ロシア関連

8人目のロシア軍将官が戦死した可能性、参謀総長はモスクワに帰国か

ウクライナ政府は「ロシア軍のアレクセイ・シモノフ少将が攻撃に巻き込まれ死亡した可能性がある」と発表したが、同じ場所に滞在していた可能性が高いロシア軍参謀総長のゲラシモフ上級大将については何も触れていない。

参考:Ukrainian defenders claim to have killed their ninth Russian general
参考:После взрывов из Белгорода вылетели три Ту-154: вероятно, бежал Герасимов

ゲラシモフ上級大将が仮に負傷していても職務に支障を来すレベルではないのだろう

ウクライナ内務相顧問のアントン・ゲラシチェンコ氏はいち早く「イジューム方面の第2諸兵科連合軍司令部近くで爆発が確認され上級士官の多くが200番貨物(死体になったという隠語)になった」と報告していたが、大統領府顧問のオレクシー・アレストビッチ氏も「土曜日にイジューム方面の砲撃で少なくとも100人のロシア軍兵士が死亡、30輌の装甲車輌を破壊、ロシア軍電子戦部隊の司令官を務めるアレクセイ・シモノフ少将が攻撃に巻き込まれ死亡した可能性がある」と1日に発表した。

出典:Telegram経由 

但しシモノフ少将の死亡については「まだ確認が取れていない」と付け加えているため、本当に8人目のロシア軍将官が戦死したかは確定(カディロフツィのマゴメド・トゥシャエフ少将を加えると9人目)していない。

  1. 第41諸兵科連合軍副司令官 アンドレイ・スホベツキー少将
  2. 第41諸兵科連合軍副司令官 ヴィタリー・ゲラシモフ少将
  3. 第29諸兵科連合軍司令官 アンドリー・コレスニコフ少将
  4. 第150自動車化狙撃師団長 オレグ・ミチャエフ少将
  5. 第8親衛諸兵科連合軍司令官 アンドレイ・モルドヴィチェフ中将
  6. 第49諸兵科連合軍司令官 ヤコフ・レザンツェフ中将
  7. 第8親衛諸兵科連合軍副司令官 ウラジミール・フロロフ少将

イジュームの何処かにある第2諸兵科連合軍司令部にはロシア軍参謀総長のゲラシモフ上級大将が滞在していたと噂されていた場所で、ウクライナ人ジャーナリストのРоман Бочкала氏は「参謀総長も爆発に巻き込まれ負傷した」と主張して注目を集めていたが、英国のTimes紙はロシアの情報筋を引用して「ゲラシモフ上級大将は砲弾の破片で右足を負傷したが命に別状はない」と報じている。

出典:Mil.ru / CC BY 4.0

さらにイジュームに近いロシア領ベルゴロド州の空港に3機のKa-52に護衛された2機のMi-8が到着、これに乗っていたのはゲラシモフ上級大将で同空港で待機していたTu-154に乗り込みモスクワに帰ったという情報(自ら歩いて搭乗したらしい)もあるので、仮に負傷していても職務に支障を来すレベルではないのだろう。

因みにウクライナ軍がハルキウ州ザバブネ村付近のロシア軍指揮所を多連装ロケットシステムで攻撃する動画を公開しているので、恐らく第2諸兵科連合軍の司令部があった場所はココではないだろうか?

追記:ロシア軍はウクライナ軍のTB2撃墜数を水増しするため撃墜したTB2の残骸を別の場所に移動させて写真を撮影、匿名の投稿者としてTelegramにバラ撒いているという指摘がある。

関連記事:ゲラシモフ参謀総長が滞在する露軍司令部近くで爆発、多くの士官が死亡か

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

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コメント

    • や、やめろー
    • 2022年 5月 02日

    悪運の強い奴め。でも作戦に支障がないってのはどうなんだろ?機材も一緒に燃え尽きたはずだが。というか追記に関してはもっと上手くやろうね!

    12
      • hiroさん
      • 2022年 5月 02日

      >仮に負傷していても職務に支障を来すレベルではないのだろう

      作戦に支障がないなんて書いていないのに、勝手にクレームですか?
      あと、この追記に問題がありますか?
      今までも記事に直接関係無くても、管理人さんが入手した最新情報を追記することはりますが?

      7
        • Taro
        • 2022年 5月 02日

        この方は追記方法(管理人さん)ではなく、追記内容(ロシアの杜撰さ)に対して言及しているのではないでしょうか。

        20
        • とくめい不希望
        • 2022年 5月 02日

        横からですがコメ主が言ってるの、管理人さんへのクレームではないのでは?
        追記について言ってるのも、レベルの低いロシアの水増し工作についてちゃいます?
        まぁ暗い話題ばかりなんで、コメント内くらいは仲良くやりましょうや。

