AN/SPY-1を採用したイージス・アショアは本当に、AN/SPY-7を採用したイージス・アショアよりも割安で導入する価値があるのだろうか?
廉価版イージス・アショアと呼ぶホーランドのイージス・アショアは、この世に存在しないため日本が導入するのは不可能
相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力(=敵基地反撃能力)を整備するのと同時に、廉価版イージス・アショアを配備せよという記事があるが、記事の前半部分の意見(敵基地反撃能力)には同意するが、廉価版イージス・アショアを配備せよという主張の内容は現実に即していない。
廉価版イージス・アショアを配備せよという主張を要約すると、日本が配備を予定していた新型レーダー「AN/SPY-7」を採用したイージス・アショアは高価(1基1,340億円:レーダーの価格は175億円)な割に北朝鮮が最近保有を明らかにした「変則軌道で目標に接近する弾道ミサイル」に対応できないので、北朝鮮の弾道コースで飛んでくる弾道ミサイルを迎撃するだけなら約800億円と言われるAN/SPY-1を搭載した廉価版イージス・アショア(ホーランド配備)で十分だという内容なのだが、まず廉価版イージス・アショアの価格が約800億円だと言う前提からして間違っている。
ホーランドのイージス・アショア(※1)の完成は2年遅れの2022年になると見込まれており、2021年分の追加コストとして9,600万ドルの費用が計上(今年2月に発表)済みだ。そのためホーランドのイージス・アショア建設に掛かる最新のコスト予想は8億4,200万ドル(約900億円)で、これ以上の追加コストが発生しない保証はどこにもない。
※1補足:2016年に稼働を始めているが今だに完成はしていない
さらにホーランドのイージス・アショアに採用されたAN/SPY-1の生産は終了してAN/SPY-6の生産に移行しているため、今から特別にAN/SPY-1を製造して欲しいと頼んでも恐らく不可能か、もしくは非常に高額な料金を請求される可能性があるため、廉価版イージス・アショアと呼ばれるタイプを今から調達するのは非現実的だ。
仮にAN/SPY-6を採用したイージス・アショアを調達しても、AN/SPY-7を採用したイージス・アショアとの間に驚くほどの価格差はない。
AN/SPY-7の調達コストは175億円と言われているのに対し、AN/SPY-6の調達コストは米海軍調達分で約130億円(約1億2,000万ドル)と言われている。そのため日本がFMS方式でAN/SPY-6を調達するとFMS関連コストが上乗せされるため130億円以上になるのは確定的で、レーダー本体の価格差は45億円以下となる。
あとはAN/SPY-6に変更することでレーダーを除いたイージス・アショアの本体価格=1,165億円が圧縮できるのかだが、こればっかりは比較できる情報がないので計算することが出来ないため何とも言えない。ただAN/SPY-6に変更することで本体部分に何か大きな違いが生まれるとは考えにくいので、単純に数百億円もコストが圧縮されることはないだろう。
多分、ホーランドのイージス・アショアが日本のイージス・アショアよりも安価だったのはレーダーの価格差ではなく、発注時期が異なるため物価上昇分の差と本体工事を請け負うホーランド企業の人件費(※2)が、日本よりも割安だったためではないかと管理人は考えている。
※2補足:ホーランドの2018年平均月収は4,585ズロチ(約13万円)で、イージス・アショアの工事が始まった2013年当時の平均月収は3,521ズロチ(約10万円)である
以上のことから、仮にAN/SPY-1を当時の価格のまま手に入れ廉価版イージス・アショアと呼ばれるタイプを日本に建設できても800億円で建設出来る見込みは限りなく薄い。
グアムへイージス・アショアを設置するという決定は最良の選択肢ではない
あくまで参考になればの話だが、米国はグアムに設置しようしているイージス・アショアについて逆に日本が下した決定から学ぶ必要があると言い出している。
参考:Guam’s air defense should learn lessons from Japan’s Aegis Ashore
米軍は2026年までにグアムへイージス・アショアを設置することが再優先課題だと言い出したのだが、米国のDefense Newsは「この決定は最良の選択肢ではない」と主張した。
グアムは現在、弾道ミサイル迎撃システム「THAAD」が配備されているため弾道ミサイルを高高度で迎撃することが可能だがTHAADシステムのレーダー「AN/TPY-2」は周囲360度を警戒することが出来ないことと、航空機や巡航ミサイルを迎撃するための防空システムが配備されていないためグアムの防空体制は非常に脆弱だと指摘したが、ここにイージス・アショアを設置しても問題の解決にならないと警告している。
