航空自衛隊の百里基地は18日、航空自衛隊の偵察機「RF-4E」が最後の飛行訓練を行い45年にも及ぶ同機の運用が終了したと発表した。

参考：偵察航空隊飛行訓練終了セレモニー（令和２年３月９日）

偵察機RF-4Eの運用終了に伴い偵察航空隊「第501飛行隊」も廃止され約60年の歴史に幕を下ろす

航空自衛隊の百里基地に駐屯する航空総隊直轄の偵察航空隊「第501飛行隊」は3月9日、2019年度をもって退役する偵察機「RF-4E」による最後の飛行訓練を行い45年にも及ぶ同機の運用が終了したと発表した。

当日、第501飛行隊は午前と午後に各3機のRF-4Eが約1時間の訓練飛行を行い、全ての訓練が終了したことを偵察航空隊司令に飛行隊長の岡田智光2佐が報告したのち飛行訓練終了セレモニーを行った。その際、飛行隊長が最後に搭乗した洋上迷彩仕様のRF-4E 901機に御神酒をかけた運用45年間の労をねぎらった。

出典：航空自衛隊 百里基地

第501飛行隊は偵察機「RF-86F」を運用する部隊として1961年に松島基地で創設され1974年にRF-4Eを初受領、その後戦闘機「F-4EJ」を偵察機に転用した「RF-4EJ」を加え運用が続けられ、阪神淡路大震災（1995年）や東日本大震災（2011年）などの大規模災害に派遣され被災状況把握等に活躍したが、RF-4Eの退役に伴い廃止されるため第501飛行隊は約60年の歴史に幕を閉じることになる。

今後の偵察･情報収集任務はステルス戦闘機「F-35A」や2021年度に導入予定の無人偵察機「RQ-4グローバルホーク」が引き継ぐ。

余談だが偵察機として航空自衛隊が運用していたRF-4EとRF-4EJは全く異なる機体だ。

偵察機「RF-4E」は戦闘機F-4ファントムⅡを改造して作られた航空偵察専門の機体で1974年（昭和49年）に米国から導入した。この機体にはF-4が機首に装備しているレーダーやM61バルカンが装備されておらず代わりに偵察用の大型撮影機材が搭載されているため、同機は空対空ミサイルの搭載や運用能力がない。

出典：航空自衛隊 百里基地

しかし偵察機「RF-4EJ」は日本が独自に戦闘機「F-4EJ」を偵察機に改修した機体で、RF-4Eのように偵察機材を機体内に収容するのではなく偵察機材をポッドに収納し機外に携行する方式で偵察能力を獲得したため、レーダーやM61バルカンなどの装備が残されているのがRF-4Eとの大きな違いだ。

そのため偵察機「RF-4EJ」は偵察ポッドさえ降ろせば空対空ミサイルなどを搭載することが可能で、有事の際には戦闘機として運用することも可能だった。

因みに、このまま予定通り第501飛行隊が廃止されてしまえばF-4ファントムⅡを運用する航空自衛隊の実戦部隊は第301飛行隊（F-4EJ改）のみになり、同隊も2020年度中にステルス戦闘機F-35Aへ機種改編を行う予定なので、来年の3月までには航空自衛隊からF-4ファントムⅡを運用する実戦部隊が姿を消すことになる。

※アイキャッチ画像の出典：航空自衛隊 百里基地