日本政府はインドネシアに「もがみ型護衛艦(30FFM)」ベースの艦艇輸出を進めており受注に成功すれば3,000億円規模(最大8隻)の契約になると国内メディアが報じているが競争入札の相手が判明した。
参考:Indonesia shortlists four options in follow-on to SIGMA 10514 frigates
参考:Indonesia engages German, Turkish firms to customise frigate design
オーストラリアの潜水艦受注戦以降初となる本格的な競争入札、日本が戦いを挑むのはオランダ、イタリア、英国に拠点を置く3つの企業
日本政府は海洋進出を強める中国を念頭に護衛艦8隻輸出が噂されているインドネシアと外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開催、予想通り両国が防衛装備品・技術移転協定に署名して護衛艦に向けた環境整備を着々と進めているのだが、日本が提案すると見られる「もがみ型護衛艦(30FFM)」の競合相手が判明した。
インドネシア海軍が調達予定のフリゲート艦受注で日本が競合するのはオランダ、イタリア、英国に拠点を置く3つの企業だ。

出典:public domain インドネシア海軍のマルタディナタ級フリゲート
オランダの拠点を置くダーメン・グループはインドネシア海軍に採用実績のあるマルタディナタ級フリゲート(2,365トン)の改良型を提案しており、イタリアに拠点を置くフィンカンティエリは米海軍採用を勝ち取った実績を持つカルロ・ベルガミーニ級フリゲート(約5,500トン)を提案しており非常に手強い競合相手だ。
英国に拠点を置くバブコックはクイーン・エリザベス級空母の開発を主導したことでも有名で、同社はデンマーク海軍が採用したアイヴァー・ヒュイトフェルト級フリゲートの派生型「Arrowhead140(約6,000トン)」を提案しており、この設計は非常に柔軟性が高く英海軍も31型フリゲートの設計に採用している。

出典:public domain カルロ・ベルガミーニ級フリゲート
要するに日本は海外市場で実績十分な欧米企業相手にインドネシア海軍のフリゲート艦需要を争うという意味で、正面からぶつかれば海外輸出の経験が少ない日本は苦しい戦いを強いられるだろう。
ただ非常に興味深いのは4ヶ国が提案している設計プランが基本排水量2,000トンクラス、3,000トンクラス、5,000トン~6,000クラスとバラバラな点で、能力的にも個艦防空対応と艦隊防空対応にくっきりと別れており、誰が受注に近いのか予想するにはインドネシア海軍が何を求めているのかが重要になってくる。
インドネシアが今回調達するフリゲート艦は老朽化したアフマドヤニ級フリゲート(2,200トン)を更新するためなので大きさや能力的にはオランダ案や日本案のほうが受注に近いと言えるのだが、インドネシアの国営造船企業「PT PAL」はドイツのMTG MarinetechnikとトルコのFIGESにArrowhead140の設計を海軍の要求に沿ったものにカスタマイズするよう依頼したと英国のジェーンズが報じており、これが事実ならインドネシア海軍はアフマドヤニ級フリゲートの後継艦に大型艦で能力の高いものを望んでいるという意味だ。

出典:Public Domain アイヴァー・ヒュイトフェルト級フリゲート
インドネシア海軍は中国が主張する九段線と自国の排他的経済水域が重複するナトゥナ諸島周辺海域の防衛力強化に乗り出しており、アフマドヤニ級フリゲート以上の個艦防空や外洋での凌波性を求めていたとしても不思議ではなく、そうなると5,000トン~6,000クラスの設計案を提案したイタリアや英国の方が受注に近いのかもしれない。
しかし日本の「もがみ型護衛艦(30FFM)」は良くも悪くも提案された設計の中で中間サイズに相当するためどちらに転んだとしても対応できる可能性を残しているが、日本案にも同艦が装備する米国製のSeaRAMやMk.41を第三国に輸出する許可がとれるのか、インドネシア海軍の艦艇が採用するオランダ製の戦闘管理システム「UniMACs 3000」、フランス製の艦対艦ミサイル「エグゾセ」や艦対空ミサイル「VL MICA」を統合して欲しいと要求された時に対応できるのかなど不安要素がある。

出典:Hunini / CC BY-SA 4.0
特に日本にとっては鬼門と言える技術移転や現地建造にどこまで対応できるか未知数で、輸出経験の少ない日本にとってはどうしようもない「経験」や「ノウハウ」の部分はチャレンジするしか手がないが、もしインドネシア海軍がイタリア案や英国案に関心を示しているなら最も受注の可能性が低いオランダを取り込んで日本に不足する部分をダーメン・グループに補ってもらうという方法もなくはない。
あとは防衛装備品を売り込む際によく用いられる手法を真似て「日本政府が導入費用の大部分を低金利で融資する」などの条件をつければ良い勝負に持ち込めるのではないだろうか?
