中国駐在のイラン大使は「米国の覇権主義に抵抗するイランと中国は多くの国際問題や地域問題で見解と態度を共有する」と述べ、仮に中国と米国が台湾問題で戦争になっても「イランは石油を中国に安定供給し続ける」と明かした。
イランは一部の国のように米国の顔色を伺い中国との関係を変えることない
グローバル・タイムズ(GT)紙(環球時報の英字版)のインタビューに応じた中国駐在のイラン大使は「米国の不当なイラン制裁に中国が異を唱え続けているように、米国が介入の試みを続ける香港や台湾の問題に対してイランは中国の立場を断固として支持する」と語ったが、GT紙は「もし中国と米国が台湾を巡り戦争になったらイランはどのような立場をとるのか?仮に米国が中国に対して石油の輸送ルートを封鎖してイランは中国に石油供給を継続するのか?」という興味深い質問をイラン大使にぶつけた。
この質問について「台湾問題について軍事力ではなく交渉で解決することを望む」と前置きした上でイラン大使は「仮に戦争になってもイランは中国を支援しエネルギー供給の中国に安全を確保するだろう。イランは一部の国のように米国の顔色を伺い中国との関係を変えることない」と語ったため、GT紙は台湾問題を巡って米国と戦争になってもイランは中国への石油供給を続けると大きく報じている。
さらに興味深いは「エネルギー資源の国際取引は脱ドル化がトレンドでロシア、ブラジル、インドなど多くの国が現地通貨での二ヶ国貿易に移行しつつあり、このような流れはドル決済を利用した制裁を回避するのに有効だ」と主張しており、北京五輪の開幕式に合わせて訪中したプーチン大統領もウクライナ侵攻による制裁ダメージを軽減するため現地通貨による貿易決済拡大を中国に要請したと報じられている。
両国間の貿易に占めるドル決済は50%以下に低下しており、ロシアはウクライナ侵攻で中国は台湾の武力統一で米国から金融制裁を課せられる可能性が高く、現地通貨による貿易決済をさらに拡大(ロシア製兵器の決済も現地通貨に移行しつつある)させることでドル決済体制の離脱=金融制裁の効果を小さくしようと考えていると書いてみたものの、経済は不勉強なので「脱ドル化」の効果がどれほどあるのか管理人には検討もつかない。
まぁ米国が中国に対して石油の輸送ルートを封鎖するということは海上輸送を遮断(そもそも中国寄りの中東諸国が台湾問題を理由に中国への石油供給停止に応じるのかも謎)するという意味だと思うが、これを無視して石油を中国に安定供給し続ける方法(陸送?)も思いつかないのでイラン大使の発言は色んな意味で謎に満ちている、、、
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communications Specialist Molly Crawford 2020年に台湾海峡を航行するUSSバリー
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元々イランとアメリカは仲が悪いですからね
実際に石油を送れるかどうかは別として、中国を支持する宣言を出す事で中国から支援を受けられるなら宣言をする意味もあると言う事でしょう。
イランにしてみりゃ「船よこせば売ってやるよ、仮に無事に帰れなくても金はもらうよ」で十分義理は通るし損はないしね。
しかもそれを宣言するだけで恩が売れるしアメリカの足元も揺さぶれる。
一帯一路構想の中国-パキスタン経済回廊さえ完成すれば、海上に船を出さなくとも、内陸経由で石油を売買できるになるはずだ。
(ただし、パキスタン側の経済的困難とコロナ影響をもろに受けているようす。
すぐに完成するとは言いずらいが、時間がかかればかかるほど、米国の悩みの種は、ジャックと豆の木のように大きくなるだろう)
海上輸送も要衝部分を抑える基地(カンボジアのりあむ海軍基地や、ジブチ保障基地、スリランカの租借地)の設置をしているあたり、西側の船団攻撃にも強く耐える事ができるのではないだろうか
湾岸諸国からパキスタンまでの海路は置いておくとしても、それだけの原油を輸送しようとすれば現実的にはパイプラインしかないが、長大なパイプラインをその全長にわたって防衛できるだろうか・・・
経済基盤に対する攻撃が正当化される場合、アメリカは何としてでも寸断しようとすると思うのだが・・・
中国・パキスタン間のパイプラインの完成予想図は、パキスタン西南の国境まで続いている。そのパキスタン西南の隣国とはイランのことだ。
つまり、湾岸諸国とは海路でガスを運搬する必要はない。
ぶっちゃけ中国の正面を相手にしながら、パキスタン・イラン方面を相手にする余裕などあるのだろうか?
