ロシア関連

ロシア、トラブルが解消した主力戦車「T-14」の大規模量産を開始

ロシア国営のタス通信は3日、次期主力戦車「T-14」と次期歩兵戦闘車「T-15」が大規模な量産体制に突入していると報じている。

参考:Денис Мантуров: РФ к 2021 году будет выпускать миллионы доз вакцин от коронавируса в месяц

遂に問題が解決した共通戦闘プラットフォーム「アルマータ」、T-14やT-15の大量量産が始まる

タス通信の取材を受けたマントゥロフ産業貿易大臣は、次世代装甲車両の共通戦闘プラットフォーム「アルマータ」が抱えていたエンジンと前方監視型赤外線装置の問題が解決して受注していた100輌以上の次期主力戦車「T-14」と次期歩兵戦闘車「T-15」が生産されていると明らかにした。

出典:Vitaly V. Kuzmin / CC BY-SA 4.0 次世代主力戦車「T-14」

アルマータに搭載された新型のディーゼルエンジン「A-85-3A(最大出力1,500hp)」は設計通りのスペックを発揮できない問題(具体的な問題の箇所は不明)を抱えおり、これまで輸入に頼っていた前方監視型赤外線装置の国産品置き換えも非冷却マイクロボロメータの国産化に躓いたため、アルマータを使用したT-14とT-15は少数の生産に留まっていたのだが、マントゥロフ産業貿易大臣は問題が解決したのでT-14とT-15の本格的な大量生産が始まっていると言っているのだ。

これが事実ならT-14導入を心待ちにしていたインドが飛びつく可能性が高い。

出典:Mil.ru / CC BY 4.0 ロシア陸軍が採用したT-90M

しかしロシア陸軍は当面、高価なT-14(400万ドル:約4.4億円)を大量に導入するつもりはなく、安価で性能もいいT-90M(150万ドル~200万ドル)を引き続き導入すると言われており、T-14を海外に輸出して価格や技術的信頼性が熟れた頃に本格的な導入に踏み切るのだろう。

一方で、米国や欧州でも次世代戦車への動きが報じられている。

米陸軍の戦車車両研究開発設計センター(TARDEC)は、主力戦車M1エイブラムスを更新するため次世代戦闘車輌のプラットフォーム(NGCV-FDL)を研究を開始しており、幾つか公開されたCGイメージとM1エイブラムスと比較すると、新しい戦車のサイズは小型化され軽量化する可能性が高いと米国メディアが予想しており、陸軍の次世代戦車に関する決定は2023年頃に下されるだろうと報じている。

ドイツのラインメタルも1日、研究に取り組んでいる「主力戦車先進技術 :MBT Advanced Technologies」の一部として130mm滑腔砲を搭載したデモ戦車を公開、この新しい滑腔砲は独仏が共同開発を行っている次期主力戦車「MGCS」に搭載されるのではないかと言われており注目が高い。

欧州の幾つかの国(ポーランドとノルウェー)では次世代戦車に韓国が開発したK-2ブラックパンサーを採用する動きも観測されており、所謂「第4世代」と呼ばれる主力戦車への更新に向けて動きが加速してきた。

出典:US Army Photo by Mark Schauer ユマ性能試験場でテスト中のM1A2C

さらに第3世代のアップグレード需要は引き続き活発で、米国は主力戦車「M1エイブラムス」の最新バージョン「M1A2C/SEPv3」の引き渡しを開始しており、英国も予算不足を理由に散々放置してきた主力戦車「チャレンジャー2」のアップグレード計画(約6億ポンド:約820億円)が前進を見せ始めている。

ドイツは約3億ユーロ(約400億円)の費用をかけて2026年までに「レオパルト2A6」をA7仕様にアップグレードすることを決定、ポーランドも約7.4億ユーロ(約920億円)の費用をかけて「レオパルト2A4」を独自仕様の「レオパルト2PL」にアップグレード中だ。

出典:イスラエル国防省がアップしたYouTubeのスクリーンショット

さらにアジアでも韓国が3度目となる主力戦車「K1A2」へのアップグレード検討に着手しており、戦車内部から外の状況を360度見渡せる「状況認識システム(SAS)」や新型特殊装甲の採用、イスラエルが開発したアクティブ防護システム「トロフィー」の搭載、国産パワーパックへの換装等が含まれている。