今回はオーストラリアの潜水艦受注戦以降初となる本格的な競争入札なので結果も重要だが、それ以上に日本の防衛産業界が貴重な経験を積んでひと回りもふた回りもタフになることを願っている。
関連記事:海自、もがみ型護衛艦のシステム開発を担う「システムインテグレーションセンター」を開設
関連記事:護衛艦輸出を推進する日本、インドネシアと防衛装備品・技術移転協定を締結
告知:軍事関係や安全保障に関するニュースが急増して伝えきれない=記事化が追いつかないためTwitterの方でも情報を発信します。興味のある方は@grandfleet_infoをフォローしてチェックしてみてください。
※アイキャッチ画像の出典:海上自衛隊
まずは相手の腹を正確に探り出す、組むのはオランダでいいのか、イタリアやイギリスじゃダメなのか、低利融資までやるのか
単純な製品アピールよりも売れる環境作りからね
ろくにカネもってない相手にやみくもにセールスしても通じないから
輸出の実積作りをするのに必死なのだろうけれど相手は選んだ方がいい。
かの国は護衛艦の代金が椰子油になる可能性だってある。
また同じ繰り返しですか、成長しませんね。
これは経験値を積むのが目的ととれば、失敗しても学びが得られますから損はしませんよ。
もともとワンチャンスあるかどうかの話なんだから
高い勉強代を払って良い遅言う奴ってそれが、回り回って誰が払うのかってとかは考えるべきじゃ無いのか?損はしないというのは将来的に国内製造も含めて採算ベースにうまく載せられたらの話で、現状の日本でそれをやる気があるのか本気度っていまいち見えてこない。
国防メーカー関連では採算取れている会社の会社紹介、一般人向けのプレゼンで特機部門だけ本当に腫れ物に触るような扱いで笑えたわ。胸を張って紹介出来るような事業でも無いし輸出に関しては許可や使われ方も考えないといけないなら、もう少しハードル低い方から経験値考えても良いだろうに。
勉強はただではないから
それに採算とる前から勝手に赤字確定してる根拠もな、
安定した商売なんて世界のどこにあるのかい
インドネシアでの個人的経験を拡張しすぎてませんか
他人を信じすぎてはいけないのは、どこの国相手でも同じですよ
アメリカとのF15改修のくだりでも読み直してな
日本語滅茶苦茶です。
韓国の武器輸出も、採算性から見るとあまり羨ましいものというものじゃないみたいですが、それでも彼らはドンドン経験と実績を積み上げてます。
日本もやらざるを得ないでしょう。
「同じ繰り返し」とは何ぞや?
日本ODAと絡めて交渉すればいい
バブコックはこのブログの韓国潜水艦記事で3000tの設計で見たような。
そこまでやる相手なら厳しいかも。
ただ今の時期は経験値積むのが大事だと思うので頑張って欲しい。
潜水艦輸出には技術流出を本当に心配し、日本政府の無知な売り込みに呆れた。アメリカがあれもこれも、最新兵器を高値で輸出しても、核と潜水艦だけは売らない。
原子力技術もあるが、どちらも最大の抑止力効果がある。今回のもがみ型輸出が本来、最初にする日本の営業活動で、技術的に流出しても他国と同等程度、弱小国相手にするなら、ベース価格とオプションの価格をわかり易く説明でき、初めから高額な利益を望まないように。
薄利多売でもいいから、日本製を使ってもらい、販売実績を作る事が重要。韓国をも振り回すインドネシアを相手にするなら、戦略戦術をよく考えないといけない。
本当に軍事産業を育てる気概があるのか、お見積り産業で終るのか、今後の日本に注力したい。
アメリカはね…核は兎も角、通常動力潜水艦はここ半世紀程建造さえしていないから技術が散逸していて、輸出したくても出来ないのよ
最上の競争相手だな、もがみの相手だけに
ネタの繰り返しはシベリア送り
まだ凍結してるから冬服でな
微妙に優しい
優しくすれば痛みは倍増
生かさず殺さず…か
本人なのかパクリなのか
そのまんまでワロタw
40過ぎると前に書いたの忘れちゃうからね 優しく
山田くーん、ベリヤを呼んできて~
Tシャツ1枚でお願いします。
インドネシア自身も、自分たちがどんな船を欲してる(必要としてる)のかわかってないのかもしれない
だから提案される船の規模や性能がばらけてるんだと思う
そうでもないと、ある程度色々な大きさや性能の船を提示できる欧州企業が提示する船がばらけるはずもないし
まだネシアの本音を読めないからアレコレ展示して探りを入れてるだけでは。
もう少し話が進めば本命を押してくるだろうよ
韓国の209型蹴ってトルコの214型欲しがった件とか見るに
とにかくデカくて新しいやつ欲しい的な感じで
海軍としての総合的なバランスとかなんも考えてないように見える…
これも船体や性能がどうこうの前にそれ以外のオプションどんだけ盛れるかって話になりそう
日本製の護衛艦って、日本が採用しているシステムをすべて使用するのが前提で、船体がどこどこ、レーダーが別の国、FCSはさらに別の国、機関が…とか言い出したら、スパースが合わない、電力がとか言い出したら再設計で、事実上別の船になるのでは?
