ロシア関連

ロシアで2020年代に登場する次世代機、PAK DA、MiG-36、MiG-41、SU-60、Yak-150

米国の「Military Watch Magazine」は、今後10年以内に登場するかもしれないロシアの次世代航空機を5つ挙げている。

参考:Five Next Generation Russian Combat Jets We Will See in the 2020s: From MiG-41 Hypersonic Interceptors to PAK DA Stealth Bombers

ソ連崩壊のロシアでは新型機開発への投資を控え、既存の航空機を近代化することに全力を傾けてきた結果、SU-35、MiG-29SMT、MiG-35などの第4.5世代戦闘機や、MiG-31を改造することで極超音速ミサイル「KH-47M2 Kinzhal(キンジャル)」の運用能力を付与し迎撃戦闘機からマルチロール機へと変貌したMiG-31K、超音速爆撃機Tu-22Mの性能を大幅にアップグレードしたTu-22M3Mが誕生した。

ロシアは旧式化した既存機の改修と整理に目処がついたので、今後は新型機の開発に力を入れてくるはずだ。

米国の「Military Watch Magazine」は、2020年代に登場する可能性の高いロシアの次世代機に、PAK DA、MiG-36、MiG-41、Su-60、Yak-150の5機種を挙げた。

ステルス爆撃機「PAK DA」

PAK DAは米国のステルス爆撃機「B-21 レイダー」や中国のステルス爆撃機「H-20」に対抗するべき存在で、可変翼爆撃機Tu-160Mの正当な後継機だ。

画像の出典:ロシア国防省 PAK DAのコンセプトイラスト

この機体は「超音速飛行」よりも「ステルス性能」を重視した設計で、無給油で約1万2,000kmの航続距離を持ち、最大7,000kmの射程を持つミサイルを搭載すると言われているが、機体の仕様や性能については不明な部分が多く、ロシアが開発している航空機のなかでも最上級にミステリアスな機体だ。

ロシアでは爆撃機のことを「Missile aircraft carrier(ミサイル空母=母機という意味)」と呼んでおり、当然「PAK DA」も巡航ミサイルや極超音速ミサイルの発射母機として活用することが予想されるが、既存の爆撃機はステルス機ではなかったので、本機はより強力で恐ろしい存在となるだろう。

PAK DAの試作機は2021年頃に完成し、2025年前後にテスト飛行を実施し、2027年までに部隊で運用が始まると報じられている。

ロシアとUAEが共同開発中の次世代戦闘機「MiG-36」

MiG-36という名称は正式なものではなく「Military Watch Magazine」が独自に付けた名前で、これはロシアとアラブ首長国連邦(UAE)が共同開発を行っている機体を指している。

出典:Alexandr Ermakov / CC BY-SA 4.0 MiG-35

ロシアとUAEは2017年、UAE空軍向けの次世代機を共同開発することで合意、2025年以降の登場を目指し開発が進められているとしか発表されていないが、この機体はロシアの既存機をUAE空軍向けに改修したものではなく、MiG-35かSU-35をベースにSU-57に搭載するため開発された「izdeliye 30」を装備した単発機になると噂されており、AESAレーダー、3次元推力偏向ノズル、指向性赤外線妨害装置、AESA式のシーカーを搭載した空対空ミサイル「K-77M」や極超音速空対空ミサイル「R-37M」などが統合されるらしい。

この機体は低観測性を重視することになっているが、完全なステルス機なのか、SU-57のように限定的なステルス性能しかもっていないのかは正直、よく分かっていないが、機体構成を考えると単発機のF-35に似た戦闘機を目標にしている可能性が高い。

信じられないような性能を実現するステルス迎撃機「MiG-41」

MiG-41は、MiG-31の後継機となる長距離ステルス迎撃機で、速度は極超音速(マッハ5.0以上)に達し、MiG-25よりも高高度=宇宙空間に近い場所を飛行することができるため敵の軍事衛星や宇宙船を脅かすことができると言われているが、あまりにも性能がSF過ぎて空想の産物である可能性も否定できない。

出典:Attribution: Vitaly V. Kuzmin / CC BY-SA 4.0 MiG-31BM

ロイヤル・ユナイテッド・サービス研究所の戦闘機専門家ジャスティン・ブロンク氏は「量産不可能なコンセプトの飛行機が、今すぐに量産されることはない」という見方を示しているが、ロシアはMiG-41を2020年代中に空軍へ引き渡せると主張している。

ステルス戦闘機「SU-57」の発展型は「SU-60」?

