軍事的雑学

手に負えないコストが襲いかかる、米国にとって「最悪」な5つの兵器開発計画

Business Insiderが、米国とって最悪の兵器プロジェクトを5つ選定し発表した。

参考:Here are 5 of the worst weapons projects the US military has in the works

177兆円の値札がぶら下がるF-35プログラム

1つ目は、 F-35ライトニングIIだ。

出典:public domain

大統領選当時のトランプ氏は「F-35プログラムのコストは手に負えない」と話したことがある。

ブルームバーグによれば、人類史上で最も高価な兵器開発計画の、最終的な費用は1兆1,960億ドル(約129兆円)まで増加する可能性があると、国防総省の関係者の話を引用して報じた。

最終的な費用とは、米軍(空軍、海軍、海兵隊)がF-35を取得するための費用ではなく、取得したF-35を60年以上運用・維持するのに掛かる費用のことだ。

米軍のF-35取得(計2,443機)にかかる費用も、5.5%上昇(約220億ドル)し、総額4284億ドル(約48兆円)になると予測している。

ここまで価格が膨らんだのは、開発の遅れや、製造コストの高騰などと言う理由ではなく、開発中のソフトウェア「ブロック4」開発費用を、総費用に反映させた結果だと国防総省は説明した。

今後も、F-35のソフトウェア改良は続いて行くと見られ、そのコストが反映され続ければ、F-35の総費用は今後も上昇を続けていくことになる。

現時点で、米国のF-35プラグラムには、1兆6000億ドル(約177兆円)を超える値札がぶら下がっている。

あと何回、値札の価格が書き換えられれば、最終的な支払い額がわかるのか誰にも分かっていない。

散々な評価のズムウォルト級ミサイル駆逐艦

2つ目は、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦だ。

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この艦は、イージスシステムを備えた「アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦」の後継として開発され、海軍は数千億ドルもの投資を行ってきたが、結果は無残だ。

130km以上の射程を持つ155mm先進砲システム(Advanced Gun System, AGS)は、非常に高価で、1回の長距離対地攻撃用砲弾は100万ドル(約1億円)もする。この高価な砲弾を、1分間に10発(約10億円)も叩き込む散財砲に存在価値はなく、そもそも2年前に、この高価な砲弾自体の調達を中止している。

ズムウォルト級ミサイル駆逐艦に2基搭載された155mm砲は、特殊な長距離対地攻撃用砲弾に合わせた専用設計のため、通常砲弾を発射することが出来ず、再び費用を掛けて通常弾頭が発射できるように改修するか、一般的な、127mm砲に載せ替えをしない限り、ただの飾りだ。

もっとも最悪なのが、高価なこの艦のコストを少しでも削減のため、ズムウォルト級3番艦は、甲板上部建造物を複合材料ではなく鋼鉄製に変更し、電子システムを単純なボルト固定にしてしまったため、特徴だったステルス性が大きく損なわれている。

米国での、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦の評価は散々なもので、155mm砲は機能せず、対潜、対空戦闘能力は、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦よりも劣っていて、最大の特徴であるステルス性は、アピールされているより役に立たないと言われている。

既に、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦の建造は打ち切りが決まっていて、その穴を埋めるのは、結局、31ノット・バーク頼みというお粗末さだ。

コンセプト倒れの沿海域戦闘艦

3つ目は、沿海域戦闘艦だ。

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海軍は、高価なアーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦や、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦を、沿岸海域に近づけるリスクを嫌い、小型で高速、ミッションモジュールを入れ替えることで任務の多様性に対応できる、安価な戦闘艦を開発しようとした。

その結果、出来上たったのが、沿海域戦闘艦(Littoral Combat Ship)だ。

コスト超過、スケジュールの遅延、思うように開発が進まないミッションモジュールなど、多くの問題を抱えているが、特に深刻なのは、ミッションモジュール開発で、一番開発が進んでいる対潜モジュールでさえ、開発の進捗率は70%台で、とても戦闘任務に就ける状態ではない。

しかも、中国海軍の台頭、ロシア海軍の復活など状況の変化によって、現在、米海軍が必要としている艦は、沿海域戦闘艦ではなく、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦のような高性能な艦だ。

