されてしまうものは確実に存在するのでしょう
        輸送経路も保管場所も限られてしまう以上、内通者や偵察ドローンに見つかってしまえばイスカンデルが飛んでくるのは目に見えていますから

        19
      • ルイ16世
      • 2024年 4月 28日

      兵器の基本的な原料の鉄鋼生産量はロシア、アメリカ、欧州、日本が同じくらいですからね
      日本は武器を送ってませんし欧米はロシアの5倍以上の人口を養う為の民需に使う必要もありますから本気を出せばすぐにWW2末期の様に圧勝とは行きませんね
      動かしたくても隣に日本の12倍以上の生産量を持つ仮想敵国があるので動かせないどころか逆に送って欲しいくらいなんですが

      1
    • jimama
    • 2024年 4月 27日

    内容見る限りだと戦車とか野砲(含む自走砲)入ってないのかな?
    入ってたら省略しないだろうからないんだろうけどなあ
    戦線全体で砲と防空で上回らないと押し止めれないけどこれじゃ無理じゃないかな
    あとチェコの砲弾結局どうなったんだアレ

    13
      • MD
      • 2024年 4月 27日

      3月の時点ではチェコの首相補佐官の発言で早くて一部が6月から。
      その後、4月16日の管理人さんの記事では首相が寄稿した記事の中で、
      18万発分が数カ月以内に届くということでしたので、
      管理人さんがおっしゃる様に夏頃までに一部が届くとみていいのではと思います。

      7
    • 和平案
    • 2024年 4月 27日

    ロシア侵攻直後のウクライナとの停戦交渉の新聞公表された和平内容によれば
    ウクライナが「永世中立国」となる、ロシアは侵略後占領した地域から撤兵する

    ロシア軍のブチャの残虐行為等を理由してウクライナ政権(英米)が交渉を中止
    和平が成立してれば数十万人の死傷者と数十兆円の大損害を防げたかもしれない
    所詮人間は感情の動物であり合理的な解決より、善悪感情の方を選び破滅する

    18
      • 朴秀
      • 2024年 4月 27日

      2年前に和平交渉(降伏)した方がウクライナ(及びロシア)の被害は少なかったと思いますが
      米英の全面的な支援で成り立っているゼレンスキー政権が
      米英の意向を無視して勝手に降伏できるかと言われると…
      常に合理的な選択ができるとは限りません

      23
        • 匿名11号
        • 2024年 4月 27日

        むしろそういう発想(和平=ウクライナの降伏)がロシア側の底意として見え隠れすれば、和平合意は成立しないでしょうね。

        条件付き降伏であれば、ロシアの行動原理からすれば、後付けで無制限に条件をエスカレーションした挙句(もちろんロシア側は当初からそういう条件だったと主張はするでしょうが)、ウクライナ側が和平条件を守らないという理由で撤兵はしないでしょうね。無条件降伏であれば言わずもがなです。

        結局、ロシア側の撤兵が真っ先に行われない限り、ウクライナがわが不利になる形で「数十万人の死傷者と数十兆円の大損害」がより大規模に後ろ送りされるだけです。

        3
      • 匿名(大体週一)
      • 2024年 4月 27日

      結局ロシアにとっては安全保障の問題でウクライナを無害化できれば和平でも良かった(それでもドンバスは貰うが)
      継戦するなら無害化(国家としての無力化)するまでやらなければ意味がないので当面停戦はない、ウクライナ政府もその気は無いので方針は一致、超ハッピーだね

      23
        • 革命政権
        • 2024年 4月 28日

        2014年ユーロマイダン革命でユーロ派はNATOとEU加盟が至上命題なので
        後継のゼレンスキー政権もウクライナの中立国化など有り得ない、革命とは
        反対派を武力で鎮圧し法律で禁止する政権樹立のこと、永世中立国になって
        親露派,ロシア語を復権させるなど現政権(米英)が認めるわけがない。
        つまり、ゼレンスキー政権かプーチン政権が倒れるまでウクライナ戦争が続く

        2
    • コンビニ
    • 2024年 4月 27日

    スレチ失礼します、亀戦車にT-55.62が使われているのは被害担当役で使い捨てる前提ですか?

    宇軍にRPG単弾頭突入ドローンしか無くなって相対的に戦車として復権しましたね。

    1
      • ras
      • 2024年 4月 27日

      あれはEW車、地雷処理車、重装甲駆逐戦車の役割にするようなアタッチメントです
      速度の問題はあるでしょうが、T‐90などの既存で高性能な戦車にとりつける必要はなく、むしろそれは本体の強さを殺すことにもなります
      先導車かつEW車として各部隊に数両配備するための素体としてt−62を使うのは合理的でしょう。

      4
      • コンビニ承認願
      • 2024年 4月 27日

      リンク
      調べ直しましたがこの一例だけかもしれないです。

      • Easy
      • 2024年 4月 27日

      単に「安くて古くて構造が単純」なので運用に現地部隊の幅広い裁量が許されている、ということでしょう。
      ウクライナ兵のインタビューで「地面に埋めて歩兵支援に使われるT-55が非常に厄介」とかいうコメントもあり、各部隊で色々工夫して使っているようですね。

      15
      • イーロンマスク
      • 2024年 4月 27日

      自分が思うに火力が高いT-72の砲塔を制限させるよりT-55を亀戦車にした方が相対的に火力の低下を防げる
      亀戦車には電子戦装備が積まれてるらしいので役割分担じゃないでしょうか

      5
      • hoge
      • 2024年 4月 27日

      相手に有力な戦車がいた場合、亀装甲はほぼ無意味で遠距離から一方的に貫徹されるでしょうけど、主な脅威がRPGつきFPVドローンならば「これで十分」だからではないでしょうか。
      シンプルでスペック上はしょぼいですけど、その分シンプルで安いこととの裏返しですし。

      9
      • どねつくぼうし
      • 2024年 4月 27日

      T-80BVMの亀戦車の映像も公開されたようなのでツァーリグリルは今後広く普及するかもしれません
      リンク

      6
    • 名無し
    • 2024年 4月 27日

    ついにエイブラムスが前線から遠ざけられたと動画にされるほどに有名になったか
    やっぱりゲームチェンジャーの鳴り物入りで出すのは危険だな
    インパクトが強すぎる

    5
    • 名無し
    • 2024年 4月 28日

    世界で一番安全な位置にあり、ウクライナけしかけたのはアメリカなんだからアメリカが責任者をもって防空装備送れ他国に出させるな

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