ウクライナ戦況

ロシア軍がバフムートで攻勢再開、アウディーイウカも危機的状況が続く

ウクライナ人が運営するDEEP STATEは10日、バフムート方面について「ロシア軍がバフムート方面で前進を再開してチャシブ・ヤールがある尾根に到達した」と、アウディーイウカ方面についても「市内北東部でロシア軍が足場を広げている」と報告した。

参考:Мапу оновлено!
参考:Ситуація в районі Часового Яру стає все більш напруженішою 

バフムート方面

ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは6日に更新した戦況マップの中で「ボタニフカ方面」と「墓場周辺」の前線位置を後退、視覚的に確認されていたロシア軍の前線位置についても「ウクライナ軍の反撃が成功した」「但し、ウクライナ軍は足場を築くことが出来なかったためグレーゾーンだ」と報告、ダーチャ付近の支配地域をイワニフスキー方向に広げた「ロシア軍がT-0504を越えて北に足場を広げた」と主張。

出典:管理人作成 バフムート周辺の戦況(クリックで拡大可能)

しかし、ウクライナ人が運営するDEEP STATEは「ロシア軍が前進を再開してチャシブ・ヤールがある尾根に到達した」「チャシブ・ヤール周辺の状況は益々緊迫している」と報告している。

DEEP STATEは10日に更新した戦況マップの中で「ロシア軍が墓地を占領した」「ロシア軍は墓地の先にある森林地帯を占領した(でロシア軍がウクライナ軍陣地を襲撃する様子を確認)」「この成功を更に拡張するためロシア軍は新たな戦力を移動中だ」と報告、その他にもボタニフカ方面やクロモヴォ方面でもロシア軍が前進しており、停滞していたチャシブ・ヤールへの攻勢が再開されたのかもしれない。

出典:管理人作成 バフムート周辺の戦況(クリックで拡大可能)

因みにDEEP STATEは「RYBARが主張するイワニフスキー方面でのロシア軍前進」を認めていないものの、グレーゾーンがイワニフスキーまで広がっていることは認めている。

関連記事:ロシア軍が成功を収める東部戦線、ウクライナ軍は各戦線で後退が続く

アウディーイウカ方面

タブリア作戦軍のリホワ報道官は8日「戦闘はアウディーイウカ北部の民間エリア(ダーチャ)だけでなく市内でも発生している。敵の意図は明確でコークス工場と採石場(ピソチヌイ・カールヤー湖)の間に侵入してウクライナ軍を分断しようとしている」と述べ、DEEP STATEも9日「アウディーイウカ北東部の敵が攻撃を続けている」と報告していたが、10日に更新した戦況マップの中でもロシア軍前進が報告されている。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

ロシア軍はピソチヌイ・カールヤー湖とペルボマイスカ通りの間で支配地域を拡大させ、この方向のグレーゾーンはドネツキービーチまで拡大している。ロシア軍は線路沿いで支配地域を拡大出来ていないものの、この方向のグレーゾーンはモニュメントに向かって拡大しており、このグレーゾーンにロシア軍が定着するとO-0542へのアクセスが困難になるしかない。

因みにでウクライナ軍がロシア軍兵士を攻撃する様子が視覚的に確認されている。

関連記事:アウディーイウカ市街戦、市内北東部に侵入したロシア軍が足場を拡大
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

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コメント

    • たむごん
    • 2024年 2月 11日

    アウディーイウカが厳しい中で、バフムートも尾根沿いに高所を巡る攻勢ですか…
    クピャンスク方面では、戦車500両・戦闘車両600両以上・兵士4万人が集結していると言われています。

    東部戦線の中でも、クピャンスク攻勢に備えようとすると北寄りの為(陽動だとしても備える必要がある)、アウディーイウカ後方に予備部隊を厚くすることは難しくなってそうですね。

    (2024.02.10 【ロシア軍が東部に戦車集結?】ウクライナ最新戦況 徹底分析 髙田克樹×岡部芳彦×合六強 2024/2/9放送<後編> BSフジLIVE プライムニュース Youtube)

    8
    • ふむ
    • 2024年 2月 11日

    ウクライナは本格的に手が足りてませんね
    この状態で「まず調査!追加の大動員は必要人数が確定してから!」なんてやってたら、訓練終わって投入する頃にはだいぶ押し込まれているのでは…?

    20
      • 匿名
      • 2024年 2月 11日

      前線兵士のローテーションの為の動員は、KIA、MIAによる欠員の穴埋めの言い換えとは思っていましたが、東部南部共に急速に抵抗力が落ち込んでる状況を観るに、前線における数的優位は逆転していますね。

      無人システム部隊と言うドローン専門部隊の創設も、有効性の証明もあるでしょうが、マンパワー不足の証左でもあるでしょう。
      尤も、既にロシア側がドローン生産体制増強に着手しており、こちらもいずれ数的優位を確立すると思いますが。

      9
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 2月 11日

    アウディーイカのロシア軍の攻勢は市街地戦なのでここからは遅くなるだろうな、と思っていましたが各種レポートを見る限りではガンガン進んでいるようです(未確定情報もあるので盛ってるだけの可能性はあります)
    やはり弾薬・兵員共に少なくてまともに防衛するどころか遅滞すらできていないように見受けられます
    どうしてこうなった…