このように多くの国では戦車の能力向上を頻繁に実施しており、退役するまで1度も本格的な改修を施さない国は本当に稀だ。

 

※アイキャッチ画像の出典:Boevaya mashina / CC BY-SA 4.0 次世代主力戦車「T-14」

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 8月 05日

    >退役するまで1度も本格的な改修を施さない国は本当に稀だ
    その日本、実は冷戦終結後に新型国産戦車を2種類(90式と10式)も配備した世界でも稀な国(後はT-90とT-14を配備したロシアと中国位しか無い)なのだが……

      • 匿名
      • 2020年 8月 05日

      陸自がアップグレード要求を出しているのかについてはそもそも不明ですね。

      1
        • 匿名
        • 2020年 8月 05日

        そりゃあ、90式はアップデートをやる前に10式が出て来てしまったし、10式は配備が始まってから未だ10年だしね
        只、10式の次の戦車の登場次期次第では10式のアップデートも現実化するかも知れないけどね

        1
      • 匿名
      • 2020年 8月 06日

      改良してないと言うとツッコミが入るんで大規模とか条件指定してるのだ
      改良の利点は既存設備の延長なので研究開発、量産配備、訓練の時間短縮なのだが限界は有るので結局考え方次第

      1
      • 匿名
      • 2020年 8月 06日

      74改が普及しなかった事も触れた方が良いかも。
      数や予算が限られた中、従来戦車の改修型と新型戦車のどちらを選択するか、が迫られて陸自は新型を選んでいます。
      90式の大規模改修が無いのも、同じ文脈なのでしょうね。

      あとついでに、90式でさえ第三世代の中では後発組で、M1A2相当の機能を有していたのも大きいかも?

      1
      • 匿名
      • 2020年 8月 06日

      ドライバーアシストもついていない同じ車を修理しながら40年も使うより、20年ごとに新車に乗り換える方が合理的。
      戦車の製造設備や設計技術を保存する日本の宮大工方式、潜水艦はそうしているし航空機などもこうなる。

      1
    • 匿名
    • 2020年 8月 05日

    艦船や飛行機の値段知ってると戦車4億でも安いと思っちゃえて来るなぁ
    100機導入したとしても
    なんと!たったの400億!コレはお得!(錯乱)
    今なら送料もロシアが負担します!

    1
      • 匿名
      • 2020年 8月 05日

      ちょおっとお待ちください!!
      今から30分以内にご注文の方に限り、もう100台!
      2台でお値段そのままの400億!

      1
        • 匿名
        • 2020年 8月 05日

        お届けは10年後になります。

        1
          • 匿名
          • 2020年 8月 05日

          1
          • 匿名
          • 2020年 8月 06日

          イタリア製の電車かな?
          しかし、今のロシアの状況を考えると真実味も感じますな。

          1
    • 匿名
    • 2020年 8月 05日

    T-14を100輌よりT-90を200輌揃える方が戦力としては高いという事か。

    最新スペックのT-90はT-14と同じ主砲を装備しているから攻撃力は同等のはずだから。

    1
      • 匿名
      • 2020年 8月 05日

      T-90Mは、T-72の最終発展形と言うべき戦車だから実用性が高く、その分戦力化し易いと言う事だと思います
      それよりも今回の記事の見所は、これ迄憶測ばかりが流れていた「T-14がなかなか量産されなかった理由」が、エンジンと赤外線装置の技術的問題だった事が分かった点だと思います

      1
    • 匿名
    • 2020年 8月 05日

    決定してるのはK1A1の照準を赤外線対応ってだけですね
    10年間 1,500億ウォン(ハンファの妄想です)
    確定は213億ウォンだとか
    リンク
    K1A2のアップグレードは話は出てますけど、確定してないって状態

