日本関連

日本、次期戦闘機のステルス性能を計測するため実大模型製造か

日本政府は24日、次期戦闘機(F-X)のRCS計測用途と見られる小型航空機実大模型の製造の契約者を募集する文書を発行した。

参考:令和2年度RCS計測用小型航空機実大模型の製造の契約希望者募集要領

防衛装備庁が次期戦闘機用の可能性が高いRCS計測用小型航空機実大模型を製造する企業を募集

戦闘機F-2の後継機となる次期戦闘機(F-X)開発を日本主導で進めている防衛装備庁(ATLA)は24日、次期戦闘機(F-X)のRCS計測用途と見られる小型航空機実大模型の製造の契約者を募集する文書を発行した。

発行された文書は「令和2年度RCS計測用小型航空機実大模型の製造の契約希望者募集要領」で、希望企業は9月10日までに契約希望申請書を防衛装備庁に提出する必要があるが、本件の受注は技術実証機「X-2(通称:心神)」の設計や構造及び機能に関する知識や技術を有する企業のみに限定されているため、事実上「X-2」開発の主契約企業である三菱重工業しか本件の受注資格がない。

出典:Hunini / CC BY-SA 4.0 技術実証機X-2

ただ例外的にX-2の知識や技術を有する企業を下請けに入れれば受注条件を満たせるため他の防衛産業企業にも門戸は開かれているが、恐らく三菱重工業が受注することになるだろう。

RCS計測用小型航空機実大模型とは恐らく「レーダー反射断面積(Radar cross-section:RCS)」のことを指していると思われ、受注条件(X-2の知識や技術)も合わせて考えると次期戦闘機(F-X)のレーダー反射断面積検証用(=ステルス性能検証)の実大模型である可能性が非常に高い。

出典:防衛装備庁

特に発行された文書に指定された納入先が防衛装備庁の電子装備研究所飯岡支所なので、次期戦闘機用の実大模型でまず間違いないと管理人は思っている。

千葉県にある電子装備研究所飯岡支所には国内で唯一、戦闘機クラスの実大模型を収容してレーダー反射断面積を計測可能な「RCS計測設備(2016年完成)」があるので、ここを納品先に指定していると言うことは恐らく「そういうこと」なのだろう。

補足:先進技術実証機「ATD-X(X-2の前身)」の開発時は国内に実大模型を収容してレーダー反射断面積を計測する施設がなかったため、フランス国防装備庁のRCS計測設備を使用した。

今月25日には次期戦闘機開発におけるインテグレーション(取りまとめもしくは統合)支援についてRFI(情報提供依頼書)を発行するなど開発体制も徐々に形(三菱重工業+米国のロッキード・マーティン、ボーイング、ノースロップ・グラマン、英国のBAEシステムの何れか)が見えてきており、今後F-Xに関連した情報や報道が多くなるはずだ。

個人的には非常に楽しみな10年になると思っている。

関連記事:次期戦闘機開発支援に応じる海外企業は?日本が「F-X」開発に関するRFIを発行

 

