香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)紙は11日、中国は米国が開発を保留したレールガンのテストを前例のない規模で実施し「問題点の克服に挑戦する」と報じている。
参考:US holding fire on rail gun development but China takes aim with planned tests
米国が開発を保留したレールガンを「中国が先に実用化させることで技術的な優位性をアピールしよう」という意図が明確に伝わってくる
米海軍の依頼でBAEが開発した試作レールガン(コンデンサバンクの充電エネルギー量は100MJ)は2010年に33MJの運動エネルギーで10.4kgの砲弾を射出することに成功、この結果を受けて米海軍は2016年までに艦艇搭載型レールガン(最大射程160km以上/毎分10発)を開発、2020年までにレールガンを艦艇に統合して海上試射を行うことを計画していたが、レールガンの性能を発揮させるためには25MWの電力供給が必要で、この条件を現時点でクリアできるのは建造中止になったズムウォルト級(総発電量は77.6MWだが艦の運行には35MW以下=余剰電力が40MW以上あるという意味)だけだ。
つまり海軍の主力水上艦艇であるアーレイ・バーク級(余剰電力9MW前後)にレールガンに統合するためには電力供給能力を拡張する必要があり、ズムウォルト級の統合電気推進(IPS)に採用されたバッテリーシステムを追加して25MWの電力要件を満たそうと研究が進められているものの艦内スペース不足で既存の兵器を取り外す必要があり、移動する標的やミサイルを遠距離で破壊するため誘導装置を組み込んだ発射体開発も強烈なGと電磁場に耐えられる電子機器の実用化が難航。
結局、実用化に手間取っている内に迎撃困難で1,000km以上離れた目標を攻撃可能な極超音速兵器が登場してレールガンのメリット(極超音速兵器に比べ射程が短い)が薄れ、レールガンの射程を超える対艦ミサイルの普及も進んだことで「沿岸地域の地上戦闘支援」というコンセプト自体も色褪せ、米国では「電力要件を満たす大掛かりな改造が必要なレールガンよりもMk.41VLSを変更するだけでアーレイ・バーク級に組み込める極超音速兵器の方が使い勝手が良い」と考えられている。
以上の理由から米海軍はレールガン開発の中断→資金や開発リソースを極超音速兵器、指向性エネルギー、電子戦システムなどに回したいと考えており、議会は海軍の提案を検討するため「レールガン・プログラムに海軍に幾ら投資したのか、実際の艦艇にレールガンして運用するため足りないものは何なのかをNDAA成立から90日以内に報告せよ」と命じており、恐らく来年度の予算でレールガン開発への資金供給を止めるか継続するを反映するはずだ。
これを受けて香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)紙は11日、中国は米国が開発を保留したレールガンのテストを前例のない規模で実施し「問題点の克服に挑戦する」と報じている。
記事の中に登場する中国人技術者は「中国のレールガンは他国のものとは異なり発砲時に発生する閃光を打ち消すための装置を必要とせず、特殊なコーティング技術で安定した性能と砲身の低損傷性を実現している」と明かしたものの「レールガンを実用化するためには幾つかの技術的な問題を解決しなければならず最高出力による連続射撃を何度も行い課題を明確にしなければならない」と語り、過去に行われたテストを遥かに凌ぐ規模と強度でレールガンのテストを実施すると明言した。
特に興味深いのはレールガン開発を加速する理由について中国人技術者は「これは米国がレールガン開発を保留したためだ」と語っている点で、つまり米国が開発を保留したレールガンを「中国が先に実用化させることで技術的な優位性をアピールしよう」という意図が明確に伝わってくる。
因みに中国が開発した試作レールガンの性能についてSCMP紙は「25kgの砲弾をマッハ7.3まで加速させ250km先の目標に命中させた(国内誌Air and Space Defenceに掲載された論文引用)、中国海軍は今のところレールガンの用途に沿岸部防衛を挙げている」と報じており、レールガンを対空兵器に転用する可能性については「日本が極超音速ミサイルを撃ち落とせるレールガンを開発している」とだけ触れている。