    21
      • 無名
      • 2024年 2月 11日

      アウディーイウカ南側は2014年から要塞化を進めてきたので、一部が破られても阻止できてますが、北側はクラスノホリフカ周辺が攻略されてから要塞化を急いだので、南側と比べると弱いです。
      バフムトもそうでした。

      11
    •  
    • 2024年 2月 11日

    まあチャシブヤール攻めは無理でしょう
    やはり攻勢初期にウクライナ軍右翼の撃破に失敗したことが響いてます
    夏にあれだけ無理攻めをした後ですから容易く総崩れになると思っていましたが、意外と粘りましたね
    ロシア軍としてはなんとかボダニフカを占領して防御体制を整えたいところでしょうか
    逆にアウディーイウカはこの北東正面の突破口をマネージできたとしても別正面が崩れるジリ貧ですね
    やはり市外に展開する部隊から予備を抽出してモニュメント周りに投入しているようですが、これは大釜に捕えられる部隊を増やすだけで戦域全体を危険に晒す愚策です

    9
      • MarkⅡ
      • 2024年 2月 11日

      一瞬何の話してんのか分からなかった。
      バフムトの時もこういう人いたよね

      46
        •  
        • 2024年 2月 11日

        攻勢開始初期はベルヒフカ正面とクリシェイフカ正面から両翼包囲に持ち込もうとしてたけど前者は前面に展開するウクライナ軍を撃破出来たけど後者は高台の反斜面陣地に苦しめられて停滞したって話ね
        だから今チャシブヤール正面からの平押しを強いられててあんまり進捗がよろしくない

        7
      • paxai
      • 2024年 2月 11日

      あそこら辺はウ軍第三旅団がいるはず。そう簡単には抜けないでしょうね。
      ロシアもアウディーイフカに注力してるから余裕はないでしょうし。

      3
        • どぶろく
        • 2024年 2月 11日

        地図上にあるだけだったりして〜

        24
        • 歴史と貧困
        • 2024年 2月 11日

        >あそこら辺はウ軍第三旅団がいるはず。そう簡単には抜けないでしょうね。
        ゼレンスキーもそう思っていそう。兵士の充足率35%なのは都合よく無視したまま。
        だから援軍は送られず、動員もかけられず、アウディーイウカもチャシブヤールも兵力不足で陥落すると。

        2
    • 名無し
    • 2024年 2月 11日

    鉄道橋横の線路に挟まれた住宅街もグレーゾーンではなくロシアの制圧下に置かれているといった分析も出てきていますし、ここ数日の制圧速度の速さを考えると市街戦に特化した部隊を投入したというのはこの上なく効果を発揮しているのでしょうね

    バフムートに関してはボタニフカやO-0506線からのチャシブ・ヤール攻撃もそうですが一番の注目ポイントは遂にイワニフスキーにまでグレーゾーンが広がってしまったという点であり、もし仮にイワニフスキーが制圧されればクリシチーウカやアンドリーウカを維持する意味が無くなるというかもはや立ち枯れるしか無くなってしまうので、速やかに撤退しなければならなくなるでしょうな(アウディーイウカの状況を考えるとキエフ首脳部が撤退させるかは大いに疑問ですが…)

    こんな状況でもどっかの防衛研究をしているチャンネルはロシア軍の攻撃は殆どが撃退されているとしていましたが、「ウクライナ軍参謀本部は報告しています」とあるなどウクライナの大本営発表を丸呑みして垂れ流している感じだったので、そりゃファンタジーな架空戦記が展開されますわなあと

    31
      • Easy
      • 2024年 2月 11日

      あまり目立ちませんが、ロシア軍側の都市攻略戦術がかなり改善されており。昔のように単純な歩兵と火砲の力押しではなく。ドローン偵察と電子戦でのウクライナ拠点の割り出し、そこへの後方からの火力投射、制圧後に装甲火力または歩兵浸透、と複数兵種の複合攻撃を使ってますね。
      アメリカ軍ほど高度ではないようですが、現場の実情に合わせて最適化されつつあり。
      ローテーションが出来る部隊はノウハウを水平伝播できるので、部隊としての戦闘効率が上がります。
      ウクライナ側は個別兵士の経験と技術で耐えてますが,ローテーションするべきなのは戦闘ノウハウの伝達もその理由の一つなんですね。

      21
        • Natto
        • 2024年 2月 11日

        市街戦はエグいやり方のノウハウがシリアやチェチェンで蓄積されてるからロシア側が優位になると発揮されそう。

        2
        • NHG
        • 2024年 2月 11日

        >ドローン偵察と電子戦でのウクライナ拠点の割り出し、そこへの後方からの火力投射、制圧後に装甲火力または歩兵浸透

        去年はこういう連携能力ではウクライナ軍にアドバンテージがあったんだけど、去年の終わり近くから露軍の洗練さが急速に上がってきた感じがあるよね
        他にもトンネル掘って陣地爆破とか戦術の柔軟性が上がってる感

        6
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