日本関連

進む米軍と自衛隊の一体運用、日米がF-35A運用で得た経験や教訓を共有

米空軍のヒル空軍基地に駐屯する第388メンテナンス中隊(第388戦闘航空団)の隊員8名は、航空自衛隊とF-35Aのメンテンナスについて意見の交換を行うため日本を訪れた。

参考:US, Japanese F-35 Airmen Collaborate for Maintenance Symposium

日米はF-35Aのメンテナンスについて意見交換を行う

今回の日米メンテナンスチームによる意見の交換について米第5空軍のクルゼルニック最上級曹長は「F-35Aの運用はまだまだ始まったばかりで、米軍と日本が同機のメンテナンスで得た経験や教訓を交換しあい、地上レベルでの相互運用性を共に成長させるには絶好の機会だ」と語った。

第388メンテナンス中隊のマイケル・マイルズ大佐は、あらゆるレベルで相互運用性を高めるよう設計されたF-35は、他の戦闘機とは全く異なる次元で協力することを可能で、日米がそれぞれ学んだ教訓を共有することで互いのメンテナンスパフォーマンスを向上させることが出来ると語った。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Andrew D. Sarver

米第5空軍のシュナイダー司令官は、この取り組みは単純に両軍がF-35Aのメンテナンスについてアイデア、技術、手順などを共有するだけに留まるのではなく、有事が発生した際、両軍のF-35Aはシームレスに統合・運用され、あらゆる敵に対して圧倒的な航空戦力を提供するという戦略的目標を達成するものだと語った。

要するに、多くの国が導入しているF-35Aの仕様は、導入国ごとに異なる仕様ではなく完全に統一されているため、必要になれば両軍のF-35Aは何の問題もなく一つになれる=日米両軍の高度な相互運用がシームレスに行えることを意味している。

ただし米空軍視点で見れば、同盟国にF-35Aを輸出することは世界中に同機のメンテンナス拠点を持つという意味であり、マイルズ大佐も最終的にF-35A導入国は互いにF-35Aをメンテナンスしあい、互いのF-35Aに弾薬や燃料を補給しあえる場所になると言っており、こうなることで最も恩恵を受けるのは、世界中に展開する「必要」がある米軍だけだ。

ただ、西側陣営(に参加している国)の安全保障は米国の軍事力抜きには成立しないという現実的問題が存在するため、反発するより、素直に受け入れたほうが有益だが、米国を軸として同盟国との相互運用が深化すればするほど国防に関する自主性が失われていくのは間違いない。

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Alexander Cook

世界中から発注が殺到するF-16V、 ギリシャもV仕様へのアップグレードを84機分発注前のページ

ロシアで2020年代に登場する次世代機、PAK DA、MiG-36、MiG-41、SU-60、Yak-150次のページ

関連記事

  1. 日本関連

    海自が検討を進めている滞空型UAV、調達性を優先すればトルコ製やイスラエル製も候補に

    海上自衛隊が導入を検討している滞空型UAVが仮にMQ-9だった場合、競…

  2. 日本関連

    日本の次期戦闘機「F-X」開発支援、ロッキードはノースロップと共同で

    岸防衛相は5日、戦闘機F-2の後継機として開発を予定している次期戦闘機…

  3. 日本関連

    米海兵隊、今年11月に海兵隊所属のF-35Bが護衛艦いずもから飛行すると明かす

    米海兵隊総司令官のデビッド・バーガー大将は1日、11月中に海兵隊のF-…

  4. 日本関連

    日本政府が国産巡航ミサイルの1,000発以上保有を検討中、中国との格差を埋める

    読売新聞は21日、日本政府は中国とのミサイルギャップを埋めるため1,0…

  5. 日本関連

    英国主導のテンペスト参加に傾く日本へ圧力? 日本の次期戦闘機「F-3」を巡る米英の戦い

    米メディアは、日本が英国が主導する「テンペスト」プログラム参加に傾いて…

コメント

    • 全てF-35B
    • 2020年 1月 04日

    確かにその通りで、アメリカに逆らえば、突然機能停止もあり得る。
    だからこそ、たとえ費用が掛ろうが、性能が劣ろうが、純国産の戦闘機が必要なのだ。
    F-3が上手く行ったら、全部F-35Bに組替えてもいい位だ。
    垂直離着陸機は、F-35B以外に代わりが無いからな。

      • 匿名
      • 2020年 1月 04日

      F-3の、特に初期ブロックの実装性能如何ではF-35Aも必要かと。F-3で制空し、F-35Aが爆撃する役割分担で
      とはいえ、あまりにF-35を増やしてしまうとF-3導入の障害となるので、現時点でのF-34A導入予定数程度が調度良いのかも。
      F-35Bは、海自空母や離島空港などでの分散運用次第ではもっと必要になるかもしれませんが。まあ海自空母次第では、F-35C導入という3機種コンプリートのミラクルが有るかもしれませんけど

    • 匿名
    • 2020年 1月 04日

    自立性と独自性を履き違えてるね
    戦略無き独自性なんてただの孤立主義

    • 匿名
    • 2020年 1月 05日

    まるで、アメリカの一人勝ちで日本がただ損だみたいに記事を書いていますが。

    良い方向か悪い方向かはともかく様々な面で得るモノは有ると思います。
    経験とそれを元にした知識は双方にとって得難いモノです。それらは、F2後継機開発にも役立つでしょう。
    こっちのやり方はこうあちらさんはこうという具合でお互いに学びレベルアップの機会とすべきです。
    後はやり方次第、今後に期待です。

    • 匿名
    • 2020年 1月 05日

    まるで、アメリカの一人勝ちで日本がただ損だみたいに記事を書いていますが。

    良い方向か悪い方向かはともかく様々な面で得るモノは有ると思います。
    経験とそれを元にした知識は双方にとって得難いモノです。それらは、F2後継機開発にも役立つでしょう。
    こっちのやり方はこうあちらさんはこうという具合でお互いに学びレベルアップの機会とすべきです。
    後はやり方次第、今後に期待です。

    それとアメリカに逆らえばいきなり壊れてるみたいに思ってる人がいますけどイランのF14みたいにあの手この手で一応は動かせます。ただし全く車検も部品の交換もしてない自動車状態になるのでいずれ壊れたり、事故の原因にはなりますけど(汗)

    • 匿名
    • 2020年 9月 27日

    韓国さんは仲間に入れず涙目ww

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  2. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
  3. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  4. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  5. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
PAGE TOP