SU-60という名称は正式なものではなく「Military Watch Magazine」が独自に付けた名前で、これはSU-57の発展型を指している。

出典:Attribution: Dmitry Zherdin / CC BY-SA 3.0 SU-57

ロシアは第5世代戦闘機SU-57の量産を開始したが、このSU-57開発プログラムは長期的な投資対象として位置づけられており、これはSU-27のように様々な改良が施された派生型が生まれてくることを意味しているため、今後登場するスーパーSU-57は、SU-27(SU-30→SU-34→SU-35→SU-39)の例を考えると名称が変更され「SU-60」になる可能性があるという話だ。

要するにSU-57は、ロシアの戦闘機開発における基本的なプラットホームになり、用途や任務に応じて変更が加えられた機体が次々と出てくるという意味で、米国のデジタル・センチュリーシリーズ構想を先に体現するかもしれない存在になるかもしれない。

伝説の垂直着陸機「Yak-141」が復活し「Yak-150」開発が進行中

Yak-150という名称は正式なものではなく「Military Watch Magazine」が独自に付けた名前で、ソ連崩壊に伴う経済危機の煽りで開発中止に追い込まれた垂直着陸が可能な戦闘機「Yak-141」の後続プログラムの機体を指している。

出典:Wal Nelowkin / CC BY-SA 4.0 Yak-141

ロシアは2018年、戦闘機「Yak-141」開発プログラムが再開され、現在開発が進行中であると報じられており、この機体は2020年に建造が予定されている強襲揚陸艦(2万トンから3万トン前後)に搭載され、軽空母として運用されるだろう。

当然、現在開発中のYak-150は、Yak-141よりも進んだ技術が適用されるためAESAレーダーや極超音速ミサイルなどを搭載することが期待されており、もしYak-150が完成すれば、喉から手が出るほど中国が欲しがるのは目に見えている。

以上の5機種が2020年代に登場するかもしれないロシアの次世代航空機達だが、あくまでも想像の範疇でしかないため確定している存在ではない。

SU-57の発展型などは非常に実現性が高いと思うが、MiG-41などは映画から飛び出したような話でにわかには信じがたいく、Yak-150に至ってはもはやロマンの塊だ。

10年後、本当に実用化されている機体は一体どれだろうか?

 

※アイキャッチの出典:Michail / stock.adobe.com

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 1月 04日

    夢が広まりまくりんぐだな。
    Mig36は写真の通りならお得意の角型インテーク採用だからステルスではないが、昔のF-16のようなローエンドを狙っているのだろう。
    一番の脅威はステルス爆撃機「PAK DA」だろう、無尾翼機は安定性に問題は有るが空力性能は最高で最近の爆撃機のトレンドに沿っている、割り切って安定性に有効な翼端のウイングレットを付けるところはさすがにロシア。
    しかし最近のロシア機は薄くなる一方で以前の迫力が感じられない。
    ロシアはアメリカのように兵器産業のボッタクリが無いのが大きな強みだと思う。
    日本はNGFの改良バージョンとしてSTOL機を作ってほしい、大型の二段フラップと前縁スラットで発艦時の揚力を最大化してベクタードノズルでF-35Bのようにバランスを取ってXF9-1の出力で無理やり飛ばせばスキージャンプは不要になる、着艦速度も下げられるので自動着艦装置と組み合わせれば短い飛行甲板でも降りることが出来る。

      • 全てF-35B
      • 2020年 1月 04日

      ハードよりも制御ソフトの方が難しそう。

      • 匿名
      • 2020年 1月 04日

      >Mig36は写真の通りならお得意の角型インテーク採用だからステルスではない

      この記事の写真だと、現行機のMiG-35かと。
      冒頭リンク先MiG-36 (?)のイラストだと、松本零士風宇宙戦闘機﹙LERXの上側&コックピット斜め後のインテーク形状からの連想﹚にステルス風味を加えた感じ。
      垂直尾翼がデカ過ぎるのが難点ですが。

