ウクライナ戦況

イタリアがウクライナ支援パッケージを発表、PzH2000が含まれる可能性

ウクライナのレズニコフ国防相は31日、イタリアのゲリーニ国防相から新たな軍事支援パッケージを送ると通知を受けたと明かし、オランダのルッテ首相が言及していた自走砲=PzH2000がパッケージに含まれる可能性が高い。

参考:Резников поблагодарил Италию за новый “тайный” пакет военной помощи

イタリアがウクライナに送る秘密の軍事支援パッケージ、オランダのルッテ首相の発言が正しいならPzH2000が含まれる可能性が高い

オランダのオロングレン国防相とドイツのランブレヒト国防相は6月末のNATO首脳会議で「ウクライナに対する決意と責任、ロシアの侵略に屈しないことを示すしたPzH2000の追加供給(ドイツ3輌+オランダ3輌)に応じる」と発表、POLITICO紙の取材を受けたオランダのルッテ首相も「オランダにはもう提供できる重火器がないが、イタリアは我々(オランダとドイツ)が送ったものと同等の装備をウクライナに提供すると言っている」と明かして注目を集めた。

出典:Ministerie van Defensie

ただイタリア政府の報道官は「ウクライナへの武器支援リストは機密扱いになっている」とだけ答え、ルッテ首相の発言についてはノーコメントを貫いていたが、ウクライナのレズニコフ国防相は31日、イタリアのゲリーニ国防相から新たな軍事支援パッケージ(通算4番目)を送ると通知を受けたと明かし、オランダのルッテ首相が言及していた自走砲=PzH2000がパッケージに含まれる可能性が高い。

因みにウクライナ軍は受け取ったPzH2000の性能に高い評価を与えているが、100発超える砲弾を毎日発射しているPzH2000はドイツが想定した以上に砲身や各所の摩耗(通常弾以外の特殊弾=恐らくベース・ブリード弾の多用も損耗を加速させる要因になっているらしい)が激しく、スペアパーツの追加供給や独クラウス・マッファイ・ヴェクマンによる保守センターの設立(製造元の独KMWが対応)が急遽決まったらしい。

つまりウクライナ軍は摩耗が激しいPzH2000を整備するには前線から遠く離れたポーランドまで車輌本体を輸送する必要があり、もしイタリアが噂通り軍事支援パッケージにPzH2000を含めていればウクライナ軍にとって「非常に助かる」という意味だが、レズニコフ国防相もイタリア国防省もパッケージの詳細については明かせないと述べている。

関連記事:オランダ首相、イタリアが自走砲をウクライナに送ると決めたと明かす

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

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コメント

    • 折口
    • 2022年 8月 01日

    PzH2000の現場での問題はシステムエラーを含むものらしいのでそれこそ色々なんでしょうが、特に危険視されていた「高仰角での装填時に薬室閉鎖後に砲弾が自重で少し落ちることで薬嚢(燃焼空間)が圧縮されて異常腔圧が生じる可能性」は特性上他の国の155ミリでも起きそうで怖いですよね。
    PzH2000の場合MRSI(複数諸元の砲弾を同じ砲から連続して撃つことで単一砲で同時複数着弾を実現する機能)があるので最大仰角も特別大きく取れるんでしょうが、榴弾砲を最大装薬で延々撃ち続けたらどれくらい寿命が縮まるのかというあたりも含めて興味深いなと思います。この戦争の戦訓をもとに新しい榴弾砲の性能基準が作られたりするのかもしれませんし

    10
      • 58式素人
      • 2022年 8月 01日

      どうなんでしょう。
      高射砲の様に薬莢を使えば大丈夫なのでしょうか。
      WIKIでPzH2000を見ると、薬莢式の装薬でもOK
      とあったので、薬莢式の装薬を供給出来れば
      この問題は、当面は、解決するのでしょうか。
      モジュラー式装薬だと解決に時間がかかりそうですね。

      2
    • 鼻毛
    • 2022年 8月 01日

    ポーランドは聖域なんですねぇ。ロシア国内もですが、たまに攻撃されてるし、ポーランドはもっと安全なのかも。

      • 無無
      • 2022年 8月 01日

      直接の当事者でないポーランドを巻き込むのはEU、NATOへの一線を越えると、ロシアは判断しているはず
      ポーランド領内が砲爆撃を受ければ、それでは第三次世界大戦を始めたのはロシアって歴史にされてしまうし

      14
    • エニグマ軍曹
    • 2022年 8月 01日

    本邦が例え高額であっても装備品が国産であること、また生産や搬入が定率であっても長期的に維持できることに拘ったのは評価されるべきでしょう。欧米ですと短期で大量に導入することに拘り過ぎるあまりに維持や後継機に関して全く計画性がないことが多々あるので。

    12
    • ナイトアウル
    • 2022年 8月 01日

     摩耗に関しては砲弾の問題より装薬量のフルチャージとか連続射撃の方が問題じゃなかろうか。

     ベースブリードは発射後にガスを発生させて減速対策する物でしかないのでより遠くに飛ばすための装薬量増大させる方が原因じゃないか。別に通常弾でも遠くに飛ばす為にフルチャージもするのだからベースブリード弾と条件が変わる物でもないと思われる。

     もう一つの要因が連続射撃による熱で放心摩耗が進んでいる事が考えられる。簡単に言えば冷却が追いついていない。
    熱を過剰に加えれば日本刀の製法とか知っている人なら分かると思うがナマクラになる。

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