関連記事:日本、20MJの運動エネルギーをもつ大口径のレールガン実用化を想定か
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by John F. Williams/Released
お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。 |
ただ熱とかそういうのをコーティング系で解決しようとするのは往々にしてコスト爆増を招くのが…
実際極超音速ミサイルが実用化しても継続投射火力とか再装填に関してはレールガンに分があるだろうし問題が解決すればトレンドになるかもしれなくはないかもしれなくもないかもしれない
中国がそれで無理して問題が出たり、調達数が減ったりしてくれればズムウォルトも報われるってもんですよ。
中国が以前やっていた艦載レールガンの試作は実際の艦に搭載して試験までやってた記憶がありますけど、それが再開ってことなんですかね。これは興味深い。
中国のレールガン技術は過去に台湾砲撃用に研究されてた超長射程重砲の流れをくむもので、米海軍のプロジェクト同様に砲弾重量と射程を重視していたと聞いたことがあります。米海軍のプロジェクトキャンセルは短期的な見通しに基づくもので、将来的にはこの種の技術は有用だと思うので、完成品が見てみたいですね。
全部が全部真実だとは思わないけど、こんな記事が出ると日本が本当に実用化出来るのか?と思ってしまう。
まぁ、そんなにお金かけてないし、失敗したら説明責任だけ果たしてくれれば、それでいいんだけどね。
リンク
多分あの人の記事だから「日本が本当に実用化出来るのか?」と思わせるのが目的。この記事も匿名の関係者のコメント引用がほとんどで真偽が不明。レールガン計画が心配だからではなく防衛省の計画だから反対してるだろうし。
「こういう考え方も存在する(多数派や少数派、多面的か一面的かは置いといて)」程度がちょうどいいかな。
週刊現代よりじゃねw
リンクの記事の主な根拠である「アメリカの様な大国ですら諦めた筋悪兵器」という部分は今回の中国による開発継続報道によって根本から否定された訳だが…
中国が開発に成功すればね。ましてや日中ともに失敗する可能性だってあるわけだから「筋悪兵器という部分は(略)根本から否定された」訳ではないだろ。精々評価はまだ何とも言えんぐらいかな。
「大国が開発を【諦めた】」は完全否定されてるだろ。
「開発に失敗した」であれば開発に成功するまで否定されないけどね。
いや、話を逸らして逆ギレはちょっと、、、
「筋悪兵器という部分は(略)根本から否定された」訳ではないでしょ?
リンク記事の主な根拠は「10年以上前に研究を始めた米軍ですら開発を断念し(≒アメリカの様な大国ですら諦めた)」なんだよ。
それ以外の命数とか消費電力の話はただの印象操作で実は全然レールガンが筋悪である根拠にはなってないからね。
てかこの性善説依存システムで他人の名前イジった名前とか恥ずかしげもなく使える神経に驚くわ…
下で人を煽ってるんだから、あなたも同じじゃないんですか?
よく他人を指摘出来ますね。
その神経に驚きます。
別に他人に恥じる様な煽り方はしてないからね。
65億で実用化できるというなら、そもそも失敗しても説明責任は不要と思うが。
実用化失敗でも、説明責任は不要ですか。
まぁ、個人がどう思っても関係ないのかもしれませんが、防衛省の責任不足はあなたのような考えの人から生まれるんでしょうね。
レールガンは事前評価して内容も公開してるじゃん
レールガンだけでなく、全体的なことを言ったつもりなんですがね。
F15改修の件も、イージスアショアの件も、防衛省が説明不足だったのは明白です。
「65億で出来るなら〜」に対してF15改修やイージスアショアの件を含めたコメントしてたんだ。へぇ。
性格悪いなぁ。
失敗しても説明不要という主張に対して、それは違うでしょって意見じゃないの?
レールガンに限らずさ。
少なくとも、簡単に人を煽るのはやめなよ。
> 簡単に人を煽るのはやめなよ。
ならまずこっち↓に注意するべきでしたね。
> まぁ、個人がどう思っても関係ないのかもしれませんが、防衛省の責任不足はあなたのような考えの人から生まれるんでしょうね。
随分と上から目線だねぇ。
自分が注意されたら、こいつも悪いんだ!って、、、
何歳ですか?