      >割り切って安定性に有効な翼端のウイングレットを付けるところはさすがにロシア。

      単なる印象ですが、該当ウイングレットは大きく&主翼に直交気味で、ステルス的には無尾翼機にするメリットを放棄している様に見えました。
      あれだとV字尾翼にしてもRCS的には大差無さそうな気がします。

      >しかし最近のロシア機は薄くなる一方で以前の迫力が感じられない。

      冒頭リンク先の元記事イラストだと、迫力があるか否かは意見別れるかもしれませんが、
      MiG-41が今時機首インテークで、でもエッジマネジメントは気にしていそうで、興味深いスタイルです。

      • 匿名
      • 2020年 1月 05日

      >ロシアはアメリカのように兵器産業のボッタクリが無いのが大きな強み
      なお、機体寿命を迎える前に何度もエンジン交換が発生する模様

        • 匿名
        • 2020年 1月 06日

        本体は客寄せ用に格安で販売して、頻繁に交換が必要なインク代を高額に設定して結果ボッタクるという、昨今のプリンタみたいなセコイ商法やってるんですねロシア。

        • 匿名
        • 2020年 6月 19日

        その代わりエンジン単価も安く
        メンテも交換なので設備が乏しい国地域でも運用可能、というメリット有り

    • 匿名
    • 2020年 1月 04日

    Su-39はSu-27とまったく関係ないでしょ。Su-37かなにかと勘違いしているのでは。

      • 匿名
      • 2020年 1月 04日

      Su-25の改良型ですね
      試作機4機が作られるも高価として量産されず、Su-25の改良とSu-34で更新されたとか

    • 匿名
    • 2020年 1月 04日

    Yak-150一択だな。
    他は、替えが効く。

    • 匿名
    • 2020年 1月 04日

    航空母艦か支援機の撃墜能力ばかり喧伝されるあたり、もう空対空では大して脅威にはならないんでしょうなぁ

    • 匿名
    • 2020年 1月 04日

    おロシアはカネが無い
    GDPは韓国(約1.72兆ドル ※)より少ない 1.65兆ドル(約165兆円)、日本(4.97兆ドル)の25%、アメリカは20.5兆ドル、中国は13.3兆ドル(2018年の数字)
    まあ、軍事費につぎ込んでるカネは日本(約450億ドル)の1・5倍、公称で660億ドル・・・だけど、全部の開発は無理よね
     ちなみに、アメリカは6,000億ドル、中国は2,300億ドル(公称ね)。
     現実になりそうなのは、パトロンがついてる「MiG-36」ぐらいかな?

    ※ 2014年以降、韓国が発表してる数字はGNP(国民総生産)で、例えば、ベトナムのサムスンのスマホ工場の数字も入ってる、GDP(国内総生産)は、この数字の2/3ぐらいで、ロシア以下で、1.1兆ドルのインドネシアぐらい?  なお、GDP(購買力平価)は東京都:1.5兆ドル、ニューヨーク:1.1兆ドル

      • 匿名
      • 2020年 1月 05日

      そのGDPの数値がロシアの場合はルーブル→ドルに換算してからのものだってのは織り込んでるか?
      ロシアの経済はほとんど自己完結してるため物価が安いしGDPを図ろうにも一度ドルに換えないといけないんだよ
      そのせいで為替レートによってGDPが変動する
      そのことを理解しないで盲目にロシアは韓国以下って言ってるんじゃないだろうな?
      実態のロシア経済はもっと強いぞ

        • 匿名
        • 2020年 1月 05日

        >実態のロシア経済はもっと強いぞ
        そういう数字を提示したら?

        • 匿名
        • 2020年 10月 14日

        ロシア経済の強さの判断基準にはならないが、いまもロシアには強固な”地下経済”(簿外決済)がある。
        それを含むと、本来の経済規模は公式より大きいと考えてよいだろうと思う。

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