軍事的雑学

極超音速ミサイル「迎撃方法」研究開始!米国、2~3年でロシアや中国に追いつく

ロシアや中国が先行する「極超音速ミサイル」開発に対し、米国は数年で追いつくと国防長官のマーク・エスパー氏が明らかにした。

参考:Pentagon awards contract for classified ‘Valkyrie’ program

極超音速ミサイルの技術的な格差をどれだけ縮められるか?

米国は、極超音速ミサイル開発において先行するロシアや中国に対し、どこまで近づけたのかという米国メディアの質問に対し、2年から3年で米国も極超音速ミサイルを作れるようになると述べた。

8月2日に失効した中距離核戦力全廃条約(INF)のおかげで、米国は射程が500km~5,500km以内の目標を攻撃することが可能な中距離ミサイルの開発・配備が可能になり、当然新しく開発される中距離ミサイルはマッハ5.0以上の極超音速ミサイルである可能性が非常に高い。

出典:public domain B-52Hに搭載されるAGM-129

そもそも中距離核戦力全廃条約(INF)とは、射程が500kmから5,500kmまで、核弾頭及び通常弾頭を搭載する「地上発射型」の弾道ミサイルと巡航ミサイルを全て破棄するというものだが、この条約では「地上配備型」に限定しているため、海上発射型や水中発射型の巡航ミサイル「トマホーク」や空中発射型の巡航ミサイル「AGM-129」は、この条約で制限を受けていない。

そのため海上や空中発射型の弾道ミサイルや巡航ミサイルを地上型に転用すれば、比較的簡単に中距離ミサイル戦力を構築できるが、ロシアや中国が極超音速ミサイルを開発・実用化(実用化しているのはロシアのみ)している以上、米国も中距離で使用できる極超音速ミサイルしてくる可能性が高いが、問題は開発にどれだけ時間が掛かるかだ。

今回の国防長官は2~3年で極超音速ミサイルを作れるようになると話したが、果たしてロシアや中国が先行する「極超音速ミサイル」の技術的な格差を、どこまで縮めることができるだろうか?

極超音速ミサイルの迎撃は可能になるのか?

米国のミサイル防衛局は、既存の防空システムでは迎撃困難と言われている「極超音速ミサイル」を迎撃するため、ロッキード・マーティンと契約し「Valkyrie(ヴァルキリー)」プログラムを始動させた。このヴァルキリープログラムは、極超音速ミサイルの脅威を阻止・破壊することが出来る能力を備えた次世代兵器と定義されていて、ロシアや中国の極超音速ミサイルを効果的に阻止するよう設計されると言う。

ミサイル防衛局は、ロッキード・マーティンだけでなく、ボーイング(HYVINTプログラム)や、レイセオン(SM3-HAWKプログラム)とも契約し、極超音速ミサイルの迎撃システムを研究させている。

このように米国は迎撃困難といわれる「極超音速ミサイル」の迎撃方法の研究に着手したが、この研究が形になるのは数年、もしくは十年単位の時間が必要になるかもしれないので、当面の対抗手段はやはり「同じ兵器」を開発・保有するしかない。

ロシアや中国が「極超音速ミサイル」の迎撃方法について研究をしているのかは謎だが、イラクや北朝鮮の核兵器を搭載できる弾道ミサイルに対応するため、従来のミサイル防衛(MD)も進めながら、極超音速ミサイルにも新しく対応することになり、米国の負担は少なくない。

恐らく基礎研究が終われば、ミサイル防衛(MD)の時のように多国間で共同開発を行う方式を取るのかもしれない、もちろん開発費の負担を少しでも軽減し、開発したシステムの販売先を確保する意味で。

果たして、極超音速ミサイルの迎撃は「現実的な費用の範囲」で迎撃可能になるのだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain B-52の翼下に懸架されたX-51

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コメント

    • 名無し
    • 2019年 9月 05日

    極超音速で飛行経路の変更が可能となると直撃は不可能だし近接信管も役に立たなくなる。
    とはいっても極超音速のミサイルは戦闘機のような高度な機動は出来ない。
    日本の対空ミサイルは指向性爆発をするからその改良型で、高性能なAESAレーダーで遠距離から探知して撃った後はミサイル自身が飛行経路を予測・判断して、先回りして撃墜するというところか。

      • 匿名
      • 2019年 9月 05日

      迎撃ミサイルの発射タイミングもあるので、探知距離を上げないと……そもそも、迎撃行動が間に合わない危険性もありますけれど。
      システムの処理速度向上も、レスポンスという意味で……あるに越した事は無い、でしょうし。
      海面とか、陸地スレスレの低空飛行で迫られる事も考慮するなら……監視の人工衛星を増やして、洩れなく発見出来るレベルで、探知速度と精度を上げる……とかが、無難な方向性なんでしょうか?
      まぁ……アイギスの目の代わりに。発見後の迎撃実務に関しては、そんな感じのミサイルに成りますかね?
      ミサイルが叩き切れるくらいの高出力レーザー兵器の類でも出て来ない限りは。

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