    1
    • 匿名
    • 2020年 8月 05日

    アメリカはM1後50年ぐらい使えるやろ
    100輌1億ぐらいなら引き取ろう

    • 匿名
    • 2020年 8月 05日

    せっかく造ったロシアの新型戦車全然音沙汰ねえなと思ってたらそんな理由でプロジェクト止まってたのかよ

    1
    • 匿名
    • 2020年 8月 05日

    世界「T72? 中東でタコ殴りされたMBTじゃん? 買わんよ」
    ロシア「T-90に改名して、コソッと売ろう 装甲? そのままよん」

      • 匿名
      • 2020年 8月 05日

      中東は安いからT-72のモンキーモデルを買ってた(シリアはT-72を2000輌購入)
      冷戦終了で安価大量導入ができなくなった中東諸国に対してロシアは非モンキー複合装甲のT-90の輸出に切り替えた
      改良型で名前が変わるのはLa-5、La-7、La-9と同じロシアの伝統だから

      1
    • 匿名
    • 2020年 8月 05日

    ロシアが国産化できない赤外線装置の生産国ってどこなんでしょう
    ロシアじゃないとしたら西側だよね。西側がロシアにそんな高度な装置輸出できるのだろうか。規制とかありそうなものだが
    詳しい方、教えてください

    1
      • 匿名
      • 2020年 8月 05日

      フランスかイスラエルでしょう
      ロシアはソ連崩壊で一部の光学兵器の生産ラインが各旧ソ連邦に分散してしまったため、より新しい物をフランスなどから輸入してました。
      ウクライナ関連の制裁で急遽国産代替品を製造することになった結果、T-14の量産が遅れてしまいました。

        • 匿名
        • 2020年 8月 06日

        返信有り難う
        フランスですか。Natoがそれをよく許しましたね。フランスの仮想敵国はあくまでドイツでロシアが強くなろうが知ったこっちゃない、ということでしょうか。

        1
      • 匿名
      • 2020年 8月 06日

      韓国製ってことはないでしょうか?

        • 匿名
        • 2020年 8月 07日

        確かSu-30とT-90の赤外線装置はフランス製のものが一時期使われていたのでT-14もフランス製を使う予定だったのでは?
        Su-30とT-90の代替品はあっという間にできたようですけど。

        フランスは歴史的経歴(対ドイツ)から伝統的に露仏同盟をとる傾向にあります。
        フランスがクリミア併合で中止になるまでミストラル級強襲揚陸艦をロシアに輸出しようとしていたのは有名な話ですよね。

        1
    • 匿名
    • 2020年 8月 05日

    4.4億…安いですね(西側諸国並感)
    そうだ!これを日本に導入しよう((
    実際問題性能的にはT90とどこまで有意な差があるのだろうか
    主砲は同じだけど無人砲塔で生残性高いとかでお値段分の価値はあるのだろうか…

    1
    • 匿名
    • 2020年 8月 06日

    こうして見ても、韓国製兵器は各国の新装備配備に関してキーストーンになりつつあるな
    もはや韓国製兵器無くしては諸外国の新装備更改は語れない事実

      • 匿名
      • 2020年 8月 06日

      韓国の兵器は、決して最先端・最強とは言えないけれど、発展途上国が買える価格で必要な性能を持つところが魅力なのでしょう。

      実際、購入や打診している国を見れば、東南アジアや東欧の小国相手だし。

      1
        • 匿名
        • 2020年 8月 06日

        経済が潤沢では無い国に安価な韓国製兵器は一定の需要が有るのだろう。

        1
      • 匿名
      • 2020年 8月 06日

      久々の釣りだね。

    • 匿名
    • 2020年 8月 06日

    >欧州の幾つかの国(ポーランドとノルウェー)では次世代戦車に韓国が開発したK-2ブラックパンサーを採用する動きも観測されており、所謂「第4世代」と呼ばれる主力戦車への更新に向けて動きが加速してきた。

    丸見えの地雷踏みに行って笑い取るのはやめとけ。
    あとK2はせいぜい3.5世代だし。

    1
      • 匿名
      • 2020年 8月 06日

      無人砲塔を採用した意欲作T-14も未だ第4世代戦車とは確定していない。

      K2戦車導入が第4世代戦車への更新の動きになるとはとても思えない。

    • 匿名
    • 2020年 8月 07日

    韓国もT80手に入れて、西側と東側のコンセプトの違いを実感して会得してるはず
    河野はんに、一両だけでも輸入してって請願しよか

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