そもそもこの程度の煽りが「悪い」とはサラサラ思ってないからね。
「そんなにお金かけてないし」「65億で出来るなら」という「どう見てもレールガンに限った話」をしてるとこに煽り口調で突っ込んだくせに反論されたら「F-15JSIやイージスアショアの様な高額案件を含めた話だ」と言い訳する変なのがいたからド直球で煽り返しただけだよ。ただ「煽りは全て悪い」というなら先に煽った方に言え、「先に煽った奴は悪くないが煽り返したお前は悪い」という話なら聞くに値しない、というだけ。
上からも下からもないよ。
あぁ、もう大丈夫です。
いやいや、あなたが日本の「失われた30年」に共通の、失敗とリスクを極度に忌避するメンタルに毒されているだけでしょう。
さすがに「数千億の開発資金を投じたうえでの失敗」とか「部隊配備後に致命的欠陥が発覚」とかなら説明責任もあるでしょうがね。
むしろ本当に「65億で新しい武器システムが曲がりなりにも実用化」にまで至れるなら、それだけでもたいしたものです。(実際にはまだ研究止まりでしょうが)
レールガンとは違うやり方で砲弾を極超音速にしようって発想はなかったのかな、液体装薬とHVP弾の併用とか
どっちにしろ兵器開発は見てる分には面白から頑張って
アメリカ日本中国で方向性が大きく違って面白い
アメリカに先んじでアジアがレールガンを実戦配備出来たら実に愉快だ
アジアアジアでひとくくりにするのは中華思想なんで
止めてね
独裁政治共産党といっしょにしないで
ヨーロッパのレールガンはどうなってるんだろ
大砲屋の意地でイタリアあたりがしれっと開発してしまいそう
結局さっさと諦めてしまったアメリカだけが、ずっとMk45を使い続ける羽目になったりして
これが中国の自信の現れなのか。それともスターウォーズ計画的な話なのか。時間が経ってみないと分からんな。できれば日本のレールガンが最適解であってほしいが、中国人技術者が言うように、幾つかの技術的な問題を解決しなければならないだろうから、課題解決のための予算がつくかが心配。
まあ後は、弾を高速で撃ち出す以外に有用性を提示出来るかどうかかな
タイミングがねー
アメリカが捨てる予定のデータを頂く算段でもついたのかって思っちゃう
中国は理系が国家運営してるせいか科学的アプローチを重視しているように思える
ムーンショット目標なるフワフワした計画作るよか余程機能してる
意外とうまくいくかも
理系文系とか言ってるの、この国以外にあるんですか?
日本が試作したレールガンは2297m/s を達成した実績を持つよね。
あと、日本はレールガンのエロージョンの低減なども達成しているから、砲身命数の問題も解決済みだ。
アメリカのレールガンは、この問題が解決できなかったから、砲身命数が少なかった。
仮に全ての問題をクリアしても、費用対効果に優れていなければ、兵器としては使えないんですけどね。
火薬が要らないし、護衛艦の主砲件、近接防空兵器として使えるなら⭕
電源がコンパクト化出来れば、陸自の砲兵部隊(火薬の管理、運搬の手間もヘルス?)にも転用出来るかもね。
火薬無いって良いかもね~
レールガンには、いろいろなメリットがある。
一つの例を挙げると、レールガンの旨味は速さだけでなく「装薬火砲の初速理論値を超えつつ、発射速度も両立する」という手数的な面も多分にあるだろう。
艦砲にする構想もあるらしいけど腐食が心配
アメリカは発射時の電磁波と加速度に耐える誘導砲弾が難しいから現状無理って言ってるのに中国は可能という話
中国が可能というのは無誘導の榴弾を超絶安価に敵地に放り込むだけの長期継続可能な軍事的嫌がらせ手段で考えてるからじゃね?
いつでもどこでも台湾在住の便衣兵FOさんがスマフォで評定観測できるからな