        21
        • 匿名
        • 2022年 5月 02日

        主語を省いて記述しても文章が成立するため、彼我で主語となる対象物が異なってしまうという、日本語の悪い癖が出ちゃっているんだね。

        まぁ、主語を省かずに書こうや。

        12
        • hiroさん
        • 2022年 5月 02日

        なるほど。
        や、やめろーさん失礼しました。
        文章読解力を磨きます。

        7
    • ミリオタの猫(時代遅れの「アンツィオ…いや、ロシア軍は強い!」主義者)
    • 2022年 5月 02日

    この件については、攻撃前にゲラシモフ参謀総長は任務を終えてロシアへ帰っていたとの報道も有るのですが、仮にゲラシモフ参謀総長が無事でも肝心の第2諸兵科連合軍の司令部が吹っ飛ばされたのでは当面の作戦指揮が混乱するのは必至でしょうね。
    そうなると又ゲラシモフ参謀総長が最前線へ派遣される事になり…(震え声)

    24
    • すえすえ
    • 2022年 5月 02日

    無人機の撃墜数を水増しかいw

    やっていることhがおこちゃまだな。

    17
    • aaaa
    • 2022年 5月 02日

    ロシア領内の空港で起きた出来事が把握されてるのはどういうことなんだろう?

    1
      • や、やめろー
      • 2022年 5月 02日

      衛生写真とかじゃないんですかね?

      2
    • ぷろぐらま
    • 2022年 5月 02日

    >ロシア軍はウクライナ軍のTB2撃墜数を水増しする

    誰に向かって水増ししてるのだろう
    もしかして、ロシア軍上層部?
    西側メディア?

    8
      • ido
      • 2022年 5月 02日

      ロシア上層部   10機くらい撃墜したよな!な!
      現場       10機くらい撃墜してますよ!(汗💦

      18
    • 匿名
    • 2022年 5月 02日

    今注目されてる機体を撃墜して大戦果としたい気持ちは分かるけど運用上損耗する事を前提としてる機体の撃墜数を水増しするのは情けなくねえか…
    機体単価せいぜい数億円程度の物を…

    12
      • 無無
      • 2022年 5月 02日

      大本営発表の本質は、負け組特有の責任逃れだから。
      勝ってる側は過大な発表する必要がない、ロシアの報道の有り様がこの戦争の行く末をそのまま反映するでしょう、
      負けるほどにウソが大きくなる

      16
    • zerotester
    • 2022年 5月 02日

    問題の指揮所はロシア空挺軍と第2諸兵科連合軍の指揮所だったそうで。ISWによるとそこでシモノフ少将とともに空挺軍の参謀長?(chief of staff)も殺害されたとあります。他にも士官が多数死亡したということは命令体系はズタズタではないでしょうか。急いで後任を決めるにしても大量に失いすぎています。それでなくても空挺軍はキエフの戦いで損傷していたのに。

    今朝のウクライナ軍の発表では「ロシア軍は特に砲兵に大きな損失を被っている」とあり、1日で榴弾砲を17門破壊したとあります。かつてない数なのでアメリカから支給されたMLRSが活躍しているのかもしれません。

    18
      • ミリオタの猫(時代遅れの「アンツィオ…いや、ロシア軍は強い!」主義者)
      • 2022年 5月 02日

      同感です。
      それと、これまで戦車の撃破数の発表が目立っていたウクライナ軍の発表が今朝になって榴弾砲の撃破数を特記した事は注目すべきだと思います。
      第2諸兵科連合軍の指揮所を的確に狙い撃ち出来た訳ですから、もしもこれらの動きがウクライナ軍の砲兵用装備や索敵・観測システムの能力(各国から供給された火砲やドローン等)が向上した結果だとすれば、これまで数による弾幕射撃でロシア軍が押していた対砲兵戦でもウクライナ軍が対抗出来る様になると思われるので、ロシア軍はいよいよ追い詰められて行くのではないでしょうか。

      12
        • zerotester
        • 2022年 5月 02日

        ロシアもオルラン10などUAVを飛ばしているので、空から見つかって砲撃されるのはお互いさまなのですが、MLRSは榴弾砲より射程が長いので対砲兵戦で有利。それは理屈では分かっていたことですが実際に成果が出ているとすれば喜ばしいですね。どうしても大砲の数では負けていますが、これからはやられっぱなしではないぞと。

        6
          • ミリオタの猫(時代遅れの「アンツィオ…いや、ロシア軍は強い!」主義者)
          • 2022年 5月 02日

          う~ん、ロシア軍にもBM-30スメーチ(射程70~90km程度)と言う、MLRSとほぼ互角の射程を誇る多連装ロケット弾発射機があるので対砲兵戦ではMLRSに負けないはずなんですけどね…
          只、ロシアのオルラン10を始めとするUAVはカメラやエンジン等が日本を始めとする海外製だと言う事が分かっているので、今後中国やインド経由で部品調達が出来ても数が揃えられなくなる可能性が有りますから、この点では今後ウクライナ側が優位に立てると思います。

          3
    • NHG
    • 2022年 5月 02日

    アレクセイ・シモノフ少将の気のいいおっちゃん感が意外

    1
      •   
      • 2022年 5月 02日

      陸自でも通信科の高級幹部はあまり軍人らしくない、いいおっちゃん感な人が多い印象があります(私感

      ゲラシモフを仕留め損なったのは残念ですが、専門性の高い電子戦部隊の司令官を排除できたのであれば、これまで戦死した他の将星以上にロシア軍へのダメージは大きいのではないでしょうか。

      4
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