米国関連

ロッキード・マーティン、米陸軍の極超音速兵器「LRHW」を初公開

ロッキード・マーティンは開発を進めている米陸軍の極超音速兵器「LRHW:長距離超高速兵器」に関連したコンピュータグラフィックスを公開して注目を集めている。

参考:Lockheed Martin releases first image of new hypersonic long-range missile system

ロッキード・マーティンは開発を進めている米陸軍の極超音速兵器「LRHW」のプロトタイプ完成は2023年

米国はロシアと締結していた中距離核戦力全廃条約(INF)の関係で射程500km~5,500kmまでの攻撃手段(地上発射型の弾道ミサイルと巡航ミサイル)を開発することも保有することも禁じられていた為、中距離弾道ミサイル戦力を拡充させている中国に対して不利な状況が生じていたが、トランプ大統領が2019年2月にINF破棄をロシアに通告したため6ヶ月後の8月2日に中距離核戦力全廃条約が失効した。

これにより米国は射程500km~5,500kmまでの地上発射型ミサイルを再び開発して保有することが可能になり、陸軍は暫定的に海軍の艦艇が採用しているミサイル発射装置「Mk.41」の陸上バージョンを使用して巡航ミサイル「トマホーク」や艦対空ミサイル「SM-6※」の派生型を導入する計画を進めているが、陸軍が最も期待しているのが現在開発を進めている極超音速兵器「LRHW:長距離超高速兵器」だ。

補足:SM-6はGPSを組み込むことで地上目標の攻撃に転用できるのだがコストの面で高価なのでGPS組み込みはオプション扱いになっている。そのため攻撃用途にSM-6を導入するのではなく防御的なオプションを追加するという意味。

このLRHW(長距離超高速兵器)は海軍と共同開発中の極超音速滑空体「C-HGB」を弾頭に採用した陸上発射型の極超音速兵器で最高速度は音速の約5倍、飛行コースを自由に変更することができC-HGBを搭載するLRHWの射程は約1,400マイル(約2,250km)程度と推測されている。

さらにLRHWは改造されたM870トレーラに搭載して運用されるため射点を自由に変更することができ「戦場での生存性が高い」と言われてきたが、ロッキード・マーティンが今回公開したコンピュータグラフィックスによってLRHWの運用構成が判明した。

ロッキード・マーティンの公開したCGによればM870トレーラに搭載された発射基(TEL)には2発のLRHWが収められおり、基本的なLRHWシステムはミサイル発射を制御する管制装置とTEL4基(LRHW×8発)で構成されるようだ。恐らく技術的には管制装置1基でTELを4基以上制御することが可能だと思うが、敵の反撃による被害を最小限に抑えるため非効率でも分散させる方向なのだろう。

ただLRHWの射程が本当に1,400マイル程度の場合、グアムやダーウィンなどの後方に配備しても中国沿岸部や南シナ海には届かないため即応性に欠ける。そのため中国に近い場所への前方配備が必要になってくるはずで否応無しに「日本」が候補に挙がってくるはずだ。

因みに米陸軍は2023年までにLRHWのプロトタイプを受け取る予定だが、何時までにLRHWを実用化するのかについては言及していない。

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※アイキャッチ画像の出典:ロッキード・マーティン

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 10月 09日

    いい事業ですから、前に進めて下さい。
    日本配備も歓迎。

    15
      • 匿名
      • 2020年 10月 09日

      海兵隊の主要兵装になるわけね。

      9
      • 匿名
      • 2020年 10月 09日

      特定層が大騒ぎなのは目に見えてますね。というか日本の敵基地攻撃能力の大本命はこれなのでは。

      17
        • 匿名
        • 2020年 10月 09日

        アメリカがこれを輸出するのは10年以上先だろう。

        2
          • 匿名
          • 2020年 10月 09日

          在日米軍に配備する話ですよ?

          7
        • 匿名
        • 2020年 10月 09日

        昨年、米太平洋陸軍が発表した新ドクトリンの柱ですね。
        陸自の対地/対艦ミサイルによる沖縄島嶼防衛構想に着目した存在感の薄い米太平洋陸軍が、
        対中前方配備戦力として使うミサイルでしょう。

        5
    • 匿名
    • 2020年 10月 09日

    おっ核巡航ミサイルか?
    と思ったけど中距離核戦力全廃条約ってよく調べたら通常弾頭も含めた弾道ミサイル巡航ミサイルも禁止しとったのか
    アメリカっていつもトマホークブッパしとったから通常弾頭はOKかと思っとったわ

    11
      • 匿名
      • 2020年 10月 10日

      元から不備のある条約だった。
      今さらだがアメリカも腰が重くてだいぶ時間がかかった。

      2
      • 匿名
      • 2020年 10月 11日

      陸上発射型はアウト。艦艇用はOK。

      そのせいで、トマホークの陸上発射型は条約違反だけど、艦載型は引っ掛からない

      1
    • 匿名
    • 2020年 10月 09日

    日本の地形や道路網で運用できるのかな
    40ftコンテナでも取り扱い難しい場所が多いのに
    特に冬季の日本海側なんかだと、まともに機動出来ず渋滞の原因になりそう