※アイキャッチ画像の出典:財務省 令和2年度防衛関係予算のポイント

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 8月 27日

    割と真面目な話、このブログの管理人はどっかの諜報機関に雇ってもらってOSINTに従事したらめっちゃ成果上げそう

    というか現在進行形で図らずもさ……

    3
      • 匿名
      • 2020年 8月 27日

      内調や防衛省とか、”周辺国”とか、マジでこのサイトをチェックしてるかもね…

      2
        • 匿名
        • 2020年 8月 27日

        グローバルタイムスから固定IPバン食らってたのは不謹慎だけど笑ったw プーさんと愉快な仲間達はここのアクセスに貢献してるだろうね

        2
          • 匿名
          • 2020年 8月 28日

          そんなこともあったんだね
          良いニュースだから、保守速報やあじあニュース辺りで宣伝してみるよ

          2
            • 匿名
            • 2020年 8月 28日

            やめとけ
            このサイトの対極に位置するゴミブログだぞ

            10
            • 匿名
            • 2020年 8月 28日

            保守ニュースとかデマ情報でも政権擁護&嫌中嫌韓ならなんでもおkなクソサイトだから事実に基づくこのサイトには合わない

            13
    • 匿名
    • 2020年 8月 27日

    楽しみだけど、今の日本で技術なんかが守れるのか不安でもある。

    1
    • 匿名
    • 2020年 8月 27日

    この前X-2がバラされて千葉に輸送されてる写真上がってたし次期戦闘機の実物大模型作る訳じゃなくてX-2使って計測するだけなんじゃないのかな、模型作るにしたってまだ設計も始まってないだろうし無理でしょ

      • 匿名
      • 2020年 8月 27日

      X-2はもうRCS値計測出来てるから、今更X-2を持ってきて再計測する意味もあまりないと思うけどなぁ
      フランスで計測したのと同じ結果が新設した施設でも出るかの再現試験だったとして、それならX-2は実機があるから、わざわざ模型を作る必要もないしね

      ただ、設計を詰めてない段階で実物大模型でRCS値計測なんて事もしないはずだから、これがF-Xなら、実は機体設計が大分進んでいたという事になるけど…どういう事だろうね?

      4
        • 匿名
        • 2020年 8月 28日

        とりあえず、これまでの過程で示されてた3種(2種)のモデルを模型に起こして計測してみるんじゃない?
        実際の設計に取り掛かる前に大まかな形を決める必要があるだろうし

        5
    • 匿名
    • 2020年 8月 27日

    >小型航空機

    ・・・ってあるからドローンとか?

    1
    • 匿名
    • 2020年 8月 27日

    株式会社タミヤが応募してくれないかな?

    2
      • 匿名
      • 2020年 8月 27日

      後年、モックアップのほうが品質が良かったっとか言われそうw

      2
      • 匿名
      • 2020年 8月 28日

      タミヤ主導の新型戦闘機。
      見てみたいなぁー。

      3
      • 匿名
      • 2020年 8月 28日


      日本版スペースシャトル計画があった時
      タミヤが協力することになっていた(耐熱パネルの成形)

      1
    • 匿名
    • 2020年 8月 27日

    できればこの想像図に近い感じが良いですなぁ

    3
    • 匿名
    • 2020年 8月 27日

    >非常に楽しみな10年
    やっぱり防衛力整備にかかる時間は長いねぇ…

    2
      • 匿名
      • 2020年 8月 28日

      頓挫しないといいよねぇ。待ちきれない。

      4
    • 匿名
    • 2020年 8月 27日

    F−3はどの程度のステルス性能を求めているのだろうか?

    F−22の様に高価格で耐久性に難ありなメンテナンスに気を使うステルス塗装を使って極限までステルス性能を追求するのかステルス性能はある程度妥協してメンテナンスを楽にするのか?

    1
      • 匿名
      • 2020年 10月 16日

      自営や胃は運用コストのかかる国産兵器は作らない、だから形状と素材でステルス性を追求するはず。
      ステルス塗装はできるだけ減らすか耐久性を上げる方向に行くだろう。
      X-2はステルス塗装が無くてもf-22より少し落ちる程度のステルス性があるという好結果が出たからF-3も期待できる。

      5
    • 匿名
    • 2020年 8月 27日

    如何せん不具合MRJでばかり出してる三菱重工に任せるのは余りに怖すぎる
    ここはやはり保険の意味含めてKF-Xとの合流を真剣に検討すべきだろうね

    はっきり言って日本の技術と経験ではシステムインテグレーションなんて余りに荷が重すぎる
    兵器開発では一日の長がある韓国の国防産業主体で纏めるのが開発成功への要になるだろう