イージス・アショアは非常に高度な能力を備えているが、元々少数の弾道ミサイルと交戦するよう設計されたシステムなので固定のレーダーと固定のミサイル垂直発射装置は敵の攻撃に対して脆弱なので、単体のイージス・アショアを設置するよりも、種類の異なる複数の移動・再配置可能な防空システム(※1)をIBCSに統合(統合戦闘指揮システム)して仮想化されたイージス・システムを構築したほうが遥かに抗堪性が優れており、SM-6やSM-3のような迎撃ミサイルを収容した発射装置をコンテナ化して大量に配備、これを仮想化イージス・システムの下で運用したほうが賢いのではないか言っているのだ。
補足:種類の異なる複数の移動・再配置可能な防空システムとは、パトリオット、THAAD、イージス艦、陸軍は配備を進めている新型のパッシブセンサー「ALPS」、センサーを搭載した無人航空機や成層圏に配備したセンサー搭載の気球等、あらゆるものをIBCSに統合に統合すると言う意味
ただし、このような分散アーキテクチャ型の防空システムを構築するためのコストはイージス・アショア設置よりも高価になる可能性があると指摘しているが、完成してしまえば新たなセンサーや新型の迎撃ミサイルを簡単に追加・拡張出来るようになるため、単一の高性能な防空システムを配備するよりも費用対効果に優れていると結論づけている。
果たして、この方法が正しいのかは今のところ謎だが、イージス・アショアは地上運用なのでイージス艦よりも安定運用が見込めるが設置した場所から動けないので、真っ先に攻撃される可能性が高いの事実だ。特にDefense Newsが指摘しているように1発や2発の弾道ミサイルを処理するなら問題ないが、数十発も同時に発射されればイージス・アショアやイージス艦を合わせても対処能力を越えるため、移動式の分散配置の方が抗堪性に優れいるだろう。
しかし、どれだけ防空システムに金を掛けても発射される弾道ミサイルの数を増やされれば後手に回るので、最終的には相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力(=敵基地反撃能力)の整備が必要不可欠になってくるというのは、もはや避けられない状況だ。
果たして米軍は、日本が下した決定から何を学ぶのだろうか?
出典:Public Domain 米国のロッキード・マーティンのテスト施設で試射されたSM-3 Block IIA
とりあえず「ホーランド」という何処だかよく分からない国のイージスは導入できないと思います
アルファベットで考えて一番近いのは「Holland(ホラント)」か
つまりはオランダ
管理人がホーランドをオランダと別の国だと思っている可能性
まあ、記事の補足で通貨単位がズロチと出ているので、ポーランドなんだろう。
でも管理人は、ポーランドの事をホーランドだと思ってるね。
ウィレム・ホーランド中将「我が自由惑星同盟・第11艦隊を呼んだか?」
ラインハルト・フォン・ミューゼル中将「呼んでいないぞ、主砲斉射三連!」
現実的に日本が格安で短期間に打撃力を持つならばトマホークを購入して護衛艦に搭載するしかないはず。トマホークを装備すれば日本が新たに打撃力を保持し始めましたと世界に判り易く示す事もできる。1発2.5億円として400発でも1000億円でアショアより安いでしょう。国際社会ではやられたらやり返しますと明白に示しておく事が大切だと思う。
アショアやめたせいでイージス艦はミサイル防衛にかかりきり。積む余裕撃つ余裕どこにあるの?
まあそこはイージス以外の艦種や潜水艦でよいかと。
まあそりゃトマホークはあればいいとは思いますけど・・・むしろ中距離弾道ミサイルの配備が急がれると思いますがね。
極超音速誘導弾の研究もやってはいるでしょうが、シンプルな弾道ミサイルも数揃えないと国民の生命なんて守れないと思うんだけどなあ・・・。
このまま放っておくと韓国ですら危険です。
相手の発射体を先に潰すという発想を早く当たり前のものにして欲しいですね。
日本がトマホーク巡航ミサイルを保有することに賛成します。
しかし今の憲法では、残念ながら巡航ミサイルの保有は憲法違反と解釈されてしまうでしょう。
なので、憲法9条を早めに改正してから大手を振ってトマホーク巡航ミサイルを護衛艦や潜水艦に搭載しましょう。
トマホーク巡航ミサイルは護衛艦に搭載されているMk.41 VLSに収容可能ですし、潜水艦に搭載されている533mm魚雷発射管から発射できるので、比較的早期に作戦能力を獲得できるでしょう。
憲法上ダメなのは「性能上専ら相手国国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器」、具体的には「大陸間弾道ミサイル、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母」です。巡航ミサイルは(水爆でも積まない限り)自衛のための必要最小限度の実力として、現行憲法下でも堂々と配備できるでしょう。