これは、外洋域から沿海域へとドクトリン(戦闘教義)を変更した、1991年の海軍白書が、もはや時代に合っていことを意味している。

沿海域戦闘艦も、ズムウォルト級ミサイル駆逐艦と同じく建造打ち切りが決定しており、現在、新しく小型水上戦闘艦(SSC)の開発を進めている。

1兆4000億円を超える空母ジェラルド・R・フォード

4つ目は、ジェラルド・R・フォード級空母だ。

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ジェラルド・R・フォード級空母の1番艦の建造費は、当初51億ドルで、それが80億ドルに増え、艦体は完成しているのに、「電磁式航空機発射システム(EMALS)」や、「新型着艦制動装置“Advanced Arresting Gear”(AAG)」、「先進型兵器エレベーター“Advanced Weapons Elevators”(AWE)」の開発遅延のおかげで、実戦任務への投入が2年遅れ、2019年1月時点での建造費用は130億ドル(約1兆4000億円)を越えた。

ここまで建造費用が膨れ上がった原因は以下の通りだ。

電磁式航空機発射システムは、異なる機種、任務によって異なる兵装を搭載した艦載機を、どれ位のパワーで、どの程度の加速率で、発射すれば機体にどの程度の負荷がかかるのかデータが不足しているため、未だに調整中で、システム自体の不具合も完全潰しきれておらず、未だに不具合の報告が上がってくる。

新型着艦制動装置は、従来の油圧式ではなく、電磁気と水圧でアレスティング・ワイヤーの制動を行うが、故障率が異常に高く、発艦効率を高められる「電磁式航空機発射システム」で、多くの艦載機を発艦させても、着艦させることが出来ない。

4日間連続で、故障をせず艦載機を着艦させられる可能性は0.001%で、1日間、故障をせず艦載機を着艦させられる可能性は0.2%以下と言われているほど信頼性が確立されていない。

先進型兵器エレベーターは、ミサイルや爆弾を飛行甲板へ運ぶためのエレベーターを、電磁力で作動させるもので、艦の奥底にある弾薬庫から航空機の整備が行われる格納庫へ繋がるエレベーターが7基、格納庫から飛行甲板へ繋がるエレベーターが3基、計11基の兵器用エレベーターがある。

しかし、エレベーターを制御するためのソフトウェアに問題があり、正常に作動するエレベーターが一つない状態で空母「ジェラルド・R・フォード」は、2017年7月に就役したと言うから驚きだ。

2019年3月時点で、2基のエレベーターが正常に動作するようになったと報告があったが、残りの9基についての詳細は不明だ。

果たして、いつになれば、空母「ジェラルド・R・フォード」が正常に作動するようになるのか、誰も知らない。

ミサイル開発に投資した方がマシと言われるレールガン

5つ目は、レールガンだ。

レールガンの問題は、レールガン自体が軍事的に価値のある投資対象なのかを見極めず、海軍が闇雲に開発を始め、これまで時間と予算を浪費してきた。

10年以上の時間と、5億ドル以上もの投資を受けたレールガンは、未だに、既存の兵器よりも劣った代物で、様々な技術的課題をクリア出来ずにいるため、レールガンにこれ以上投資するよりも、ミサイル開発や垂直発射装置の改良に投資するほうがマシと言われている。

 

Business Insiderによれば、米軍の中でも、特に海軍の行っているプログラムは、高価で非常に問題が多く、これは必要な技術が完成する前に、プラットフォームの開発を行おうと見切り発車で、開発を進めているからだと言っている。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain

 

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コメント

    • 銀魚
    • 2019年 6月 03日

    海軍多いですね。対峙する環境が兵器開発期間より短いスパンで変化している不運もあるでしょうけど、プロジェクトを途中で止められない、上の意見に意義がでない官僚病に毒されてる気がします(日本の大企業にも多いですね)。あとプロジェクトの責任者にきちっと情報が入っていないような。
    2000年代迄は中止や発展解消プロジェクトに事欠かなかったんですけどねー。ブラウンウォーターとか言い出した辺りからおかしくなった?

    • 匿名
    • 2019年 6月 03日

    もうこれ第二のスターウォーズ計画だろ

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