中国の航空機製造企業、瀋陽飛機工業集団は現在開発中の「空母搭載型ステルス無人機」のコンセプトを披露した。
参考:Fighter jet manufacturer previews aircraft-based flying wing stealth drone
いずも型護衛艦+F-35Bを過信して中国の空母を軽視するのは非常に危険
中国の瀋陽飛機工業集団は、同社が製造したJ-8戦闘機(殲撃八型)の初飛行から50周年を迎えた事を記念し、瀋陽飛機工業集団のこれまでの歩みと将来の展望を見据えたプロモーション動画を公開した。
J-8戦闘機は、旧ソ連製MIG-21を中国が国産化したJ-7戦闘機の改良型戦闘機で、第601航空機設計所が設計を担当し、瀋陽航空廠(現:瀋陽飛機工業集団)が製造を行った戦闘機で、1965年から開発を行い、1969年7月に初飛行を行ったが、開発当時、旧ソ連との関係悪化により技術支援を受けられない状況下での開発のため多くの問題が発生し、それを全て克服するためには長い時間が必要だった。

出典:Attribution: allen watkin / CC BY-SA 2.0 J-8戦闘機Ⅱ
結局、初飛行から11年後の1980年に量産機のJ-8が完成したが、搭載が予定されていたレーダーの開発は間に合わず、全ての開発が完了したのは1984年だ。
2019年時点で、初期型のJ-8戦闘機は徐々に姿を消しつつあるが、改良型のJ-8戦闘機ⅡシリーズのF型は、推力向上型エンジン「WP-13BII」に換装、アビオニクスやコックピットを近代化し、現在でも現役機として運用している。
瀋陽飛機工業集団が手がけた戦闘機には、ロシアのSu-27をコピーした「J-11」や、J-11を艦載機化した「J-15」、ロシアのSu-30MK2を参考にJ-11を改良した「J-16」、中国で2番目に開発された第5世代、ステルス戦闘機「J-31」などがある。
今回公開された動画の後半には、空母の飛行甲板上で作動する全翼機が描写されており、翼端を内側に折り畳める構造で、機体と共に描写された飛行甲板要員と比べると非常に大型の機体だ。
補足:今回の空母搭載型ステルス無人機は2018年11月、中国の広東省で開催されたAirshow Chinaで公開されたAVICプロモーション動画に出てきたCGモデルと同一のものだ。

出典:中航工业霸气宣传片,歼20上舰,轰20惊鸿献身 スクリーンショット
米国のB-2爆撃機に似た滑らかな曲線で構成された全翼機は、マイクロ波など短波を使用したレーダーに対するステルス性はもちろん、F-22やF-35など従来のステルス機を探知するのに有効な長波を使用したレーダーに対してもステルス性を発揮できる形状だ。
同社は、ステルス戦闘機の開発経験と、艦載機の開発経験の両方を備えており、このような「空母搭載型ステルス無人機」の開発も夢物語ではないだろう。

出典:中航工业霸气宣传片,歼20上舰,轰20惊鸿献身 スクリーンショット
中国は現在、空母で本格的な航空戦力を運用するため、艦載機のJ-15ベースにした電子攻撃機「J-17」、米海軍の早期警戒機「E-2」を参考にした「KJ-600」などを開発中で、今回ここに「ステルス無人機」が加わる可能性を示唆しているが、この無人機の用途については攻撃用なのか偵察用なのかは今の所、不明だ。
ただ、一つだけ言えるのは、中国が目指す空母打撃群は、運用ノウハウの確立や蓄積などの問題はあるものの、世界中で流行中のF-35Bと強襲揚陸艦(まはた軽空母)の組わせによる簡易的な小型空母とは比較にならない、固定翼機による、早期警戒や航空管制、電子攻撃機を備えた米海軍の持つ空母打撃群に近い能力の獲得を目指しているということ。
いずも型護衛艦を空母化しF-35Bを運用すれば、中国の空母など敵ではないと軽視していれば、日本は足元をすくわれるかもしれない。
※この動画は、J-8戦闘機の初飛行から50周年記念動画ではなく、Airshow Chinaで公開されたAVICプロモーション動画
50周年記念動画はこちらで視聴可能:歼8首飞50年留“彩蛋” 致敬未来舰载无人机出场
※アイキャッチ画像の出典:中航工业霸气宣传片,歼20上舰,轰20惊鸿献身 スクリーンショット
無人機を主体にして発射はロケットブースター、回収はワイヤーで高ソーティ数を維持できる軽空母って作れないのかしら
そういうのは戦時下で空母増産が間に合わないがとにかく航空機の数は飛ばさなきゃならんとか
やむにやまれずに取る手段であって
平時からそれを前提に戦力整えてたら国民や財務省からぶっ叩かれる事請け合いですわ
アメリカのX-47Bの丸パクリなんだがこんなん出していいのか?
いずもの空母化は運用ノウハウの蓄積など、情勢次第でいつでも正規空母へ進めるようにする繋ぎと見るべきですね。中国がどうであれ、東アジアにおいて日本が安全保障で果たすべき責任が増大するのは間違いありませんから。
YouTubeの動画を拝見しました。
全翼機で主翼が折り畳み式とは先進的ですが、ステルス性の観点から機体側と翼端側のつなぎ目が直線になるのは塗料で頑張ってもレーダー波を反射しやすいです。ましてや胴体の中心線と平行だと横方向からのレーダーで捕捉がされやすくなります。
その辺の機体設計がF-35Cと瓜二つだと面白いことになりそうですね。
でもカタパルトが実用域に達していなければ沿岸から遠くは無理でしょうね。
形はアメリカのやつのマルパクリみたいだけど、中国にこんなの飛ばせるのか?