米空軍が調達する装備・弾薬の取得コストは国防権限法(NDAA)の中で公開されており、2023年の調達単価はF-35A=1.06億ドル、F-15EX=1.01億ドル、KC-46A=1.78億ドル、AIM-9X=46万ドル、AIM-120=118万ドルになる。
参考:NATIONAL DEFENSE AUTHORIZATION ACT FOR FISCAL YEAR 2023
F-35Aの調達コストが上昇、SiAWの調達が始まる、弾薬調達量に大幅な増加は見られない
通常、防衛装備品のコストは関連費用が含まれている場合が多く純粋な単価が良くわからない仕組みになっているが、米国の国防予算に関する大枠を定めた国防権限法(NDAA)には米軍が2023会計年度に何を、幾つ、幾らで調達するのか明記されており、今年も各軍が2023年に何を、幾つ、幾らで取得するのか見ていくことにする。
調達する航空機・弾薬 | 調達コスト | 調達単価 | FY21 NDAAとの比較 |
F-35A×33機 | 35.2億ドル | 1.06億ドル | 60機/52.9億ドル/0.88億ドル |
F-15EX×24機 | 24.2億ドル | 1.01億ドル | 12機/12.4億ドル/1.03億ドル |
KC-46A×15機 | 26.8億ドル | 1.78億ドル | 15機/27.0億ドル/1.80億ドル |
MH–139A×5機 | 1.5億ドル | 3,000万ドル | |
E-11A×1機 | 6,700万ドル | 6,700万ドル | |
JASSM×550発 | 7.8億ドル | 156万ドル | 376発/4.8億ドル/128万ドル |
LRASM×28発 | 1.2億ドル | 407万ドル | 5発/0.19億ドル/396万ドル |
AIM-9X×255発 | 1.1億ドル | 46万ドル | 331発/1.6億ドル/48万ドル |
AIM-120×271発 | 3.2億ドル | 118万ドル | 414発/4.5億ドル/109万ドル |
GBU-39×356発 | 4,600万ドル | 13万ドル | |
GBU-39II×761発 | 2.8億ドル | 37万ドル | |
SiAW×42発 | 7,790万ドル | 185万ドル | |
JDAM×4,200基 | 2.5億ドル | 6万ドル | 1万基/2.1億ドル/2.1万ドル |
米空軍はBlock4やTR3に対応したF-35Aが登場するまで調達数を削減しており、同機の新規採用国は増加傾向だが既存国の発注がCOVID‑19の影響を受けて減少、さらに2023年~2025年をカバーするLOT15~LOT17の製造分からBlock4/TR3の実装が部分的に始まるため製造コストが上昇する見込みだ。
米空軍の調達コストが1億ドルを超えているのは上記の要因が関係しているのかもしれないが、LOT15~LOT17製造分に搭載するF135の契約額がふわふわしているため、今のところ同ロット分の機体単価が幾らになるのか確定していない。

出典:U.S. Air National Guard photo by Staff Sgt. Mercedee Wilds
NDAA上ではF-15EXとF-35Aの調達コストはほぼ同額だが、F-35Aが内蔵している電子戦システムやターゲットポッドをF-15EXは別途調達する必要があり、さらに先行取得した2機分以外のコンフォーマル・フューエル・タンクが未発注なので、これらを追加取得して戦闘準備を整えるには1,000万ドル以上の追加コストが必要だ。
ただ米空軍は同機の調達数を144機→80機へ削減する方針を撤回、FY24でも24機分の予算を要求しているためF-15EXの戦力規模は108機に増加する。

出典:U.S. Air Force photo by William R. Lewis
米空軍のFY21と比較してFY23の弾薬調達量は大して増加して増加していないものの、AGM-88 AARGM-ERの後継として開発されていた「SiAW」の調達が始まっているのが興味深く、米空軍は2026年までに初期作戦能力を宣言したいらしい。
SiAWはAARGM-ERと同じようにF-35のウェポンベイに収まるよう設計(B型に対応しているのかは不明)で、ロッキード・マーティンが公開しているPVの中では「計6発のSiAWをF-35が携行できる」と示唆している。
FY22のデータをまとめるのをサボっていたので、FY21と比較になるのが本当に残念(今からFY22のNDAAを見る気にはなれない)だが、今年は海軍と陸軍のデータもまとめるつもりだ。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Daniel Malta
やや高く付いてるとはいえF35はほんと安くなった
そしてそれ以前の世代のは高くなった
まあハイとローで比較するのがおかしいのかもだけどF16も高くなったしね
F35は高上がり、ユーロファイターにしろってのが通らなくてよかった
LRASMがやはり高価その上に取得が少ない
JASSMERのソフトウェア変更で対艦攻撃可能とする試みがあるらしいが完成が求められる
>LRASM×28発
海軍の調達数と合わせて見ないと何とも言えませんが、少なく感じますね。
>JASSMERのソフトウェア変更で対艦攻撃可能とする試みがあるらしいが完成が求められる
そんな計画があるのですか?
日本のF-15でも長距離対艦攻撃ができるようになれば、心強いですね。
CSISが行った台湾有事のシミュレーションでも、シナリオによってはJASSM-ERに対艦能力が付与されているそうです。
現在の国際情勢を考えると、ミサイル·爆弾系の調達をもっと増やした方が良いと思うのは素人なのかな。
保管期限とか考慮した数なのだろうか?
KC46は1.8億ドル也ですか。
一旦始まった調達をそうホイホイ止められるわけもありませんが、現状かなり派手な不具合を抱えた装備に粛々と莫大な予算が注ぎ込れていくのを見ると、なんかこう胃が…
と言うか空自はKC46の問題をどう考えてるんでしょうかねぇ。
売り文句になってた機能に不具合があるとしても、既存のより向上しないだけだし
そもそもタンカーの絶対数が少なくてすぐにでも増やしたい以上、割り切ってるんじゃないかしら
それにボーイングに貸し作っておくのも悪くないさ
まあロッキードだったらもっと良かったけど
CFTが同型でへたってないならF-15Eのやつ転用しそう。
F-15EXの調達再開となると以前KF誌が触れていた嘉手納基地へF-15EXを配備する可能性がという記事が本物になる可能性も出てきましたね。
F-35は少なくとも調達コストは言うほど高くないね。ステルス機ゆえの維持コストとかはありそうだけど
旧世代機が開発当時の価格と比較されるけど、現代とはインフレ率も軍需産業の規模も誓うんだから比較にならない
そしていつもの国産叩きのフレーズの高いAAM-4と安いAIM-120の構図も成り立たなくなってきている