インドとの防衛装備品調達に関する調印式に出席したデルフィン・ロレンザーナ国防相は「ブラモス購入を進めている」と明かして注目を集めている。
参考:PH eyes deal with India for world’s fastest supersonic missiles
中国が領有権を主張する南沙諸島の一部を射程圏内に収めることができるブラモス導入に再び動きだしたフィリピン
インドとロシアが共同開発したブラモスは最高速度マッハ3.0+に加え強力なシースキミング(海面から約3m~4m)能力を備えた超音速対艦ミサイルで、インドはブラモスのファミリー化(航空機搭載型/水上艦搭載型/潜水艦搭載型/陸上発射型)を進めている。
フィリピンが導入を考えていたのはブラモスの陸上発射型でインドはブラモス購入資金としてフィリピンに対し約1億ドル(約110億円)の融資を行うと言っていたのだが、新型コロナウイルスの影響で予算に制約がかかったという理由で交渉がストップ、印メディアは新型コロナの影響が収まりしだい交渉を再開して契約を締結すると報じていた。
インド側が資金を融資すると言っているのにフィリピン側が「予算」を理由に交渉を止めたので管理人は対中関係の悪化を危惧してブラモス導入を見送ったのではないかと考えていたが、フィリピンの国防次官と駐フィリピン・インド大使が今月2日、両国間の防衛装備品調達に関する法的枠組みを定めた協定に署名。
この協定の調印式に立ち会い人として出席していたデルフィン・ロレンザーナ国防相が「私達はブラモス購入を進めている」と述べてたと両国のメディアが報じており、どうやらフィリピンはブラモス導入に向けて再び前進しはじめたようだ。
フィリピンメディアは中国による侵略に備えるためインドから対艦ミサイル「ブラモス」を調達しようとしており、同兵器は沿岸防衛と対地攻撃の役割を担うことになると言っている。
本当にフィリピンを導入してルソン島北部に配備すれば台湾との間に広がる海域をカバーすることでき、フィリピン南西部に位置するパラワン島に配備すれば中国が領有権を主張する南沙諸島の一部を射程圏内に収めることができるため中国にとっては嬉しくないだろう。
ただ一つだけ残念なのはインドがフィリピンにインド軍向けと同じフルスペックのブラモス(射程600km以上)を輸出しない点だ。射程距離が300km以上のミサイルは大量破壊兵器の運搬手段として使用できるとみなされミサイル技術管理レジームの規制に引っかかるのでブラモスは射程距離を290kmに制限した輸出バージョンが用意されている。
即ちインドがフィリピンに輸出するフルスペックのブラモスではなく射程を制限した輸出バージョンになると言う意味なのだが、ブラモスは弾頭重量が500kg以下なのでインドの裁量次第でフルスペックのブラモスを輸出することも出来なくない。
しかしフルスペックのブラモスを輸出するとフィリピンは南沙諸島を丸ごとブラモスの射程圏内に収めることが出来るので中国の反発は相当なもになるだろう。
少々話が脱線したがフィリピンは対中関係の悪化を危惧して導入を見送っておらず、一度止まった交渉も再び動きだしているのは確実(ドゥテルテ大統領は導入に積極的ではないと言われている・・・)なので日本の立場から見ると非常に頼もしく見える。
関連記事:中国への配慮? フィリピンが超音速対艦ミサイル「ブラモス」調達を中止
※アイキャッチ画像の出典:Public Domain 超音速対艦ミサイル「ブラモス」
ドゥテルテがこのミサイルを中国との交渉カードとして利用する価値を見出したか、
あるいは中国との何らかの経済交渉が上手く行かなかったのでミサイル導入交渉の話を進めて圧力を掛けようと思ったか、
はてさて
アメリカに従わない大統領が中国いいなりという話でもないから
あれはお山の大将だからね、フィリピンはフィリピンの道を行きたいんですよ
フィリピンがブラモスを配備し日本も開発中の対艦ミサイル群が完成して配備され始めると中国海軍は第一列島線の内側に封じ込められて身動きできなくなるかもな
フィリピンは対中関係の悪化を危惧して導入を見送っておらず、一度止まった交渉も再び動きだしているのは確実(ドゥテルテ大統領は導入に積極的ではないと言われている・・・)
どこの国も一枚岩ではないようです
どこの国にもいろいろと内情があると言うことでしょうね。
願わくばこのブラモスが我が方を狙わないことを祈ります。
政変とかでコロッと、がありそうだから。
フィリピンが日本の敵対国になると本気で思ひ給ふや。
そら何処だって一枚岩とはいかんでしょう。
日本だって野党連合は「米国製兵器の爆買いはやめろ!」と言ってるわけで。
ブラモスの先端って、何でミグ21のような形状をしているの?
もしかして外気を取り込み、ジェットエンジンで推進するの?
ブラモスはラムジェット推進だよ
ブラモスはラムジェット(+ラムジェット作動用ブースター)です。ジェットエンジン・ロケットエンジンの類を使わずにでマッハ3は無理でしょう。そもそも電動以外の動力は燃料燃焼系はもちろん燃料電池でも外気の取り込みが必要ですよ。
ロケットエンジン(ミサイルの話だからロケットモーターの方がしっくり来るが)なら普通は外気要らんだろ。
元のコメントもそーゆー前提で「これロケットモーターじゃなくてジェットなの?」という質問だろう。
それに対して「ジェットエンジン・ロケットエンジンの類を使わずにマッハ3は無理」ってどーゆー回答よ。
対艦ミサイルはコスパ良くて良いよね。日本も開発はよう。
ASM-3Aと射程距離延長したASM-3(改)(開発中)があるじゃん
早くも何も日本は以前から対艦ミサイルの開発を進めてるだろ。しかもかなり開発を急いでる。
島嶼防衛用地対艦誘導弾やASMー3改を開発中なのに途中成果を使って12式地対艦誘導弾能力向上型やASMー3Aを開発して早期配備しようとしてるからな
対艦ミサイルの簡単な指標にどうぞ
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国防は他国頼りの国がうまく立ち回っていますねー
こういう信用ならない国にまともなスペックでは売れませんな
300㎞の射程制限ってLo-Lo-Loなら普通だけどHi-Hi-Loなら300㎞なんて大体の対艦ミサイルは超えるんじゃないか。なんか釈然としない。
フィリピンは国情から米国依存脱却したいので、これを購入したという事は以降はインド側に入るつもりかもしれませんね
そもそも米国にはブラモスに相当するミサイルがまだ無いので、そこは何とも言えないかと思います。
それにしても、米国の様な包括的な訓練・メンテナンス支援は得られないだろうに、ミサイル運用経験の乏しいフィリピンが使いこなせるのか?とか、指揮管理系統の構築はどうするのか?とか、ちょっと疑問を感じる話ではあります。