まー、ビンラディン殺害作戦の時のように、パキスタンに侵入するのは無理ではないだろう。アフガニスタンに部隊はもうないし。
一番使える駒はトルコの米軍だろうが、UAE・サウジアラビアとの関係も薄れつつある中、イラクの僅かばかりの米兵と、ジブチの米海軍はいる。しかし、中東アジアへの影響力低下は痛いところだろう。
インド軍に頼むか、オーストラリア軍に頼むか、米海軍の艦隊を喜望峰(もしくはオーストラリア)経由でインド洋に送り込まないと、パキスタン・イラン内部で暴れまわる事はできないだろう。
>現地通貨による貿易決済…
つまりは物々交換になるんだろうな。
ルートはシベリア周りで。
中国はマラッカ・ジレンマを克服するために中パ回廊(CPEC)を強化していますね。
海で運ぶ場合でもグワダル港やカラチ港を使えばマラッカ海峡を通らずに済みますし。
気になるのは、台湾や南シナ海地域での限定戦争だったとしても米国は中国向けの船舶を止めるかという事ですよね。米海軍にはその能力は既にある訳ですが。
上で触れてる方が居ますが中国は原油等の輸入経路としてパキスタン-ウイグルを経由する迂回路を建設しています。ただウイグル経由では中国の主な人口密集地である海岸線地域と物理的距離があることや、途中通るパキスタン北東地域は7,000m級の山が連なるカラコルム山脈を抜ける危険で細い道(悪名高いカラコルム・ハイウェイ)であること、さらにインドとパキスタンが領有権を争っている地域でもあるのでその気になればインドは越境してきて街道を封鎖できるなど(道路の破壊自体はミサイルを打つだけで可能)、やはり盤石とは言い難い経路です。他にもトルクメニスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスと中央アジア諸国を数珠つなぎで抜けていく道もあるのですが、列車輸送だったとしても原油の単価を考えれば厳しい距離です。ミャンマーはヤンゴンから雲南省に抜けて行く鉄道も増設中だそうですが、これもインドの鼻先を掠めていくという点で聖域ではありません。
巨大産油国が味方してくれているのは心強いでしょうが、中国の当局者の憂鬱は当面続きそうですね。
現時点で可能性があるのは、中国雲南省とミャンマーのチャウックピューを結ぶパイプラインの利用でしょうね。
既に開通しています。
リンク(本記事ではチャウックピューをチャオピューと記載している)
関西人というか、大阪で商売してると
この程度のリップサービスは当たり前かと思う。
別に一緒にアメリカと一緒に戦うというわけでも、特別に安く売るわけでもないし
お得意様なので応援してまっせ、という取引先の悪い評判を軽く打ち消すレベルに思える。
>石油を中国に安定供給し続ける方法(陸送?)も思いつかないので
アフガンのタリバンが今のところ中共寄りだから
将来的には陸路も可能
それをつまり、不安定というのでは。
将来いつ他国に転ぶかわからない
いつになったら陸路が実現するかわからない
イラン「米中が戦争になっても中国に石油の安定供給を続ける!」(ちゃんと届くとは言っていない)
以下はWikipediaの『国際通貨』の記事に書いてあった一文
「近年、日米欧はデジタル人民元が中国国内での利用にとどまらず、貿易決済などを通じて世界的に普及し、存在感を高めることを警戒している。相対的に基軸通貨のドルの地位が低下すれば、アメリカが敵対国にドル取引を禁じるといった金融制裁の効力も弱まりかねない」
つまり、アメリカの伝家の宝刀である経済制裁を封じる腹積もりなようですな。ソフトカレンシー同士でどこまでやれるのか興味が湧いたわ。
元は一応SDRに組み込まれてハードカレンシー的な扱いになってた気がする。まあ、流通量は少ないし、通貨価値の決定の恣意性が大きいから、西側投資家の信頼は得られてないと思うが。
一方で、中国の工業的に地位は高いから、案外色々調達できるかもしれない。農作物とか難しいし、アメリカお得意の第三者制裁までやられたらだいぶ辛いけど、すでにイランはその対象にされているから関係ないな。
イランがそちら側を貫くなら日本も決断迫られるのでしょうか
第三次世界大戦の香り