軍事的雑学

米海軍、バージニア級原潜ブロックVに極超音速兵器「プロンプトストライク」を搭載

米海軍は2021会計年度予算案の中で、現在開発が進められている「Conventional Prompt Strike (CPS)」を最初に装備するのはバージニア級原子力潜水艦「ブロックV」だと明らかにした。

参考:Navy Confirms Global Strike Hypersonic Weapon Will First Deploy on Virginia Attack Subs

プロンプトストライクを最初に装備するのはバージニア級原潜「ブロックV」か?

Conventional Prompt Strike(とりあえずプロンプトストライクと呼ぶ)は、通常弾頭を搭載して地球上のあらゆる目標を1時間以内に破壊することができる極超音速兵器(極超音速滑空体を搭載したミサイル)のことで、初期運用能力を2028年に獲得することを目標に開発が進められているが、まだ実用化の目処はたっていない。

米海軍は使いみちに困っているズムウォルト級ミサイル駆逐艦にも、このプロンプトストライクを統合すると言っているが汎用規格の垂直発射システム「Mk.57 PVLS」では運用不可能で、これを撤去しなければ搭載することすら出来ないと言っている。

詳しいサイズは不明だが、もしかしたらSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)程度の大きさがあるのかもしれない。

では、なぜプロンプトストライクの運用艦にバージニア級原潜が選ばれたのか?

建造が予定されているバージニア級原潜の最新型「ブロックV」は、大きな設計変更が加えられブロックⅣとは全く異なる潜水艦に生まれ変わる予定で、もっも大きな変更点は「バージニア・ペイロード・モジュール(VPM)」を採用した点だ。

出典:public domain バージニア・ペイロード・チューブのハッチが開いた状態

ブロックⅠからⅡまではロサンゼルス級原潜と同じように水中発射型の巡航ミサイル「トマホーク」を発射するための垂直発射管(VLS)を備えていたが、ブロックⅢ以降はこれを廃止し「バージニア・ペイロード・チューブ(VPT)」を採用した。VLSは1基づつ独立したチューブにトマホークを装填していたが、VPTはトマホークを6発まとめて大口径のチューブに装填しているためサイズの異なる兵器搭載にも柔軟に対応できる。

この考え方を更に発展させたのがブロックVが搭載する「バージニア・ペイロード・モジュール(VPM)」だ。

バージニア・ペイロード・モジュールはバージニア・ペイロード・チューブよりも更に大口径化しており、ミサイルの開発における設計の自由度を引き上げると同時に、無人水中挺や無人偵察機、SEALsが使用する機材などサイズが許す限り何でも搭載できる。

要するに、ここへプロンプトストライクで開発した極超音速兵器を搭載しようという意味だ。

ただ管理人が疑問に思う点が1つある。

地球上のあらゆる目標を1時間以内に破壊することができる射程(恐らく地上配備型のみで海上・水中発射型は短射程になる見込み)を持つのなら、何も水上艦艇や潜水艦に搭載して運用する必要がないのでは?と思ってしまう。報復戦力としての核兵戦力を分散配備するのは生存性を高める点で重要だと思うのだが、プロンプトストライクは通常弾頭を搭載しているのでコストをかけてまで生存性を高める必要性が良くわからない。

将来的にプロンプトストライクで開発される極超音速兵器にも核兵器を搭載して報復戦力の一翼を担うようになるのかもしれないが、それはコロンビア級原潜の役割であり、もしバージニア級原潜ブロックVがその役割を兼ねるようになるのなら、巨額の建造費用がかかるコロンビア級原潜の建造自体が無意味なものになるだろう。

どうせ短射程になるのなら、汎用規格の垂直発射システムに収まるサイズになるまで潜水艦への搭載を先送りしても良いのではないだろうか?

参考:米海軍は戦う前に破産する? 米国、バージニア級原潜「ブロックV」は高すぎると批判

米海軍が取り組むべき課題は他にも沢山あるはずだ。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 2月 20日

    試験
    テストヘッド(より運用に近い環境での運用の確認)
    って順番がある
    コロンビア級原潜のテストヘッドってだけでは?
    日本だて、潜水艦、水上艦でも新規技術はは上の手順を踏んでます、wikiにさえその概要が書かれています

      • 匿名
      • 2020年 2月 20日

      まあ、コロンビア級搭載するの為テストだろうね
      バージニア級もそんなもの積んでたら金が

        • 匿名
        • 2020年 2月 20日

        上手く行ったら、コロンビア級を止めるのでは。
        バージニア級で兼用出来るなら、作戦が柔軟になる。

        1
    • Al
    • 2020年 2月 20日

    なんか米海軍の建艦計画が迷走を続けている印象がある。

    • 匿名
    • 2020年 2月 20日

    ペイロード・チューブのハッチに艦のエンブレムとかお絵かきしないのかな。
    大きいので見栄えがすると思うんだが

    • 匿名
    • 2020年 2月 20日

    ブースター径は88cmで二段式とか
    ヤーセン級と同じ方向性になってくんですな(大径チューブに小径ミサイル複数搭載。ミサイルサイズに合わせて本数も変化)

    • 匿名
    • 2020年 2月 20日

    ミニットマンの弾頭変更ヴァージョンっぽいやつなので潜水艦で無難かと。
    戦略潜水艦と言え早々に核兵器は使えないので巡航ミサイルより速度も破壊力も優れた装備が増えることは歓迎したい。
    地上向けにはまた新しく別のミサイルなりHVPなり装備すれば良い

    • 匿名
    • 2020年 2月 21日

    コメントを勝手にまとめると、
    ・コロンビア級のテストベッド?
    ・将来的に戦略原潜化?

    ということだが、
    ・戦略兵器削減条約の更新に伴う代替兵器開発の一環

    ってのはないもんかな。
    戦略核とそれ以外の戦略兵器を減らす都合上、B-2等の維持費がかかるステルス爆撃機の数を減らしてバージニア級にも弾道弾を搭載する。
    ミサイル防衛が発達する事を見越して、想定外の場所から射撃を行う移動基地にシフトする、といった感じ。

    • 匿名
    • 2020年 2月 22日

    潜水艦発射型が必要なのは、いくら地上発射型の射程が長くても軌道が国境を横断すると不都合なことが多いからでは?
    例えばユーラシア大陸のどこかの国を狙う時ロシアや中国の上空は絶対にまたげないわけだし、可能ならできるだけ海上を通りたいはず

    • 匿名
    • 2020年 2月 24日

    意味だ。
    意味だ。

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