      • 匿名
      • 2020年 8月 27日

      韓国に戦闘機開発経験有ったかね?逆に韓国こそロシアと戦闘機共同開発した方がアメリカ発狂して良いんじゃない。

      2
        • 匿名
        • 2020年 8月 27日

        第4.5世代戦闘機のKFXと第5世代以上を目指すF−3は共同開発する意味が全く無い。

        韓国にはインドネシアがいるではないか。

        6
      • 匿名
      • 2020年 8月 27日

      毎回毎回芸がない書き込みは止めなされ。「トルコと共同開発」だったら未だ笑えるものを。
      或いは、共同開発の知的財産権はすべて日本に属すという条件だったら韓国と共同開発してあげてもいいかもね。もちろん費用は折半だ、円建てでな。

      2
        • 匿名
        • 2020年 8月 27日

        エンジンはウクライナから供給されたりしたらまんまアルタイ状態ですね。AMXー56Kトルコ風クリミア・・何故か凄そう。

        3
      • 匿名
      • 2020年 8月 27日

      釣り針大きすぎますよ。
      それだけ大きくするならKFXを買うべきだくらい言ったらどうです?

      3
      • 匿名
      • 2020年 8月 27日

      想定してる就役時期が全く違うし、共同開発に必要な最低限の国家間の信頼関係も構築出来ていないのに合流も何もあったもんじゃないと思うけど・・・

      そもそも第五世代以上の戦闘機に必要なシステムインテグレーションのノウハウを韓国は持ってないでしょ(そのための実証試験すら今までしていないわけで
      むしろ軍用機の開発に関して言えば韓国はほとんど経験ないし、韓国が得意とする兵器開発の手法ではなくむしろいつも失敗してる方の兵器開発の手法が求められるのよ

      そういう訳でその提案は何も合流要件満たしてないよね

      3
      • 匿名
      • 2020年 8月 28日

      >如何せん不具合MRJでばかり出してる三菱重工に任せるのは余りに怖すぎる

      ニホンゴムズカシデスカ?www

      4
        • 匿名
        • 2020年 8月 28日

        ワロタ、学校の成績だけ良くても実務は難しいぞ。

        2
      • 匿名
      • 2020年 8月 28日

      敵と共同開発する訳がなかろう。

      3
      • 匿名
      • 2020年 8月 28日

      あれ?ロシアと技術協力するんじゃないの?
      で、スホーイの技術者にF-35実機見せて資料あげて、Su-57+F-35を作ってもらってK-FXって言うんでしょ?

      1
    • 匿名
    • 2020年 8月 27日

    このモックの完成をもってF-3の外観が決定するってことだよな
    カッコイイといいなぁ…
    X-32みたいなのが発表されたら絶望するぞ

    2
      • 匿名
      • 2020年 8月 28日

      あれはあれで愛嬌があるから意外と好き。
      ただ万人受けしないよね…。

      4
    • 匿名
    • 2020年 8月 28日

    やはり日本は神の国だということが証明された
    日本万歳

    1
      • 匿名
      • 2020年 8月 28日

      またお前かw
      もう少しまともな日本語を書けるようになってから来てください。

      3
        • 匿名
        • 2020年 8月 29日

        上の釣り針の大きい奴に返信したつもりが、あなたに返信してしまった。本当に申し訳ない

        1
          • 匿名
          • 2020年 8月 29日

          どっちも似たようなもんだろ
          荒らしてるんだから

          3
      • 匿名
      • 2020年 8月 29日

      旧軍が精神主義だったとかいう汚名被るからやめれ

      2
    • 匿名
    • 2020年 8月 28日

    実際の工程で不具合が見つかる事もあるだろから 
    前段階でのモックアップで電波の反射などデーター
    揃える方が手堅いと思う。
    海自のひゅうがの時もモックアップやスケールモデルを試作していたのを思いだした。P-1もね。
    F-3はアメリカもイギリスも下心かなり感じるプロジェクト、完成した時点で最新鋭でも、後から出来てくるテンペストの下敷きのような位置なりそうだが、確実に今回のプロジェクトが日本独自で戦闘機と言うシステム一式を作れる実力を持つと言う事。それが一番意義がある。F22の実力を同等、超える可能もあるかもしれないが、アメリカがF22を飛ばしたのは、数十年前の事で、このレベルで一喜一憂しないでほしい。
    F3は世界で先人を切る第六世代戦闘機開発のパイオニア的存在に日本の航空機産業の野心作になること
    応援したいね。

