オーストラリアが提供する段ボールと輪ゴムで作られた無人機「CORVO PPDS」がウクライナで活躍しており、Forbesは「段ボール製のUAVで立ち向かうというアイデアをロシアは笑うかもしれないが、その失笑は長くは続かない」と報じている。
参考:Cardboard drones drop bombs in Ukraine
参考:Paper Planes? Ukraine Gets Flat-Packed Cardboard Drones From Australia
もしPPDSのようなUAVが数千機あれば1機のMQ-9やF-16よりも大きな影響力を持つようになるかもしれない
非欧米諸国の中でオーストラリアはウクライナに軍事支援(M113AS4、ブッシュマスター、M777、レーダーなど)を提供している数少ない国の1つだが、豪州では無人機開発も盛んで多種多様のミリタリー向けドローンが製品化されており、豪DefendTexが開発した小型の徘徊型弾薬「D40(40mmグレネードランチャーから発射するタイプで作動範囲は12マイル/モジュール式のペイロードをビデオカメラ、電子妨害装置、対装甲弾頭、スモーク弾、閃光弾などに交換可能)」も提供している。
ただオーストラリアの軍事支援には複数種類の無人機が含まれていると言われており、これまでD40の提供(ウクライナ提供のためポーランドでテストを実施しているという豪メディアの報道)しか判明していなかったが、メルボルン郊外で開催されているアバロンエアショーでオーストラリアのマールズ国防相とミロシュニチェンコ駐豪ウクライナ大使がSypaq社のブースを訪れ「段ボールと輪ゴムで作られた無人機(CORVO PPDS)がロシア軍との戦いで役に立っている」と明かした。
Sypaq社が開発した固定翼の無人機は「少量の緊急物資を低コストで運搬する」という豪陸軍のニーズに基づき開発されたもので、段ボールで構成された機体はグルーガン、スパナ、ナイフ、テープ、輪ゴムで簡単に組み立てられ、ピザサイズの箱に24機分の組み立てキットが収まるように出来ているらしい。
ただPPDSの制御システムはミリタリー仕様で、基本的に同機はGPSガイダンスを利用して指定された地点まで自立的に飛行するためオペレーターを必要とせず、もしGPSが妨害されても慣性航法で目標までの飛行を継続することができ、Sypaq社は「ウクライナのエンドユーザーからのフィードバックを受けて物資輸送だけでなくISR任務に適している=ウクライナ軍がPPDSのペイロードにセンサーシステムを搭載して偵察にも活用しているという意味」と述べている。
ミロシュニチェンコ大使は「見た目は子供のおもちゃのように見えるが、実際に使用してみると本当に凄い。この無人機は敵に多くのダメージを与えるのに優れている」と、Times紙は「基本的にPPDSは使い捨てタイプだが、中には60回も繰り返し飛行したものがあり、1機あたりのコストは564ポンド~2,800ポンドだ」と、Forbesも「小型のカタパルトで打ち上げられるPPDSは最大60km先離れた戦場情報を持ち帰ることができ、さらにPPDSの航法システムはウクライナ製無人機よりも高度なものを採用しているため爆弾運搬ミッション=にも対応できるだろう」と言及しているのが興味深い。
さらにForbesは「無人機産業界の一角は洗練され高性能なUAV(最新型のMQ-9は2,000万ドル以上)に焦点を当てているが、Sypaq社のような企業は低コストの消耗型UAVを大量提供することに注力しており、興味深いことに同社はUAVの群制御技術にも取り組んでいる。もしPPDSのようなUAVが数千機あれば1機のMQ-9やF-16よりも大きな影響力を持つようになるかもしれない。ロシアは段ボール製のUAVで立ち向かうというアイデアを笑うかもしれないが、その失笑は長くは続かないだろう」とも述べている。
因みにオーストラリアはウクライナにPPDSを毎月100機以上も提供し続けているらしい。
関連記事:豪州、グレネードランチャーから発射出来る徘徊型弾薬をウクライナに提供か
※アイキャッチ画像の出典:Sypaq
このオモチャ欲しいな
10万円以下で買えるのか
一番お金がかかるだろうコンピューター、GPSはピンキリだけど、ArduinoとGPSユニットで8000円程度、モーターやバッテリー含めても15000円程度、紙代など含めても20000円掛からないだろう。
一番の問題は設計でもプログラミングでもなく、法律だけど。
野球ドーム貸切る財力があれば大丈夫かもしれないが……
FFOSとかいう高級ガラクタよりは役に立ちそう
1988年から開発されたものなんだから最新型と比べられてもな…
バルサでいいじゃんとおもったけれど、折り曲げが出来るのは楽かも
豪のモスキートは小柄じゃのう
東京オリンピックの段ボールベッドが寝具込みで十数万円だったな
こういう無人機は日本がやるべきな気がする
安い中国製に対抗するには常識をぶっ壊さんとね
むしろ国どころか小規模組織で作って実行できるのがヤバい
テロとかでも使いたい放題
げげ、これ実質的なステルスドローンじゃん
ドローン用に調整たレーダーですら探知できないだろうな
ほとんどが木製のプロペラ機が軍用レーダーですら識別できないステルスになるのと同じだ
しかもどこにも持ち込み簡単どころか、宅配すら可能な上に模倣も簡単
対ロシアで活躍するけど、ロシア以外でも使われたら対処難しすぎる
3Dプリンターで作れる拳銃なんてのがありましたが、このタイプの無人機も適当なラジコンエンジンと中枢部分があればありふれた材料で攻撃ドローンが作れてしまいますね
