議会の判断で調達打ち切りを免れた無人航空機「MQ-9」の将来は不明瞭で、ジェネラル・アトミックスどのような道を選択するのだろうか?
今のところ米空軍は2つの可能性を探っており、どのみちMQ-9の調達打ち切りは避けられないだろう
米空軍は当初2021会計年度予算に9機のMQ-9調達予算を計上、2021年~2024年の間に計31機のMQ-9調達を計画していたが調達コストが高価で運用に手間のかかるMQ-9に見切りをつけ、MQ-9調達予算をキャンセルしてMQ-9の製造ライン閉鎖のため1億7,200万ドル(約178億円)を要求していた。
しかし議会は米空軍の計画を拒否して2021会計年度予算=国防権限法(NDAA)にMQ-9を調達するための予算を復活させたため、少なくともあと1年は米空軍の資金によってMQ-9の製造ラインは維持される見込みだが2022年以降MQ-9の調達が続くのかは不明で、今のところ米空軍は2つの可能性を探っていると言われている。

出典:public domain MQ-9リーパー
1つ目は商用機をベースにした低コストの無人航空機に切り替える可能性で、2つ目は非公式に「MQ-Next」と呼ばれている次期MQ-Xを開発する可能性だ。
MQ-9は米空軍にとって素晴らしいプラットホームでありパイロットをリスクに晒すことなく戦場の監視や目標の発見、さらに精密誘導兵器を使用した攻撃など有人機が担ってきた任務の一部を肩代わりしてきたが比較大型で中高度を飛行するMQ-9はレーダーに捕捉される可能性が高いためパトリオットやS-300といった防空システムに撃墜されるリスクが高く、しかもMQ-9は中国やトルコが製造している同タイプのUAVより高価でハイエンドの防空システムが存在する地域で活動するのは難しいと言われている。
そのため米空軍はMQ-9リーパーの後継機を開発するのではなく、低コストの商用無人機ベースに軍独自の機能や搭載兵器を統合することを検討しているらしいのだが、MQ-9を開発したジェネラル・アトミックスや無人機開発経験のあるノースロップ・グラマン(X-47B)、ロッキード・マーティン(RQ-170)が次々とMQ-Nextと呼ばれる次期MQ-Xを独自に発表しており、ハッキリ言って米空軍がどちらに進むのか不透明な状況だ。
AFA 2020: General Atomics announces new ISR/strike UAV https://t.co/MXNKfpJ49z #UAV #AFA2020 #AirForceAssociation @GenAtomics_ASI #aircraft #defense #unmannedsystems #intelligence pic.twitter.com/tTbXuXvvAG
— Janes (@JanesINTEL) September 16, 2020
一つだけ言えるのは米空軍が開発中の無人戦闘機「Skyborg(スカイボーグ)」が完成すればMQ-9リーパーが担ってきた任務をスカイボーグに移すことができるためMQ-Nextは非常に中途半端な存在になる可能性があり、低コストの無人航空機開発を選択したほうがそれぞれの棲み分けがシンプルだと言える。
あと気になるのは仮に米空軍がMQ-9の調達を打ち切った場合の製造ライン維持に関する問題だ。
恐らく米空軍が製造ライン閉鎖のため1億7,200万ドルの予算を要求したのはジェネラル・アトミックスが米空軍のためにMQ-9の継続的な改良や研究を行うため確保していた人員や施設を処分するためのものではないかと管理人は思っており、海外から受注が舞い込むMQ-9の製造ラインが直ぐに閉鎖されることはないと考えている。

出典: public domain MQ-9Bシーガーディアン
しかし米空軍という最大の供給先を失えばMQ-9の開発や製造に関する経費は海外受注分に転嫁される可能性が高いので、MQ-9やMQ-9Bシーガーディアンの調達を検討している国や組織は米空軍が2022年以降もMQ-9を調達するのか?もし調達を打ち切った場合MQ-9の調達・運用コストがどのように変化するのか?を見極めなければ後々問題になるかもしれない。
果たしてジェネラル・アトミックスは1年延命することに成功したMQ-9ビジネスを今後どのように維持していくのか、それともMQ-9ビジネスを整理して資金と人員をMQ-Nextや別の事業に投入するのか、その判断に注目が集まる。
関連記事:米空軍、高価な無人機「MQ-9リーパー」調達を中止し商用無人機を採用か?