それを日本メディアがしっかり国民に伝えてくれたらいいんですけどね…………
メガトン級のICBM欲しいです…
トライデントSLBMに14発のW88を積んだ時の総核出力は約7メガトンですが、単一のメガトン級ICBMってMIRV化した現代の核弾道ミサイルでは効率が悪いので弾頭あたりでは500キロトン程度に抑えてますよ。
第一撃に使用する地上配備のミニットマンIIIは核軍縮の都合もありますが、CEPを高めるために500キロトンのW87単弾頭で運用していますし。
トマホークみたいな亜音速巡航ミサイルでは標的到達までに時間がかかりすぎる、隠密性の高い北や中国のトレーラー移動式の核弾道ミサイルランチャーを発見・破壊できないなど実効性が薄いので、極超音速巡航ミサイルか極超音速滑空体(HGV)ミサイルを西側で具現化する方が先でしょう。
極超音速兵器の開発と並行してこれらの防衛システムも開発するでしょうから、調達するならこういった防衛システムに拡張可能なものを選択すべきでしょう。
やはり、中共や北朝鮮・韓国の重要施設(軍事基地、インフラ、国家指導部)を攻撃・破壊できる中長距離ミサイルを保有して、撃たれたら撃ち返すぞという「懲罰的抑止」が必要。
ミサイルは実験等で性能を確認できるが、ミサイル迎撃システムは実際に撃たれてみるまでは効果を保証できない。これに尽きる
敵基地攻撃能力を持っても移動式発射台を発車前探知するのはほぼ不可能だし弾道ミサイル防衛には使えないのでは
固定基地のためなら賛成だけど
結局MADしかないのかねぇ…
信条的にも財政的にも核は持ちたくないけどもう仕方ないのかね
核が一番手っ取り早いんだろうけど嫌ですよねえ…
ミサイル発射阻止ではなく、敵重要施設(中南海、三峡ダム、キム邸、青瓦台 等)への報復攻撃を目的とし、抑止力にすべきだと思います。
移動式発射台を発車前に探知してそこに発射までに打ち込むのはほぼ無理だし弾道ミサイル防衛用に敵基地攻撃能力を持っても意味ないのでは
固定基地のために持つなら賛成だけども
なんかミスでもう一個書いてしまったわ
JBpressやん…
ここの記事はベクトルは違ってもアエラとどっこいでしょ
JBpressというよりは提言者が自民党の一部だというところに問題を感じますね。
勉強会普段からやってるはずなのになぜこんなズレた話を・・・。
FMSという調達方式を理解していない議員さんも多数おられるそうで。
イージス護衛艦をMD専用にした場合、てそのイージス艦を守るために数隻の防空護衛艦が必要になりコスパが悪すぎる。
タンカーに国産のMD用レーダーとSM3とその下を受け持つ国内開発のMDミサイルを載せれば、陸上イージスより安全で安上がりになる。
20ノット程度で移動できるし取得費用も運用費用や人員も大幅に少なくすることが出来る。
タンカーの内部を区切っておけば、ミサイルや魚雷を受けても簡単には沈まない、イージスタンカー2隻と3隻程度の護衛艦を数セット運用すれば高価なイージス艦は本来の仕事にまわせる。
雄洋丸も魚雷や砲弾何発も受けたけど簡単に沈まなかったし
最近ここで話題に上がった中ソの超音速滑空弾はAN/SPY-6搭載型のが対応に優れていると知った
アメリカもイージス艦にはこちらを採用して、日本に対してもFMS方式にはしていないことからも
AN/SPY-7を採用した今の日本の選択では中国の脅威に真正面から対応できていないのでは?
ソ連はまだある!
俺の心の中では今でも輝いているから・・・ッ!!(涙目
加盟国が0なだけでまだ存在してるし(震え声)
領土だって在日ロシア大使館の登記簿がソ連名義だったりして残っているし
核ミサイルも防衛システムも元を正せばナチスドイツのV1、V2だ。
敵の都市を破壊しその住民を殺害するのが目的だ。
その後継者がアメリカとソビエトであり今や北の貧乏国家までが核ミサイルという時代だ。
昨年日本政府はレーザー兵器の開発に初めて予算を付けたが何時になったら
アメリカとは独自の兵器生産システムを作るのだろうか。
アメリカの兵器の周りには日本の官僚・大手メディアからなる利益集団が取り巻いている。
やはり核……核は全てを解決する…!(ガンギマリ)
金喰い虫過ぎませんか?
敵基地攻撃の場合
移動式発射機を含む数十数百とある目標を発射前に破壊するのは不可能
ミサイル防衛の場合
最近の弾道飛行をしない新しいタイプの弾頭への対処は不可能
同時に迎撃しきれないほど大量に発射された場合も不可能
いわゆる相互確証破壊以外の防衛なんてないよりましにしかならないよ
ないよりましだからあったほうがいいんだけどね
あるからもう安心だとはならないのが悲しいところ
完璧を求めたらどの方法も不満しかでないよ
だから中国は邁進してるんだな