コイツの何よりもスゴいところは、仮に墜落したとしてプロペラの破片と段ボールの残骸を見てもほとんどの人はそれがドローンだと認識できないことだろう。
すごいな もしかすると静岡の模型会社にも可能かも。
可能かもではなくラジコンメーカーであれば充分可能ですよ。
今や民生品のガラクタですら組み合わせ次第では極めて厄介で安価な武器に変貌する世の中ですからね。
正にダンボール戦機
こういう斬新なアイデアが勝機を掴む感じ
趣味や遊びから得られる発想は安くて強いよね
むしろ掴むのは商機だったりして。
使い方次第では正気を疑われますな。善光寺の時みたいに
学研の付録みたい。
ディアゴスティーニの企画で出そう。
「本物の軍用ドローンを作ろう」
いいなこれ
日本も鶴形の紙ドローン1000機送ろうぜ
この手の安価なドローンへの対策用にレーザー等を各国開発してますが、前線にポンポン置けるような安価なユニットにはなりそうにない。高度を取られた場合の有効性も怪しいですし。
現状では、40mm程度の調整破片弾で撃墜するのがコスト的にもちょうどいいのかなと思います。
我が国で言えばかつて近接戦闘車なんてのを要素研究してましたし、対ドローン用に復活せんかな。
このほぼ紙製ドローンとか、まず探知するのが難易度高いだろうな
照準用レーダーすらちゃんと反応するのかどうか
輸送効率もコストも素晴らしい、もちろんデメリットもあるけど任務を果たす上では十分実用的なわけだ
湿潤な環境下ではまた違ってくるんだろうけどこの簡便さはすごい
旧軍が戦前、流行りのジュラルミン製航空機に没頭していた頃、あえて木製航空機の研究を続けるべきだと主張した将校がいた。彼は時代遅れだと周りから罵倒されたが、戦争になれば日本の資源事情から木製技術が必要になることは明白だと反論した。大戦末期に彼は上層部から木製航空機の研究を指示されたが案の定一朝一夕とはいかなかった。
ローテクを如何に現代戦に活かすかという知恵をバカにしてはいけないという教訓を思い出した。
木製飛行機を馬鹿にしてたら今度はダンボール製の飛行機ができたでござる
木だとそれぞれ個性があるから規格品化しにくいけど
ダンボールだと規格化して工場で大量生産も楽そう。
町工場で加工とかどうにでもできそうだし
偵察用なら民生用ドローン扱いで生産できそうだから
真面目に日本で生産してウクライナに遅れるんじゃないかな ?
ネックなのがこういうスタートアップ的な
スピード開発は、あまり日本でうまくいってないことかな。
ドローンの時代、叩くべきターゲットが把握出来ればドローンが観測機になりますので旧来の砲で無誘導弾でも正確に叩けるわけです。
勿論エスカリバーのような高価高性能な砲弾や、対地ミサイルなどはここ一番の使いどころはありますので今後も必須ですが
戦場の大勢を決めるのは砲弾、ミサイルではなく、ドローンの情報収集力でしょうね。
双方共に相手を叩ける砲兵が居るとした場合、常時、全体を把握し続ける事が出来る方が勝ちます。
そこまで突き詰めて考えたらこのようなものに辿り着くんですが、ここまで行くと常識との闘いになりますからね。
圧倒的に安価な使い捨てドローンを無尽蔵に生産して前線に飛ばし続ける事で相手より情報収集力で勝れる
上層部の判断する層にどんだけ頭が柔軟な人間が居るかにかかってくると思います。
ドローンの時代の戦争の正解は、「戦いは数だよ兄貴」なんでしょうねやはり。
だから安価なドローンを使い捨て上等で大量に飛ばし、敵を見つけたら安価な砲と安価な無誘導弾で叩く
つまり前線の兵士の主な任務は銃撃戦ではなく、ドローンを操作して敵情を探し回る事になりそうです。
逆に言えば、どれだけドローンリテラシーを個々の兵士に叩き込むかが兵士の強さになってきそうです。
さらにキーとなってくるのは「軍需産業」と「民需産業」の垣根を取っ払った産業構造にして、
どんだけ民生品を軍事に使う(事で規模の経済で安価で大量に相手より情報収集機を作るか、作れるか)戦争遂行モデルを構築するかが
ポイントになりそうですね。上の方でタミヤ模型について触れられてる方が居ますがまさにそれで
タミヤに軍事用ドローンのラインを作って貰うというより、現在の民生品のラインで陸自が使う安物ドローンの部品を
調達するという官民合同での工夫が必要になってきます。
「米軍が10年以上かけて実現しようとする戦場のデジタルトランスフォーメーションをウクライナ軍は1年で実行している」と米軍のエライ人が語っていましたが、ロシア軍もですよね。
テロリスト相手の弱い者イジメで大規模軍隊同士の戦闘能力が相対的に緩んだ米軍は早急に立て直しできるんでしょうか…。
>安価な無誘導弾で叩く
段ボールドローンは誘導能力あるからね、粗末でも安い誘導弾を想定すべし。
やっぱ雨降ったらまずいのかな
すぐに帰還させてドライヤーで乾かせばいけるのか
世の中には水が染みない防水ダンボールがすでに出回っているのだ。少し高いけど。
ダンボール製の使い捨てといってもさすがにミリタリー仕様だし、環境耐性がある物を使っているのでは。
日本がその気になれば分隊レベルで普及出来てしまう技術なんじゃないか?本当に需要にマッチしていると思う。物資の少ない日本という環境でこれほど頼もしいユニットはなかなか無いんじゃないか。
千羽鶴よりも1000倍役に立つな。
簡素な機体に高度な航法装置って、戦時中の風船爆弾を彷彿とさせますね。
日本もあの時代は(追い詰められていたという事情はあるとはいえ)、そういう知恵を出すことができたのですけど、いつの間にか硬直化した考え方の装備行政しかできなくなってしまいましたかね。