    1
      • 匿名
      • 2020年 10月 09日

      イメージ通りならクロスカントリー能力がありそうに見える。
      イメージ通り行けばだが

    • 匿名
    • 2020年 10月 09日

    現状の中国のミサイル防衛を見る限り単純な中距離弾道ミサイルも撃墜困難だと思う。
    わざわざこったミサイル揃えるより早く単純な弾道ミサイルで良いと思うが将来見越して開発してるのか。
    この記事では未定事項が多過ぎて正直取り上げる時期としてはまだ尚早と見られる。
    X47も開発中止されたし、この兵器も配備されない気がする。

      • 匿名
      • 2020年 10月 09日

      米軍は、この種の兵器の基礎研究を冷戦時代に始めてて、軍縮の流れでストップしていただけだから実用化ははやいと思うよ、当時にはないテクノロジーも加えて。
      まあ、手の内はこれだけではないだろうから、後発の代案が実用化することもあるだろうが、軍の論理として中ロシアと同等かそれ以上な兵器は必ずや完成させる、それが米軍

      7
        • 匿名
        • 2020年 10月 10日

        海軍も空軍も似たような兵器を開発してて競合してる。
        陸軍は長距離戦略砲も開発してて射程は1800kmあるとのことでこれが上手く行けばこの程度の射程のミサイルは役割が重複する。
        どれが選ばれるかまだ不明なことが多い。
        この記事時点でCGしかなく実機もないし量産もしてないので配備されるかわからないのが現時点だと思う

    • 匿名
    • 2020年 10月 09日

    ロシアの試射成功報道を受けて、強い米軍としては知らん顔はできないもんな
    問題は技術力よりも予算面なとこが切ないね、果たして通常弾頭の効果に見合う価格なのか、それとも核搭載でないとペイしないのか、
    それによって日本への配備も流動化するよ

    6
      • 匿名
      • 2020年 10月 09日

      革命防衛隊司令官暗殺のような真似が出来るのならペイ出来るだろう。
      戦略爆撃機の破壊などにも使えるなら充分コスパは良い。

      1
    • 匿名
    • 2020年 10月 09日

    フィリピンにできるであろう米軍基地の配備か最適解に思いますが、対中国徹底抗戦であれば台湾に供与でも良いかも。
    日本への配備は、二階一派が必ず阻止するでしょうし。

    3
      • 匿名
      • 2020年 10月 10日

      そういう後半の不要コメントつけるからスレが荒れるんだよ

      管理人の苦労を察しろバカが

      8
        • 匿名
        • 2020年 10月 10日

        こういう(なりすましゴモウ?)みたいなコメントつけるからスレが荒れるんだ!

        一般日本人の反注!反閑!意識は86%だ!

        2
    • 匿名
    • 2020年 10月 09日

    ロシアが獄超音速ミサイルの試射をした、というニュースを見たぞ。映像もあった。アメリカは遅れてるんじゃないのか?
    ロシアの映像では、発射直後にもの凄い速さで消えてった、けど、アメリカの映像では鈍重だね。弾頭が重いから?。

      • 匿名
      • 2020年 10月 10日

      遅れてる。
      が、ロシアにB2爆撃機はない。

      • 匿名
      • 2020年 10月 10日

      船からの発射と地上発射の違いで求められる仕様が違うとか

      • 匿名
      • 2020年 10月 10日

      あくまでも試験用の液体燃料を使用したブースターを打ち上げているだけだと思う。勿論弾頭部には管制装置や記録装置が取り付けられているから、「ロケット開発」と大差無い打ち上げ実験だろうよ。
      流石に極超音速兵器の分野ではロシアの方が先行している。アメリカが遅れを取り戻し優位に立つには「アポロ計画」時の宇宙開発予算を10年間くらい投入しないと無理じゃないか? 
      なにより同類兵器の研究期間と人員の開発ノウハウを比べたら天と地の差がある。アメリカが発射試験を繰り返して完成させるのは30年代前半だと思うよ。

    • 匿名
    • 2020年 10月 09日

    リンク
    ロシア 極超音速ミサイルの発射実験に成功と発表
    2020年10月7日 20時51分

    こっちの方が進んでる。

    • 匿名
    • 2020年 10月 10日

    いつものように開発費が高騰してトラブルの連続後に
    事業自体がキャンセルにならなければいいが

    2
    • 匿名
    • 2020年 10月 10日

    なんだこのイメージ画像
    新しいRTSかなんかかと思ったわw

    1
    • 匿名
    • 2020年 10月 10日

    こんな事態も想定して在日米軍で配備する訳ですね?流石です。
    ロシアの方が開発早いのは予め研究してたからでは?
    リンク
    日本も2050年見据えた計画必要では?

    • 匿名
    • 2020年 10月 10日

    あれがどこにどう飛んでいったのやら(笑)
    打ち上げより結末が大切なんだけどね

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