パシニャン首相は18日「マドリッド原則を受け入れて『ナゴルノ・カラバフ地域がアゼルバイジャン領の一部だ』と我々は認識していたが、我々は認識した事実を口にしないことで自身とナゴルノ・カラバフの人々を欺いたのだ」と主張した。
参考:Under Madrid Principles we recognized Karabakh as part of Azerbaijan
参考:New war may break out day after signing peace treaty if no international mechanisms formed
自決すべき民族がいないアルツァフ共和国は成立していない、ナゴルノ・カラバフ地域は現在もアゼルバイジャン領の一部
アルメニア政府はアゼルバイジャン側と実務作業を進めている和平条約の交渉過程を17日に発表、アルツァフ共和国とアゼルバイジャンの間で「アルメニア系住民の安全と権利に対処するメカニズム」が形成されるなら「アゼルバイジャンとの和平条約とナゴルノ・カラバフ問題を切り離すことも論理的に可能だ」と主張、さらに「29,800km²(国際的に認知されたアルメニア領と一致する数字)の国土に対する安全保障の形成が必要」とも述べているので「ナゴルノ・カラバフ地域」は条約で相互承認するアルメニア領に含まれていない。
パシニャン首相も18日「マドリッド原則(2007年に発表されたナゴルノ・カラバフ紛争解決のための基本原則)を受け入れ、ナゴルノ・カラバフ地域がアゼルバイジャン領の一部だと我々は認識していた」と議会で発言した。
パシニャン首相の説明を要約すると「ナゴルノ・カラバフ人ではなく『ナゴルノ・カラバフの住む全人口』という概念が重要で、国民は憲法の主体であるが人口は憲法の主体ではなく『主権の主体』に該当しないため、ナゴルノ・カラバフの住む全人口は自決権の対象外だ。我々はこの矛盾に向き合わなければ(ナゴルノ・カラバフ問題の解決は)上手くいかないだろう。そもそもナゴルノ・カラバフの人々はアルメニアの選挙に投票権がないため私はナゴルノ・カラバフに対して何の権限もない」と述べている。
つまり「民族自決の原則に基いてナゴルノ・カラバフ地域はアゼルバイジャンから独立した」という主張は「ナゴルノ・カラバフ民族」という概念が存在しないため成立せず、この根本的な矛盾を無視し続けれても「上手くいかない=アゼルバイジャンとの交渉はもちろん国際社会から支持も得られない」という意味で、自決すべき民族がいないアルツァフ共和国が成立していないなら「ナゴルノ・カラバフ地域は現在もアゼルバイジャン領の一部」と認めているのと同義だ。
パシニャン首相は「我々はマドリッド原則に基いてナゴルノ・カラバフ地域の地位調整に同意したが、アゼルバイジャン領の一部と認めないなら何を調整するのか?我々はマドリッド原則に基いててナゴルノ・カラバフ地域をアゼルバイジャン領の一部だと既に認めているのだ。それなのに交渉内容と公の発言が一致しないのは問題だ。我々は認識した事実を口にしないことで自身とナゴルノ・カラバフの人々を欺いたのだ」とも述べているのが興味深い。
因みにパシニャン首相はアゼルバイジャンとの和平条約について「内容の実行を保証するメカニズムがなければ調印の翌日に新たな戦争が始まったり、新たな緊張がエスカレートする可能性がある」と言及している。
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※アイキャッチ画像の出典:The Prime Minister of the Republic of Armenia
がんばれパシニャン
日比谷焼き討ちとか515事件とか226事件の果てに暴走して自爆した帝国の轍を踏むな
そっちは陸続きだからもっと大変なことになるだろう
損切りして本国を守れ
政治って正しいことをぶっちゃければ良いというものでは、往々にしてない気がします。
政治家として生命体として、余命を全うできるでしょうか…。
パシニャン首相って地味にとんでもない人なのかもしれない…。
自国が抱えている領土問題を、ここまで体系的に順序立てて説明するのはあまり他の国のトップには居なかった気がする。
どの国もどういう経緯であれ自国の領土を外国に渡すのは認めたくないのに、パシニャン首相は完全に理性と法と歴史に乗っ取って国民には嫌われるかもしれないが本来国としてあるべき進み方を示してる。
領土問題を理性で解決することなんてできないとおもってましたが。
愚かな人類が少し進歩する方法を見せてくれるか、期待しちゃいますね。
傑物と言わざるを得ない
なんとしてもやり遂げてほしい
そして天寿を全うしてほしい
たぶんみんな同じ心配をしている
各所で同じようなコメント残して何熱くなってんだ?
正論は愛国(笑)や一部の左には理解出来ないのが世の常。
人類が存在する限りそうあり続くんだろな。
それでもパニシャン首相には生き延びて貫徹して欲しい。
>> それでもパニシャン首相には生き延びて貫徹して欲しい
ほんとそれ
○ぬなよ、生き残ってくれ…
アルメニアがわがままを通せていたのはロシア軍基地が背景にあったお陰だ。しかし、ロシアはウクライナにかまけていてアルメニアに肩入れする気が薄れている。
しかも、アゼルバイジャンはトルコと縁がある国で、トルコを国際社会との橋渡しとして期待しているロシアは更に態度を曖昧にせざるをえない。こうした状況で無理を続けた場合、ナゴルノ・カラバフを制圧された上にザンゲズール回廊を巡ってアルメニアへの侵攻が起こる懸念すらある。
パシニャンは当面の間は大人しくしておくべきだという事を考えている。ウクライナ戦争が落ち着けば再びロシアを説得出来るかも知れない。しかし、それは暫く先の事だ。今やってしまえば、逆にチェックメイトを喰らいかねない。
国民のレベルがついていくのだろうか。日本はじめほかの国の国民と比べて低い高いの話ではなく、国民はこの問題を大きな視点できちんとみれる能力があるのだろうか。そうでない時は歴史的な悲劇が起きることは想像に難くない。
心労でハゲそう
アルメニアは 虎の威を借りる狐 だったが
その虎が役立たずのあほうになったから現実的な対応するしかなくなった。
あほうに対する恨みだけが残ったからアメリカに近づいた。
ロシア あほうすぎる。
アルメニアの人口が300万といない上に減ってる。
収入源がロシアへの出稼ぎなら、拉致されてウクライナに連れて行かれかねない。
喧嘩相手のアゼルバイジャンは1000万の人口で産油国。
周りは癖の強いイスラム国家ばかりで紛争起こせば逆に攻められかねない。
貴重なキリスト教圏の緩衝地帯として生き残らないと。