    7
    • 匿名
    • 2020年 8月 28日

    実際の工程で不具合が見つかる事もあるだろから 
    前段階でのモックアップで電波の反射などデーター
    揃える方が手堅いと思う。
    海自のひゅうがの時もモックアップやスケールモデルを試作していたのを思いだした。P-1もね。
    F-3はアメリカもイギリスも下心かなり感じるプロジェクト、完成した時点で最新鋭でも、後から出来てくるテンペストの下敷きのような位置なりそうだが、確実に今回のプロジェクトが日本独自で戦闘機と言うシステム一式を作れる実力を持つと言う事。それが一番意義がある。F22の実力を同等、超える可能もあるかもしれないが、アメリカがF22を飛ばしたのは、数十年前の事で、このレベルで一喜一憂しないでほしい。
    F3は世界で先人を切る第六世代戦闘機開発のパイオニア的存在に日本の航空機産業の野心作になること
    応援したいね。

    1
    • 匿名
    • 2020年 8月 28日

    公式には構想設計どころか担当企業の選定すらまだなのにもうRCS計測の話が出るとか機体の設計がほぼできてるじゃねえか!
    うーんこれがジャパニーズホンネとタテマエか

    4
      • 匿名
      • 2020年 8月 28日

      すでにそこそこのところまで行ってるのかもしれませんね。
      日本人の「できない」は信用してはならないようですから(笑)。

      3
      • 匿名
      • 2020年 9月 04日

      装備庁主導-空自参加による研究開発事業で、戦術シミュレーションを経て次期戦闘機のバーチャル・ビークルが作成されているはずです。
      つまりは基本設計はほぼ固まった状況と思います。
      実大モックアップによるRCS計測試験は形状ステルス設計の正しさを検証するために行うものです。
      設計通りの値が出れば、改設計が必要になっても目標RCSを維持する修正ができることになります。

      5
    • 匿名
    • 2020年 8月 28日

    管理人は、公開する内容を吟味すべき。ミリオタには堪らんが、情報が機密に近い。

      • 匿名
      • 2020年 8月 28日

      2
      • 匿名
      • 2020年 8月 28日

      公表されている情報を基に記事を作成しているのに機密とは意味が分からない。

      7
    • 匿名
    • 2020年 8月 28日

    いや、公開している内容だから機密でもなんでも無いぞ
    そもそもミリオタが知りうる情報を諜報のプロ達が取りこぼしているなら無能の極みだ
    この内容は納品に関する契約の条件だから、こんな内容で将来戦闘機の性能が推し量れるならエスパーか何かだけだ

    もし公開情報で防衛省に不利益な内容が含まれているなら、それは防衛省側のミス。ここの管理人の話じゃ無い

    8
    • 匿名
    • 2020年 8月 28日

    イタレリ社からもっともらしいF−3のプラモデルが出てきたら面白い。

    1
    • 匿名
    • 2020年 8月 28日

    順調そうで何より、動き出したら一気にという感じだな。
    俺としてはステルスデザインとエリアルールと大容量ウエポンベイを3立させた機体を見てみたい。

    2
    • 匿名
    • 2020年 8月 28日

    いつもの想像図についてる謎の三角形の正体がついに明かされるのか

      • 匿名
      • 2020年 8月 28日

      尖ったエアインテークだと思いますが

    • 匿名
    • 2020年 8月 29日

    F-3ならきっとウェポンベイにASMを4発積んでくれると信じてる。

    2
      • 匿名
      • 2020年 8月 29日

      クルーズモードで増槽。
      ビーストモードで大量のミサイル。
      無人機はどうなるのだろう?
      たのしみです。

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