それをちゃんとインテグレートできる能力があればいいですけどね。また完成後のアフターサービスまでカネをとれるのでしたら御の字ですが、保証だ、何だと言われてやっていたら、とんでもないお荷物案件になる悪寒も。
別の船でしょうな。
だからこそ1番艦は日本国内で建造しなければばらない。
インテグレートも含めて「現実的に作れる」範囲を見極めるために。
そういう問題もありまして、大型装備の輸出は果たして労力に見会うのか疑問に思っています
>あとは防衛装備品を売り込む際によく用いられる手法を真似て「日本政府が導入費用の大部分を低金利で融資する」などの条件をつければ
インドネシアで低利融資というと、中国にひっくり返された新幹線を思い出す。
中国は債務保証を求めない条件提示して日本に競り勝ったが、受注後に債務保証を求めてきたと報道があって。
ウソ提案でも、受注してしまえば勝ちみたいなところがありますよね。
提案の本筋をキチンと整えるのは当然として、本筋以外の対策も色々考えないとなーと、思います。
実際もがみって性能的に見て世界的にどんなもんなの?
セル数少なくね?と思ったりするんだが
船体規模に見合わない数のVLSを設置しても艦の安定性を損なうし、
そのVLSに詰めるミサイルが買えなくては宝の持ち腐れですからね。
そんな艦を実際に運用している国があった気もしますが。
16セル搭載するだけの説と
中国海軍が自衛艦のセル数を大幅に上回り
それに対抗するためとネットワークを活用しつつ
今開発中の新型長距離対空ミサイルを搭載して
32セル搭載する説があるがどうだろう?
戦闘艦と比べると哨戒任務に目一杯回せる位低燃費で省人化もされてる、危険海域に護衛無しで掃海に向かわせられる掃海艦艇、いざとなったら機雷戦にも投入可能な16セルのVLSを持った戦闘艦って考えてみたらあるいは?
16セルと言ってもSea-RAMも積んでるし勿論ESSM積むならクアッドパック化してるだろうからセル数の少なさは思ってたよりも気にならないようにも思う
もっとポジティブに考えるなら、本邦でも最重要である対潜網の構築にも新型のマルチスタティックソナーにより参加可能な能力も持ってて将来CECにて誘導可能な艦隊防空用の艦隊空誘導弾の搭載艦としても活用されるようになる可能性がある船
後単純に足は速い(大体他の国は26~27kt位
最上自体の火力が高いかと言えばそうではないけど、そもそも要求されている性能がそうだからそうしてる、って感じだからね
逆に言えば求めるなら柔軟に応えられますよって艦で、セルの数とかもその他の装備も結構変えられたはず
3000tクラスってどれだ?基準排水量と満載排水量ごっちゃになってね?
もがみ型FFMは満載で5500tクラスで日英伊は大して変わらんよ。
そこは管理人さん自身に「総括」していただこう。
インドネシア相手に受注を勝ち取ってほしいとは思わないんだが、じゃあ入札に参加するなとも思っていない複雑な心境
とにかくそう言うガチな案件に参加して経験積まないと始まらないからね
勝たなくてもいいから関わって利益になればいい
管理人の言うように他国と組むのもありだよ
中古艦の譲渡さえ出来ないのに、輸出なんか出来るのかな?
日本の護衛艦はミサイル戦闘システム機関砲システム主砲機関部センサー等々多くの国のキメラ艦艇だからなぁ
輸出するには中々苦労するよね
日本には、造れない物が多すぎる
別に日本に限った話でもなくて西側の水上艦艇って大体キメラ艦艇では?
GEのガスタービンエンジン、タレスのレーダーやらソナー、オートメラーラの砲、MBDAやレイセオンのミサイル、VLSはmk41かシルヴァーのどっちか、後はBAEシステムズ辺りの装備?
大体この辺のキメラ+自国製のシステムや兵装だと思うけど
ディーゼルだと大体ドイツのMTU製だしなぁ、ミサイルもフランスのエグゾセとか。
国産で固めてるの、中国くらい?
いや、中国だって…
ぶっちゃけ米国の次期フリゲートであるコンステレーション級もバリバリキメラだし・・・
なのでキメラだからどうこうって話がそもそも観点としてはずれてると思うんだよね
どこの国もみんなキメラ艦艇ばっかりだけど輸出をしている、という状況がある以上はキメラがどうこうって話は輸出するにあたっての根本の課題とは微妙に逸れてると思うんよ
UAVの物量攻撃が予想されてるのに発射速度が遅い5インチ砲で大丈夫なのかという根本的な問題があるよね。まだ米軍が研究中のレーザー兵器がインドネシアまで降りてくるまで何十年かかるのかを考えると艦砲の対空性能というのも必須条件ではないだろうか。一発一億円のSeaRAMぶっ放して平然とできる予算規模じゃないだろうし。
もがみ型の推進方式はCODAGで、これは減速機だかの構造が複雑って話を見た覚えがあるけど、推進方式はそのままいくんだろうか?
当の日本ですらもがみ型でしか使ってないような方式だから、ネシアに運用実績があるとは思えないけど、別の方式に変えたりするのかな