関連記事:米GA、米空軍のMQ-9後継機に全翼機デザインの無人航空機を提案
※アイキャッチ画像の出典:public domain MQ-9リーパー
トルコ「バイラクタル売ってやろうか?w」
アメリカ「あ?(怒)」
ネタとしては面白いが、
アメリカもこの分野での主導権を他国に渡したくないのは明白だから、
無い無いw
中国製やトルコ製の無人機産業の躍進がここでもよく取り上げられているが、アメリカはどう動くんだろ
F35のやり方を踏襲すると思うよ。米国製の無人機の導入前提として、米国基準のレーダーやらミサイルの導入が漏れなく条件付けに
仮に中国製を導入した国は自動的に反米リストに載せられる運命
今の情勢だとトルコ製も遠からずそのリスト入りしそう。つか、特に中東の同盟国である筈のエジプトやサウジやイラクも中国製買いまくってたような。
バイラクタルの能力ではリーパーの代替にはなり得ないというマジレスはダメ?
さらにバイラクタルのグレードアップが進むだろうが、米軍が採用するかはまた別問題だろうと
何せ敵か味方かはっきりしないアッラーの国だし
毎日更新ご苦労さま、ところで年内は何時まで更新予定なんですか?毎日見てるので年始年末に更新が止まると航空万能論ロスが発生しそうで怖い
まったく、こんなペースでおもろい記事を更新されると依存症になっちまうよな
ホル韓やめたのは内容的にストレス溜まるからじゃないかなと勝手に思ってるんですけど、こちらは更新しなきゃ・・・みたいな変な義務感などなく楽しんでやって欲しいなあと思います。
たまに変な書き込みでストレス与えてる側としては申し訳ない気持ち。
ホル韓のノリ好きだったんだけどな
あんなネタばっかりじゃ
げんなりする
このブログから排除してほしいな
議会判断でMQ-9調達中止→開発が遅れて議会判断でスカイボーグの開発中止まで見えた!!
中国の中高度無人攻撃機翼竜2の価格は100万ドル、MQ-9は武器2倍つめて大型だけど3000万ドル
翼竜2を30機揃えたほうがどう考えてもいいって考えちゃうよね。
元々ラジコンは得意なんだから日本も安い無人機を作って欲しい、アメリカと一緒でもいいからさ
米国製無人機はパイロットがのってないから撃墜されてもかまわないといえないほど高いのが欠点だよね
現時点での無人機の強みを活かすなら安いのを大量に揃えて敵防空網を突破すること
パイロットがいないからGの制限考えず凄い機動できるみたいな無人戦闘機はまだまだ数十年先のもの
性能は劣ってるけど数多すぎて対処しきれないってのが今の無人機の役割だよ
あとは危険すぎる最前線の偵察センサーと有人機の随伴ウェポンベイ
空軍がリーパーをこんなに嫌うのってCIAがらみなんじゃ無いかな?CIAの予算って空軍の予算に隠されてたりもするけど、テロ首謀者暗殺任務で、結構ぽこぽこ落とされて空軍予算を圧迫してるのでは?
そこが議会の期待と、空軍の(実際使い捨てに近いから)もっと安くの差なんでは?
リーパーちゃん首の皮一枚で繋がったのね。ただ寿命が一年伸びただけにならないと良いけど、記事の内容的に無理そうね。
多重化された衛星ネットワーク経由で地球の裏側から遠隔操作できるUAVってのは
米軍的には画期的な低コスト方法だったのかもしれないけど
どう考えたってアメリカ以外の国にとっては要求能力に入らない無駄な性能だもん
そら他国が自前でUAVを製造するようになったら、アメリカのUAVはなんだってこんなに高額なの?って話になる
そしてこれはつまり、地球の裏側から多重化された衛星経由の遠隔操作っていう、アメリカのUAVに対する要求能力が変わらない限り
今後もアメリカが開発するのUAVは他国より割高なものになるってことで
アメリカは自分の都合なんだから勝手にすればいい話だけど
じゃあ日本は?日本に必要のない能力の分の為に高コスト化しているアメリカのUAVを今後も買うべきなのか?って疑問が出てくることになる
日本も自前で開発した方が安くなるんじゃないの?って
これまでの運用実態とこれからの投入環境を考慮すると、断然かつ圧倒的にステルス性能が優先される。
音速にも達しない無人機なんて、所詮非対称戦争でしか使えない。これまでどうり非戦闘空域や糞雑魚防空網に投入するのなら生存性を上げた方が長持ちする。
逆に対象戦争では囮程度にしか役立たないから、非戦闘用に再設計するかそもそも運用を諦めるかの二択じゃないか。
まず、レーダーの発達に対してステルスがいつまでも有効かすら疑わしいのに、なに言ってるんですか(笑)
それに、これからの世界は非対称戦争のほうが主流になりますよ、
この話、日本も関係あるから気になるよな。MQ-9Bシーガーディアンは海保が試験飛行させて、導入するか検討中だけど米空軍が調達打ち切るとその分コストが嵩むことになり予算規模が小さい海保で導入するのは難しくなりそう。只、試験飛行は海自の八戸基地を借りて行っていたから海保の決定次第で海自も導入に踏み切る可能性が無いとは言えないから、海保単独導入より幾らかマシには成るだろうけど。